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INTERVIEW

【INTERVIEW】阿佐ヶ谷ロマンティクス『街の色』



古今東西、素晴らしい音楽には、何かしら一方向に向けられた統制が取られている。それはコード進行によるもの、それは音の質感によるもの、それは音に乗って運ばれる言葉やテーマ、そして音楽を紡ぐ者の想いによるもの。
それぞれが絡み合い、一つの統制とバランスが整った音楽は、総じてグッドソングになって聞く人の心を揺り動かしてくれる。

今回インタビューに答えてくれた阿佐ヶ谷ロマンティクスは、今年1月に初アルバムとなる『街の灯』を発表した。レゲエ/ロックステディのルーズなグルーヴ、J-POP/歌謡曲のメロディ、切なさと無情感に溢れた言葉、3つが混ざりあった叙情的な
グッド・ミュージックとなった。バンドの中心人物である貴志とドラムの古谷に、今作を通じて彼らバンドのメカニズムと意識を聞くことができた。

古谷『対バンしたバンドの中で、一番仲が良いのはWanna-Gonnaですね。マインドが私達と凄く似ているんです』

草野:阿佐ヶ谷ロマンティクスさんのプロフィールを追いかけてみると、川口や代々木や新百合ヶ丘などが出てくるのですが、結成は早稲田大学ということでよろしいでしょうか?
貴志:早稲田大学の中南米研究会というサークルに入っていて、サークルを引退した後に集まって結成しました。
草野:顔を見合わせていた5人だったんですね。早稲田の音楽サークルというと、オリジナルの曲を作って披露するサークルもあるわけですが、どういった音楽をコピーしていたんでしょう?
貴志:カプリソ/ロックステディ/レゲエ / ダブなど中南米の音楽です、といってもメインはカリブ海の音楽をコピーしていました。僕はロックステディが好きだったので、The Heptones、Uniques、Paragons、Derrick Harriottとか色々やってましたね。
草野:ものすごく根本的な話なんですけど、そういった音楽と出会ったのはいつごろだったんでしょう?
貴志:大学に入ってからですね。
草野:ということはそれまで全然違う音楽を聴いていたんですよね?古谷さんはどうでしょう?
古谷:東京スカパラダイスオーケストラとかフィッシュマンズを聴いているうちに、興味を持つようになりました。
貴志:先輩に教えてもらったり、レコードショップ行ったり、御茶ノ水のジャニスに行ったり、Youtubeなどでdigったりして良い曲を見つけるとコピーしていたんです。
古谷:そうやって見つけてコピーをするんですが、ガッツリと完璧なコピーをするんじゃなく、途中からソロを回してみたりして、ふわっとコピーする感じですね。
草野:ジャズみたいですね。
貴志:全然原曲に忠実ではやってなかったよね。
古谷:元々はリバーブがかかってないのに、「ここでリバーブかけてスネアいれよう!」って感じでやってみたり、ものすごく遊んでました。
草野:普通の軽音部とかですと、ロックバンドの曲をそのまんまにコピーして満足というような感じになりがちですが、全然違いますね。
貴志:ガッツリ3年間、カリブ海地域の音楽に浸ってましたね。
草野:なるほどです。濃密な3年間を過ごしてサークルを抜けた後、阿佐ヶ谷ロマンティクスを結成することになったということですが、なぜ結成することになったんでしょう?
貴志:サークルを引退して演奏機会が無くなってから外にアウトプットしていきたいという気持ちが強くなったのがきっかけです。
古谷:あとは単純に、バンドをやりたい!という気持ちが大きかったですね。
草野:阿佐ヶ谷ロマンティクスというバンド名ですが阿佐ヶ谷に強い思い入れがあるということでしょうか?
古谷:阿佐ヶ谷という街はメンバーみんな好きなんです。最初にメンバーみんなで集まった場所でもありますし、思い入れは強いですね。
草野:バンドを始めるにあたり、「こういうバンドになりたい」とか「こういう音をやりたい」というような具体的なイメージはあったんでしょうか?
古谷:レゲエとポップスをうまくミックスできた音楽がやれればいいねという話はざっくりしましたね。参考にしたバンドとかあったっけ?
貴志:無かったと思う。個々人で参考にしていたものはあると思うけど。
古谷:まずギターで弾き語った音源を、みんなに聞かせてから曲作りを始めるしね。
草野:その点をお聞きしたかったのですが、曲作りはどのように進んでいくんでしょうか?
貴志:他のバンドよりもアバウトだと思います。私が紙にコードを書いてみんなに配って「雰囲気はこんな感じ」とザックリ伝えているだけですし。
古谷:「雰囲気は分かるでしょ」みたいな?
草野:どういう雰囲気ですかそれ(笑)
貴志:スタジオで合わせて、録音した音を持ち帰ってトライアンドエラーして積み重ねで作っていくのが、僕らのやり方ですね。



