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INTERVIEW

【INTERVIEW】北 航平 『Head Towards The Horizon Of Sandy Sea』



京都を拠点にパーカッショニストとして確固たる地位を築く評価の高いサウンド・アーティスト北 航平。
世界的にも非常にレアでとても美しい音色を奏でる楽器「アレイムビラ」(カリンバの一種)を全面的にフィーチャー、60年代~70年代前半のジャズを彷彿
とさせる心地良いグルーヴと叙情性を感じさせる待望の4thアルバム『Head Towards The Horizon Of Sandy Sea』をリリースした氏に、本作を様々な角度で語ってもらった。

ものすごく簡単に言うと「癒し」を意識しましたね

–:今回のアルバム『Head Towards The Horizon Of Sandy Sea – 砂の海の水平線へ向かう』を聴かせていただいて感じたのは、非常に聴きやすいという事でした。
北 航平(以下、北): そうですね、聴きやすくというのもあるんですが、何回も繰り返し聴いても疲れない、というのを意識して作りました。前作『Imbalance Order And World』はエネルギッシュでビート含めよりエレクトロニックなイメージの感想を頂く声が多かったのですが、今回はもう少し日常の生活に寄り添うというか、このアルバムを通して聴いてもらった時にどんな気持ちになってもらいたいか、というのを考えてみました。それは過去3作では無かった事なので、自分の中で非常に新鮮な気持ちでしたね。



–:具体的にはアルバムを通して聴いた時に、どんな気持ちになってもらいたいと想像して作られたのでしょうか?
北: 聴いている最中に気分が良くなるというか、ものすごく簡単に言うと「癒し」を意識しましたね。でも、ただ単に環境BGMのように癒されるだけでは、苦労して時間をかけてアルバム1枚作ってる意味が薄れてくるので、そこはもちろん作り手の主張や描きたい世界も盛り込みたい、その微妙なバランスはやはり難しかったですね。日常的に何気なく聴いていて癒される、でも少し非日常を感じられる比較的近い世界線のパラレルワールドのような音楽。例えが的確かどうかはわからないですが、少し個性的で主張のあるお香やアロマといった感じでしょうか(笑)



僕の好きな水琴窟とカリンバの音色をミックスしたような深く美しい響きに感動したんです

–:前作・本作とメインで登場する楽器、アレイムビラとの出会いについて教えてください。
北: アレイムビラとの出会いは結構古くて、2011年頃にYouTubeでたまたま見つけたヨーロッパのチルアウト系アーティストの動画を見つけたのがきっかけなんです。アレイムビラ単体でソロで弾いてる映像なんですが、もう観た瞬間に強烈なインパクトを受けました。僕の好きな水琴窟とカリンバの音色をミックスしたような深く美しい響きに感動したんです。それから色々と調べてみたんですが、なかなか欲しい情報に辿りつけなかったんです。でも、どうしても気になるので何年かかけて色んな楽器屋に問合せたり、ネットで探しまくってやっと見つかった情報が、非常にレアで世界中にもまだ数が少ない楽器だということ、アメリカ・サンディエゴの個人経営のような会社で作られていること、日本には代理店がないということでした。そして、これはもう直接製作者に連絡を取って個人輸入するしかないな、と。



–:それで念願のアレイムビラが手に入ったわけですね。
北: いや、それがまだ紆余曲折ありまして(笑)
やっと製作者であるアメリカのおじいちゃんとコンタクトを取る事に成功したんですが、やはりレア楽器だけあって受注製作なんですよね。拙い英語でのやり取りなんですが、どうやら3カ月かかると。それは仕方がないと承諾して発注したんですが、4カ月経っても5ヶ月経っても連絡がない。最初に半額分振り込んでるんで不安になり、何度か連絡してみると、「作ってるよ。でも、これからバケーションで旅行に行くから、もうちょいかかるかなぁ、多分あと1ヶ月くらい。」的な返事が来まして(笑)、い…いや仕方ない、待とう、と思ってひたすら待ちました。まあ結局届いたのは、発注から7ヶ月近く経ってたんですが、やはり日本人とは国民性が色々と違うんだな、というのを実感しました。



–:無事届いて良かったですね。それでアレイムビラをメインにしたアルバムを作ろうと。
北: そうですね。ただ、最初は迷いはありました。レア楽器で独特のサウンドなだけに同じ物を使用するアーティストとの被りに対する懸念ですね。でも考えてみたら、同じ楽器を使う事って他の楽器で考えたら当たり前じゃないですか。ピアノやギターを弾いて他と被るなんて考えないですよね。それならば、そんなどうしようもない事であれこれ悩むよりは、自分の思い描いてる音を迷わずに使いたいと。それで、アレイムビラを全面に出して一枚のアルバムを完成させたのがPROGRESSIVE FOrMからリリースした前作の3rdアルバム『Imbalance order And World』なんです。そして、それを昇華してもっと洗練させたものを作ろうと思って制作したのが4thアルバムとなる『Head Towards The Horizon Of Sandy Sea』なんです。



メインでずっと流れてるオルガンのような連続音が、実は全部アレイムビラで出来てるんです

–:これまでのアルバムで一貫して日本語のタイトルも併記されています。エレクトロニカ系のアーティストとしては珍しいですよね。
北: そもそも自分の事をエレクトロニカ系のアーティストだとは思ってなくて、他のエレクトロニカ系のアーティストの方々についてもあまりよく知らないんですね。ただ単に好きなものを思いつくままに作った結果、周りの人に、これはエレクトロニカ系の範疇の音楽だと教えてもらったんです。
なので、日本語タイトルについても元々何の違和感もなく、これが自然だと思ってました。今まで全ての作品のタイトルをつけてくれてる作詞家・シンガーの高山奈帆子(カルネイロ)からあがってくるのも当然最初は日本語なので、むしろ後から英語に変換してる感じですね。やはり日本人なので、細かいニュアンスや語彙の豊富さから言っても日本語が一番しっくりくるんです。音の制作時に頭の中でイメージしてるものとタイトルの言葉が一致する時は、楽曲に命が吹き込まれるようで最も喜びを感じる瞬間かもしれないです。



–:今までのアルバムには無かったアンビエントドローン系の曲がありますね。
北: はい、今回のアルバムには3曲ほどあります。理由はいくつかありまして、まず本作のテーマ「癒し」というのに密接に繋がってるんです。また、自分の中の実験でアルバムのフックとしても前から一度入れてみたかったというのもあります。そして、もう一つ大きな理由としてはアレイムビラの可能性を探ってみたかったというのが実はあるんです。



–:ドローン音にアレイムビラを使ってるんですよね。これはちょっと想像しにくいのですが、差し支えなければ音作りについて教えてもらえますか。
北: 隠すほどのことではないんですが(笑)、いわゆるドローン音、パッド音というんですかね、もっとわかりやすく言うとメインでずっと流れてるオルガンのような連続音が、実は全部アレイムビラで出来てるんです。アレイムビラは基本アコースティック楽器なんですが、エレアコのようにラインもありまして、そこにギタリストが使うようなコンパクトエフェクターを繋げてるんです。コンプや歪み、ディレイやリバーブなどを繋げて、極小音量でアレイムビラを弾くと、それが無限ループのようになり連続音になるんです。またその状態でアレイムビラを叩いたり引っ掻いたりすると、洞窟の中で打楽器を演奏してるような音もするんです。その空気を含んだザラついたあたたかい質感を見つけた時は、楽器の可能性を広げられたような気がしてとても嬉しかったですね。



–:後半の「08. Translucent She And The Fact – 半透明な彼女と事実」「09. I Can Not Remember Blue – 思い出せないブルー」は往年のジャズを彷彿とさせます。
北: これは昔から好きなジャズのレジェンドであるマイルス・デイビスやビル・エバンスの50年代後半から60年代にかけての妖艶で暗く深い、絶妙に枯れた音の質感が何とも言えず好きで、そんな雰囲気を自分でも出してみたいと思って、ある意味オマージュ的な意味合いで作りました。そして今回のアルバムのコンセプトにも合うなと思ったんです。彼らの音楽をリスナーとして聴いてると、癒し要素もあり、芸術性もあり、しかも様々な映像が頭に浮かんでくるようなクリエイティビティもありで、こういったものを自分のフィルターを通して作ってみたいなぁと前から思ってました。結果的には良い楽曲が出来たと自己満足しています(笑)



–:今回は映像もたくさんありますが、ご自身で制作されてるんですよね?
北: そうですね、映像に関してはなんとかかんとか必死に頑張って作ってます(笑)これも音でのコンセプトと同じで、日常の中の癒し+少しのアート、的なニュアンスをイメージしていて、水族館に大量の水を撮影しに行ったり、家のリビングでグラスの中を接写したりと、できる範囲の中で色々と考えて作ってみました。どちらかと言うと集中してじっと鑑賞もらうと言うよりは、BGV(バックグラウンド映像)のような感覚で部屋で流しっぱなしにしてもらう方が良いかもしれないです。もし良かったら一度やってみてください、心の沈静化作用があるかもしれないです(笑)



–:最後にリスナーの方へのメッセージがあればお願いします。
北: 今までは自分の表現したいものを好きなように作ってきたのですが、今回は初めてリスナーの方に寄り添う形というか、聴いてもらってどんな気持ちになってほしいか、という事を意識して作った作品なので、よりたくさんの方の琴線に触れる事ができれば嬉しいなと思います。ぜひ聴いてください。よろしくお願いします。



「Head Towards The Horizon Of Sandy」
/ 北 航平
2018年5/15リリース
フォーマット:CD
レーベル:PROGRESSIVE FOrM
カタログNo.:PFCD78
価格:¥2,100(税抜)
【Track List】
01. Whisper Of Dawn
02. Head Towards The Horizon Of The Sandy Sea
03. Koh-I-Noor
04. Rain Falls On A Lotus Flower
05. Infiltration
06. Chaos Of Inspiration
07. His Conviction
08. Translucent She And The Fact
09. I Can Not Remember Blue
10. Responding Life
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タワーレコード

2018.6.14 19:00

【INTERVIEW】THIS IS JAPAN『FROM ALTERNATIVE』



「日進月歩」という言葉がある。

「絶え間なく進歩する」という意味であるが、自分の人生で得てきた様々なことに当てはめようとすると、本当にその言葉がはまるほど、確実にグレードアップしていく事象や事柄は数少ないことに気づけるはずだ。極めて現実的にいえば、いま手元にあるスマートフォンのヴァージョン更新だけが、確実な「日進月歩」とすら思えてしまう。

同じように、THIS IS JAPANもまた、日進月歩で変貌してきた。

その証拠は、彼らの前作『DISTORTION』から今作『FROM ALTERNATIVE』までの1年半の成長にある。カナダでのライブツアーで得た経験と理想、オルタナコンピ『NOT FORMAL ~NEW ALTERNATIVE』を主導してきたことによる状況の変化も、もちろんだが大きく関わってくる。その質感の変化は、彼らのライブ演奏とこの2枚の違いに封じ込められている。

1年半のあいだで彼らはたくましくなり、言葉の裏側にある一種の重みを、対話したぼくが何よりも強く感じさせられた。僕がこの1年半に感じてきた疑問や気付きに対し、彼らはちゃんと答えにしてくれたことで、この1年半で何が起こり、何をきっかけにしてここまで大きくなったのかが、はっきりと伝わる記事になったとおもう。

東京ロックシーンの最前線、その一端に彼らは立っている。

<前回インタビュー!>
【INTERVIEW】THIS IS JAPAN『DISTORTION』 http://indiegrab.jp/?p=42032





「もしや本当にロケットが飛んでいったぞ?」とうっすら感じてもいました(杉森)


indiegrabでのインタビューは2回目で、2016年の10月ごろに行なわれました。実はその日は、THIS IS JAPAN結成5周年の日で、その直後にはカナダでのライブツアーがありましたが・・・
koyabin(Gt/Vo):いろいろありましたね。
ええ、まさにこの1年半のあいだに、いろんなことがあって、目まぐるしく状況が変わっていったと思います。この1年半は、短かったですか?それとも長かったですか?
杉森ジャック(Gt/Vo 以下杉森):振り返ると長かったですけど、やっているときは瞬間瞬間なので、先のことを考える余裕がなかったですね。
水元(Ba 以下水元):僕は結構あっという間に過ぎたなと思ってますよ。やることがたくさんあったからかもしれないですね。
koyabin:カナダでのライブからを考えると、あっという間だったかなとは思います。ただ、アルバムを出したい!という欲求もあって、「なかなか出ないな」と思ってもいましたよ。
this is かわむら(Dr 以下かわむら):肝心な発信自体は結構あったので、「それくらいは経ったかな」というの感じですね。あっという間だった!というよりは、「1年半よくやったな!」という感じが強いですね。
ものすごく濃い1年半だったなというのは、今の流れでもわかるんですけど、印象的だったことや思い出深いことはありますか?
水元:オルタナコンピ「NOT FORMAL ~NEW ALTERNATIVE」(以下 NOT FORMAL
)を企画して出した、ということも思い出深いんですけど、2つイベントをやらせてもらって、いろんなバンドが出てきたし、いろんな人がやってきてくれて、結構泣きそうになったんですよ。そこはすごく思い出深いですね
かわむら:俺としては、関西でイベントができる!とは思っていなかったんで、そこですね。正直、コンピレーションアルバム『NOT FORMAL』を出して、色々な方々やバンドマンに助けをもらいつつ大阪でイベントをやれた、いままで現実離れしていたことを実際に出来たことは面白かったですね。
koyabin:僕はいろいろな場所でライブをやってきて、ライブのことももちろん覚えているんですけど、各地へ移動する車の運転をよく僕がしてて、もうどのライブがどの場所でのことかわからないくらいなんですよ(笑)その記憶がつよくあります。
杉森:『DISTORTION』を出して、Next Music From TOKYOのツアーとしてカナダでライブをしてきて、俺らのライブのなかでも規模が大きく、しかも日本でのライブよりも客が多かったし、盛り上がったんですよ。それまでのライブでは、こんなに盛り上がることは経験してきてなかったし、自分たちバンドにとっての目標やゴール、そこに近しい光景を体験させてもらったという感じなんです。カナダでみれたこの光景を、今度は日本で現実のものにしてみたい、そう思って活動してきたところがあって、『NOT FORMAL』のリリースイベントになった東京公演と大阪公演では、それに近いシーンを作れたんじゃないか?と思ってます。
そこまでつよく影響しているとは。ちょっと想像以上でした。
杉森:代官山UNITはとにかく大きかったですけど、ダイブしてくれる人が出てきたり、大好きなバンドが最高なライブをしてくれたことは嬉しかったし、大阪では俺たちが尊敬してるバンドのに多く出てもらって、彼らに少しでも近づけるようなライブが出来た、というのは実感として強くあります。
そのカナダでのツアーについてなんですが、バンド内でちょっとしたもめごとがあったという話を聞きました。不都合じゃなければ、話をお聞きしたいんですが・・・
杉森:当時、俺ら4人のメンバーはツアーをよく回っていたわけでもなかったですし、一緒に旅行したりすることもほとんどなくて、単純に疲れていたと思うんです。俺らの中でいろいろすれ違いがあったなかで、とあるライブのときに、初めて観客の圧力に飲まれて、不甲斐ないライブをしてしまったんですよ。
koyabin:日本だと、ライブしてくれるときはバンドのほうを見ると思うんですけど、そのときは全然関係ないところで盛り上がってるようなムードにだったんですよ。
杉森:まぁ、そのあとにライブの事を中心に言い合いになって、俺がキレてエフェクターを壁に投げつけて凹ませたりとかして・・・でもそのあとのライブは全部バッチリだったんだよね。
かわむら:そうだね。お互い言いたいことも言えて、スッキリとしたからこそだったと思う。しかし本当にカナダの話好きだね、正直その頃のことはあんまり覚えてないんだよ(笑)やっぱり疲れてたし
杉森:そう?やっぱりすごく印象深いんだよ。喧嘩のことも、さっき話したようなこともね
ありがとうございます。ツアーが終わって帰国して、2016年の年末には下北沢でワンマンライブがありました。当時のインタビューでは「曲がないから作らないと!」とkoyabinくんが話しているんですよね。
杉森:そうだそうだ、曲がない!ってことで作ったんですよ。
koyabin:もしかして、その頃に作った曲って今回には入ってなかったりします?
杉森:いや、少なくとも「SHOTGUN SONG」は入ってるよ。
2017年には『NOT FORMAL』を出したことが大きなトピックになるとは思います。何度か話があがっていますが、いま振り返るといかがですか?達成感があったりなど個々人違うとは思いますが
かわむら:俺としては、コンピレーションアルバムを出してどんな効果と結果を生むのかがわかりかねていましたね。
koyabin:「これを出して、いったいどうなってしまうんだろう?」「これを世に出して、どんな反応がくるんだろう?」っていう気持ちが、一番大きかったですね。
杉森:わかるよ。ロケットを発射する気持ちで、出来たは良いけど、どこまで飛ぶのかわからない、もしかしたら落ちるかもしれないし、そういう気持ちです。「ロケットがとんだ!」とハッキリわかったのも、コンピアルバムを出したあとにライブするまでわからなかったくらいなんですよ(笑)でも、とあるCD屋さんの週間ランキングとかで、このコンピレーションアルバムが上位に入っているのを見た時、「もしや本当にロケットが飛んでいったぞ?」とうっすら感じてもいましたしね。あとは、ライブをやったとき、バンド内での感触やバイブスがガッツリ出てきたのを感じて、コンピアルバムを出してよかったなと改めて思えましたね


次ページ「よく「ライブが良い」という言われ方をするので、「ライブ盤のような音源が良いんじゃないか?」と思ったんです。

2018.5.26 12:00

【INTERVIEW】ロクトシチ『A DEEP WELL』


ギターをもって、一番自然に、一番カッコよく音を鳴らせるのが、このロクトシチの音なんだと思います(加島)

–:ロクトシチのライブ活動や音源販売は2015年頃から始まっていますが、いつ頃から始まったんでしょうか?
白石:2015年の6月頃に初ライブをしたので、たぶん2014年ごろから活動がはじまったかなと思います。
加島:最初は、僕がフリーターでバンドを続けていて、その時に組んでいたバンドともう一つ別のバンドとして、僕と丸山の2人でロクトシチを始めたんです。そのあと、すぐに社会人として会社で働くようになって、組んでいたバンドを辞めて、ロクトシチは趣味として続けようと思っていたんですよ。片手間で、社会人バンドとしてやろうかなと。ライブ活動をする1年前、だいたい2014年には曲を作っていて、打ち込みサウンドに2人ボーカルで歌っているようなものだったんですが、「バンドで再現しよう」と思うようになっていって、いまのメンバーに声をかけたんです。
–:みなさん友達だったんですか?
加島:大学時代にはいっていた軽音サークルのメンバーが主ですね。小川くんは別のところからです。そのときはみんな社会人で、音楽からは離れていたんですが、声を……「暇つぶしにやってみませんか?」と声をかけさせてもらったんです(笑)
–:すごい下から入っていったんですね(笑)
白石:いやでも、確かに最初はそういう風でしたよ(笑)
加島:当時は仕事が忙しすぎたので、Gorillazみたいに曲作ってウェブで公開!そうして活動していこうぜ!とか思っていたんですけどね。
–:ロクトシチ というバンド名なんですが、どういった経緯があって、この名前になったんでしょう?
丸山:わたしが名付け親です。どっからどこまで話せばいいかわからないですが……数字の6と7が好きだというに説明しています。細かく話すと、子供のころに数字を擬人化して遊ぶということをしていて、そのときによく現れていたのが6と7と8で、そこから愛着があったんです。たまに9が入ってきたりして……
白石:そうだったんだ(笑)
加島:いま初めて「9」の存在を知りました(笑。
–:いまようやく詳しい話が明かされたようで(笑)いまは六人編成で活動されているとのことですね。
小川:ベースに関しては、僕ともう1人のメンバーの山田くんで、それぞれのプライベートと相談しつつ交代しつつ弾いている状況なんですよね。
加島:やむにやまれぬ事情なんですが、いまはそういう風に活動していますね。
–:もうすこし根本的なところをお聞きしたいんですが、いつ頃から楽器を始められたんですか?
加島:みんな18歳のころじゃないですかね?
小川:中学だったかな
白石:僕は中1ですね
加島:僕は高校の頃ですね、軽音部でコピーバンドをやるのがきっかけですよ。
–:音楽と出会ったり、楽器を引くきっかけになったバンドはありますか?
白石:中学の頃、野球部のカッコイイ友達がL’Arc~en~Cielのコピバンとして文化祭にでたんです。その姿をみて「カッコイイ!!」と思って父親に頼んでみたところ、その文化祭でラルクの曲を弾けないなら辞めろと言われ、「わかりました」といってやり始めたんです。割とネガティブな理由なんですけど、飽き性な僕のことなので、1曲も弾けずにすぐ辞めるだろうと親は思っていたらしいです。
加島:僕はTHE BLUE HEARTSですね、中学時代に出会って、「やるしかないだろ」という感じでした。
小川:僕はGLAYですね、僕ら年が近いですし、こうなりますよね(笑)
–:たぶん僕とも歳が近いのがうすうす分かります、やはりそうなりますよね(笑)そのあと、メンバー皆さんは大学で出会うわけですね。
加島:そうですね。小川とはちょっと違った形で出会っていて、僕らはさっきも話したフリーターのときに組んでいたバンドで一緒だったんですよ。
–:なるほどです。この人に影響されたといえよう方がいらっしゃれば、教えていただきたいのですが。
小川:プレイの面では、亀田誠治さんになりますね。椎名林檎さんや東京事変はもちろん、平井堅さんや西野カナさんでも演奏していることもあって、よく聴いてたりますね。人となりは正直わからないんですけど、フレーズなどを弾いて練習してます。
加島:僕はFugaziのギー・ピチョット(ガイ・ピッチオット)ですね。あとはAt The Drive-Inのオマー・ロドリゲスです。





