【SELF LINER NOTES】リれん 1stアルバム『カマトツチ』について(リれん 記)
深呼吸ダイアローグ
作曲すること、それとは違う感覚で、日記を書くように曲を作る時があるんです。この曲もそんな感じで書いて、メモのような日記なんだから音楽的なものを何も気にかけずに作る、だからいつも全部ボツにするのです。しかし担当者に送ったら気に入られてしまって、入ることになりました。大事な友達、家族、恋人と大喧嘩してしまって冷静さを失った時、深呼吸をして1度自分と対話してみてほしいです。深呼吸って言葉がすごく好きだなって気持ちで書き始めました。
自分の深呼吸を録音してるんですけど、下手くそなのか、吸ってる時と吐いてる時の音あんまり変わらなくてあれ?ってなっています。
Kawaii U -Sickle Remix-
歌詞を書くのがいつも嫌で、これは特に苦労しました。見つけた解決策が、ネットからそれっぽいワードをいっぱい取ってくる、でした!結構耳障りのいい音にも仕上がったし上手くいったと思ってます。「1, 2, 3!!!」の部分のボーカル・レコーディングが大変でした(30テイク近く…)。
そしてなんといってもアレンジがすごいカッコいい。オーケストラヒットをこんなにカッコよく使えるんだって、想像を越えた出来に!「Kakkoii U」になりましたね。
MoTheR
今の世の中では複雑な方が当たり前かもしれませんが、私の家庭環境はかなり複雑で。綱渡りをしながら細い絆の糸を歩いていたような日々でした。高校生の頃から母の曲を書こうとずっと考えていたんです。当初はもっと皮肉や嫌悪に満ちた内容にするつもりだったんです。ただ22歳になった今、私も母と同じ大人になり、知識も増え、世界と母の見え方が随分変わりました。私は愛されていなかった訳じゃなくて、母が歪な人で歪な愛情表現しか出来なかったから、私がそれを受け取れなかったのだと、そう考えるようになりました。歪な母という意味で「MoTheR」と、アルファベットの大文字と小文字をバラバラにして凸凹を表現したタイトルになってます。Dr.クレペリン
タイトルは、ドイツのクレペリンさんという精神科医のことです。私が解離性障害という病気になった時の体験を忘れないように歌にしたものです。発症当時何が起こっているのか分からずパニックで、何!?これ何!?って毎日必死に病院に駆け込んでたんです。今はすぐ治るものじゃないのにって分かるのですが、自分も、周りも不安で。どうにかしてよ、先生ならどうにかできるでしょ、ねえ?って気持ちで病院に通ってたんです。さすがに主治医の名前は出せないから、偉大なクレペリン先生のお名前をお借りしました。
Aメロの半音上下するメロディが不思議な空気感を作り出してくれて、結構上手くいったなと思います。仕上もステレオ感が脳に届くような感じがして気持ちいいです。
Express Gemini
Dixie Flatlineさんの「ジェミニ」という曲に、私と横沢俊一郎さんの2人でどハマりした時期があったんです。「ジェミニる」(ジェミニのような曲を作る)という造語を作ってしまうくらいに。それで、2人でジェミニるために作りました。ただ、この曲がアルバムの中で一番苦戦しました。中学生の頃から好きな曲だったし、すごく聴き込んでいたし、ジェミニると言うからには少し寄せた方がいいかな?とか色んなことを考えてしまって、思うにように作れなくて…。デモを横沢さんに投げては、うーん、なんか違うね…っていうのを5回くらい繰り返しました。
ある日1回全部取っ払って気兼ねなく作ってみたら?とアドバイスされて、そしたらいいメロディが出て来てくれて。元ネタのふんわりしたジェミニとはまた違う、キラキラしたジェミニが出来上がりました。この曲のメロディ・ライン強いなと私は思っていて、裏リード曲と呼んでます。
Q_Soren
ソれん時代に多くの方に評価していただいた曲です。ソれんという名前も仕方なく改名したので、少し未練が残っていて、この曲にソれんの欠片を残そうと思いこのタイトルにしました。この曲を作ったのは16歳で、まだ作曲経験も少ないし、メロディ・ラインもすぐに組み立てられなかったので、曲をイメージして狙って作るなんてことが出来る分けなくて、なんとなく気持ちいい音だけで作った記憶があります。今見るとすごく王道なJ-POPのコード進行なので、そりゃ気持ちいい音になるわけだ!って思います。でもonコードやsus4を使っていて、自分の捻くれ者さを感じます。
歌詞を見ると赤裸々でちょっと恥ずかしいですが、一人暮らしをし始めた頃でとにかく漠然とした寂しさと不安でいっぱいでした。それに思春期の夢見がちさと脆さが相まってこんな歌詞になりました。
100年後には何もかも消えてしまうのに、今の自分って?抱えてる不安って?恐怖って?愛って?全て何なんだ?何の意味があるんだろう?
『カマトツチ』
/ リれん
2023年6/21リリース
フォーマット:CD/デジタル配信
レーベル:MY BEST! RECORDS
カタログNo.:MYRD152
【Track List】
01. 上海STAY TUNE
02. Daydreamin’
03. SUMMERTIME
04. Yummy Gummy -Hammer Remix-
05. ブロックしないでよお願い!
06. 深呼吸ダイアローグ
07. Kawaii U -Sickle Remix-
08. MoTheR
09. Dr.クレペリン
10. Express Gemini feat. 横沢俊一郎
11. Q_Soren
ディスクユニオン
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【クレジット】
作詞・作曲:リれん(except M5 横沢俊一郎、M7: はましたまさし、M8: with三沢洋紀)
リれん: Vocal (All), Guirar (M6)
はましたまさし: Arrange, Programming (M1, 3-5, 7, 9-11), Drums (M3)
横沢俊一郎: Vocal (M10), Drums (M3)
三沢洋紀: Arrange (M6, 8), Synthesizer, Keyboard (M6), Guitar, Bass, Rhythm Box (M8)
やなぎさわまちこ: Arrange, Programming, Bass, Guitar (M2), Keyboard (M2,11)
大谷能生: Synthesizer (M6)
佐京泰之:Theremin, Bell (M8)
金野篤:Violin (M8)
録音: リれん、佐京泰之、大野志門 ミックス: はましたまさし(M2, 4, 5, 7, 9-11) 佐京泰之 (M1, 3, 6, 8)
ボーカル・エディット: cocoa (except M7, 10 はましたまさし) マスタリング: George Mori
写真: 坂田律子 メイク: 坂田佳子 ADデザイン: ダダオ
2023.8.11 21:00
カテゴリ:INTERVIEW, PU1 タグ:JAPAN, はましたまさし, やなぎさわまちこ, リれん, 三沢洋紀, 佐京泰之, 大谷能生, 横沢俊一郎, 禁断の多数決, 金野篤