【NEWS】Kan Sano 13人のルーティン音をもとに制作したシングル「Pマママ」の配信を開始 & MVを公開 金沢21世紀美術館「lab.5 ROUTINE RECORDS」展で発表し話題となった楽曲

Kan Sanoによるニューシングル「Pマママ」が9/6より配信開始した。

今作はKan Sanoが金沢21世紀美術館「lab.5 ROUTINE RECORDS」展で発表し話題となった楽曲。
福祉実験カンパニー「ヘラルボニー」が始動したプロジェクト”ROUTINE RECORDS”の一環でKan Sanoが福祉施設や特別支援学校を訪問し直接録音したり、日本各地から集められた13人のルーティン音……知的障害のある人が日常で慣習的に繰り返す行動(ルーティン)から生まれる音……をもとに創作した実験的な作品である。

金沢21世紀美術館で展示された映像も、オフィシャルMVとして同時公開されている。

Kan Sanoが奏でるピアノの旋律は、月から見た地球の潮の満ち引きの様であり、歌われている歌詞は、胎動する赤ん坊から見た外の世界の様であり、今まさに生まれようとしている赤ん坊とすれ違った死者からの「置き手紙」の様でもある。
日常で慣習的に繰り返す行動(ルーティン)から生まれる音を丁寧に紡ぎ、そのルーティン音のループとシンクロしてゆくKan Sanoのピアノと歌詞は、全てあなた(わたし)に対して歌われており、人と人との繋がりを再確認する様な、有機的な体験を1曲で表現している。

今、多くの人にとって、”音楽”は様々な理由で最適化されて耳に入ってくる。
その殆どはAIによってアルゴリズム化され、私たちの耳に入ってくるのは”出逢うべくして出逢う音楽”という事になる。

楽曲制作の場においても同様で、例えば(勿論、全てではないが)発表前にアルゴリズムや流行の為に最適化された音楽は、発表後に多くの人の耳にとまるが、デモ段階の、制作途中の、アーティストの制作したユニークな部分や、水面下で行われていた駆け引きが隅々まで露わになる事はほとんどない。

そう、行間や無音部分、ヒットチャート以外にこそ宿る何かがあるとしたら、私たちは「発表されたヒットチャートだけ聴ければ満足」という傍聴者でいつづける訳にはいかないのかもしれない。

あの日、あの場所で感じた朝日の眩しさや、あの太陽の温かさ、あの夕立の激しさ、帰り道に感じた風の感触。
日々の忙しさや社会の雑踏の中で、一人一人が本来持っている人間性がもしも薄まっているとしたら。

「従順になれない、もう最適化される事に飽きてしまった。」そんな時代を生き、何にも囚われない純粋な、ワイルドな音楽も世の中にはたくさんあるのだ というある種の投げ込みであり、解像度の高い、フィジカルな”人間”を取り戻すキッカケとなる事を祈って、Kan Sanoはこの曲をリリースしたという。

【コメント】
「Pマママ」を制作するにあたり、地元金沢のいくつかの施設を見学させて頂いたのですが、
どの場所にも魅力的な声や音がたくさん溢れていて創作意欲を掻き立てられました。
僕は他者にあまり興味を持たない性格ですが、他者の声にはとても興味があります。
たとえば、自分が苦手な人、嫌いな人でも、その人の歌声や鼻歌、囁き声を聴くと、妙に親しみを覚えたり、愛しく思えてしまうのです。俗っぽく言ってしまえば「声フェチ」のようなものかもしれませんが、これは僕が音楽にずっと感じている神秘性にも関わる話で、とても重要なことです。
この「Pマママ」には音楽の持つ何か神秘的な力が驚くほどの密度の濃さで詰まっています。
僕ひとりでこんな音楽は到底作れません。たくさんの愛しい歌声、話し声、生活音がこの曲を生み出しました。何故こんなにも愛しいのか。本当に不思議です。
愛しい声は、人種も年齢も性別も障害も関係なく、ただただ愛しい。このプロジェクトで実際に体験し、気付いたことです。「Pマママ」は自分がつくったのに自分がつくった気がしない、不思議な曲になりました。
10代の頃音楽活動を始めた地元金沢のアートの中心地である金沢21世紀美術館でこの曲を発表できたことにも意味を感じずにはいられません。
素晴らしい気づきを与えてくださりありがとうございました。



– Kan Sano




「Pマママ」
/ Kan Sano(カン サノ)
2023年9/6リリース
フォーマット:デジタル配信
レーベル:origami PRODUCTIONS
マルチリンク

【クレジット】
Cast(ROUTINER):
上土橋 勇樹、酒井 美穂子、山際 正己(やまなみ工房)、勝山 雄一朗、吉田 裕志、南 保孝(アトリエやっほぅ!!)、木谷 光宏、高野 圭悟、高橋 俊史(地域支援センターポレポレ) 、木挽 叶大、白石 雫、橋谷 律希(金沢大学附属特別支援学校)、井口 直人(さふらん生活園)






【ABOUT “ROUTINE RECORDS”】

ROUTINE RECORDS(ルーティンレコーズ)は、福祉実験カンパニー「ヘラルボニー」が始動した新たなプロジェクト・シリーズです。

知的障害のある人が日常で慣習的に繰り返す行動(ルーティン)から生まれる音を丁寧に紡ぎ、音楽として社会へ届けます。

その第 1 弾が、現代アートの発信地である金沢21世紀美術館(デザインギャラリー)の実験的なシリーズ展「lab.5 ROUTINE RECORDS」として、2022年10月から2023年3月までの約半年間に渡って展示されました。

本曲「Pマママ」は、ヘラルボニーからオファーを受けたKan Sanoが、プロジェクトチームと共に金沢市内の福祉施設や特別支援学校を訪問し、日本各地から集めた13人のルーティン音をもとに創作した楽曲です。

曲のタイトルは、訪問した施設の壁に飾られていた、本曲のルーティン音にも起用されている高野圭悟さんが短冊に書いた謎の言葉「まっすぐみぎの生まれてきたんだよ P マママ」からインスピレーションを受けて楽曲を制作したことから名付けられています。

知らない、わからないから抜け出して、新たな気づきのきっかけへ。

ROUTINE RECORDS は、知的障害のある人とわたしたちの垣根なき日常を繋ぎます。

ROUTINE RECORDS
ルーティン音の紹介はこちら


2023.9.6 12:00

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