–:FugaziとAt The Drive-inは公式サイトでも明言されているように、大きな影響源だと思うのですが、どういう風に出会いましたか?
加島:大学に入って、音楽をいろいろ聴いてるときに、ズバっとハマって、これだ!と思えたのが大きいですね。
丸山:わたしはほんとに昔の話ですけど、SPEEDですね。10代のころはそういったポップなものばかりを聴いてますね。
白石:僕はNumber Girlの田渕ひさ子さんかな……と思うんですけど、プレイにそれが出ているかはわからないですね(笑)加島とは好きな音楽が被っていて、Dinasour.JrやSonic Youthもお互いに好きですよ
加島:ロクトシチの音楽は、僕ら2人の音楽性や趣味がかなり反映しているんです。
–:だれが作曲されているんでしょう?セッションから始まったり?
加島:基本、僕がひとりで大体を作ってしまいます。大元となるアイディアからある程度作って、みんなに「このフレーズをベースに好きに弾いてくれ!」という風に送って、みんなで思い思いに作ってきたものを組み上げていく感じです。曲の構成や、大事な部分を壊さないでくれれば大丈夫なので。
小川:僕としても困ったこともないんですよね、そういう風に投げてくれるとやりやすいので。こっちからアイディアを出したら、結構キャッチはしてくれるので、そのへんは固定概念なく、柔軟にやっていけてますね。
–:ギタリストお2人で、いろいろと話し合うことはあったりしますか?
白石:最初の頃はちょっとしたけど、いまはないですよ。いまだと、ポーンときたら、ポーンと返して、「はいオッケー!!」という感じですすみます(笑)
加島:白石へ最初に送るギターも、じつはギター1本分フレーズしか送ってないんです。いまの音源を聴いて鳴っているフレーズも、実は白石さんがフレーズやソロを新しく加えてくれたものが多いです。彼が送ってに対して、僕がまた新しくフレーズを組み込んだりしますけど、基本オールオッケーなんですよ(笑)
–:ここは白石さんにお聞きしたいんですけど、ただただ「爆音で音を鳴らしたい!」と考えたり、「このフレーズだからこう合わせると面白い」など、いろいろな解釈で考えられると思うんですが、ご自身はどう考えてらっしゃいますか?
白石:ここまで話をしてくれたとおり、ロクトシチの基本的な流れとして、加島が一通り作ってきて、ベース・ドラム・ギターで一捻りを入れることが多いわけなんですが、加島が作ってきた曲は「僕がここに入る余地はないんじゃないか?」と思えるくらいの完成の曲が多いんですよ。ただ、バンドってそこに一つスパイスを入れると、まったく曲の毛色が変わったりすることが多いじゃないですか?なので、色んな人にいろんなことを感じてもらえるようなフレーズを、気をつけて作っていますよ。パンクなギターで送られてきたら、ドロドロっとしたフレーズをあわせてみたり、不協和音をあえて出してみたり。いろいろと意識しています。
–:詞先でつくります?曲先でつくりますか?
加島:ケースバイケースですね
–:こういった音楽をやっていますし、失礼ですがほぼ曲先で作っているものだとばかり考えていました。
加島:英語で歌を歌っているんですが、メンバーはみんな英語ができないんですよ。なので、僕が日本語で書いたポエムを、三重県に住んでる英語が堪能な友人に送るんです。彼には、「意訳でも直訳でもいい、文の構成もまったく気にせず、好きに翻訳して!」と伝えてます。彼から翻訳してもらった文章を受け取って、そこからいろいろと曲や歌詞を作っていきますね。日本語で書いたときはサビになりそうな部分が、まったくそうじゃなくなったり、逆に普通に書いた所がとてもカッコよくなったりしますよ。
–:その方法で多くの曲を作ってきたんですか?
加島:そうですね。さっきケースバイケースと言ったのは、その元ネタはあっても、曲と詞を作るのは同時作業だからなんです。曲でカッコいいものができたらそっちに歌詞を合わせることもあるし、逆もまたあります。
–:英語で歌うのは、やっぱり好きだからですか?
加島:英語で歌われた曲のほうがカッコイイから、というのが一番ですね。
–:その点、丸山さんいかがですか?英語しか歌わない、日本語で歌いたいなと思えるときとかありませんか?
丸山:それはたしかに思いますよ。でも、わたしがこんなこというと変ですけど、わたしは歌がうまくないし、日本語で歌を歌ってしまうとまるで役立たずになってしまうと思いますね。英語の発音は良くしていきたいなと、ちょっとした目標はありますよ(笑)
–:なるほどです。いま活動をしているなかで、リスペクトしているバンドや尊敬しているバンドはいらっしゃいますか?
丸山:Home is a fireというバンドですね。ピコピコした音が心地よくて、とても好きですね。



白石:同世代だと、The Taupeというバンドですね。最近になって対バンしたことあるんですが、一方的にライバル視というか、好きだと思えるバンドなので、これからも対バンできればいいなと思います。
加島:エレファントノイズカシマシですね。彼らと初めて知り合ったのが東京大学の五月祭にでたときだったんです。メンバー全員が様々な活動をふくめて活動されているので、そのバイタリティの凄さに尊敬してます。彼らのライブを見ていると、「このバンドのメンバーになって活動したい!」とすら思えてきて、嫉妬心も半分ありますけどね(笑)



–:さきほどもありましたけど、FugaziやAt The Drive-Inから影響をうけてもいて、いまエレファントノイズカシマシという名前もあがりました。ロクトシチの音楽には加島さんや白石さんの音楽性が色濃く出ているという話でしたけど、ノイズの方向性には走らないんですか?。
加島:ギターをもって、一番自然に、一番カッコよく音を鳴らせるのが、このロクトシチの音なんだと思います。
–:興味半分ですが、エフェクターはおいくつもってますか?
加島:僕は歪みしか使わないので5個くらいですね。白石さんが多いんじゃないんですか?
白石:僕でも8個くらいですね。最大でいうと、マルチエフェクターの音色あわせて40個くらい使っていたこともありますよ。ノイズのためにつかっていたエフェクターもあったんですけど、どんどんと壊れていってしまったのと、煩わしくなってきたので、いまはより少ない数ですね。
加島:でもまぁ、エフェクターは曲中で使ってないんです。曲作りのときにもお互いに考えていたのは、「変なエフェクターを使わない」ということでしたもんね。「これ何の音で作ってるんだ?」と思われないためというか
白石:そもそもフレーズ自体がヘンなものが多いのに、余計わけわかんなくなってしまうんじゃないのか?ということを感じていたんですよ。
–:「なんだこの音は!?」というのが好きなひともいたりするのに、なぜなんでしょう?
加島:ギターの音は、ギターの普通の音が一番カッコいい、ということです。たしかにノイズが好きですけど、ハウリングや歪みの問題じゃないですか?シンセサイザーみたいな音色なら、シンセサイザーで弾きましょう?ということです。ギターの音色を残しながら、ギターらしいプレイをしたいですしね。
白石:そうだね。音色やエフェクターありきではなく、あくまでギターサウンドありき、ということです。
–:そのあたりに、ロクトシチのロックバンドなスピリットを感じますね。


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『A DEEP WELL』/ ロクトシチ
2018年3/7リリース
フォーマット:CD
レーベル:Kerosene Records
カタログNo.:KRSE3
価格:¥1,296(税抜)
【Track List】
1. Intro
2. Nervemap
3. Our distorted concerto
4. Dramatic farce
5. In the car
6. Harbor
7. Giant set free
ディスクユニオン


2018.5.15 12:00

【INTERVIEW】『Made In Hope』/ House Of Tapes



2013年の1stアルバム『Trip Science』以降〜2017年の『NU TEARS』まで7枚のアルバムと4枚のEPを、またSwamp Sounds名義でイギリスの音楽レーベルBearsuit Recordsからスプリットアルバム『Swamp Sounds & Uncle Pops』を2017年にリリースとこれまでオンラインのみでリリース、その実験的な要素を絡めた楽曲がPitchforkなど海外音楽メディアでも取り上げられてきたHouse Of Tapesこと名古屋の電子音楽家Yuuya Kuno、今回2018年3月16日にPROGRESSIVE FOrMより初のCDアルバム『Made In Hope』をリリースした本人にインタビューを試みた。

僕なりのポップ感を楽曲に込めることは、常々意識しています

–:このアルバムを作るに当たって構想はあったのでしょうか?
House Of Tapes(以後House):ポップかつアンビエントながら、ビート感もあるアルバムを作るというのが念頭にありました。
ポップ感は僕の中で大事な要素です。それは人それぞれで大きく違うので、音楽制作者それぞれの色の違いが強く出るとしたら、ポップさだと思っています。僕なりのポップ感を楽曲に込めることは、常々意識しています。
あとは楽曲に合ったビートですね。僕が作るビートは複雑ではないですが、曲にベストマッチしていると思っています。



–:アルバムタイトルに込めた意味は?
House:【音楽は生きる希望になり得る】という意味と、【House Of Tapesは希望で出来ている】というダブルミーニングです。
世界は争いばかりで、政権は腐敗している。世界的に良いことが無い中で、それでも音楽は生きる希望になり得ます。なぜなら僕が音楽を希望にして生きているからです。
そしてこの音楽が誰かの希望になれば、それだけでいいと思っています。
–:アルバムのハイライトは?
House:3曲目の「Another Sky」と6曲目の「Chill Out」です。
「Another Sky」ですが、皆、違う感情で空を見上げていても、空を見て思う感情は似ていると思うのです。
と同時に、違う場所で違う空を見上げていても、空が語ることは同じだとも思っていて。そんな空への想いが込められています。
「Chill Out」はタイトルの通り、安らぎや心地よさを追求した曲です。この曲を聴いてチルアウトして欲しいです。
–:「Another Sky」はMVもありますね。MVを作られたディレクターをご紹介頂きたいのと、完成したMVの感想を聞かせて下さい。
House:MVを作ってくださったのは、札幌在住の映像作家Akiho Endoさん(@aki_sergeant)です。完成したMVは、空をモチーフにしていて、僕のイメージ通りで素晴らしい出来です。
ご覧いただけると嬉しいです。



誰かの心に響く、良い曲を作っていきたいです。

–:ー改めて『Made In Hope』収録11曲をそれぞれ簡単にご紹介下さい。
House:
01. Illminate…満点の星空の下、仰ぎ見る流星群のような彩りを持ったエレクトロニ
カです。
02. Antidotes…力強いビートが印象的で「解毒剤=Antidotes」のような展開の楽曲で
す。
03. Another Sky…「誰かがどこかで見ている違う空」を想起させる楽曲です。
04. Last December…光に包まれるような恍惚が味わえる楽曲です。ポストロック的で
もあります。
05. Heart Leaf…じんわり心温まるエレクトロニカです。
06. Chill Out…安らぎや心地よさを感じられる楽曲です。
07. Miracle…キラキラしていて可愛いエレクトロニカです。
08. Snow Flake…天から優しく降る、白い雪の情景が浮かぶ楽曲です。
09. Other Side…力強いリズムとノイジーなパートが特徴的な楽曲です。
10. Either Or…アルバム中、もっともダンサブルでノイジーな楽曲です。
11. Crystallized…ノンビートで、結晶が乱反射し、光り煌めくような楽曲です。



–:地元名古屋で精力的にライブを主催してらっしゃいますね。
House:Nagoya-Elektronic-Fes(通称ナゴエレ)を主催しています。東海地方の有望な電子音楽系アーティストの方々に出演していただいています。
例えば、愛知の電子音楽家の至宝 【nabateä】さん、エレクトロポップバンド【SWEESWEESWEETS】さん、三重のシーンを代表するトラックメイカー【katafuta】さん、東海地方を代表するテクノ・マエストロ【Gutenberg】さん、日本を代表するVJ【つかさハニー】さんなどの方々です。
–:今後の活動の展望は?
House:ナゴエレを通じて、東海地方には素晴らしい電子音楽アーティストがいるということを、もっと知ってもらいたいです。
音楽制作に対してのスタンスは変わらないです。誰かの心に響く、良い曲を作っていきたいです。
–:あなたにとって音楽とは何ですか?
House:僕にとって音楽は…血液のような存在…全身を巡る、愛おしい血液。なくてはならない。
そして、生きる希望です。




『Made In Hope』/ House Of Tapes
2018年3/16リリース
フォーマット:CD
レーベル:PROGRESSIVE FOrM
カタログNo.:PFCD76
価格:¥2,100(税抜)
【Track List】
01. Illminate
02. Antidotes
03. Another Sky
04. Last December
05. Heart Leaf
06. Chill Out
07. Miracle
08. Snow Flake
09. Other Side
10. Either Or
11. Crystallized
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タワーレコード



2018.4.26 12:00

【SELF LINER NOTES】Madoka Ogitani アルバム『いつもどこかに』



音楽家 Madoka OgitaniがTwitterで2年ぶりのアルバムがリリース間近だとツイートし、どこかにセルフライナーをまとめたいと思っていると聞いた時、ほとんど条件反射でindiegrabへの掲載をお願いした。
その当時まだ新作の内容については何も聴いていない状態だったが前作『クジラのいる森』でその作品世界に圧倒された経験は、Madoka Ogitaniに対する圧倒的な信頼感を産んでおり、実際に先行配信された新作『いつもどこかに』はその信頼感に違わない作品に仕上がっていた。

可能なら、このセルフライナーを“読む前に”“読みながら”“読んだ後に”このアルバムを聴いてみて欲しい。
おそらくそれぞれに違う顔を見せてくれるはずだし、それだけで最低でも3回このアルバムを楽しむことができる。

︎アルバムができるまで

このアルバムを制作する少し前、自分が何を作りたいのかわからなくなってしまい、納得のいく曲ができない時期が続いていました。もっとイメージを膨らませよう、もっと広い世界を描こうと、肩に力が入りすぎていたのかもしれません。

自分が本当に作りたいものをリラックスして作ろう、そう思って制作を続けていたところ、「二人の生活」と「波と風とカモメ」の2曲ができました。この2曲ができたことで、今の自分は「誰かの中にある風景や感情」を描きたいのだと気がつきました。これは、自分のためではなくて「誰かのための音楽」を作りたいという気持ちの表れでもあったのだと思います。
以前から風景をスケッチするような楽曲はいくつも制作してきましたが、その多くは「自分が見た風景や自分が感じたこと」を内に向かう形で追求し表現したものでした。もちろん、聴いてくれる人がそれぞれ色々なものを感じて楽しんで欲しい、という気持ちはありましたが。

前作『クジラのいる森』では作曲、編曲、演奏、録音、ミックス、マスタリング、そしてジャケットまで全ての工程を自分一人で完結させました。しかし今作では、自分というフィルターは通しつつも、以前よりも自分の手から離れたところでの表現を目指しました。そういった試みの一つとして、littro rettleのande( @littrorettle )さんに声を入れてもらったり(M7)、松橋秀幸さんにミックスをして頂いたり(M8)、ずっと気になっていた河合真維さんにCDデザインをお願いしています。さらに、以前から音楽を使っていただいている森翔太さんや、森さんのお声がけで国分智之さん、五十嵐結也さん、松田直己さんにご協力いただき、MVまで作ることができました。
何人もの人と作品を作り上げることはとても刺激になりましたし、今までとは違う手応えを感じています。人のために作る、人と一緒に作ることで、スランプの原因になった「もっと広い世界を描かなきゃ」という想いも自然な形で叶えることができました。


このアルバムは、聴いてくださる方の中にあるイメージと合わさった時に初めて本当の意味で完成すると思っています。あらためて、この作品に関わってくださった皆さん、そしてこれから関わってくださるみなさんに感謝です。




『いつもどこかに』/ Madoka Ogitani
2018年3/23リリース
(フィジカルは4/11リリース)
フォーマット:CD/デジタル配信/ストリーミング配信
価格:
¥2,160(CD、税込)
$16.90(デジタル)
【Track List】
01. 今日へ
02. 二人の生活
03. 17才
04. 波と風とカモメ
05. 考え事
06. 突然の雨
07. 雨上がりのセカイ
08. 一人、あてもなく
09. まぶた
10. ノッテ・ステラータ
CD購入URL(Madoka Ogitani Web Shop)
bandcamp




︎曲解説 1

聴いた人が感じたことを大切にしてほしいので、曲解説は使った楽器や作業行程などを中心にお伝えしたいと思います。

1. 今日へ

フィールドレコーディングとリバース音、電子音が中心の曲です。音の波、音の粒を淡々と積み重ねていったり、だんだんとなくしていく作業を繰り返して完成させました。アルバム全体を包むような曲にしたかったので、他の曲とちょっとだけ差異をつける目的で唯一生楽器を使っていません。

2. 二人の生活

曲が進む中で色々な音が弾けだす楽しさ、小さなワクワク感が欲しいなと思い、たくさんの楽器を使いました。ウクレレ、ピアノ、ギター、シェイカー、シンセ……ぜひお気に入りの音を見つけてみてください。聴く度に耳で追いかける音を変えると、聴こえ方が変わって新鮮かも?

3. 17才

最初に録った下書きテイクをレコーディングの時に超えるのに苦労しました。準備を整えて気合を入れてレコーディングしたテイクよりも、フレーズを作る先からどんどん録っていく下書きテイクの方が良いと感じることは結構あります。作りたて録りたての“勢い”だとか“初期衝動”がすごく乗った感じは、なかなかレコーディング本番では出てくれないんですよね。特にこの曲は17才というテーマのもと作っているので、余計に下書きの粗さが良い味を出していたのかも。

4. 波と風とカモメ

前半部分はパーカッションを色々と使って雰囲気作りをしました。波の音もオーシャンドラムという楽器で再現しています。本物の波音でも良かったのですが、曲中ほぼ通しで鳴っている音なので、実際にどこかの海の波音を入れるとその現実感に縛られ過ぎてしまう気がして……。
ラストの方でチカチカ鳴っているのはサンゴの風鈴です。波を楽器にした分、ここで実際に海と繋がりのある音を入れられたのは良かったなあと思ってます。現実と非現実の良いところ取りができたような気がします。

そしてこの曲ではMVを作ってもらいました!構成などは全て森翔太さんと国分智之さんにお任せして、衣装は松田直己さんのセンスで作ってもらい、ダンスは五十嵐結也さんに即興で踊ってもらいました。色々な人の感性が組み合わさって奇跡的に調和しています。ダンサー五十嵐さんのふんどし、曲に合うのか……!?と思いきや、実際凄くマッチしていて神秘的な仕上がりです。3:40秒あたりからのシーンで、踊る五十嵐さんの周りに自然とカモメが集まってきた瞬間は、震えました。その前まではあんなにいなかったのに、カモメ……!



5. 考え事

子供用ヴァイオリン、紙、お菓子の音など、ちょっと変わった音を入れています。どれがどの音か、耳を澄まして探してみると面白いかもしれません。

6. 突然の雨

夏頃にレコーダーで録った雨と雷のフィールドレコーディングです。
雨の日に耳をすますと実はかなり色々な音が聞こえます。地面で跳ねる雨音、建物にあたる雨音、家の中なら窓にあたる雨音、地面を流れる水の音、植物や建物からしたたる水の音などなど。
そういったものをできるだけリアルに再現するため、雨降りの屋外全体の音、何かに雨があたる音、地面に流れる水の音など、複数の要素に焦点をあててレコーディングしていき、最終的にそれらを一つに調合しています。

7. 雨上がりのセカイ

「突然の雨」を録った後、外が晴れてきたのを見てこれも曲にしよう!と思い立って作った曲です。
最初は自分の声でデモを作っていましたが、以前から親好がありとてもピュアな声を持つandeさん( @littrorettle )に声パートをお願いしたところ、ガラッと世界が変わりました。やっぱり声が含んでる情報量ってすごい、同じメロディでも伝わるものがまるで違うと大感動。
また、本物の水の音と声に対してある意味異質な電子楽器や電子ノイズを入れたことで、「雨が変えたいつもとちょっと違う景色」をいい感じに演出してくれたように思います。

8. 一人、あてもなく

今作初導入楽器のウクレレベースと木琴を使いました。ウクレレベースは後述の「主な使用楽器」で写真を紹介していますが、これ本当にベース?と疑ってしまうような見た目です。音は味があって、この音に引っ張られて何曲も生まれました。木琴もやはり生楽器だと弾む感じやアタック感が出るので、曲が生き生きしてきます。あと木琴なんて叩いたの小学校以来でテンション上がりました。

ミックスは縁があり、凄腕エンジニアの松橋さんにお願いしました。松橋さんは普段ポップスのお仕事を数多く手がけているのですが、インストものやエレクトロニカ/アンビエントにも造詣が深く、結果、曲の世界観をぐわーーっと広げてくれました。自分だけじゃ表現できないものがたくさんあることを、改めて教えてもらいました。ほんとうに。

9. まぶた

今回のアルバムの中で一番抽象的なタイトルのこの曲。
まぶたを閉じて聞いてみて欲しいです。
みなさんには何が見えるのか、知りたい!