草野:貴志さんの中で完全に作り込んで、そのとおりに演奏してくれ!という流れではないんですね。
貴志:そうですね、完全にメンバーにまかせてます。もちろんメンバーが奏でてる音が自分の想定していたものと違うと指摘はしますが。
古谷:そういう場面になると、メンバーに「違うよね」という話をしてくれます。ただまぁ、すごい細かくなときとすごいアバウトなときの差が激しいんですよね(笑)アバウトなときは叩きながら顔だけで表すし、的確なときは「バスとハイハットの間を埋める感じで~」とか「ベースよりももうちょっと後ろで叩いてみて」みたいに言ってくれますね。
貴志:このバンドは民主主義的だと思っていて、そこまでガッチリ作り込んでみんなに弾いてもらうというやり方はこのバンドの曲の作り方じゃない。最初はみんなに自由に投げたほうが想像以上のものが出来る。サークルから知っていて信頼しているので、彼らがどういう音を奏でるかも大体わかるし、お互い譲れないところは譲らないし。それが丁度いい塩梅なのだと思います。
草野:これまで対バンしたバンドのなかで、仲の良いバンドやライバルといえるバンドはいますか?
古谷:一番仲が良いのはWanna-Gonnaですね。マインドが私達と凄く似ているんです。
貴志:自主企画に呼んでもらったりしているしね、なにかあったら彼らを呼ぶみたいな(笑)
古谷:お互いにリスペクトしていて、切磋琢磨している関係かなと思います。
貴志:あとは夕暮れの動物園でしょうね。一緒にスタジオに入ったりします。年齢は離れているんですが、すごい良好な関係だと自分の中で思っています。

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自分の野望としては、リスナーの方が自分たちの音だけで・・・

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2017.3.16 22:08

【INTERVIEW】『Asylum Piece』Fragile Flowers




ex.Boyish、ex.TenkiameのNakamura Ryuichi。
soundcloudにソロ名義の曲をアップし続けた彼がFragile FlowersというユニットでEPをリリースすると知り、詳細な情報を知った時、その内容に驚きを隠せなかった。
「Bad End盤」「True End盤」という2バージョンのリリース、豪華な参加アーティスト、そしてブラッシュアップされた楽曲の数々…楽曲に散りばめられた彼の嗜好や引用。
これらを読み取りながら聴いていくうちに、Nakamura Ryuichiという人との対話をしていくような作品となっている。
この作品を作るためにどのようなプロセスや背景があったかを確かめ、また作品から一歩踏み込んだものを確かめるためにインタビューを申し込んでみた。

ただ引きこもって物語を摂取した日々は確かに自分の血肉になっていたのだと分かったことも喜びでした。


–:とにかく今現在のNakamuraさんの全部をぶつけているなというのがまず一聴した時の印象でした。普段twitterで拝見している音楽の嗜好等がこれでもかと込められています。
音楽、文学、ゲーム、アニメなど様々な作品を一度Nakamuraさんの中に収めて、そこからの引用やイメージを構築して作る作業はかなり複雑だったと思いますが、その辺りの苦労はいかがでしたか?
Nakamura Ryuichi(以下:Nakamura):今まで自分はアウトプットする作業を全くしてこなかったので、作詞作曲に関しては楽しくて仕方なかったです。書きたいことは沢山あって常に頭の中でいくつもフワフワしていたのでそれを繋ぎ合わせる感覚に近かったです。引用するにも自分の言葉で翻訳したりする過程があったので、その作業がとても楽しかったです。自分にはこんな引き出しがあった、ただ引きこもって物語を摂取した日々は確かに自分の血肉になっていたのだと分かったことも喜びでした。
–:タイトルの『Asylum Piece』はアンナ・カヴァンからですか?
Nakamura:そうですね。僕は彼女の作品、特に長編『愛の渇き』、『あなたは誰?』『氷』、と短編集『アサイラム・ピース』が大好きで、『アサイラム・ピース』は病室の中で繰り広げられる救いの無い群像劇がとても冷酷でヒリヒリした文体で書かれていて、とても大好きな作品です。
–:このEPは読書体験も大きく影響しているとの事ですが、このEPに特に影響を与えている作家や作品は?(書籍、文学作品的な意味合いで)
Nakamura:アンナ・カヴァンは翻訳されているものは全て。加えて主な国内作家を上げると、大江健三郎、唐辺葉介、久坂葉子、高橋源一郎、太宰治、飛浩隆、津原泰水、舞城王太郎、村上春樹、夢野久作、海外作家はヴォネガット、カヴァン、コルタサル、ヘンリー・ジェイムス、シュトルム、ディック、バラード、ジャック・フィニイ、ブローティガンロバート・F・ヤング、ダン・ローズ辺りでしょうか。
作品名を上げると『遊戯の終わり』、『たんぽぽ娘』、『西瓜糖の日々』、『幼年期の終わり』、『ムーン・パレス』、『結晶世界』『リリス』、『コンスエラ』、『永遠の終り』、『スローターハウス5』、『ソラリス』、『黒い時計の旅』、『グッバイ・チョコレート・ヘヴン』『万延元年のフットボール』、『斜陽』、『好き好き大好き超愛してる』、『ヨハネスブルグの天使たち』、『世界の終りとハードボイルドワンダーランド』、『氷の涯』などで、幻想文学やSF的な要素がありつつもメッセージ性が強い作品、終末モノの作品に強く影響を与えられてきました。

