【INTERVIEW】想像力の血『物語を終わりにしよう』

佐藤優介によるソロ・プロジェクト“想像力の血”の1stアルバム『物語を終わりにしよう』が4/16に配信リリースされた。本作をめぐって、アルバムにも参加している佐久間裕太と澤部渡(スカート)、古くから佐藤を知る金野篤が集い、この3人が本人に話を訊いた。
佐久間裕太
澤部渡(スカート)
(2025年4月オンラインにて)
人によって好きな曲が全然バラバラみたいな、そういうアルバムが作れたらいいなっていうのはありました
- –: 今回アルバム資料として、音源をデータでもらってたんですけど、それを一度CD-Rに焼いて、普段使っているコンポで聴いてたんです。これはなるべく良い音で聴かないといけないと思って。
- 佐藤優介(以下:佐藤):こないだアルバムの資料を整理してるときに、ふとMacBookの小さいスピーカーで再生してみたんですけど……本当によくわからなかったですね。
- –: (笑)。
- 佐藤:シンプルにミックスが失敗してるのかなと思いました。
- –: 普通のポップスと比べるとボーカルも小さいし、バランスも曲によってバラバラだし。
- 佐藤:自分でも正解がよくわかってないんで……でも、バランス的な部分で統一感を持たせるっていうのは、そもそも考えてなかったですね。バラバラでいいんだっていう。
- –: そういう面も含めて、流し聴きを許さないアルバムだと思いました。1曲ごとに立ち止まって考えちゃうというか。どんどん聴いていくのがもったいなく感じるような……。
- 佐藤:人によって好きな曲が全然バラバラみたいな、そういうアルバムが作れたらいいなっていうのはありました。もちろん通して聴いてもらうことを考えてはいるんですけど。今、CDも作ってるので、そっちはまたちょっと違う内容になると思います。
これみよがしに過激なものって、意外と簡単にできちゃうし、飽きるスピードも速いような気がして、あんまり好きじゃないですね
- –: 時代におもねることなくこういう内容のアルバムができるっていうことに驚かされたし、なおかつ思ったのは、1stアルバムって感じがしないというか。新しいんだけど、昔からあるようなものにすら感じるし、未来でもあり過去でもあるような。
- 佐藤:時代に寄り添うっていうのは、もう諦めました(笑)。まず、今がどういう時代なのかもよくわかってないし、俺には無理だなって。
- –: 「ゴーストタウンの町長さん」とか、すごくシンプルに始まる曲もあるんだけど……。
- 佐藤:あの曲は、ミックスを原口宏さんにお願いして。ムーンライダーズだったり、SKETCH SHOWだったり、原口さんの音はずっと好きだったので。
- –: 最初は安心させてくれるのかな、と思うんだけど、どんどん歪んでいって……繰り返しもないし、ひたすら進んでいって、そのまま終わるっていう……(笑)。
- 佐藤:繰り返し方っていうのが、よくわからないんですよね。
- –: 普通のポップスでいう、3分間の中でAとBをいかに繰り返すかみたいな、そういう世界とはまったく違う。ちょっとクラシック的な作り方でもあるわけで、それをポップ・ミュージックで表現しているというか。
- 佐藤:最初に構成を決めて作ったりとかはしてなくて、いつも気づいたらこうなってるっていう感じで……。
- –: だから作為的な感じがない。難しくしてやろうみたいな、押しつけがましさみたいなのがなくて、それがすごいなと。
- 佐藤:ああ、それは嬉しいです。これみよがしに過激なものって、意外と簡単にできちゃうし、飽きるスピードも速いような気がして、あんまり好きじゃないですね。
- –: ある意味、アトラクション的なアルバムだと思いました。引き込んでおいて、〈今のは何だった?〉と思わされて、もう一回聴きたくなるような。
- 佐藤:ひとつなぎに聴けるものにしたいっていう気持ちと、正直、もうアルバムの時代じゃないんだろうなっていう……その両方が自分の中にあって。だから、作ってるときは結構辛かったですね。なんでこんな十何曲も作らないといけないんだって、腹立ってきて(笑)。
- –: アルバムという形式の一般論として、だいたい40分ぐらいは聴かせないといけないっていうのがあると思うから、そこで全体に統一感を持たせる人もいるでしょうけど。
- 佐藤:たとえばバンドだと、基本的にメンバーは固定だから、楽器の編成とかアレンジの部分も自然と決まっていっちゃうと思うんですけど、そこは一人でやっている強みというか、自由さはあるので。自由と同時に孤独なんですけど(笑)。だから、あんまり寂しくなってくると、誰かに連絡して〈何か音を入れてくれない?〉っていう。そこでコミュニケーションをとっている感じはありました。
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『物語を終わりにしよう』
/ 想像力の血
2025年4/16リリース
フォーマット:デジタル配信
レーベル:想像力の血
【Track List】
01. ◯◯空洞説
02. UTOPIA(異議申し立て)
03. ゴーストタウンの町長さん
04. ataraxia
05. ふたつのアリア
06. 着いてすぐ帰ることを考える観光客
07. Quaggi
08. Ide
09. こんな仕事はこれで終わり
10. 反時代ゲーム Il Conformista
11. EL TOPO
12. そして音楽はつづく
マルチリンク
【ゲストボーカル】
岡田紫苑(M-5)
鈴木慶一(M-7)
佐藤奈々子(M-10)
【ゲストミュージシャン】
イトケン(ドラムス、パーカッション)
佐久間裕太(シンセサイザー)
澤部渡(サックス)
四家卯大(チェロ)
シマダボーイ(シンセサイザー、パーカッション)
西田修大(ギター)
シンリズム(ギター、ベース)
【マスタリング・エンジニア】
illicit tsuboi, Stuart Hawkes, Felix Davis, 樫本”GURI”大輔, 原口宏
2025.5.15 12:00
カテゴリ:INTERVIEW, PU3_ タグ:JAPAN, カメラ=万年筆, スカート, 佐久間裕太, 佐藤優介, 僕とジョルジュ, 想像力の血, 澤部渡

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