10. ノッテ・ステラータ

ノッテ・ステラータは星降る夜という意味。
西洋楽器だけで完結することもできた曲ですが、あえて民族楽器をいくつか入れています。さりげなく入れた民族楽器が生み出すちょっとした違和感、不思議さが、多様な美しさを表現してくれているように感じます。
この曲に限らず、トイ楽器や民族楽器など色々な楽器を曲に取り入れるのは、画一的ではない“いろいろな良さ”を表現したいと思っているからだったりします。

主な使用楽器

細かいものも多く全てを紹介するのは無理なので、主に活躍してくれたものだけご紹介します。

左からタイ楽器のスン、エレアコ、ウクレレベース、アコギ、ウクレレ、インドのゴピチャンド



大集合させるとなんとも愛らしい。ウクレレベースは今作が初めての使用で、「今日へ」「二人の生活」「17才」「考え事」「一人、あてもなく」とアルバム内の半分の曲で大活躍。今後もどんどん使っていきます。

小口径スネア、アンクルン、木琴



ウクレレベース以外の今作でデビューした楽器達。
アンクルンは竹でできている打楽器の一種で、揺らすとカラコロと気持ちの良い音がします。何も考えずにぼーっと揺らしているだけで癒されます。
スネアと木琴は音が大きく、布などで最大限ミュートして練習、冷や汗をかきながら最小限のテイクで宅録しました。


ここから先はその他細かい楽器達。

トイピアノ、グロッケン、カリンバ



赤いトイピアノとグロッケン、カリンバは今までの作品にもかなり登場している定番楽器です。

ヴォット、パンフルート



ヴォットとパンフルートという笛で、今作では「17才」「雨上がりのセカイ」「ノッテ・ステラータ」などでさりげなく使用してます。かなり気に入っているので、今後もっとこの笛類が目立つ曲も作りたいと思います。

シェイカー類



シェイカーなどのシャカシャカ類です。これらを単品または色々混ぜながら使います。白い小さなマラカスはベイビー用のおもちゃなのですが、作りも音もしっかりしていてもう何年も愛用しています。今は見かけないので、壊さないように大切に使わなくては。

パーカッション



曲解説でも触れた、「波と風とカモメ」で使用したパーカッションです。波の音のオーシャンドラムは真ん中の赤い枠のもの。




テキスト Madoka Ogitani(@mdksn)






『いつもどこかに』/ Madoka Ogitani
2018年3/23リリース
(フィジカルは4/11リリース)
フォーマット:CD/デジタル配信/ストリーミング配信
価格:
¥2,160(CD、税込)
$16.90(デジタル)
【Track List】
01. 今日へ
02. 二人の生活
03. 17才
04. 波と風とカモメ
05. 考え事
06. 突然の雨
07. 雨上がりのセカイ
08. 一人、あてもなく
09. まぶた
10. ノッテ・ステラータ
CD購入URL(Madoka Ogitani Web Shop)
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2018.4.11 17:04

【NEWS】イベント情報:4/15(日)開催『Opiate Sun』にA Month of Sundays、Gecko&Tokage Parade、girl ghost、Portia fading、Until She Sleeps Again



4/15(日)に渋谷乙にて『Opiate Sun』が開催。
出演はA Month of Sundays、Gecko&Tokage Parade、girl ghost、Portia fading、Until She Sleeps Again。

『Opiate Sun』
2018年4/15(日)渋谷 乙
ACT:A Month of Sundays、Gecko&Tokage Parade / girl ghost / Portia fading / Until She Sleeps Again
Open 18:00 / Start 18:30
Adv ¥2,000 / Door ¥2,400(+1d ¥600)

2018.4.8 11:42

【INTERVIEW】『Lukewarm』 さとうもか & 入江陽



「さとうもかのフルアルバムがリリースされる」という一報は、私を興奮させるのに十分なビッグニュースだった。
SoundCloudで彼女の音源を見つけた有名なディガーたちを虜にしていったさとうもかのフルアルバム。しかもプロデューサーに入江陽を迎えての作品だという。
そして公開されたMV「Lukewarm」は、これらの驚きや期待値を大きく上回る衝撃だった。
思えば以前彼女にインタビューを試みたのは2年半前。
そこから彼女は音源のリリースや各所でのライブ、自主企画等様々なキャリアを積んでいる。
この2年半で彼女はどのように変わったのか、どのような環境でこの名曲を含むアルバムを作り上げたのかを聞いてみたいと思い、以前インタビューを行った縁でお願いしてみたところ入江陽も交えてのインタビューをさせていただける事になった。

死にそうになりながら頑張りました!

–:アルバム『Lukewarm』のリリースおめでとうございます。前作から約2年ぶりのリリースとなりますが、今作はいつ頃から制作が始まっていたんですか?
入江陽:何かの用事で関西へ行った時に、岡山駅のスタバでアルバム作りのことを、もかさんと相談して、その頃からです!あれはいつだっけな……。
さとうもか:たしかあれは7月くらいだった気が……!
それから、かなりまったりペースでポツポツと作っていたんですけど、12月くらいに「1月中に完成させよう!」って話し合って、1月に死にそうになりながら頑張りました!
–:今回のアルバムで「Lukewarm」「最低な日曜日」「Wonderful voyage」「April in my memory」はSoundCloudにデモバージョンが上がっていた曲ですが、他は新曲ですか?
さとうもか:アルバムのために作ろうと思って作ったのは「old young」と「2つのわたし」だけで、他のはここ1年くらいで作ったものもありますし、「Hello,Valentine’s day」なんかは学生時代に作った曲な気がします!
入江陽:SoundCloudのバージョンが、デモというよりは作品として完成していて、そことの戦い(笑)がまず、自分の中ではひとつのハードルでした。戦いというより、それはそれ、これはこれ、という別の良さを作っていく作業ではあるのですが。



–:タイトル曲の「Lukewarm」は、確か2017年5月に開催されたカフェオ猫と15の椅子でのライブで歌っていたと思うんですが、いつ頃できた曲なんですか?また、どういう状況でできた曲なのか聞かせてください。
さとうもか:曲自体は1年前あたりに出来ました。その頃かなりスランプというか、音楽をあんまりしてない時期で……毎日普通にだらだら楽しく過ごしていて、何も頑張りたくなくて、幸せな生暖かいような日々に流されてばかりで、なんかホントだめだな……けど幸せだしこのままでいいや、なんて事を考えて出来た曲です。
–:その辺りがこの歌詞にうっすらと流れる気だるさに繋がっているんですね。では「Lukewarm」というタイトルの意味も?
さとうもか:その名の通り(?)生ぬるい 気だるいようなイメージです。
ぬるいお風呂に入ると、浸かってたら気持ちいいけど、出ると寒いので、ずっとダラダラと居てしまって動けなくなっちゃう みたいなかんじですかね……!
–:「Lukewarm」を始めて聴いた時に、もかさんのソングライティングがものすごく高いレベルに達したと思いましたし、実際にこのMV自体が公開10日ほどで既に12,000回近く(3/14現在)再生されている曲なのですが、曲ができた時の手応えはいかがでした?
さとうもか:曲自体が出来た時は、久しぶりに曲できて嬉しいという気持ちだけだったのですが、ずっとデモ作りしていなかったし、久々にSoundCloudにでも載せよっかな、と思いデモを作った時に、偶然トラックをつけるというボタンを見つけたので、やってみたら 結構かっこいいかも!となりました。それが結構自分の中では新しい発見でした。
そしてこの曲を今回のアルバムに入れることになった時に、入江陽さんから Teppei Kakudaさんを紹介して頂き、めちゃくちゃカッコいいアレンジをして下さったので すごく感動しました!
入江陽:もちろん、もかさんの音楽が素晴らしいのですが、Teppei Kakudaくんのサウンドアレンジ(今回はこの曲だけですが)や、ジャケデザインの牧野桜さんの絵、ビデオの小鉄さんや、ミックスの中村公輔さん。なにか彼らの作るもののエネルギーがうまく一点に集まったのか、想定よりたくさん再生されていて、とてもうれしいです。
–:「最低な日曜日」は今回LUVRAWさんのfeat.という事で非常に驚いたんですが、こちらはどのような経緯で実現したんですか?
入江陽:LUVRAWさんが時々もかさんのSoundCloudをTwitterで紹介されていたので、参加いただけないか思い切ってメールで相談してみました!LUVRAWさんは、もかさんの大ファンだとおっしゃっていて、ワクワクする楽しい作業となりました。個人的なポイントとしては、LUVRAWさんが普段客演で参加される曲は、ビートがしっかり入った曲が多い印象だったため「今回はビート無しで薄い伴奏でいきたい」と思っていましたので実現してうれしいです。もかさんも自分もLUVRAWさんとは、CDのマスタリング日に初めてお会いすることができました。



さとうもか:ちなみに、初めて会ったマスタリングの日は、LUVRAWさんがめちゃくちゃ美味しいドーナツを買ってきて下さり、みんなで食べました!!
わたしはCDで誰かと共演をした事がなかったので、ジャンルが全然違うLUVRAWさんとの共演は、自分でもビックリしたし、本当に面白くて、新しい発見が沢山あり、最低な日曜日という曲がLUVRAWさんのおかげで、さらに切ない曲に仕上がったと思います。
–:「Wonderful voyage」は前作である『The Wonderful Voyage』のタイトルと同じ名前の曲名ですが、確かこの曲のデモトラックは前作リリース後に公開されていますよね。楽曲自体はいつ頃できたものですか?また、この「Wonderful voyage」というワードに対するもかさんの思い入れがあれば聞かせてください。
さとうもか:この曲は、前作を知ってる人は、なぜ前作に入ってないんだろう?と思うと思うのですが、なぜかと言うと、ただ単に 前作のリリース直前に出来たので入れられなかった という理由です(笑)。
ですがこの曲はとても大切な曲で、編曲もオーケストラ風で、中々いいかんじに出来たと思っています。
Wonderful voyageというタイトルにしたのは、今までの色んな事を感じた人生を 素晴らしい船旅のようだったな、と感じたことがあったからです。
–:入江さんがfeat.で参加している「殺人鬼」はこのアルバムの中でも異彩を放っている…入江さんのカラーが強く出た楽曲だと感じたのですが、この曲はいつ頃、どのように作られた曲になりますか?
さとうもか:この曲も、1年前くらいに作りました!
2年前に実家から今の家に引っ越したのですが、隣の家の人が本当にまじでヤバくて、個人的に陰で”殺人鬼”と呼んでいるのですが、その人がきっかけで出来た曲です。絶対にわたしが音楽をしている事に気付いてないので、きっとこのCDを買うことは永遠にないだろう!と踏んで、今の家に住んだ記念に、この曲を入れようと思いました。
アレンジはほぼhikaru yamadaさんと入江さんにお任せしたのですが、想像以上の殺人鬼のサイコパス感が出ていて、サイコーすぎて送られてきた時に爆笑してしまいました!
入江陽:この曲は、hikaru yamadaさんにサウンドアレンジで参加してもらいました。このアルバムはビートがある曲が少なく静かな曲が多いので、バランスとして騒々しい(笑)のが一曲あっても良いかなと思いました。yamadaさんのおかげで楽しい曲になった気がしております。



プロデュースする、と言いつつ「なるたけ何もしない」ということを目指しました(笑)

–:お2人はどのような経緯で知り合ったんですか?また、今回入江さんのプロデュースが決定した経緯について聞かせてください。
さとうもか:2.3年くらい前に、モナレコードのライブに出演したときの共演者に入江陽さんがいて、そこで知り合いました。
–:確か私も見に行ったやつですよね。Portraitsや伊藤尚毅さんが出てた。確か…2015年の5月ですね。
さとうもか:そうです!それから何度か共演があり、仲良くしてもらっていたのですが、ちょうど私が周りの同級生たちが就職してバリバリカッコよく働いてるのをみて、自分もそろそろ夢を見るのは程々にして、就職とかした方がいいのかな……なんてことを考えた本当に次の日に、入江陽さんから”MARUTENN BOOKS”という入江陽さんの作ったレーベル兼出版社からCDをだしませんか?というお話を頂きました!素晴らしいタイミングでした。
そこから始まったかんじです。
入江陽:そんなタイミングだったんですね!いま知りましたが、うれしいです(笑)。もかさんがCDを出せないと思っているというような話を聞いていて、いやいや、自主でもCD-Rでも、なんでも楽しくDIYで出せるよ!と(笑)。その後、音源が出来てきてから、P-VINEさんに企画を持ち込んだ形ですね。もかさんの音楽が面白く、とても美しいので、飽きずに楽しく続けて欲しい、という気持ちがありまして、それは自分のエゴかもしれないし、音楽をやめる人たちのことも全然否定するつもりはないのですが、飽きずに楽しく続ける方法があるかもしれないよ、みたいなことを伝えたかったのが、自分の一番の動機です。
–:今回のプロデュースで、入江さんはどのような箇所に力をいれましたか?
入江陽:プロデュースする、と言いつつ「なるたけ何もしない」ということを目指しました(笑)。楽器を、もかさんではなくミュージシャンたちが主に演奏している前作アルバムと異なり、今作では、もかさんの演奏のクセや揺らぎの魅力を生かしていく方向にしたいと考えていました。もかさんからもらった演奏データのうち、要らないものを慎重に取り除き、どうしても追加が必要そうな場合だけ、追加してゆきました。
–:ギターやピアノの生っぽさというか臨場感を大事にした曲が多いと感じましたが、やはりその辺りも意図的なものだったんですね。
入江陽:臨場感はとても大事にしました。ほとんどの録音素材は、もかさんが、もかさんの部屋で演奏し、もかさん自身が録音したものです。演奏している瞬間の雰囲気を最大限生かしたいと思っていました。
–:今作の楽曲を一通り聴いていると古い映画音楽を聴いてるようなノイズが随所に入っていますが、やはりそのような効果を狙ってのものになりますか?
入江陽:偶然入っていたノイズでも、雰囲気が良ければ残し、あとは、曲に合ったムードを作る目的でエンジニアの中村公輔さんにミックスの際にテープノイズのような質感を足していただいたりしました。



–:映画といえば、以前もかさんのインタビューで好きな映画についてうかがっているのですが、入江さんは映画はどのようなものが好きですか?
入江陽:両親の影響で映画は好きです。「冒険者たち」という古いヨーロッパ映画、SF映画「フィスス・エレメント」とか……。イーストウッドの「マディソン郡の橋」という恋愛映画は、わりと駄作扱いだと思うんですが、自分は大好きですね……。MARVELのアメコミ映画も好きです。挙げだすとキリがないです!最近はNetflixやHuluでドラマや映画を見すぎていて、目の疲れがひどいです(笑)。Huluで「バイス・プリンシパルズ」というふざけたコメディドラマをみてますが、これは、もかさんが教えてくれました。
–:お二人で映画のお話とかされるんですね。音楽と映画以外の話だとどんな事話しているんですか?
さとうもか:いつも何を話してるか忘れましたが、最近あった面白い話とか、何もないけどほんとにただ面白い話とかですかね。
入江さんは、とてもフレンドリーな方で、結構いつもギャグを言ってるイメージがあるような、ないような。
入江陽:主に、音楽以外のふざけた話をダラダラするのが、楽しいですね。

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『Lukewarm』/ さとうもか
2018年3/14リリース
フォーマット:CD
レーベル:P-VINE
カタログNo.:PCD-22405
価格:¥2,200(税抜)
【Track List】
01.old young
02.Lukewarm(1stリード曲)
03.あの夜の忘れ物
04 .最低な日曜日 feat.鶴岡龍(LUVRAW)(2ndリード曲)
05.2つのわたし
06.Hello,Valentine’s day
07.Wonderful voyage
08.ひみつ
09.殺人鬼 feat.入江陽
10.April in my memory

プロデュース:入江陽
作詞作曲:さとうもか
エンジニア:中村公輔
ゲスト参加:入江陽、鶴岡龍(LUVRAW)
ドラムス:秋元修(M-1、M-10)
編曲・演奏:Teppei Kakuda(M-2)、hikaru yamada(M-9)
デザイン:牧野桜
ミュージック・ヴィデオ:小鉄
A&R:今村方哉(P-VINE)


2018.3.14 15:00

【INTERVIEW】オオクボーイ(VANILLA.6)『DIE / LOW』



2018年のVANILLA.6はその動きを活発化した。
レーベルの始動、初の全国流通盤となるE.P.『DIE / LOW』のリリース、Someday’s Goneとのダブルツアーを含むリリースツアー。
その一つ一つが刺激的な彼らの動きを実際に体験したリスナーも多数いると思われる。
そしてそれらがひと段落しつつある現在、彼らはE.P.のデジタルリリースと、ツアーファイナルという一連の動きの仕上げを開始しつつある。
今回の一連の動きと、その動きを体験した後のオオクボーイにインタビューを申し込んでみた


リリースっていう一つのプロジェクトとして作品がリスナーの元に届くまでの道程を具体的に考えて組み立てていく作業も新鮮だった

–:遅くなりましたが、VNLDOSE RECORDSの設立おめでとうございます。自主レーベルの設立ってVANILLA.6が続けてきた「D.I.Y.」の精神に則っていて非常に自然かつ、今やるべき事をやったなという印象ですが、どのような流れでレーベルの設立に至りましたか?
オオクボーイ:ありがとうございます。音源を作るにあたって、全国で出すなら今しかないという想いがあったし、実際仕上がった作品にもすごく自信がありました。ただEPというフォーマットや予算の面で他レーベルからのリリースは難しかっただろうし、細かい妥協を何個も重ねて出すくらいなら細部まで突き詰めて自分でやってやろうと思ったので今回自主レーベルからのリリースに踏み切りました。
–:実際フィジカルをリリースしてみた手応えはいかがでした?
オオクボーイ:手応えはすごくいい感じです。作品自体洗練して作りましたし、プロモーションとかメディアでの取り扱いや各店での展開とか、いろんなピースがタイミングよく噛み合って、それなりに反響も方々からたくさんもらっています。
–:フィジカルのリリース時、関東のレコードショップへの挨拶等、流通に向けての作業が大変そうでしたが、実際バンドがレーベルを立ち上げて全国流通を行うという作業はいかがでしたか?
オオクボーイ:挨拶回りは楽しかったですよ。学生の頃の一人旅みたいな気分だったしお店の皆さんもめっちゃ優しいし熱い人ばかりで、昔はレコ屋の人って死んだ魚の目してる人ばっかりなんだろうなとか思ってたけどいざ話し込んでみたらほんと熱い人ばっかで楽しかったです。そういう肉体的な作業も新鮮だったし、リリースっていう一つのプロジェクトとして作品がリスナーの元に届くまでの道程を具体的に考えて組み立てていく作業も新鮮だった。今まで使って来なかった脳みそをフルで使ったし、とても難しくて苦労もしましたね。
–:フィジカルリリースの際の動きを見ていると、プレスリリースの書き方、スケジュールの組み方、テレビ出演の手配等、情宣に関してはかなりこなれているなという印象なのですが、こういった手法はどこで身につけたんですか?
オオクボーイ:実際全然こなれてなんかいなくて、いろんな人に助けてもらいまくりました。元々「曲作って演る才能以外、何もないなお前」って言われるような人間だし書類一枚作れなかったんですけど、仲間や先輩や知り合いのプロの方にアドバイスもらって計画練ったりメディアにアプローチしたり他のアーティストの資料をこそっと見せてもらって勉強したりしましたし、決してスマートな道程ではなかったです。
–:10日に『DIE / LOW』のデジタル配信開始とのことですが、このタイミングでデジタル配信に踏み切った理由を聞かせてください。
オオクボーイ:CDがほんと良い出来で、実際に物を手に取ってほしいと思ってたので当初はフィジカルのみで発売したんですが、前作の配信リリースの手ごたえが良かったのもあって、あんまりレコ屋に行かないような人にも「いいから一回音聴いてみろよ」って言ってやりたくて配信に踏み切りました。CDを作りたいって思う自分と、CDって物に固執するのも俺らっぽくないなと思う自分と、両方が居るみたいな。。配信開始の時期はいろいろ考えて発売からちょうど2か月で、ツアーファイナルを控えたこの時期に決めました。
–:ストリーミングには対応していますか?SpotifyやAppleMusic等のストリーミングサービスについてはどう思われますか?
オオクボーイ:もちろんストリーミングサービスでの取扱いもあります。俺はストリーミングについて特別どうこうという思いはないですね。もちろんアーティストやレーベルとしては辛い現状もあるけど、とても便利だし俺自身活用しまくってるし。



90’s Milan」はVANILLA.6で最初に作った曲で、一番好きだし一番嫌いな曲でもあるしとにかく特別な曲なんですよ

–:今回の『DIE / LOW』リリースはいつ頃から制作を始めていました?
オオクボーイ:制作にとりかかったのは(2017年の)6月頃だったかと思います。
–:ダンスロック寄りに振り切れた表題曲の「DIE / LOW」、ANNAメインボーカルの「CYNDI」とこれまで以上に楽曲の振り幅が大きいように感じましたが、これはバンドの表現の幅が広がってきている?
オオクボーイ:どの曲を収録するかとても迷ったんですが新しい曲はガンガン入れていきたいとは思っていましたし、限られた曲数の中で出来る限り振り幅は出したかったしANNAの曲も入れたかった。それらをミックス/マスタリングで上手く一つにまとめようとはしました。
–:このEPは全国流通にあたり、新たな客層に向けての一枚という意識を感じましたがその辺りいかがですか?
オオクボーイ:今までトレンドなんて意識したことが無いし自分のバックグラウンドになってる音楽の要素を取り入れて作るという意識が強かったんですが、今回は割とリアルタイムな音楽からアイデアを掘り出したりもしました。やっぱり新しい層のお客さんにアプローチしたいという想いはずっとありましたしね。でも結果的にトレンドとは全く異なるものになったし今までで一番VANILLA.6っぽい音になりました。それで良かったと思っています。



–:今回新曲の中に古参の曲である「90’s Milan」が収録されていますが、やはりこちらはVANILLA.6の代表曲という事での収録ですか?
オオクボーイ:「90’s Milan」はVANILLA.6で最初に作った曲で、一番好きだし一番嫌いな曲でもあるしとにかく特別な曲なんですよ。なので一番初めに全国で出すときは絶対収録するって決めてました。なのであまり周りからこの曲がどう思われてるのかは考えてなかったです。やっと成仏させてやれた的な気持ちです(笑)
–:「90’s Milan」が一番好きで一番嫌いな曲??その辺りもう少し細かく伺っていいですか?
オオクボーイ:バニラ結成前、俺心身も生活も朽果ててたんだけど、そんな最低な時になんとか現状を打破しようと作った曲が「90’s Milan」でした。だから結成のタイミングで出したデモが評価された時とても救われたし、ちょっと大袈裟だけどこの曲は俺の命の恩人みたいなものだし愛しています。とはいえ今リアルタイムの俺達が目指してる音像はもっと先に進んでいるのに、未だに『VANILLA.6といえば「90’s Milan」~』って認識が残ってるのが、悔しいというかカルマのように付きまとってきているようにも感じていました。曲作る時に「あの曲を越えなきゃ」って力んでしまうこともあったし、あの曲がすごく疎ましく感じることさえありました。なので先述の通り今回の『DIE / LOW』に収録出来たことでようやく自分に区切りを付けられた気がするし、そういう意味で成仏させてやれたのかなと思っています。
–:これまでの音源の制作と比べて制作上異なる部分はありますか?
オオクボーイ:これまでの作品の制作は宅録の延長みたいなもので自分達のキャパシティの及ぶ範囲の音しか作ってこなかったんですが、今回初めてプロのエンジニアの方とのタッグで制作をしました。もちろんシンプルに音質の面でプロのそれに仕上がったという点もあるけど、第三者の目線を交えての作業自体すごく新鮮だったし、お互いにその場で出しあったアイデアを吟味し採用するようなクリエイティブな作業になったと思います。冒頭でも述べた通り細かい音作りから全体のディレクションまで、一切妥協することなく作り上げることができたと自負しています。


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『DIE / LOW』/ VANILLA.6
2018年1/10リリース
フォーマット:CD / デジタル配信 / ストリーミング配信
レーベル:VNLDOSE RECORDS
カタログNo.:VNL-0002
価格:¥1,300(税抜)
【Track List】
1. DIE / LOW
2. CYNDI
3. 90’s Milan
4. Fake Love

ストリーミング/配信URL
iTunes/Apple Music
Spotify
LINE Music
Google Play Music
AWA
amazon






VANILLA.6 “DIE / LOW”
Release Tour Final Party
『VANILLA NIGHT vol.3』
2018年4/1(日)南堀江SOCORE FACTORY
ACT:VANILLA.6 / NAHAVAND / Faded Old City / The Stone That Burns / and more..
DJ:waddy / Takeru Murata
Start 18:00
Adv ¥2,500 / Door ¥3,000(+1d)
チケット予約フォーム




2018.3.9 21:00

【INTERVIEW】『Chilly morning』aaps



aapsがI HATE SMOKE RECORDSから1stアルバムをリリースした。
いくつかの音源やライブ映像で耳にした彼女たちの音楽はローファイ感と安心感が入り混じり、その中には、ガレージ、トゥイー、オールディーズ等様々な要素が見え隠れする。
更に確かメンバーは女性3人で……と思ったあたりで彼女たちの具体像を意外と知らない自分に気が付いた。
いくら彼女たちが岡山を中心に活動しているとはいえ、東京で観る機会も結構あったはずなのに。
そう思うと今までふんわりとしか受け止めていなかった彼女たちの音楽についても色々気になる事が湧いて来た。
今回リリースされるアルバムを自分の中で掘り下げながら聴いていくためにもここは質問をぶつける機会が欲しいなと思い、彼女たちにメール・インタビューを申し込んでみた。

自分が感じた身近な出来事や好きな場所をそのままイメージして曲にしています

–:今日はよろしくお願いいたします。まず、簡単な自己紹介をお願いします
ayaka:ドラムと歌担当、ayaka(あやか)です。
assan︰ギターと歌担当、assan(あっさん)です。
panda︰ベースと歌担当のpanda(パンダ)です。
remi︰同じくベースと歌を担当してます、remi(れみ)です。
–:今回リリースのアルバムですが、2015年の2nd E.P.『Summer Trip』以来の音源という事になりますか?
ayaka:はい。そして初めてのアルバムになります。
–:アルバムの制作はいつ頃スタートしましたか?
assan:「アルバム作りたいね」という話は1年くらい前から話してて、曲作りもしてたんですが、本格的にスタートしたのは去年の10月くらいです。
–:本格的にスタートしたきっかけはありましたか?
assan:特にきっかけはないんですが、やっと重い腰をあげて作りはじめたのが10月ってことです(笑)。
–:aapsはayakaさん、assan、pandaさんがオリジナルメンバーで、今回のアルバムではベースのremiさんが参加して制作…と伺っているのですが、remiさんとpandaさんのアルバム制作時の関わり方はどのような感じだったんですか?
また、現在pandaさんやremiさんの立ち位置はどのようになっているのでしょうか。
panda︰私は「Touch」と「Last Night,This Morning」の作詞作曲と2曲の歌入れのみ参加しています。
現在は高知で育児をしており、バンド活動はremiちゃんにほぼおまかせしています。
remi︰私はアルバムの曲のベースと「Okuru」の作詞作曲をしました。現在ライブはほとんど私が担当してますが、年に数回岡山や四国でpandaさんが出演できるときはオリジナルaapsでライブをしています!
–:そういえばライブ映像のMCで「1年半ぶりのライブ…」とおっしゃってましたね。そうなるとpandaさんは現在地域限定での編成に参加する形となっていると思いますが、オリジナルメンバーのpandaさんとremiさんでバンドの雰囲気は違ったりしますか?また、違うとしたらどのような違いがありますか?
ayaka:pandaちゃんとやる時は、pandaちゃんが歌うものを。remiとやる時は、remiの歌うものや、3人全員で歌う曲をやってます。そしてpandaちゃんは、ダウンピッキングでピック使ったり、remiは、指で弾いたりとそれぞれのベースのこだわりを出してくれてます。



–:今作の収録曲のうち「Summer Trip」「All Right」は2nd E.P.の収録曲、「Last Night, This Morning」は2016年頃のライブ映像で演奏されていますが、今回の収録曲はいつ頃作ったものが中心になりますか?
assan:「Akogare」「Touch」「Tower」の3曲はアルバム制作を本格的にスタートした10月以降に作った曲で、「Last Night, This Morning」についてはaapsを結成してはじめて作った曲になります。


–:2nd E.P.からは楽曲が収録されていますが、1st E.P.の楽曲は収録されていません。こちらはどのような理由から?
assan:1stはCDでリリースしているのですが、2ndはカセットテープのみのリリースだったからです。
–:CDで既発の音源は外したという事ですね。今回1st E.P.の7インチ、2ndのカセットテープから、CDでのリリースとなりますが、CDを前提として制作した部分はありますか?
ayaka:アルバムと言う事で、みんなにまずaapsを知ってもらうために、一番聞きやすいであろうCDにしました。
–:歌詞の中に「海」を思わせるワードが印象的に散りばめられている事が多いのですが、この「海」とは岡山の海ですか?
また、歌詞全体の印象として身近な光景をモチーフにしているように感じますが、この辺りはバンドとしての方向性のようなものはありますか?
ayaka:方向性はないのですが、自分が感じた身近な出来事や好きな場所をそのままイメージして曲にしています。例えば「Tower」だと、私がPVにもある江ノ島OPPA-LAというお店が好きだったり、歌詞の中で『お祭り騒ぎは終わった』と歌っているのは、3年前まで続いた岡山の犬島という島で開催されていたフェス「XXXX THE JAMBOREE」が終わってしまって寂しい気持ちがリンクしたのを歌いました。
assan:海に関しては私が書いている曲だと岡山の海をイメージした曲がほとんどですね。
panda:歌詞はそれぞれ個人で作っていますが、暗黙の了解で人や場所など固有名詞は極力使わず、ふわっとするよう意識している気がします。聴く人によって違う情景を思い浮かべられるかもしれません。



–:今回店舗での購入特典として、岡山アーティストを集めたコンピが付属しますが、こちらにはどのようなアーティストが参加していますか?
また、岡山の音楽シーンはみなさんから見て今どのようになっていますか?
ayaka:私達がバンドを組む前からずっとお客さんとして見に行っていたバンドや今回のアルバムでお世話になったバンドを入れてます。4人がファンで、とにかく純粋にカッコいい!と思うバンドばかりを入れました。今回は入れれていないですが、もっともっと居ます。音楽シーンについては、ネットとかでは感じることができないイベントやパーティーが沢山ありますね。歳とか関係なく。
–:今回のアルバムではどのような方にどのようなシチュエーションで聞いてほしいですか?
assan︰女性、男性どちらにも聞いてもらえると嬉しいですね。
panda︰海に行く時、部屋で頭を空っぽにして何か聴きたい時などにぜひ。


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『Chilly morning』/ aaps
2018年3/7リリース
フォーマット:CD
レーベル:I HATE SMOKE RECORDS
カタログNo.:IHSR-076
価格:¥1,667(税抜)
【Track List】
1. Akogare
2. Magic
3. 24
4. Touch
5. Okuru
6. Summer Trip
7. All Right
8. Last Night, This Morning
9. Tower



2018.3.7 12:13

【INTERVIEW】colormal『merkmal』



バンドマンとトラックメイカー、いまの日本のポップシーン・インディシーンを賑わしている彼らは、同じミュージシャンでありながら、その姿はまったく異なる。
方や複数人での楽器演奏で、方や自身とPCソフトで、それぞれに音楽を生み出す。そこから編み出される音楽が、もしも同じようなベクトルへと向いていたとしても、似ている部分も生まれれば、やはり非なる部分も随所に感じられるわけだ。
だがもしも、その2つの在り方が1人の人間のなかで交わったとき、いったいどんな化学変化が人間の中から生まれるだろうか。
ニコニコ動画での初音ミクらを中心にしたボカロミュージックは、一つの答えを示したと思う、そのなかから米津玄師という巨星を生み出したことを思い出してみよう。
もはや2つそれぞれの姿は、別々に隔てられたプレイヤースタイル/ミュージシャンではなく、1人の人間がもつ別々のペルソナ/隣人のようなもの、作家の平野啓一郎氏の言葉を借りれば『分人』といえる。
今回の主人公、colormalことイエナガは、まさにバンドミュージックとラップトップミュージックが体内で交配した人物だと言えよう。彼が生み出した『merkmal』は、バンドミュージックとも、ラップトップミュージックとも、どちらにも置ききれない、谷間でヒッソリと奏でられたポップソング集だ。indiegrabのスタッフ面々も、彼のアルバムがリリースされた直後に大きな衝撃を受け、今回のメールインタビューと相成った。淡々と、しかしながらも真摯に答えてくれた。その神秘を覗いてみよう。




一言で言うとギターは「唯一の趣味」なのかもしれません(イエナガ)

–: 今回はインタビューをうけていただきありがとうございます。まずはバイオグラフィをお聞きしたいですが、「colormal」という名前の由来はなんでしょうか?
イエナガ:colormal(カラーマル)は元々名義を決めずに宅録での活動をスタートさせ、初めて作った曲「さまよう」をマバセレコーズのコンピ「click noise vol.1」に収録してもらうことになったので急ごしらえで作った屋号です。由来はなく、読み方も難しいので少し後悔しています。
–:なるほど。好きなミュージシャン・バンドはだれでしょうか?
イエナガ:好きなミュージシャン・バンドというと、かなり多くなります。本作「merkmal」にもオマージュを混ぜ込んでいるGRAPEVINEやTRICERATOPSなどの90年代の邦楽ロックや、一昔前の下北?高円寺っぽいバンドが好きです。ボーカロイドを中心に活躍されている、みきとPさんが昔やっていたセンチラインってバンドなんかは、まさに僕が好きなその雰囲気ですね。最近足繁くライブに行くな、と思うのは赤い公園です。

あと、一人の色が強い音楽をやっぱり好きなんだと今回の製作を通して再確認しました。バンドをやめて志摩さん一人になってしまったドレスコーズや、スネオヘアーは高校生の頃に「フォーク」を弾き語ったりしていましたね。今作の製作時期にSerphやkettelあたりのエレクトロニカを聴いていたり。洋楽は趣味としてプログレッシブロックのCDを集めていますが、これは本当に音楽とは少し剥離した趣味といった感覚ですね。GONGやAreaを高校生の頃に聴いたのを発端によく漁っています。

エモ系も好きと言えるかはなんともなのですが、Climb the MindをきっかけにThe Life and TimesやFailureとか。これらも、作る音楽にこそ影響は出ていないのかもしれませんが、コード感から押し寄せる切なさなどは血肉になっていると思います。
–:そういったなかでも、深く・強く影響をうけてきたミュージシャンやバンドはいますか?
イエナガ:もともと音楽を聴き始め、ギターを持つまでに至ったきっかけはMr.Childrenでした。親がカーステでかけているのをこっそり持ち帰ってはMDに移して聴いたりして。宅録を知って「自分も宅録を始めたい!」と思ったのは、ヒトリエのギタリスト・シノダさんが過去にソロでやっていたcakeboxやエヌオシさんがきっかけですね。両者共にターニングポイントであり、やはり影響は強く受けていると思います。ここを起点にたくさんルーツに向かって掘って音楽を聴いてきたので。あとは、自分が音楽を作ることになってから知ったたくさんのネット上の音楽たち。nemo asakuraさんやふにゃっちさんの音楽は宅録を始めた頃から聴いていたし、最近だとlow pop ltd.や君島大空さん。みなさんサウンドクラウドがメインですが、たくさん刺激を受けましたし、一人でやる音楽に勇気を貰ったり影響を受けていると思います。
–: ディープかつ広範に聞かれてますね!。これまでにバンドを組んだりとかしてきましたか?
イエナガ:高校生からギターを手にしてからずっと今に至るまでコピーバンドばかりしていました。高校生の頃はthe pillowsやBase Ball Bearのコピーをしたり、ベースでthe telephonesやPOLYSICSを弾いたり。かなり節操なくやっていましたね(笑)自分の曲をライブで演奏したことはありませんが、大阪のSSW・林青空さんのサポートギターやマバセレコーズのwho’s lollipop?のサポートを単発でしたことがある程度といった感じです。もしかするとステージに立った回数は人より多い方かもしれませんね。



–: これまでにバンド活動をしてきていないのにもかかわらず、ソロ活動としては「バンドサウンド」を志向しているのは、やはりバンドミュージックがお好きだからでしょうか?
イエナガ:「これまでにバンド活動をしてきていないのに、ソロ活動としては「バンドサウンド」を志向しているのは、やはりバンドミュージックがお好きだからでしょうか?」とのことですが、もちろん、自分がどんな時も聴いてきた音楽がバンドサウンドだからというのもあります。自分も全くバンド活動をしていなかった訳でもないので。ただ、それ以上にプレイヤーとしてギターが好きだからだと思います。きっと音楽を作らなくなっとしてもギターは弾いていくだろうなあと思うくらいなので。
–: プレイヤーとしてギターが好きだ、とのことですが、今回の作品「merkmal」でもそういった嗜好性がハッキリと出ていると思います。ご自身にとって、ギターと自分の関係性を言い表すなら、どういった感じになるでしょう?ボヤっとしたイメージでも構いません
イエナガ:一言で言うと「唯一の趣味」なのかもしれません。高校生になって初めて手にした時に、これが青春だと確信してずっとギターばかり弾いてきたくらいで。アンプのツマミをひねった時に自分の全部が大きくなった気がしてしまったんでしょうね…まあ、それがきっかけで受験に失敗したんですけど(笑)その後の予備校生活でどうしてもギターが弾きたくて宅録を始めたので、やはりギターだけが趣味なんだと思います。自分の音源に対してもギタリストでありたい気持ちが常に出てしまっているなと自覚しています。

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『merkmal』/ colormal
2018年1/17リリース
フォーマット:CD / デジタル配信 / ストリーミング配信
レーベル:マバセレコーズ
カタログNo.:M!002
価格:¥1,500(税込、CD)
【Track List】
1.夢みる季節
2.大きな怪獣
3.まばゆい
4.さまよう
5.花に嵐
6.日記
7.東京
8.鎹

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2018.3.5 12:30

【INTERVIEW】anemone

左:ninomiya tatsuki 右:yikii



新潟在住のトラックメイカーninomiya tatsukiと中国のトラックメイカー/ボーカリストYikiiによるユニット anemoneが1stアルバムをリリースした。
元々ソロの活動を知っていた二人がユニットを結成したという驚きと、anemoneとして作り上げた音源の質の高さからずっと活動を追っていたユニットだけに活動を開始してから1年ほどでアルバムリリースの報を聞いた時はは嬉しさと納得があった。
今回anemoneのコンポーザーであるninomiya tatsukiにインタビューを試み、彼らがどのようにアルバムリリースに至ったかを掘り下げて見た。

お互いがインドアな感じで音楽的に繋がれたのが私にとって大きな変化でした

–:アルバムのリリースおめでとうございます。今回のアルバムのリリースはどのような経緯で決定しましたか?
ninomiya tatsuki:PROGRESSIVE FOrMにデモを送って、nikさんから返信を頂いて決定しました。
–:デモを送った後のnikさんの反応はいかがでした?また、リリースが決定した時のninomiyaさんの気持ちについて聞かせていただければ。
ninomiya tatsuki:デモを送った時はそんなに期待していなかったのですが、思いのほかいい反応をいただいてビックリしました。普段からPROGRESSIVE FOrMの作品を聴いていたので、リリースが決まった時は嬉しい反面、クオリティ的な問題で申し訳ない気持ちもありました。
–:私の記憶だとanemoneとして音源を公開し始めたのは2017年の頭ぐらいだったと記憶していますが実際にはどのぐらいから活動を始めていたんですか?
ninomiya tatsuki:2017年2/20に活動開始しました。
–:Yikiiさんとのやりとりはどのようにして始まりました?
ninomiya tatsuki:SoundCloudにてお互いがお互いの楽曲を聴いた事がきっかけで、コメントやTwitterでのやりとりが始まりました。


–:ninomiyaさんの音楽の経歴について聞かせてください。
また、PROGRESSIVE FOrMに公開していたプロフィールを拝見すると「人と音楽をやる楽しさが見出せなかった」とありますが、anemoneというユニットを始めるに祭してどのような心境の変化がありましたか?
ninomiya tatsuki:私が大学を卒業した2015年にDTMでの音楽制作を始めました。キャリアもなければ、これといって誇れる功績もございません。
私は小さい頃から他人と物事を合わせるのが苦手なので、大学時代に一時期バンド活動をした時は人と音楽をやる楽しさが全く分かりませんでした。ですが、私が制作を始めた頃、SoundCloudで私の楽曲を見つけて好んでくれたYikiiさんとは話が合い、後に「夢うつつ」という楽曲を共作した際にお互いがインドアな感じで音楽的に繋がれたのが私にとって大きな変化でした。
それが、anemoneの結成に繋がりました。
–:そのような経緯でスタートしたんですね。Yikiiさんの楽曲に最初に触れた時にどんな印象でしたか?
また、Yikiiさんからはninomiyaさんの楽曲はどのような印象だったか聞いていますか
ninomiya tatsuki:初めてYikiiさんの楽曲を聴いた時は衝撃的でした。幻想的かつダークな世界観にマッチする透明な歌声に一気に惹き込まれたのを覚えています。私の楽曲に対しては、詳しく聞いていないので分かりませんが、私は当初とにかくダークな楽曲を制作していたので世界観に共感を覚えたのではないかと考えております。
–:anemoneとしての楽曲制作はどのような手順で進めていますか?以前Twitterでネット越しのやり取りで楽曲の制作をしていると読んだ記憶があるのですが、やり取りで大変なところがあれば聞かせてください。
ninomiya tatsuki:私が楽曲を制作して、作詞して仮歌を歌って、そのデータをYikiiさんに送って歌ってもらい、歌のトラックを送ってもらってミックスをする、という手順で進めております。
やり取りで大変なところは、基本的に英語でやり取りをしているのですが、特に大変だと思ったことはないです。ただ私の英語が変なので、Yikiiさんには迷惑をかけていると思います。申し訳ないことこの上ないです。
–:M10「夢うつつ」は日本語で歌っていますし、時々日本語でのツイートも見ているので以前から気になっていたんですが、Yikiiさんって日本語は話せるのですか?
ninomiya tatsuki:多少話せるみたいですね。日本のアニメや戦車が好きみたいです。


–:作詞についてはクレジットされていないようですが、これはYikiiさんが?
ninomiya tatsuki:作詞は基本的に私が担当しております。時々歌詞やメロディをYikiiさんに委ねることもあります。

anemoneのカラーとしては、幻想的で、物語のような楽曲を制作するユニットにしようと決めていました

–:anemoneのポジションはninomiyaさんがトラックを作成してYikiiさんがボーカルを担当する形と認識をしていますが、元々そのような構想でスタートを?
ninomiya tatsuki:そうですね。Yikiiさんの素敵な歌声を活かしたトラックを制作したいと思ったのが現在の構想に繋がっております。
–:ninomiyaさん個人の作品はAmbient / DroneからPost Rock、Trip Hop、Heavy Metalとかなり幅広いジャンルで作品を発表していますが、ninomiyaさん自身が聴いてきた音楽について教えてください。
ninomiya tatsuki:聴いてきた音楽と言われると難しいのですが、昔からジャンル問わず何でも聴いていました。
–:雑食的に聴いてきた事が精査したトラックの幅に繋がっているわけですね。ninomiyaさんの幅の広さに加えてYikiiさんもPopなボーカルものからExperimentalなトラックまでかなり多岐に及んでいるので、最初にanemoneを聴いた時にこのようなPopさに着地しているのが以外な印象を受けました。
これはanemoneというユニットのカラーというものに起因していると思うのですが、ninomiyaさんに取ってanemoneのカラーとはどのようなものでしょう。
また、楽曲制作の際に意識している方向性があれば聞かせてください。
ninomiya tatsuki:anemoneのカラーとしては、幻想的で、物語のような楽曲を制作するユニットにしようと決めていました。それでいてメロディは綺麗に、Yikiiさんの声を立たせるような意識を持ってanemoneの楽曲制作に臨んでおります。


–:今後、anemoneとして現在の方向性と異なる音源を作る可能性はありますか?
ninomiya tatsuki:Yikiiさんの声質を活かしたASMRのようなトラックも作りたいですし、Yikiiさんが相対性理論というバンドが好きなこともあり、そのようなトラックを制作するのも面白いかなと思っています。トラックの方向性に関しては、完全にその時の私の気分次第なので今後どのようなトラックが出来るのかはまだ分かりません。
–:フィジカル化するにあたって、リミックスやリマスタリングをしていますか?
ninomiya tatsuki:リミックスはしておりません。マスタリングは私がしています。ですが、私は技術やセンスに乏しいため、ミックス・マスタリングに関してはとても未熟です。今後そのような技術を身につけ、さらにanemoneのトラックを良くしていきたいと心から思っております。
–:Yikiiさんもトラックを制作しますしninomiyaさんもご自身でボーカルを入れたトラックを制作されていますが、ポジションを交代して…という事を考えた事は?
ninomiya tatsuki:それは考えたことはありません。
–:過去にSoundCloudで発表した作品のうち、「sad」は今回のアルバムには入らなかったようですが、今回のアルバムの選曲基準はどのようなものでしたか?
また、anemone名義の未発表曲はありますか?
ninomiya tatsuki:選曲基準はあまり考えずに、今までSoundCloudにアップロードした中でお互いの好みの楽曲を選びました。とりあえず曲が完成した時点でSoundCloudにアップロードしているので、未発表曲はありません。



–:アートワークはYikiiさんとうかがっていますが、アートワークについてお互いに意見を出し合ったりして制作をしていますか?
ninomiya tatsuki:今回のアートワークは、見ての通りYikiiさんの写真を使っております。CDケース内側のイラストもYikiiさんが描いたもので、アートワークの担当をYikiiさんにしました。写真の加工をしたのは私です。
–:加工は具体的にはどのような作業をしましたか?
ninomiya tatsuki:具体的に言うと、私はPhotoshopやIllustratorなどのソフトを所持していないので、Macのプレビュー機能やInstagramの写真を加工する機能で作りました。作ったって言える程でもないのですが。


–:最後に、読者の方にメッセージをお願い致します。
ninomiya tatsuki:anemoneはマイペースに活動していくユニットですが、2ndアルバムの制作も考えていますのでどうか末永く応援していただけると幸いです。何卒よろしくお願い致します。




『anemone』/ anemone
2018年1/17リリース
フォーマット:CD/デジタル配信
レーベル:PROGRESSIVE FOrM
カタログNo.:PFCD75(CD)
価格:¥2,100(CD)
【Track List】
01. materia
02. killing me softly
03. tablet
04. vain
05. insomnnia
06. pain
07. requiem
08. float
09. memory
10. 夢うつつ
11. sakayume
12. fill
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Tower Records




2018.1.28 17:00

【INTERVIEW】『External Reference』/ M-KODA



仙台出身のSatoshi Kodamaによるソロ・プロジェクトM-KODAが12月にPROGRESSIVE FOrMよりリリースした6thアルバム『External Reference』。
これまでにもその独創的なアイデアを詰め込んだ5枚のアルバムをリリースしてきた彼が、これまでのエレクトロニカ的な手法からさらに踏み込んだこのアルバムには、AOKI takamasaやHIROSHI WATANABE他のコメントが寄せられており、リリース直後にしてリスナーのみならずアーティストサイドからの高い評価がうかがえる。
今回indiegrabではリリース直後のM-KODAのインタビューを掲載。
どのような制作環境からこのアルバムが産まれたのか、仙台という土地で彼がどのような感覚で過ごしながら音楽活動を続けているのかという部分をこのアルバムのサブテキストとして楽しんでいただきたい。

ハードウェアに合わせた構成をするような曲制作も行いました

–:『External Reference』を聴かせて頂きました!凄くカッコいいですね!!
本作はこれまでのM-KODA作品以上によりダンス/クラブよりな、かつとても密度が高く耳に残るポップさが特徴の1つに感じました。
アルバム制作上でのコンセプトやアプローチなどポイントをお聞かせ下さい。
M-KODA:ありがとうございます。
Progressive Houseや、Disco Musicなどのダンスミュージックをよく聴きながら制作しました。リズムマシンや、シンセサイザーの音など、随所にそういった音楽シーンの影響が散りばめられています。


▶ External Reference Trailer

–: 『External Reference』というのは響きの良いアルバムタイトルですね、このタイトルに名付けたのはどのような経緯や意図がありますか?
M-KODA:Electronicaの影響では無く、他のミュージックシーンの影響を受けて制作していましたので、外部参照という意味合いでアルバムタイトルをつけました。

▶ 「鋭い感性でクールとポップの狭間を往来する楽曲群。特に “M5. I Need Run Ahead feat. Mon” 大好きです。」KASHIWA Daisuke

–: M3(Other Than feat. Carl)とM5(I Need Run Ahead feat. Mon)ではヴォーカルがフィーチャーされています。それぞれの楽曲及びボーカリストの紹介と、どのようにコラボレーション~完成させていったかなどプロセスを教えて下さい。
M-KODA:どちらの曲も仙台で仲が良いアーティストのお二人です。
僕がトラックとヴォーカル用のメロディを作って彼等には詩と歌を担当していただきました。
スタジオに機材を運び、缶ビールを片手に作業を進めました。


▶ Other Than feat. Carl


▶ I Need Run Ahead feat. Mon

–:4th『Synthese』、5th『WORKINGS』に続き本作でも例えばM4(Multiplex)、M6(Ms-Explorer)、M8(Acodrm)といった出色のミニマル・トラックが収録されていますが、M-KODAさんにとってのミニマルもしくはミニマル感とは何ですか?
またこれまでに影響を受けた印象的なミニマルの楽曲があれば幾つか教えて下さい。
M-KODA:ミニマル感とは正直僕もわかりません……。
好きなミニマルミュージックは今回のアルバムへコメントもいただいたAoki Takamasaさんの音楽が好きです。

▶「全方向に完成度の高いPOPなダンスミュージック。音が一音一音しっかり噛み合ってる。」AOKI takamasa

–:制作において、どのような機材を使用されていますか?また機材まわりに関してご自身で大切にされているようなポイントはありますか?
M-KODA:主にAbleton Liveを使用しましたが、KORG MS-20mini やRoland TB-3 などのハードウェアを使用することによって、ハードウェアに合わせた構成をするような曲制作も行いました。

▶「M-Kodaくん6枚目のアルバム!この精力的な活動は凄い!今回のアルバムは更にバラエティーの幅が広がり、POPさとM-Kodaくんのインテリジェンスなエレクトロの融合感が面白い!Track6、8、9は僕のオススメです!」HIROSHI WATANABE

–:先日(2017年12/14)はDommuneに出演されていましたね。初のDommune参加と聞き及びましたが参加しての感想は如何でしたか?またDommuneのような配信の番組に関してM-KODAさんご自身はどのように感じられますか?
M-KODA:数週間の体験を数時間に凝縮されたような感じで、非常に良い経験となりまし
た。初めての配信番組でしたが、ライブとはまた違う緊張感が刺激的でした。

▶ M-KODA “Multiplex” Live 2017.1214

仙台は街もあり、山も川も海も近いので、その生活感が滲み出れば良いなぁと思ってます

–:M-KODAさんが昨今注目されていたり気に入っている音楽やアーティストはどういったところですか?
M-KODA:気に入っている音楽やアーティストを上げればキリがないぐらいです。Four Tetはずっと聞いてます。
最近、CDラジカセを入手したのでカセット音源を中心に集めようかなと思っています。フォークから、実験音楽までジャンル関係無く収集したいです。
–:M-KODAさんは既に多彩な作風な楽曲を非常に高いクオリティーでプロデュースされていますが、今後アプローチまたは表現したいサウンドやそうしたイメージはありますか?
M-KODA:リリースはしない状態で続けていたサンプリングなどを多用したプロジェクトがありますので、今後は少しそこにフォーカスして行きたいと思っています。
仙台は街もあり、山も川も海も近いので、その生活感が滲み出れば良いなぁと思ってます。

▶ M-KODA「Acodrm」

流行り廃り関係無く色々な音楽を聞いて楽しんでいただければと思います

–:仙台をベースに活動されていると思います、地元のシーンのことなどお聞かせ下さい。またこうあるとより良さそうなどポイントがあればお教え下さい。
M-KODA:正直なところ、流行りのシーンは東京とあまり変わらないかもしれません。しかしながら、すごく少数ですが流行りに関係無く自分のスタイルを貫いている方々が面白いです。好きな音楽ジャンルは違かったりしますが、精神性が一致するのか、かなりの頻度で遊んでいます。

▶「M-KODAさんの作品は以前から自分のDJセットの中でも使わせてもらったりしていて、開かれた音楽性と「ダンス」のエッセンスの組み合わせが個人的にとても魅力に感じていたんですけど、今回もスゴイですね…。しかも「泣かせて」きます。泣きながら踊れるのは堪らない…。」Primula

–:2017年で印象に残る良い出来事は何ですか? また、M-KODAさん的な仙台のお薦めポイントを教えて下さい。
M-KODA:1番良い出来事は引越し先が好物件だった事ですね(笑)
仙台のお勧めポイントはやはり飲食ではないでしょうか。あと、仙台駅からの徒歩圏に公園やカフェも沢山あるので、遊ぶ事だけでは無く、生活もしやすい都市だと思います。
–:最後に読者へのメッセージと、改めて『External Reference』の聴き所を教えて下さい。
M-KODA:流行り廃り関係無く色々な音楽を聞いて楽しんでいただければと思います。External Referenceの聴きどころはボーカルのお2人とコラボした2曲です!



『External Reference』/ M-KODA
2017年12/15リリース
フォーマット:CD
レーベル:PROGRESSIVE FOrM
カタログNo.:PFCD74
価格:¥2,100(税抜)
【Track List】
01. Sepia Tone
02. Eleven
03. Other Than feat. Carl
04. Multiplex
05. I Need Run Ahead feat. Mon
06. Ms-Explorer
07. Kindlie
08. Acodrm
09. Excavator
10. Aoe
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タワーレコード





2017.12.27 19:00

【INTERVIEW】Jan flu



Jan fluのVo./Gt.をつとめるP.Necobayashiという人は非常にまめな人であり、彼自身の音楽活動の節目節目で必ずと言っていいほど連絡をくれる。
「今度Jan flu(ジャン・フルー)ってバンド始めたんですよ」
「来月デモ音源公開するんで聴いてください」
「今度初めて自主企画やるんです」
と、連絡をもらうたびに彼が始めたJan fluというバンドが大きくなっていき、
「この間ディスクユニオンのオーディションで最終合格者に選ばれました」
という連絡をもらった。
結成したという話を聞いてからわずか1年ちょっとでそこまで大きな存在になっているのかと思うとともに、以前よりそろそろインタビューをしなければと思っていた部分が段々使命感となってきた。
以下はそんなJan fluに試みたインタビューである。

モチベーションは高まったよね。僕は1つの結果が出たことで、以前より自信が持てるようになりましたし。

–:今回ディスクユニオンの『DIVE INTO MUSIC.オーディション2017』で最終合格者の4組に選出されましたが、このオーディションへの参加はいつ頃、どのようなきっかけで決めました?
P.Necobayashi:夏頃に決めました。
この頃、1stアルバムの製作をし始めていて、僕がレコーディング、ミックス、マスタリングの全工程を進めていました。
その作品は海外レーベルでリリースする予定があったんですが、音のクオリティに満足出来なくて……。やっぱり音源というものはどんなに楽曲を作り込んでも、ミックス、マスタリングで作品の良し悪しが変わってしまう。僕らの楽曲はlo-fi(厳密に言うとmid-fi 参考サイト)を目指しているけど、そのニュアンスを表現するには僕のエンジニア技術が足りていなかった。
「どうしても音のクオリティを向上させたい!」というサウンドに対する強い偏執狂的想いから、アルバムの製作を手助けされたくて。
今回のオーディションはwebやらポスターで確認していたので、「手助けされたさ」からナイスタイミングで応募したというのが実状です。
–:タイミングが良かったわけですね。オーディションの選考方法はどんな感じで進みました?
P.Necobayashi:1次審査に音源審査、2次審査にオーディションライブがありました。
ライブは新宿duesで行われましたね。
Kubo(Gt.):レーベルの人たちの前でライブするのは死ぬほど緊張しました。
–:オーディションに向けて何か準備したことや対策はありましたか?
P.Necobayashi:対策って、受験や試験っぽいですね(笑)
特に込み入った対策はないですが、ニュアンスはその時の最大限が伝わるように、(上記にもあった)レコーディングして製作していた音源を提出しました。
Junya(Ba.):僕は当日、普段のライブと同じ感覚でできるよう心掛けました。個人的に、きっちりやるのが得意ではないので。「余計なこと考えずやろう」と。
Kubo:僕は目立とうとすると大体失敗して後悔することが多いので、いつも通りにやろうとだけ考えていました。



–:最終合格者に残った時の感想はいかがでしたか?
P.Necobayashi:ぶっちゃけると、「助かった」です。これ以上はありません。
Junya:僕は素直に嬉しかった。
Kubo:バンドをやっていてこういう形で評価されたことが初めてだったのでドキドキしたよね。
–:今年はJan flu以外にどんな面々がノミネートしていました?
P.Necobayashi:The Sunnys、ミシェルメルモ、akira_cow、有富裕一、hiza、ネルソンマンデラの孫、オレモリカエル、ラテン連合軍、ヌレセパ、フィネガンズ・ウェイク、colspanが1次審査通過してましたね。
Junya:それに最終合格者のSo Sorry,Hobo、ylang ylang、しんきろうのまちですね。
–:これまでにも活動の中でオーディション等に参加した事はありましたか?
P.Necobayashi:Jan fluとしては、今回のオーディション以外だと同時期に2つくらい参加していました。提出楽曲が出来上がったから興味のあるものだけ。
–:オーディションに参加して、バンド内の空気やライブの音等に変化はありましたか?
P.Necobayashi:確かに、バンドの空気は変わったのかなと。
でも空気は結果変わったのであって、大きかったのは個々の気持ちなのかなとも思っています。
Junya:モチベーションは高まったよね。僕は1つの結果が出たことで、以前より自信が持てるようになりましたし。
Kubo:自分は、結果が出たからこそ、よりストイックにやっていかねばなぁと思いました。精神的にも演奏技術的にも。
TAKURO(Dr.):僕は性格がとても明るくなりました。知り合いのバンドのライブによく遊びに行くようになって友達も増えました。毎日が楽しいです。
P.Necobayashi:僕について言えば、「ちゃんとデモ曲ためなくちゃ」とか売れてもないのに思うようになりましたからね。ただ、Janに則さない曲は書くつもりもないけど。


ライブ映像:Jan flu / LIVE『Invisible beach, and the skying』『Into youth』


Jan fluは歌詞が無いけれど、めっちゃ偏執狂的なイメージが楽曲にあるんです。

–:受賞者はDIW PRODUCTSより CD、レコード、デジタルのトリプルフォーマットで音源がリリースされるとの事ですが、リリースする音源って今現在どんな状態ですか?
P.Necobayashi:今はまだレコーディングも始めていません。
具体的に言うと、僕らに合うスタジオ/エンジニアを探している最中ですね。
–:リリースされる作品はどのような作品にしたいと思っていますか?
P.Necobayashi:挑戦的で、革新的なアルバムにしたいと、現在試行錯誤中ですね。
タイトルになるかならないか、確定してませんが、前回の共同自主企画のイベントタイトル「AFTER IMAGE」が表してます。
直訳すると残像ですが、これは残像を残すようなサウンドの表現。もう一つは、「イメージの後」ってことです。「イメージの後」にある真のイメージ。
Jan fluは歌詞が無いけれど、めっちゃ偏執狂的なイメージが楽曲にあるんです。それをアルバム全体で体現したいですね。
Kubo:なにより自分たちの納得のいくクオリティの作品に仕上げたいですし。
TAKURO:音源はもちろんのこと、CD、7インチというフィジカルでリリースする以上モノとしてもこだわったものにしたいと考えています。ジャケットや歌詞カード等アートワークも作品の一部としてアルバムのコンセプトに沿った面白いものが作れたらいいなと考えています。
具体的には、ねこさん(P.Necobayashi)は何語でもない英語のような音を適当に発音して歌を歌っています。
個人的には喃語(赤ちゃんが大人を真似して発する意味のない声)だと思っているのですが。なので歌詞カードには、歌詞の代わりに短い詩のような文章とその曲をイメージした絵をそれぞれ曲数分載せて、リスナーに音楽のイメージを伝える助けになるアイテムを作ろうと考えています。
–:それ、面白いですね。歌詞がありそうで無いバンドなりのサブテキストが付属するっていう。やっぱりある程度のボリュームのブックレットを作るような感じですか?
P.Necobayashi:喃語ではない!(怒)
いかにもテキトーに歌っていると思われてしまうので、強く否定しておきます。
Janの歌詞性についてはセオリーが存在します。
セオリーについて、「音の側面」、「イメージの側面」という2つの側面があります。
まず1つ目の「音の側面」については、歌詞の乗り方に重きを置いて作成しています。
具体的に言うと、これは作成手順の話ですが、確かにTAKUROちゃんの言う通り、曲の作成段階では喃語のようなアベコベ英語で作曲するんですよ。この手法や近い手法は、著名なアーティストも行っています。桑田佳祐さんとかYUIさんとか。
で、僕の場合はこの出来上がったデタラメな英語に、語感が良いものやイメージに寄せた単語を織り交ぜて音が気持ち良い様に組み直す。もしくは音が違和感あるようにする。使う音で多い物は、歯擦音、というかサ行、「s」から始まる音。濁すために敢えて濁音をいれたりとか。あと鼻濁音にしたりしなかったり。だから喃語じゃない。言うなればスーパー喃語。
また「イメージの側面」としては、「音の側面」とイメージに寄せた単語のみが通底しています。内容は僕のモノマニアな視座があって、それについてです。このイメージを示す短文が別途あって、これとイメージに合うグラフィックとセットにした物を従来の歌詞カードとして扱う予定です。僕ら的には、歌詞カードではなくイメージカード。
従来の歌詞性、僕もいいなと思うことがあるし、それが想起させるイメージも相乗効果的にあるかもしれない。「景色を切り取る」とか。でもそれって、もうやり尽くされて、現在に適合しないように感じられるんですよね。大衆音楽における文学性も。
今の僕らがすべきことは、新たな歌詞性において従来以上に歌詞のノリの良さとかの音楽性を獲得すること、イメージを具現的にしてより強固なイメージを見せることだと思っています。今回はフィジカルに価値を置くための仕組みとしても。
だからボリュームが大きくはならずとも、上記の様な型で作成する予定ですね。詳しいところは美術班のTAKUROちゃんが考えてくれています。
TAKURO:スーパー喃語……なるほど……。
イメージカードについては普通にCDケースに入るサイズ感になると思います。予算との兼ね合いもありますが。1曲1ページあるとして十数ページ程度になると思います。
ただ、本の形になるのか、蛇腹状にするのか、それとも広げると1枚のポスターのようになるのか、とか紙の質感までこだわっていきたいですね。
–:大体いつ頃のリリースを目指していますか?
P.Necobayashi:今のところ、2018年の夏頃を予定しています。
–:音源のリリース以外に何か進行している企画等あれば。
P.Necobayashi:僕については、(ライブではない物も含め)企画が思いついては消え、思いついては消え……を繰り返しています。
現在解禁できるものとしては、12/30と1/19のライブ出演のみですが、3月には面白いイベントを企画している最中です。この詳細については追ってお披露目出来ればなと。


Jan Flu オフィシャルTwitter(@Jan_flu)

【Jan Flu ライブスケジュール】


『ABIRU Vol.5』
2018年1/19(金)新宿 LOFT
ACT:ROKI / myeahns / THE FOREVERS / ハネダアカリ / Jan flu
Open 23:30 / Start 24:00
Adv ¥1,000 / Door ¥1,500(+2d ¥1,000)


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2017.12.26 12:00

【INTERVIEW】HeatMiser『When I’m drifting in the morning』



2017年夏、HeatMiserがリリースした2ndアルバム『When I’m drifting in the morning』。このアルバムに収録された楽曲たちが持つローファイかつドリーミーな質感は、ジュリアン・ベイカーやフィービー・ブリッジャーズといった同世代のアメリカのミュージシャンと共通するものであり、一方で日本のシーンにおいてはある種の異質さを感じざるを得ない。
早くから海外での活動も積極的に行ってきたHeatMiser=礒尾奈加子は、どのような過程を経てこのアルバムの制作に辿り着いたのか。アルバムのリリースライブを間近に控えた10月半ば、彼女に話を訊いた。

日本より海外でライブをしたほうが聴いてもらえるだろうなという自信があったのと、とにかく自分から海外に行かないと始まらないだろうなと(HeatMiser)

–:最新アルバム『When I’m drifting in the morning』について伺う前に、礒尾さんのバックグラウンドについて少し訊かせてください。小学生の頃からビートルズやニール・ヤングを聴いていたそうですけど、そういった洋楽のロックを聴き始めたきっかけは何だったんでしょうか?
HeatMiser:これが最初というのは覚えていなくて、気がついたら聴いていたという感じなんですよ。J-POPを経由して聴き始めたわけでもなくて、両親が洋学好きだったってわけでもないので、実際のところよくわからないんです。小学校の高学年くらいから不登校であまり学校に行ってなかったので、その頃からはもう自分で楽器を演奏するようになりました。
–:最初はギターですか?
HeatMiser:ギター以外にも、ドラム・ベース・ピアノと全部やっていました。ピアノ以外は全部独学で、ドラムはスタジオに行って叩いてましたね。バンドがやりたいと思っても友達があまりいなかったので、仕方なく全部自分で演奏するという感じで。当時の私にはビートルズはちょっと難しかったので、ニルヴァーナなどをコピーしていました。
–:「HeatMiser」と名乗って活動し始めたのもその頃ですか?これはもちろん、エリオット・スミスがかつて在籍していたバンド名から取ったものですよね?
HeatMiser:そうですね、13歳か14歳の頃からだと思います。名前は何でも良かったんですけど、彼に憧れていたし、自分なりに彼の意思を引き継いでいきたいと思って名乗り始めました。ちょうどその頃にオーストラリアに1年ちょっと留学していたんです。
–:留学する時点では、英語は話せたんですか?
HeatMiser:英語は全く喋れなかったですけど、それは大した問題じゃなかったです。現地では、どちらかというと家にこもって音楽を聴いている時間が長かったんですが、面白いなと思ったのはバスキング(路上で音楽を演奏し投げ銭をもらう習慣のこと)です。私が滞在していたゴールド・コーストに限らず、バスキングがとにかく盛んで、現地の人だけじゃなくアメリカとかヨーロッパからやってくる人もいましたし、それで生活していて家を買ったという人もいました。本当に生活の一部になっている感じですね。バンドもいれば一人で演奏している人もいて、一人で演奏している人はドラムマシンを使ったりしていて、一人でもこれだけ演奏できるんだというのは大きな発見でした。
–:初めて自分でバスキングをやったのもその頃ですか?
HeatMiser:そうですね。当時の私は知らなかったんですけど、本当は講習を受けてライセンスを取らなきゃいけないらしいんです。あと、演奏をする場所の縄張りみたいなものもあって、このストリートは人通りが多いからオーディションに受かった人しか演奏ができないとかそういう決まりもあって。でも、そんなこと知らなかったので、適当な場所でやってたんですけど、特に何かを言われることもなかったんですよね。
–:日本に帰国して大学生になってから、ファーストアルバム「at dawn」を制作しますが、そのリリース後に海外ツアーに出ていますよね。海外ツアーを計画したきっかけは何だったんでしょうか? 各地のストリートでバスキングもしたそうですし、何よりツアーの大部分を自分でプランニングするのはとても大変なことじゃないですか?
HeatMiser:自分の音楽の特性として、日本より海外でライブをしたほうが聴いてもらえるだろうなという自信があったのと、とにかく自分から海外に行かないと始まらないだろうなと考えていました。中国と台湾、ロンドンに関しては、現地のコーディネーターを見つけたのでその人たちにブッキングをお願いしたんですけど、あとは自分で回りながらライブハウスに連絡したり、オープンマイクのようなイベントに出たり、あとはバーとかカフェにその日に行って演奏したりとか様々でした。
–:初めて訪れる土地ばかりだったと思いますが、各地での反応はいかがでしたか
HeatMiser:中国だと重慶とか西安とか奥のほうまで行ったんですけど、現地のサブカルチャーが好きな子たちは色んな音楽を聴いていたし、私の音楽を理解してくれる人が多かったですね。武漢では、現地で一番大きいライブハウスでワンマンライブだったんです。そこでも100人以上はお客さんが見にきてくれたので、こういう音楽が好きな人はいるところにはいるんだなと。現地のバンドマンには、中国のインディーズのバンドでもこんなに細かくツアーを回らないよって驚かれましたけどね(笑)。ロンドンでは現地のドリームポップバンドのリリースライブに出演したりしたので、良いフィードバックも得られましたし、物販もよく売れました。




前作が『at dawn』なので「夜明け」がテーマで、今回が「朝」。次に出すアルバムは、「昼」「ミッドデイ」みたいなイメージに(HeatMiser)

–:今作に収録されている曲はそのツアー中に書かれたものですよね。テューペロとかハックニーといった地名も歌詞の中に出てきて、各地での具体的な体験が反映されているように思います。
HeatMiser:ツアーで訪れた各地で思ったこと、感じたことを書いています。ツアーを通して書いた曲たちの中から、今回のアルバムのテーマが「朝」だったので、朝に聴きたいと思う曲を選びました。前作が『at dawn』なので「夜明け」がテーマで、今回が「朝」。次に出すアルバムは、「昼」「ミッドデイ」みたいなイメージにしようかと思ってます。作品毎に少しずつ時間が進んでいくようなイメージで。
–:楽曲毎に様々なバンド編成で演奏されていますが、そこはどういった基準で決めているのでしょうか?例えば、タイトル曲の「When I’m drifting in the morning」でのテルミンの導入は幻想的な印象をもたらしていると思いますし、ドアーズのカバー曲「Indian Summer」でのウッドベースを入れた大胆なアレンジは斬新なものに聴こえます。
HeatMiser:基本的には私が編成を考えて、こういう風にしたいというイメージをメンバーに伝えていますが、それぞれのフレージングなどは任せてます。曲が出来た時に、この曲のドラムは誰に叩いてほしいというようなイメージがあるんです。音の質感だったり叩き方の癖とかですね。今回はドラマーが2人参加してくれています。今作の制作に参加してくれているメンバーは、全員同じ大学なんです。
–:レコーディングもそうですが、ライブ自体も弾き語りであったりバンド編成であったり、非常に多彩なパターンを持っていますよね。現在、ライブ演奏する形態というのはどのくらいのパターンあるのでしょうか?
HeatMiser:それはライブによって変えていて、女性メンバーのみで演奏するガールズバンドのスタイルだったり、自分の弾き語りとサックスやピアノ、テルミンとのデュオで演奏する時もあります。私の理想としては常にフルバンドでやれたらと思いますけど、みんなフルタイムのミュージシャンではなくて就職活動などをしながらやっているので、スケジュールが合うメンバーでという部分もあります。見に来てくれるお客さんにとっても、毎回違うものが見られるのがいいだろうなと。
–:先ほども話に出ましたが、今回、アルバムにもテルミンを導入しているじゃないですか。テルミンを入れようと思ったきっかけって何なんでしょうか?
HeatMiser:テルミンを演奏してくれたGenくんがいきなり買って持ってきたんですよ。それで、レコーディングでやってもらえる?って。
–:アルバムの最後がテルミンのノイズで終わるじゃないですか。それによって、作品全体の印象が、フォークとかアシッドフォークという部分だけじゃなくて、シューゲイザーっぽいモードや、ノイズの側面も際立っていると思います。これは具体的な狙いがあってのことなのでしょうか?あるいは、礒尾さんのマイブームだったりしますか?
HeatMiser:単純に面白いなと思ったんですよね。色々なものが入ってると面白いし、ノイズ音楽も好きですし。あと、テルミンに対してちょっとアカデミックなイメージを持っていて、それでノイズを発するようなやり方がいいなと思ったんです。その前の曲「Rena」がポップなメロディーの曲なので、それを聴き終わったあとに「なんだこれは?」と。でも、それを超えないと終わらない。
–:そういう点も含めて、今作をCD以外にレコードでもリリースするアイディアはいいですよね。レコードの聴き方にすごく合っていると思います。
HeatMiser:本当は、CD・レコード・カセットテープという3フォーマットで出したかったんですけど、自主制作なので大変で、カセットテープは出せていないんですけど、レコードはずっと出したいと思っていたのでリリースできて良かったです。



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メルツバウの秋田さんは、海外に拠点を移して活動して、そこで評価を得ている、私のモデルになる人

2017.12.8 20:48

【INTERVIEW】『he(r)art』 / For Tracy Hyde



For Tracy Hydeの2ndアルバム『he(r)art』がリリースされてから1ヶ月が経過した。
前作『Film Bleu』から1年を待たずにリリースされたフル・アルバムは、彼らの持つ音楽性と彼らの評価を1段階引き上げる傑作としての評価を受けている。
この「東京」をテーマとした傑作を作った彼らは、東京周辺で暮らし、会話をし、バンドとして活動をしている。
そのような日常のどこから東京と、その夜と、きらめきが産まれてきたのかをアーカイブしてみたくなり、インタビューを申し込んでみた。

タクシーの窓から景色眺めているとめちゃくちゃ感動するんですよ

–:えー、とりあえず全員自己紹介お願いします。夏botさんから。
夏bot:夏botでーす…なんか…元気です。
まーしーさん:まーしーです。
U-1:(裏声で)U-1というもので…○×◎…(以下聞き取り不能)
一同:(笑)
夏bot:誰やねん、お前(笑)
Mav.:もうマイクに入る気ゼロだよね(笑) Mav.です。
eureka:えうです!
–:じゃあよろしくお願いします!
一同:お願いします!
夏bot:よー!(一本締め)
–:締まっちゃったよ(笑)
夏bot:フー!
U-1:(こういうノリを)誰も気にしないこの渋谷のカフェええな…えーっと、Koochewsenも語ってたんですけど、東京は境界線の街だなと…。
夏bot:いきなりだなこいつは!訊かれてもいないのに!!
一同:(笑)
Mav.:あっためてきたやつやな…。
–:その心は?
U-1:いや…終わり。
一同:終わりかよ!
Mav.:もうちょっと進める気はないのか!
U-1:いや…後でいいや。クライマックスユーチューバーみたいに…。
–:もうちょい語りましょうか(笑)
U-1:僕もよくわかってないんですよ。Koochewsenが「境界線の街だ!」って…。
夏bot:請け売りじゃねえかよ(笑)
U-1:そう、請け売りなんですよ!でも確かになって。田舎から上がってきて、人とは目を合わせないわ、気にしないわで。干渉しないとかは感じましたね。
–:そういうところに境界線を感じる?
U-1:うん、いい意味でも悪い意味でもね。
–:今回アルバムのテーマが「東京」なわけですけど、その辺との兼ね合いは?
Mav.:そもそも曲を作り始めた段階では「東京」って言ってなかったよね。
–:あ、そうなんだ。
夏bot:いや、おぼろげにはなんとなく考えてて。ここ1〜2年ぐらいで身についた悪い趣味なんですけど、タクシーで帰るのに今はまっていて。普通に終電とかあっても「なんか今日電車とか乗りたくないな」って気分の時にはタクシーに乗って帰っちゃうんですよね。
で、The 1975を聴きながらタクシーの窓から景色眺めているとめちゃくちゃ感動するんですよ。
–:MV感みたいな?
夏bot:そうですね。東京はなんやかんや言って美しい街だな、絵になるな、みたいな。
–:それは先日公開された「Floor」のMともリンクします?



夏bot:やっぱりアートワークにしてもMVにしても、自分が普段東京を歩いたりしている時に感じる美しさみたいなものを表現したいなっていうのがあって。ふと彷徨い歩いている時に知らない通りに入って…新大久保あたりでネオンが光っている中で日本語だけじゃなくて中国語や韓国語、英語が飛び交っているような。そういう場所に迷い込んだ時に感じるエネルギーのようなものが…うーん、なんて言ったらいいんだろう…。
U-1:Koochewsenも語ってたんですけど、スピリチュアル的なものなんじゃないですか?
夏bot:そうね。ちょっとそういうものもあるかもね。
U-1:僕、今回のMV撮ったときに思ったんですけど、僕がニューヨーク行って車に乗っても東京の新宿と同じ感覚に陥ると思うんですよ。異国感として。
夏bot:監督のPennackyくんと初めて打ち合わせした段階から、「俺たち『ロスト・イン・トランスレーション』やるしかないよね」って言ってて。
U-1:まずそこから入ったよね。
夏bot:なのでその辺は監督の意図であり、僕たちの意図でもあるかんじです。なのでTwitterでみんなが「『ロスト・イン・トランスレーション』っぽい」って言ってるのを見ながらしめしめと(笑)
Mav.:ミーハーだからあのホテル行ったからね。
夏bot:完成版のMVでは使ってないんですけど、『ロスト・イン・トランスレーション』の撮影で使ったホテル(パークハイアット東京)に入ってったりとかしましたね。でも一般人が宿泊もしないで入れる場所ってたかがしれてるので、使えるところが何もなくて「まあこんなもんだよね」で終わったんですよ。「Floor」の歌詞がそもそも「パーティーに馴染めないでいる」っていうアウトサイダー的な語り手なのである程度の俯瞰性をMVを活かしたいので『ロスト・イン・トランスレーション』っぽい描写がしっくりくるのかなって。
–:そういう感じから行くと「TOKYO WILL FIND YOU」への流れってすごく綺麗だよね。
夏bot:そうですね。「TOKYO WILL FIND YOU」って普通の東京の人が東京を描こうとして書く曲じゃないだろうなって。
–:異邦人的に東京を見ている感じ?
夏bot:人生の半分以上ここに住んではいるけど、まだまだ知らない所とか理解しきれていない場所があって、そういうのに感動を覚えると同時にまだまだ自分はアウトサイダーだなって。
なんと言ったらいいんだろう…二律背反…というわけでもなく自分がアウトサイダーだから感動を覚えてるんだろうなってのが少なからず。
–:先ほどの境界線の話で言うと、東京って色々なコミュニティが混在していて、先ほど夏botさんが言っていた異なるコミュニティに迷い込んだりする事ってよくありますよね。
夏bot:そうですね。色々なものが凄い密度で近接してて、無意識のうちにその境界をまたいでしまうみたいな状況はよくありますね。言われてみるとそういうところが『he(r)art』のサウンド面にも反映されていると思いますね。
–:そういえば『he(r)art』ってビジュアルとかアートワーク的に夜のイメージが強いですよね。前作が昼間のイメージが強かった事と対照的だと思うのですが。
夏bot:そうですね。やっぱり前作とは全く違ったものを作りたいというのが自分の中であって。今回収録されている曲で古い曲は去年の夏ぐらいからやっていて。今回MVを公開した「Floor」とか、「Ghost Town Polaroids」は割と夜の曲だったので、それらができた時点で今回のイメージは夜に寄っていくのかなという予感はありました。
–:私個人の感想でいうと前作のリリースパーティーの後しばらくFor Tracy Hydeのライブを割とよく見ていて、その頃すでに1stとはモードが変わっているなと思っていたんですが、そのあたりはいかがですか?
夏bot:そうですね…夜がどうとかってのが固まったのはもうちょっと後になるんですが、モードの変化でいうと前作が結構ファンタジックというか、自分の普段の生活からかけ離れていたっていう実感があって…歌詞の面とか。For Tracy Hydeは、自分と同世代か年下の若者の生活に寄り添う音楽っていうコンセプトがあるんですが、やっぱり自分自身の生活に寄り添っていない音楽を作ってもそれは人の生活に寄り添わないんじゃないかって。前作が終わった直後に、自分の実体験や自分の周囲の人から聞いた話を歌詞に取り入れたいなって考えてました。その辺りに関してはTenkiameでの活動からのフィードバックもあって、モードが切り替わっていたというならその頃から起きてたのかなと思います。
–:実体験に基づいた歌詞は、具体的にどの曲の歌詞がそれにあたります?また、「Tenkiameでの活動からのフィードバックもあって」という辺りを詳しくお聞きしてもいいですか?
夏bot:Tenkiameの参照元であるART-SCHOOL、特に中期の作品に顕著に見られる特徴として木下理樹の生活を赤裸々に描写した歌詞があって、Tenkiameでも自分の実体験に基づいた歌詞を書くように意識していたんですが、その時にそういう書き方でしか表現できないものが存在すると実感したことや、演奏時にもある種のエモさが引き出されるという感覚もあり、それが今回の作品にも引き継がれていると思います。とは言っても自分が経験したことを100%そのまま書いているわけではなく、他の人のエピソードと混ぜたり脚色したりはしてますが(笑)
とりわけ自分の実感が強いのが「Floor」で、あるインディ系のイベントを観に行ったときにJIVのライブよりも転換DJが流すnever young beachのほうが盛り上がるという事実に強烈な違和感を覚えて。その違和感と、日頃ライブハウスで感じるコミュニティからの疎外感やディスコミュニケーション、女性との話しづらさが相まってああいった歌詞になりました(笑)
他人から聞いた話で言えば、たとえば「Leica Daydream」は知人のInstagramに上がっていた写真がモチーフになってたり、「Echo Park」が退出時に花を投げるというあるバンドのライブ演出をイメージしてたり、「放物線」がある人の過去を想像で描いたものだったり。あとはそこかしこに自分の周囲の人とかいろいろなカルチャーとかを連想させるシンボルが散りばめられています。ただ全部が全部そういう曲ばかりでもなく、「Ghost Town Polaroids」なんかはかなりファンタジックです。
–:夏botさんの作詞は同じフレーズを繰り返すという事が非常に少ないと思うんですが、この辺は意識してやっている事ですか?
夏bot:意識してる部分もあればしてない部分もあります。自分ではコントロールできない点で言えば、作詞の面でBUMP OF CHICKENやGalileo Galilei等の物語的な歌詞を書くバンドの影響が大きく、たとえばすべてのサビを同じにしたりするような歌詞を書くと物語を展開させづらいことや、同じフレーズを繰り返すにはそのフレーズがよほどのキラー・フレーズでないと説得力が出ず、現状では自分には安定してそれを生み出す力がないことが挙げられます。
一方ではそもそも歌詞に同じ言葉が複数回出てくるのを好まず、意識的に避けるような書き方をしている部分も多々あります。ただ今回は「Underwater Girl」や「放物線」などの歌詞に「綺麗」という単語が何度も出てきてしまっているんですが、無意識に書いた上でそれに代わる言葉が思い浮かばなかったのであえてそのままにしています。
–:eurekaさんは前作と比べるとボーカルが上達していて、特に表現力とか説得力が凄く上がっていると思うんですが、前回と比べて意図的に変えた部分はありますか?
eureka:これはもうレコーディング・ミックスをしていただいたTRIPLE TIME STUDIOの岩田さんのおかげですよ……。それ以外で自分で意識した部分としては、一曲ずつこんなふうに歌いたいなぁと意識して歌ってみたりしました。例えば「Ghost Town Polaroids」はMazzy Starの気だるげな感じを意識していたり、「Underwater Girl」は林原めぐみさんの「集結の園へ(綾波ver)」とか、いくつかの曲に「これやりたい!」みたいなのがあったのでふわっと真似たりしていました。
正直、前作は何をどうしたらいいかもわからず、ひとまず歌うことでいっぱいいっぱいだったので……。前作と比較できないですね……(笑)やっとスタートラインに立ちましたという感じ。

全体的に照れを捨てたよなって。前作も「俺たちがJ-POPだ!」って言ってたと思ってたと思うんですけど、もっとなんか…。

Photo by Ai Nakano



–:モードの切り替わりってお話だと、そのぐらいの時期かな?ライブで新しい曲をやったけど合わせがうまくいっていないっていうのがよくあった記憶が。
U-1:あー、それは毎度のことです!
一同:(笑)
U-1:今回に限らず.遡ると2012年から…夏botが前日に「Another Sunny Dayの『Anorak City』のカバーやろうぜ!」って。後、ライブ直前に音源投げてたりしてもう死ぬ思いですよ。
夏bot:でもスタジオの一週間前に投げても練習しないじゃん(笑)
U-1:そうそう。前日だろうが一週間前だろうが一ヶ月前だろうが練習しないです。
–:ひでえなあ(笑)
U-1:ひどい話です。はい。
–:「急激にバンドのモードが変化したから大変だった」って話かと思ったら単に練習しなかっただけという(笑)
夏bot:でも(練習しない方向で)初志貫徹してるよね(笑)
U-1:なんというかね、クリエイティブな発想とかそういうのに身体が追いついてない…アムロとは逆なんですよ。アムロはガンダムがアムロの反応速度についてこれなくなって…。
–:マグネット・コーティングの時ね。
U-1:そうそうそう!
夏bot:ああ、アムロってそっちのアムロね。今度引退する方のアムロ(安室奈美恵)かと思った(笑)
U-1:結局僕らって感覚はあるんだけど、感覚があっても技術がなくて…。
夏bot:感性が先走りすぎだよね。
U-1:アムロ並みの感性を持ってるけど下手くそなパイロットみたいな。
–:凄いニュータイプ感(笑)
夏bot:えーっと…音楽に話をもどして。
一同:(笑)
夏bot:The 1975っぽいアプローチとかは1stアルバムの「渚にて」でもやろうとしてたんですけど、それが今作になってようやく「Floor」みたいな忠実な形で再現できるようになって。1年経ってようやく技術が感性に追いついた感じですね。
–:マグネット・コーティング?
U-1:マグネット・コーティング(笑)そのうちサイコフレームとかも備えますから。
–:私はその辺って技術だけの問題かなと思っていて。例えば曲に対するシューゲイザー的なアプローチとかそういう部分が1stよりも大分吹っ切れているのを感じるんですよね。
一同:あー。
夏bot:そうですね。意図的に前作で抑えてた部分を解放しているのはありますね。全方位に極端に振り切れたピーキーな作品を目指したというか。例えば、前作では曲の元ネタをあまり表に出さなかったんですが、今回では思いっきり提示したりしています。後、半分は自分の分析力や再現力が今まで足りてなかったのが追いついてきたと思ってますね。
–:一枚アルバムを作って蓄積したものがフィードバックされている?
夏bot:そうですね。
U-1:演奏技術面以外は特別な苦労なかったよね。
夏bot:うんうん。
U-1:全体的にささーっっと行ってぱぱーっと行ってさらーっっと行って。ただ、技術の問題で時間がかかっただけで。
Mav.:うん、それ以外は特に苦労はない。余力60?75ぐらいで作った感じ。
夏bot:凄えな(笑)
Mav.:全体的に照れを捨てたよなって。前作も「俺たちがJ-POPだ!」って言ってたと思ってたと思うんですけど、もっとなんか…。
夏bot:「Outcider」(1stアルバム『Film Bleu』収録)なんかジュディマリだもんな。
Mav.:まあ、ジュディマリだわ、俺。まあJ-ROCKとか…
U-1:ジュディマリって…。
Mav.:J-POPっぽさとか…。
U-1:ジュディマリのポスター貼ってるからな…。
Mav.:うるせえ(笑)J-POPっぽさとかJ-ROCKっぽさに対する照れをすごくこの人(夏bot)が捨てたなっって思って。それが面白くなった原因かもなって思ってますね。その極め付けが「放物線」なのかなっていう。あの曲は凄さを感じますね。
–:私も前のアルバムと比べると「格好良さ」が際立っていると思うんですよね。格好つけている部分がきちんと曲の中で機能している。
夏bot:そうですね。前作は「格好よくしよう」っていうのをあまり思ってなくて、単純に「良い曲を作ろう」ぐらいの意識だったんですけど、今回は…そんなに明確に「格好をつけよう」とは思っていないんですけど…「ちょっと聴いている人を驚かせたいな」って意識で。ワウ・ファクターみたいなものを想定してはいました。
–:それが上手く機能した感じなわけですね。
夏bot:上手く…いってるんですかね?
–:いってるんじゃないですかね?
Mav.:いってるといいな(笑)
夏bot:実際僕たち(For Tracy Hyde)はずっと「このアルバムは凄え!」って言い続けてるんですけど、まだ誰にも聴かせてないので(注:このインタビューはリリース前の10/27に行われています)…みんながどう思ってるのかがわかんないっていう。
U-1:まあ賞味期限も今年いっぱいなんで。
夏bot・Mav.:早えよ!
U-1:すぐ3rdアルバム出して、全部さらうんで!そんでもう2ndみたいな事はやらないから。
Mav.:それ、だいぶやれない事が増えるよね(笑)だいぶ色んな事やったし…。
U-1:そんな色んな事やってる!?
Mav.:そりゃ色んな事やってるよ。
U-1:僕、結構偏り感じてて。音楽的視野を広げるとまだまだ偏ってるよ、まだまだ。
Mav.:今までやってない事でバンド編成でやれる事って何がある?
U-1・夏bot:全然あるよ。
夏bot:まあこの「アルバムが偏ってる」というとそうかな?とは思うけどね。
Mav.:「我々の技量で出来るもの」って制約をつけるともう全然無くて。
U-1:まあそこは関係ないですよ。
Mav.:全員がクビになるって手もあるしね(笑)
U-1:しめっぽくなるからやめよ(笑)
Mav.:まだ早い(笑)
夏bot:湿っぽい?
Mav.:インタビューの締めっぽい感じになるからって。
夏bot:ああ、そっちか湿っぽいかと思った。
U-1:ああ、「ウェット」な?
夏bot:「陰湿な」
Mav.:ああ、陰湿な方ね。
夏bot:インディーの「イン」は陰湿の「陰」だから。
U-1:メンバー間でこんだけ受け取り方違うとこみるとこう…僕らは何も共有できてないんだなって…。
一同:(笑)


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『he(r)art』/ For Tracy Hyde
2017年11/2リリース
フォーマット:CD / デジタル配信
レーベル:P-VINE
カタログNo.:PCD-83004
価格:¥2,300(税抜)
【Track List】
01. Opening Logo (FTH Entertainment)
02. Theme for “he(r)art”
03. Floor
04. Echo Park
05. アフターダーク
06. Dedication
07. Leica Daydream
08. 指先記憶装置
09. Underwater Girl
10. Ghost Town Polaroids
11. Frozen Beach
12. A Day in November
13. 放物線
14. Just for a Night
15. Teen Flick
16. TOKYO WILL FIND YOU
17. Halation
iTunes & Apple Music
Spotify


For Tracy Hyde
”he(r)art” Release Tour
TOKYO IS OURS

東京公演:
2018年1/7(日)渋谷 TSUTAYA O-nest
ACT:For Tracy Hyde / Koochewsen / evening cinma
Open 18:00 / Start 18:30
Adv ¥2,500円 / Door ¥3,000円(+1Drink)
チケット予約:
e+
ローソンチケット(Lコード:75828)
チケットぴあ(Pコード:101-648)

大阪公演:
2018年1/8(月・祝)南堀江 SOCORE FACTORY
ACT:For Tracy Hyde / Mississippi Khaki Hair / And Summer Club
Open 18:00 / Start 18:30
Adv ¥2,500円 / Door ¥3,000円(+1Drink)
チケット予約:
e+




2017.12.2 21:00

【INETERVIEW】sommeil sommeil MV「映画みたい」公開記念 しずくだうみ × 白岩義行 × リョウ(that’s all folks)座談会

photo by 飯本貴子





2017年10月4日に闇ポップシンガーソングライターのしずくだうみがプロデューサーを努める『sommeil sommeil』(以下、ソメソメが)デビュ―シングル「she never.」をリリ―スした。

同盤は、リリ―スに先駆けMVが公開されている『トーキョーシティ―ボックス』、『映画みたい』、『ミッドナイトバス』の3曲が収録されている。

また、新たに『映画みたい』のMVが公開されると聞き、今回、プロデューサーであるしずくだうみさん、『映画みたい』のMVの監督を務めた白岩義行さん、『映画みたい』並びに『ミッドナイトバス』の作曲をしたthat’s all folksのリョウさんにお話をうかがった。

お会いする前までは、お二人の印象は逆でした

–:まず、『映画みたい』のMVについて、どんなストーリーかお教えいただけませんでしょうか?
白岩義行(以下、白岩):設定だけしずくださんから頂いていて、すやりさんが喫茶店で働いている主人公。そこへ元恋人の男の子が別の女の子と一緒にやってきて、みたいな設定の指定がありました。お話自体もほぼそれだけといえばそれだけ、偶然鉢合わせてそれぞれがそれぞれなりの思いや戸惑いなどを表情でみせているだけで、何か出来事があるというほどのものでもないです。
–:しずくださんから設定が貰えたんですね。その設定というのは、詞を書いているときから、映像が思い浮かび、それを映像にしたい、という感じでしたか?
しずくだうみ(以下、しずくだ):実は思い浮かんだ映像とは全く異なっていて。洋画っぽい雰囲気が歌詞を書いているときは浮かんでいました。それを実現するといろいろな許可が必要になって、形にするのが難しそうだなってなって。
–:ということは、失礼な言い方になりますが、今回のMVは現実的に表現出来る範囲で作られたということになるのでしょうか?
しずくだ:そうとも取れるし、やりたいことを別アプロ―チで作り上げたとも言えるかな。浮かんでいた映像で外せない要素だけを抜き出して、それを当てはめ直す作業をしました。
白岩:喫茶店というのも、しずくださんが言う“外せない要素”の中には含まれていなくって、今回の撮影場所がカフェアリエということもあって、『だったら喫茶店が舞台だね』という感じで決まりましたね。
–:撮影場所ありきで、喫茶店になったと。
白岩:ストーリーなり出来事なりのあるなしは指定はありませんでした。ですが、僕が割りとなにも動きが無いような映像を取ることが多いので、わかりやすく出来事があってということではなくて、はっきりと『こういうものです』と見せないで受け取る方に想像してもらうほうがいいかなと思いましたね。なので、こういう作品になったかなと。


–:撮影時のエピソードはありますか?
白岩:待ち時間が多かった、ことですかね。メイクとかの準備が順調すぎて、撮影したかった陽が落ちる時刻よりも早かったので。それと、演じてもらう中でも動きとか台詞とか明確なものがないなかで自由に演じてもらったことが印象的でした。
しずくだ:あと、nemumiはたしか当日寝てないかなにかですごくテンションが高かった。彼氏役の役者さんとずっと喋ってて、喋ってくれて仲良くなるのは全然問題ないのだけど、『大丈夫? そのテンションで』と心配になるぐらいだった。どうやら、nemumiはコンディションが悪いときだと、反動で絶好調になるみたい(笑)。
白岩:それと対照的だなと思ったのが、すやりさんですね。近寄りがたい雰囲気がでてました。実は僕の中でお会いする前までは、お二人の印象は逆でした。すやりさんの方がお喋りでテンションが高く、nemumiさんの方がク―ルな方なのかなって。


–:たしかに。ソメソメのお二人は外見と内面も対照的なところありますよね。
白岩:あと、二人のお話で覚えているのは、コント番組が好きだって言うことで。『出てみたいよね!』って言ってましたね。
しずくだ:すやりがNHKの『LIFE!』が好きで、ずっとそのコントを真似してた。
–:もう一人の出演者だった鈴木浩文さんはどうでしたか?
しずくだ:やっぱり役者さんだな―って思った。
白岩:同じことをもう一度同じようにする再現能力がとても高い方だなと思いました。特にこれといった台詞やら行動を決めていなかったのですが、鈴木さんは鈴木さんが考えるプランで演じていて、リテイクのときにもそれを忠実に再現していただいていました。
しずくだ:終えてみて、やっぱりお願いできて良かったなと。
白岩:正直、実際に会ってみたときには役の印象と異なった方でした。大丈夫かなと思ってしまいましたが、それは裏切られましたね。適応能力が高く、見事でした。
–:やっぱり役者さんはちがった、ということでしょうか。
白岩:もちろん演技をきちんと学んできた方々にはそれに裏付けされる能力の高さなどがあります。ですが、ソメソメの二人には役者ではない人が出す魅力を感じることができました。

ガチオタだから、この人のLINEを知らないんです



–:続いて、『ミッドナイトバス』と『映画みたい』の作曲をしたThat’s all folksのリョウさんにお話うかがっていきたいと思いますが、最初に。しずくださんと知り合って長いのでしょうか?
リョウ:そもそもは、会う前にTwitterのやりとりからで。もえち(宇佐美萌・元BELLRING少女ハ―ト)から。
しずくだ:あーもえちか。
リョウ:共通の推してるアイドルがいて、その子の脱退、卒業が決まったときに、俺、すごい好きだったから彼女について曲を書いたんですよ。それで、冗談半分本気半分でTwitterに『誰か詞を書いてくれないかな―』って言ったら、だうみさんから『呼んだ?』って(笑) それからDMして、やり取りしてって感じです。
しずくだ:しかもこの人、ガチオタだから、この人のLINEを知らないんです。今もTwitterのDMでやり取りしてます。
–:ガチオタだから?
しずくだ:普通にオタクにはLINEを教えないから。それを頑なに守ってて、すごくめんどくさいんですけどTwitterを開いてDMを送ってるんです
–:……それってLINEとどう違うんですか?
しずくだ:オタクは相互フォロ―だったら、DMで雑談だったりとかチケット予約とかくるし、私は返すんだけど、それと同じ状況じゃないと他のオタクに公平じゃないからって理由でDMベ―スでやり取りしてるんです。
リョウ:どう思うかは人それぞれだけど、そういう行動をしてる人がいたらモヤモヤする人はいるだろうなって思うので。
しずくだ:頑なに『LINEでやり取りしない』というラインは守ってます。




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この二人だったらわかってくれるかな



「she never.」
2017年10/4リリース
フォーマット:CD
レーベル:そわそわRECORDS
カタログNo.:SOWACD006
価格:¥1,200(税込)
【Track List】
1.トーキョーシティーボックス
2.映画みたい
3.ミッドナイトバス

M1
作詞:しずくだうみ
作曲・トラック:田口禎也
M2
作詞:しずくだうみ
作曲:that’s all folks
トラック:田口禎也
M3
作詞:しずくだうみ
作曲:that’s all folks
トラック:田口禎也

レコーディング・ミックス・マスタリング:藤木和人
ジャケット写真:飯本貴子
衣装:みなみ
ヘアメイク:山本奈苗
協力:YORU、タンヒロキ
デザイン:I.N.


sommeil sommeil お披露目ライブ
sowasowa records night
~sommeil sommeilとはなにか~
2017年10/7(土)新宿Motion
ACT:しずくだ うみ(バンドセット) / sommeil sommeil(ソメイユ・ソメーユ) / that’s all folks / センチメンタルウインク / 水野谷みき
Open 18:30 / Start 19:00(予定)
Ticket ¥2,300(+1d)


2017.10.7 12:00

【INTERVIEW】『don’t watch the sun』/ iLU



ポップで浮遊感溢れる気持ちの良いコードワークを軸に、疾走する高速ビートやダンス・ナンバーからダウン・テンポまで縦横無尽に展開されるリズムが溶け合った秀逸なトラックに、キュートさとソウルフルさを兼ね備えたKUROの可憐で力強い歌声が重なったサウンドが大きな反響を得ているiLU。今回、そんなiLUのメンバーであるプロデューサーのShin WadaとボーカリストのKUROに話をうかがってみた。

Shinのトラックはイメージが浮かびやすく、メロ付けはどの曲も一瞬でした

–:iLUの結成から本作リリースまでの経緯を教えて下さい。
Shin Wada:「IN YA MELLOW TONE」というmellow hiphopのコンピがあって、最初知人からそれに合うような楽曲を作ってみないかという話をいただきました。そのトラックを去年の夏頃作ったんですが、KUROに歌入れを頼んでみたところ、これが驚くほど作業が早くしかもクオリティが非常に高かったんです。
ただその曲は結局「mellow hiphopではないね」と言われて(笑)使われなかったのですがそこから一緒に楽曲制作をするようになりました。
KURO:私はずっとソロ活動をしていて、基本的に作曲からアレンジ、コーラスワークまで全て一人でやることが多いので、他人のトラックにメロを乗せるということがまず新鮮でしたね。
Shinのトラックはイメージが浮かびやすく、メロ付けはどの曲も一瞬でした。ここに、私たちの音楽的な相性の良さを感じています。
6曲ほど溜まったとき、EPとしてオンライン発表したのですが、そのタイミングでアプローチしたところ、今回リリースするレーベル「PROGRESSIVE FOrM」から良い反応をいただきました。
もう少し曲を増やしてアルバムにしようという提案のもと、何曲か追加で制作し、結果的に今の10曲が収録されました。
ライブはすでに数回していたものの、ユニット名もなかなか決まらず、SNSも立ち上げてない状態だったので、そこからは鬼のスピードで準備していきました(笑)
–:数あるレーベルの中からPROGRESSIVE FOrMを選んだ理由を教えて下さい。
Shin Wada:僕の中では好きなアーティストであるAmetsub、M-KODA 、AOKI takamasa 等を輩出している老舗の名門エレクトロニカレーベルという印象を持っていてまさかiLUでリリースできるなんて想像もしていませんでした。初めて送ったメールも、「Hi check out my demos regards」みたいな感じで、聴いてくれたらラッキーぐらいに思っていたのに、しっかり音を聴いて返信をくれたレーベルオーナーのnikさんには頭が上がりません。
けどその反面、自分のproducerとしてのキャリアを始めるのはこのレーベルしかない!と思っていました。純粋にレーベルのファンでしたね。
じゃあちゃんとメールを送れ、と(笑)

生まれ持った個々の良さや自分の軸を押し殺されないようにしてほしい、という思いからです

–:エレクトロニカだけに留まらない様々なアプローチがバランスよく重なり合った作品となっておりますが、方向性的なものは当初からあったのでしょうか?
KURO:最初は単発で曲を仕上げていったので、ユニットとしての方向性はあまり明確ではなかったように思います。でもその分、ジャンルを縛らずに色んな曲にチャレンジすることができたので、良い意味で自分たちの可能性が掘り下げられたような気がします。
今、こうしてアルバムとして聴いてみると、多様性は持ちつつも自分たちのカラーが見える作品になったと感じています。
Shin Wada:「次はこういうことがやりたい」というのをどんどん試していきました。メロディーが素晴らしいと感じられるトラック作りとミックスは心がけてましたね。
自分の技術で他より優れてるところは「歌に寄り添う」オケ作りだと思っていて、挑戦的でありながらもメロディーを主役に持っていくことが自分の中でトラックメイキングする上での礼儀作法。そのマナーを守ることを1番大切にしました。
–:タイトルの『don’t watch the sun』はstolen weekend歌詞の一節にもありますが、どんな意味が込められていますか?
KURO:直訳すると「太陽を見るな」。太陽というものは、キラキラ輝いていて、時に信仰や時間の象徴ともなり、エネルギーをもたらしてくれる存在、というイメージがあると思います。
でも文字通り太陽を見ようとすると、まぶしくて目が焼けてしまいますよね。そして、近づけば近づくほど、予想を絶する熱さにやられてしまいます。
雲の上にある美しいものばかりみていると、大事なものを失ってしまう。このタイトルには、そういうメッセージが込められています。
表面的なイメージや、見た目、飾り付けばかり重要視され、地位や贅沢が価値あるものとされがちな現代社会の中で、生まれ持った個々の良さや自分の軸を押し殺されないようにしてほしい、という思いからです。
–:「inside -time relapse mix-」は元々はKUROさんのソロプロジェクトBLACKUR0の楽曲のリミックスですが、このアイデアはどちらからですか?
Shin Wada:この曲はKUROの曲で僕が1番好きな曲でした。ただ自分の思い描いてるミックス、アレンジとはまたベクトルが違っていたので自分の好きな感じの質感のクラブミックスにリミックスしました。
4つ打ちのビートって実はあまり得意じゃないんですよ。
M3「stolen weekend」も初めはKUROから「Nina Kravitzみたいなトラックで次はお願い」みたいなことを言われたんですが1mmもそれを感じないオケになってしまって(笑)
でもこの曲のリミックスアレンジはかなりお気に入りです。
KURO:iLUを結成する前から、Shinにはソロの曲を聴いてもらったりしていました。原曲は80’s UKのエレクトロ・ポップを彷彿とするような楽曲なのですが、このリミックスではShinの上品で浮遊感のあるトラックが、曲の新たな一面を見出してくれたと感じています。
–:「future note」は唯一のインスト曲ですが、この曲をあの位置に入れた意図について聞かせて下さい。
KURO:曲順は正直、迷いに迷って何回も考え直しました(笑)でも、最終的にあの位置に落ち着いたのは、アルバムのちょうど真ん中から後半にさしかかるポイントで、一種の切り替えのような、ちょっと耳をリセットするような役割を果たしているなと思います。
Shin Wada:レーベルオーナーのnikさんから1曲だけ他の曲に対して見劣りするのでは?と指摘を受けた曲があって、その曲は個人的にも確かに他の曲と比べて完成度が落ちると感じていた曲でしたのでその曲は一旦なしにして、昔作ったインストのトラックを入れてみたところ流れ的にもハマったのでこの曲を収録しました。
ちょうど touchで少し流れが切り替わるところだったのでアルバムの中でrestartする感じでいいなと。
この異常にこまかいブレイクビーツは打ち込んだビートを5つぐらいの違う音と別々のトラックにアサインしてキックを抜いて適当に並び替えて再生したらあんな感じになりました。こういうどこにもtutorialに載っていない作り方を見つけるのが好きです。

iTunesやSpotifyなどで新しい音楽に常にアンテナを張っているような音楽ファンの人々にアプローチできたらいいなと思います

–:お二人の制作環境について教えて下さい。
Shin Wada:メインのDAWはlogic pro 9、Logic Pro X、を使用しています。
“don’t watch the sun”の収録曲のリズムトラックは全てNative InstrumentsのMACHINE JAMを使用して作りました。
ハード音源はRoland INTEGRA-7。ソフトだとSpectrasonicsのOmnisphere 2、Native InstrumentsのKOMPLETE 11 ULTIMATE等をよく使用しました。
KURO:DAWはCubase Pro 8、インターフェースはRME社のbabyface proやSteinberg UR28Mを使っています。スピーカーはYAMAHA MSP5、モニターヘッドフォンはSHURE SRH-940です。
普段曲をつくるときは、ソフト音源も使いますが、シンセサイザーを数台持っているので、ハード機材も使用します。
–:本作はライブハウスやクラブといったシーンを問わないボーダーレスな作品となったかと思いますが、最後にそれぞれ今後のiLUの活動の展望について教えて下さい。
KURO:iTunesやSpotifyなどで新しい音楽に常にアンテナを張っているような音楽ファンの人々にアプローチできたらいいなと思います。日本ではあまり類をみないような音楽性なので、斬新なインパクトを与えられたら最高です。
これからもどんどん良い作品を残せるよう、楽曲制作に最大限のエナジーを注いでいきたいです。
テクノやドラムンベース系のイベントや、アンダーグラウンドでコアな音楽好きが集まるクラブでライブしてみたいですね。
Shin Wada:曲作りがメインだということは変わりません。
あとボーダレスにシーンを問わない活動っていうのはどんどん難しい時代に突入していると感じています。ジャンルがはっきりしていた方が圧倒的にシーンに自分たちの居場所を作れるんですが、僕はもっと根本的に言うと歌としての魅力があればジャンルは関係ないと思っているので
どうすればこの広いクラブミュージックシーンで友達が増えるかをこれから考えます(笑)







『don’t watch the sun』/ iLU
2017年9/15リリース
フォーマット:CD
レーベル: PROGRESSIVE FOrM
カタログNo.:PFCD71
価格:¥2,100(税抜)
【Track List】
01. one
02. inside -time relapse mix-
03. stolen weekend
04. wave trippin’
05. today
06. touch
07. future notes
08. it’s DOPE!!
09. gone heart
10. blue mind

all songs produced, composed and performed by iLU

lyrics by KURO

mixed and mastered by Shin Wada

artwork by mio motoi / codvoid.com




2017.9.28 17:57

【INTERVIEW】alicetales『fly me to the world e.p.』




約1年半前にインタビューをしたころはまだ2曲入りEPを数枚出しただけだったバンドが、2018年の年明けには念願のフルアルバムをリリースする。そんな話を知ったら、ぜひとも話を聞きたくなるものだ。様々な変化をともなったEPからは、ファーストフルアルバムへの期待値がうかがい知れようが、このインタビューからもその期待値を窺い知れると幸甚だ。

前回のインタビューはこちら
【INTERVIEW】alicetales http://indiegrab.jp/?p=34202

もともとはSuperchunkのような雰囲気のバンドをやりたかったんですけど、いまはもとに戻ったなというのは感じます。(kyosuke)

–:去年のインタビューから1年ほど経過して、その時は2曲入りのe.p.を3作リリースして、ライブをしていました。そこから、7月にI HATE SMOKE TAPESから『FRATERNITY e.p.』 を発売し、2017年にかけてライブを継続的に行なってきて、最新EP『fly me to the world e.p.』を今年の9月にリリースしました。そもそもなぜこのEPをこのタイミングでリリースすることになったんでしょうか?
kyosuke:もともと、フルアルバムを作ろうという気持ちで曲をどんどんと制作していったんですけど、いろいろと事情が出てきて、1枚に詰め込もうとした楽曲のいくつかをこのEPにしたんです。 なので、このEPを作ろうとしたわけじゃなくて、このEPはあくまでフルアルバムに向けた前哨戦といった感じの作品といえますね。
ichikawa: 最初に11曲までプリプロを仕上げていて、その後に「5曲入りEPを先にだしてみないか?」という話になったので、11曲のうちから5曲選んで出した感じですね。
kyosuke:なので、第1章から第5章までの一連の流れがある、というような感じではないんですよ。
–:そのフルアルバムは、いつごろにリリースされるとか予定はたっているんでしょうか?
kyosuke:今のところ年明けごろには出していきたいですね。
–:レコーディングはどのあたりまで進んでいるでしょう?
kyosuke:半分くらいまで進んでます。
–:バンドの調子はどうでしょうか。1年ほど前にインタビューしたときからは色々と変わったことが多いと思えますが。
task:やってるほうからすると、やっぱりわかんないものですよ。
ichikawa: よりポップさをキュっと濃縮していこうって感じだよね。
kyosuke: そうだね。ポップな曲を作っていきたいというモードに入っていますね。「inverse」 や「ayakafly」などを作っていた時期にはポップパンクに寄っていこうと思っていたんですけど、 いまはギターポップに寄りたいというモードになっているように思えます、たぶん(笑)
task:楽曲のアレンジメントとか「これはどうしようか?」という話を、よりメンバー間で多くするようになりましたね。
–:作曲のときは、前にお伺いしたように、kyosukeくんがある程度のデモを作って、3人に投げて、そこで出来たものを組み合わせつつ、アレンジを4人で練っていくという流れは変わってないんですね。
kyosuke:そうですね。プラスすると、その頃よりも細かくアレンジについては話をしてると思います。
–: ここまでの話を聞いていると、「ポップ」という言葉がすごく出てくるんだけど、僕は今回の作品『fly me to the world e.p.』を聞いた時の印象と近いんですよね。音色が柔らかいな、というのが第一印象。ちょっと前にライブを見させてもらった時やこれまでの音源もそうだったけど、 alicetalesはラウドだしノイジーなサウンドがウリだった。それが今作では変わったと思えます。ichikawaくんはFloat down the Liffeyというバンドでの活動も活発だし、kyosukeくんはプライベートな話だけどもご結婚もしたわけで、大阪でライブも出来て、自分たちの仲間と言える人がちょっとずつ増えてきた。そういった変化が表に出たのかな?とうっすら思ったんですけど。
ichikawa: 確かに前の作品や姿勢と比べてみると、より尖る方向に、パンクやメロコアな方向にも振り切れることもできたよな、と思えますね。でも去年から曲作りをするなかで、オルタナティブなポップさ・・・90年代前半のUKオルタナティブバンドのような方向性にに寄っていったと思います。特に話し合って決めたわけでもないんですけどね。
–: 実は、去年kyosukeくんに誘われて酒のんだことがあって、そのときに「ラッパーの KOHHって知ってます?あいつ超かっこよくないですか!?」ってかなりの熱量で語りだして、盛り上がったことがあったんです。
そのとき「KOHHがああいうものを作ってしまうと、僕らロックバンド側はどういうアンサーを返せるかわかんなくなるんですよね」と聞いてきたんです。前にインタビューしたときは、「やりたいからやってる、やらされているわけじゃない」と言っていたところから、一個ギアあがったんじゃないか?と思ったんですよね。その辺、意識としては変化はあったんでしょうか?
task:メンバーの僕ら3人がいるから、という使命感が大きいんじゃないですかね。バンドを続けていくうえで、新しい曲を作っていくというプレッシャーが大きいのかなと思います。
kyosuke:最初にこのバンドを始めたとき、そこまで深くは考えてなかったのは確かなんですよね。「ライブででかい音鳴らすの楽しいじゃん」という感じがあってメロコアな曲をやったりもしたけども、コードを弾いたとき自然にでてくるメロディを歌うような、そういう曲のほうが僕らには合ってるなと思います。そういうのが肌に合いますね。
もともとはSuperchunkのような雰囲気のバンドをやりたかったんですけど、いまはもとに戻ったなというのは感じます。



正直言って、HIPHOPの影響はありますね。(kyosuke)「ここにこのフレーズを入れると面白いんじゃないか?」と思えたときだけ引用してます。(ichikawa)

–:今作5曲ありますが、せっかくなので4人に色々と聞きたいなと思います。これも根本的な話になっちゃいますが、5曲を選んだ基準はなにかあるんでしょうか?
kyosuke:曲調も考慮はしたんですけど、一番の基準は文字の形でした。これは前にツイッターでちょこっと書いたと思うんですけど、オレにはイメージや形の共感覚みたいなのがあって、この文字の感じで1曲目はイヤだとか、この文字の感じで2曲目はイヤだけど3曲目ならしっくりくるとか、そこが最初の基準でした。
–:このEPのタイトルは『fly me to the world e.p.』ですけど、これまでアニメやエロゲのアナグラムを積極的に採用してきたことから察すると、エヴァンゲリオンの『Fly me to the moon』が元ネタだったり?
kyosuke:作品にタイトルをつけるときに、文字を一個一個当てはめていって、一番「違和感」 がなかったタイトルだったのが、これです。ほかにも候補ありましたし、『Fly me to the moon』 がエヴァンゲリオンのエンディングテーマだって気づいたのはその後のことですね。
–:1曲目「flya」もアニメかエロゲのアナグラムかなと思って、色々と思い出してみて考えてみましたが、答えを教えてほしいですね。このタイトルはどこから取ったんですか?
kyosuke:オレがものすごく好きな『Flyable Heart』っていうゲームです、むっちゃくちゃ名作なんですけどね。
–:そのゲームはやったことありますね(笑)
kyosuke:もしかするとこれからやる人がいるかもしれないんで、シナリオが云々というのはスルーしますが、この作品にはタイムマシンが出てくるんですけど、そのタイムマシンの通称がフライア、そこから取ってます。僕らみんな『Back to the Future』のようなタイムリープものの作品も好きですし、ちょうどいいなと思ってこのタイトルにしました。
–:ちなみに、歌っている内容もそういった内容なんですか?
kyosuke:関係ないですね!
全員:(笑)
kyosuke:歌詞って全然重要じゃないんですよね。歌詞で何かを伝えようとしてないし、そもそもオレらはバンドの音がデカイので、ライブハウスではなに言ってるか聞き取れないじゃないですか(笑)なのでそんなに意味はないです
ichikawa: パセリみたいなもんですよ
task:今回から歌詞カードがついてますけど、ちゃんと読まれたら危ういところもあったりするので、読みたい人がいれば読んでみてもいいですね。
–:「flya」が特にそうだなと思えるんですけど、やっぱりこのバンドはツインギターがカッコイイ。制作している時、2人でギターフレーズなどを考えるときはあるんですか?
ichikawa: ないです
kyosuke:ないね、本当に
ichikawa: やりとりというと、例えばどういうことを指しますか?
–: ここでこのフレーズを弾いてる時は、下でバッキングするか?それとも2人でオクターブで弾くか?みたいな話し合いですね
kyosuke:あんましないですね…
ichikawa: いや、まったくしないでしょ(笑)
task:傍からみている感じだと、いくつかパターンを伝えて、それをよりよく弾いてくる感じなんですが、その話だとイッチーさん(ichikawa)が9割、キョースケさん(kyosuke)が1割くらいの作業に見えてます。
–:99%くらいichikawaくんフレーズなんですね
ichikawa: そうですね。間違いないです(笑)
–:3曲目「shortsword」がまさしくそのまんまなんですけど、alicetalesはクラシカルなロックバンドのギターリフをそのまま引用していたりするじゃないですか
ichikawa: 全曲に仕込まれてます、秘密のギターフレーズという感じですね
–:すぐに気づけるものもあれば、「聞いたことあるけどなんだっけ?」とすぐに思い出せないものもあって。もしかすると聴く人によっては、「これ超かっこいいわ!」と思えるフレーズが引用してきたフレーズの可能性があるわけで。しかも多彩な音色の中で弾かれているから、玄人でも一聴して気付かないものも多い。クラシカルに聞こえないで、新しいものとして聞こえてくる、サンプリングと表現がうまいとつくづく思わされました。
kyosuke:僕らが育ってきたのがシューゲイザーの方々のなかだったので、エフェクターの力を使うというのは慣れているんですけど、その名残だったりしますね。
–:「flya」の話に戻るけど、これも確かそうだよね?曲の冒頭でnakamuraくんが歌った後に ichikawaくんのギターがぶん殴るようにど派手に入ってくる流れなんだけど。
ichikawa:「The Wagon」ですね
kyosuke:Dinosaur Jr.の「The Wagon」っていう曲を聞いてもらうとすぐに分かるかと思います。



–:サンプリングとしてフレーズを取り入れるのは意識するのかな?
kyosuke:「これそのまんま使えるじゃん!やったぜ!」みたいな
ichikawa: 意識してますね。2曲目「my worlds down」のギターソロの真ん中あたりで 「Roll Over Beethoven」のフレーズを使ってるんですけど、「どうやったらうまく入るか?」 というのを考えるのは好きですね。
–: 3曲目の「shortsword」とかもそうだけど、イントロでTHE BEATLES、最後にGuns N’ Rosesを持ってきてて、まさにサンプリングで作られたかのような感じだけども。
ichikawa: 最初にこの曲を聞いた時、「ちょっと物足りないな」と思っていたんです。その後に 全体のアレンジメントをどうしようかと決めてる中で、僕らが愛してやまないLOVE LOVE STRAW の「elevator girl」を引用してみたらどうだろう?ということになり、こうなりましたね。頭のサビのアレンジなんかは、完璧にそれです。イントロの「A Hard Day’s Night」 のフレーズも、原曲通りだったりします。
kyosuke:もともとオレが作ってた曲の感じとは変わったよね。Aメロのコードも違うものになったし。
–: さっきKOHHの話をしたのも、「ヒップホップミュージックのサンプリング文化に影響されたのかな?」というのを薄っすらと感じたからこそ伺ったんですけども、その辺はどうなんでしょう?
kyosuke:正直言って、影響はありますね。面白ければなんでもいい、という感じでもあったり。
task:演奏している僕らもすごく楽しいんですよ。曲作りがめんどくさくてパクったということじゃないし、逃げてるつもりもないんです。思いつきで組み込んでみたら物凄くハマって、僕らもノリノリになって演奏できるというね。
kyosuke:そもそも、好きだからこそそういった発想も出てくるし、自分たちの曲に組み込みたいと思えるんですよね。ぜんぜん好きでもなんでもない曲からの引用なんてしないですし、好きな曲からしか引用しないですよ。
ichikawa: 実際僕がギターフレーズを考えてる時は、「ここにこのフレーズを入れると面白いんじゃないか?」と思えたときだけ引用してます。この3曲目の「shortsword」のGuns N’ Rosesの部分は、家でレコーディングしているとき、アウトロが曲アタマと同じ感じでは面白くないなと思って試行錯誤してでてきた感じなんですよ。
task:録音版を聞いた時、「これスタジオのときと違うじゃないですか!しかもガンズだ!」って笑いましたもん(笑)





『fly me to the world e.p.』/ alicetales
2017年9/2リリース
フォーマット:CD
レーベル:McFly Records
カタログNo.:MCFR-0013
価格:¥1,000(税抜)
【Track List】
1. flya
2. my worlds down
3. shortsword
4. his existence is racial discrimination
5. mescaline
【取扱店】
・HMV record shop 新宿ALTA(東京・新宿)
・FLAKE RECORDS(大阪・南堀江)
・RECORDSHOP ZOO(愛知・名古屋)
・Holiday! Records(ウェブ通販・各ライブ会場)
・McFly Recordsウェブストア(ウェブ通販)



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たくさんあるデモの中から、オレがどうしてもやりたいとお願いした曲なんです

2017.9.27 21:57

【SELF LINER NOTES】carpool 嵯峨山諒による1stアルバム『Come & Go』メモ



carpoolがアルバムとソノシートのシングルをリリースすると聞いて、彼らが1日店長をするという新代田えるえふるに行ってみた。
そこでフロントマンの嵯峨山諒が来場者に手渡していたA4の紙には、アルバム『Come & Go』の全曲に対する彼の手書きのセルフライナーがしたためられていた。
当日店内に流れていたマスタリングが終わったばかりという音源を聴きつつこのセルフライナーを読むという時間が非常に楽しく、これはここの来場者だけでなく彼らのアルバムを耳にした人やこれから耳にする人全てにも読まれるべきなのでは?と思い、その場でセルフライナーの掲載交渉をしてみた。
以下は快諾をもらって掲載させてもらっているセルフライナーの全文。
6/28に発売された『Come & Go』を聴きながら、未購入の方がどんな内容なのかを思い浮かべながら…思い思いの方法で読んで彼らのアルバムへのアプローチをしてみてほしい。




carpool 『Come & Go』メモ
マスタリングから一夜あけ、何度か家や外でアルバムを聴いてみたのですが、「いい曲色々入ってるなー」というくらいで、まだまだどういうアルバムかわかってないのですが、そういうのはそのうち色々気付いていくものだと思うのでよいとして、とりあえずこの曲はこうだったなーとか、こういう曲を参考にした、とかそういうことをメモっておこうというのがこの紙。何も考えずに書くのでうまくまとまるか不安でしたが、多分なんとかなった(執筆後)長いけどよかったら!
2017.05.28 嵯峨山諒

01. 漫画

なんかでっかい曲が作りたい、と思ったのかどうかはおぼえてないのですが、できた時は今までにないのできたなーと思ったような…。なんか漠然とでかいロックの感じとOnly Realの「Get it on」のミックスというか。歌詞もできた時はこんなんでいいのかなと思ってた気も。ともまつさんのコーラスと最後の湯浅のギター(サビ)が好きです。ロックのバカ感が好きだし大事だと最近思います。笑っちゃうようなカッコイイ感じとかね。



02. Summer’s Coming

短くてかっこいい曲作りたいと思って作ったような…?寺田が入ってから作った気がします。Superchunkの名盤『Here’s to Shutting Up』の2曲目が「Rainy Streets」という曲で、2曲目だけどそこでアルバムが始まる感じがよくって、そういうのが作りたかった。いい感じに仕上がった。



03. 予感

ともまつさんとZINEを作ってた時に作って入れた曲。もともとずっとあった2コのアイデアをくっつけてみたら成立するなと思ってできました。スーパーカーの「Lucky」や「DRIVE」、ゆずの「みぞれ雪」が元ネタっぽいもの。
ZINEのテーマは「恋」だったので、当時の自分としては自分史上1番くらいのラブソングな気持ちでした。レコーディングで城ちゃん(城明日香:ex. 恋する円盤)が歌ってくれてマジで泣ける感じになりました。城ちゃんにスタジオで歌ってもらった時、良すぎてみんな笑っちゃうテンションだった。「バンドでやれ」と言ってくれた内田るんさん、ありがとうございます。
PV撮影も楽しかった。PV見てね。



04. いい風

2014年、多分メンバーが減ってスタジオで新しい感じの曲を色々やってた時できました。シャムキャッツの「MODELS」に多大な影響を受けています。バカっぽいけど憎めないというか、なんだかんだでイイ奴みたいな曲かもしれません。素直さ。生活の肯定をしていきたい。ミックスでムチャ悩んだんですが、最終的になんかイイ感じになった。



05. hi

「ロックのバカ感が大事」というのが最もストレートに出た曲。Vampire Weekendの「Diane Young」とか、アレンジやミックスのムチャクチャさに勇気をもらい参考にしました。スタジオで作ってる時楽しかった気がする。なんかうまいこと言ってるバカっぽい歌詞も気に入っています。チャーミング。



06. TPO

気に入ってる曲。よくお風呂入ってる時に曲ができるんですが、この曲も多分そう。ストロークスっぽい感じだけど案外ストロークスにめちゃ似てる曲はなかった。間奏がバカっぽくて良くないですか?歌詞はサビができた時そうだな〜と思って、すぐできるかなと思ったけど、色々言いたいことあるし、完成まで時間かかりました。割と最近の曲です。ミックスがけっこうむずかしかったです。




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『Come & Go』/ carpool
2017年6/28リリース
フォーマット:CD / デジタル配信
レーベル:PASSiON RECORDS
カタログNo.:PSON-003
価格:¥2,000(CD、税抜)
【Track List】
01. 漫画
02. Summer’s Coming
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2017.7.2 20:57

【INTERVIEW】『Contact』/ Frasco



タカノシンヤと峰らるによる東京のメタポップ・プロジェクト Frasco。
1年ほど前にふとSoundCloudに現れ、印象的であり、どこか奇妙さを漂わせる曲を発表し出したかと思うとsuppa micro pamchopp氏がプロデュースを務めるようになり、六本木ヒルズで行われるイベントの提供曲を書き下ろし等を経て、わずかな期間でEP『Contact』を自主レーベルよりリリースするに至った。
ここまで彼らの活動を追っていて気がついたのだが、自分でも意外なほどFrascoの事で知らない事が多い。
Frascoのタカノシンヤとはやりとりがある事を幸いに彼らにインタビューを申し込んでみた。



メロディーを仕事中に思いついてしまって「あ、いいかも」とか思ってたらどんどん忘れていくんですよね…「脳のバカヤロウ!」とか言って急いでトイレに駆け込んで小声で歌ってスマホに記録したのを覚えてます(笑)

–:EP『Contact』のリリースおめでとうございます。リリースが終わっての感想はいかがですか?
タカノシンヤ(以下 タカノ):ありがとうございます、ようやくって感じです。Indiegrabさんに初期のSoundCloud(以下「サンクラ」)の曲を取り上げていただいたあの頃が遥か昔のようですね。CDリリースってやはり大変なことなんですね(笑)。
峰らる(以下 峰):ありがとうございます。手探りで進めることも多かったんですが、なんとか形になって嬉しいです。
–:今作はsuppa micro pamchoppさんプロデュース以降の割と幅広い時期の作品から収録曲を選んでいるようですが、こちら選曲の基準みたいなものはありますか?
タカノ:基準は特にないですが、周りから反応の良かった曲と、自分達が気に入ってる曲をバランスを考えつつ選んだ感じです。
–:「反応の良かった曲」と「自分たちの気に入ってる曲」がどれかを教えてもらってもいいですか?また、「気に入ってる曲」についての思い入れも聞かせてください。
タカノ:Dance、PEA、IrritationはライブやSNSで反応良かったので入れました。元気な曲が多すぎるかなと思ってシメにBlueをもってきた感じです。思い入れはどれも強いですけど、自分は特にDanceかな。この曲、メロディーを仕事中に思いついてしまって「あ、いいかも」とか思ってたらどんどん忘れていくんですよね…「脳のバカヤロウ!」とか言って急いでトイレに駆け込んで小声で歌ってスマホに記録したのを覚えてます(笑)。これはシンセのアレンジも結構苦労したのでリリースできて良かったです。
峰:サンクラに公開している時はDanceが人気高めの印象でしたが、リリース後はPEAの好評をいただくことが多い気がします。
Contactの4曲の気に入り具合は甲乙つけ難いですね…悩む。
Irritationはライブの定番なんですが、歌っててこの曲の番が来ると張ってた気がほぐれるので、個人的にこの曲は大切です。ポケポケしてるのが良い。

Toro Toro Sounds ロゴ



–:今回自主レーベルのToro Toro Soundsからのリリースとなりますが、こちらのレーベルはいつ頃から準備されていましたか?
タカノ:元を辿れば最初にツイッターやサンクラ、HP等のドメインを取得する時に当たり前ですが「Frasco」では取れなくて、でもブランディング的に統一感を出そうということで語尾にttsというのを付けてたんです。それが何かの略ってことでレーベル名みたいな感じを意識はしていて。それで年末年始くらいにCDリリースの話が出て「自主レーベルならTTSだ。じゃあTTSは何の略にする?」みたいな感じで峰とアイディアを出しあって「Toro Toro Sounds」という名前に落ち着きました。実際にレーベル業務が動き始めたのは今年入ってからですね。
–:略称から先についた名前なわけですね(笑)既存のレーベルではなく自主レーベルからのリリースというのはどのような意味合いを持っていますか?また、色々ご苦労があったと思いますが、一番大変だったことは?
タカノ:元々配信リリースは「PLAY TODAY」にお世話になっているのですが、フィジカルはやってないということだったので、「ならば今回は自分達でやってみようではないか」という流れでこうなりました。自主レーベルは自由度は高いですが、発注からPRまで全て自分達でやらなければならないので大変ですね。流通はULTRA-VYBEさんと話し合いながら進めまして、リリースに際してかなり親身に相談に乗ってくれて助かりました。あとは峰らるがレーベルロゴやCDのアートワーク等、デザイン関連を全てやってくれたので、そっちが一番大変な作業だったと思います。お疲れっす。オス。
峰:思いの外グラフィック系の作業が沢山あったので、私は暫く外界との交流を絶って引きこもり作業してたんですが、その間対外的なことは全部タカノがやってくれたのでそちらも大変だったと思います。Frascoは音作り以外の部分でも分業化されてるので何かと便利です。
タカノ:ちょっとベンチャー企業感ありますね。
–:Toro Toro Soundsですが、こちらは今後どのように運営、展開したいというようなビジョンはありますか?
タカノ:今のところは自分らがフィジカルリリースする時だけの便宜上のレーベルって感じですね。ただ峰らるが考案したロゴマークがかわいいので(笑)、今後レーベルの存在自体が広まっていっても面白いかもと思いますが、音楽活動と並行してレーベル業務をガンガンやってく余裕はまだちょっとないですし、何ならどこかにうちらのリリースをお願いしてもいいくらいに考えてるんで(笑)、自主レーベル的な展望とかは何も決まってません。

『Contact』はFrasco入門EPでもあると思うので、聴いた人にFrascoの世界に溶け込んで堪能してもらいたいと思ってまして、そのままを描きました

–:今回リリースパーティー、大阪、福岡、東京と開催されましたが、それぞれいかがでした?各パーティーで一番印象深かった事を聞かせてください。
タカノ:どこも最高でしたね。
大阪は主宰してくださった西川さんの采配のおかげもあり共演の方々との化学反応が素晴らしかったです。mukuchiのマリさんとは去年秋に調布の小さなバーで出会って「いつか一緒にライブやりたいね」と話してたので再会出来てほんと嬉しかったですね。
福岡は、僕は人生初だったんですけど、博多についてそのままタクシーで会場のDai-tuに直行したらいきなりHisatooさん(主宰)が握手で「おかえり!」と出迎えてくれて(笑)。イベント自体とてもアットホームで良かったです。熊本からはツイッターで交流のあったNostolaも参加してくれて、皆さん本当素敵な方ばかりで良い出会いにつながったイベントでした。
東京はもう、御存知の通りバチカの床が抜けるんじゃないかってくらい満員御礼で(笑)、めちゃめちゃありがたかったです。普段仲良くしていただいてる皆さんからお祝いでフラスコの容器に入ったお花が届いたのも感動でした。

東京リリパ会場に飾られていた花

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2017.7.2 19:00