書籍、文学作品的な意味合いでとの質問でしたが、すいません、僕にとってノベルゲームはとても多大な影響を与えられてきたのでそれらも羅列させて下さい。主にCRAFTWORK『さよならを教えて〜comment te dire adieu〜』、Force『2nd LOVE』、『書淫、或いは失われた夢の物語。』、Key全作、Leaf『雫』、『天使のいない12月』、S.M.L『CARNIVAL』、Tactics 『ONE ~輝く季節へ~』、otherwise『sense off』ケロQ『素晴らしき日々〜不連続存在〜』、『終ノ空』、公爵『ジサツのための101の方法』、フェアリーテール『狂った果実』、130cm『僕は天使じゃないよ』です。
僕にとってノベルゲームは読書と同じ感覚ですし、クソみたいな作品も多いですが18禁、マルチエンディングを冠しているだけあり、ノベルゲームでしかできない表現が沢山あるんです。もし時間や興味がある方はやって欲しいなあ…という思いで羅列しました(笑)
–:アレンジもスピッツ、フリッパーズギター、くるり等のアーティストからの引用が多く見られますが、やはりこういった元ネタを聴き手にわかるように
散りばめていく手法はフリッパーズギター以降の渋谷系を連想しましたが、その辺りからの影響は?
Nakamura:そうですね…、一時期いわゆる、パチフリやC級渋谷系バンドおよび00年代以降の渋谷系をめちゃくちゃ熱心に聞いていた時期があったのでその影響はあるかもしれません。編集感覚で曲を作っていく感じとか…。ただぶっちゃけてしまいますと、僕のアレンジ能力が無かったからというのが一番の理由です…(笑)

アイデアが洪水の様に湧いてきて…。じゃあもう1つの作品に仕上げてやるぞ…!っていう気持ちから始まりました。

–:このEPの収録曲ですと「翼とナイフと銃弾」が7月ぐらい前にsoundcloudにアップされていますよね。このころ制作段階に入っていたと思うのですが、EPの全体的な構想はできていましたか?また、全体的な制作期間はどの位になりますか?
Nakamura:「翼とナイフと銃弾」が出来た段階では、自分が満足出来た曲が1曲作り上げられたからもういいかなと思ったりしたんですが、それ以降アイデアが洪水の様に湧いてきて…。
じゃあもう1つの作品に仕上げてやるぞ…!っていう気持ちから始まりました。EP収録曲の骨格自体は1ヶ月もかからずに出来ました。
ただミックス/マスタリングおよびピッチ補正作業で楽曲制作の3倍の時間がかかりました…(笑)
–:デジタル配信でありながらブックレットやtab譜など、音源以外のアイテムにもこだわりが見えますが、これらを同梱しようと思ったのはどの段階でしょうか。
また、ブックレットは全体的に暗めの落ち着いた色になっていますが、これはNakamuraさんの発注によるものですか?
Nakamura:僕が今回のEPでやりたかったのはART-SCHOOLの『Mean Street』なのでアートワークもそれになぞろうと最初から決めていました。ブックレットのデザインも元ネタ『アサイラム・ピース』の装丁の様にして欲しいと細かく要望を伝えました。tab譜に関しては僕にとって一度譜面に起こす作業が作曲において必要な過程なのでおまけで配布しました。本当に難しいことはしてないので、これから作曲をする人の参考になったら嬉しいなあという思いもあったりします。



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2017.2.8 22:00

【INTERVIEW】『SONASILE』/ 網守将平(PROGRESSIVE FOrM)

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12/2にPROGRESSIVE FOrMよりアルバム『SONASILE』をリリースした音楽家、網守将平。
日本音楽コンクール1位受賞などのキャリアを持つ一方でラップトップによるライブパフォーマンスを行うなど、ジャンルの枠に捉われない活動を続けている彼が、あえてポップミュージックに振り切った作品である。
このアルバムで表現される「ポップミュージック」とは?
柴田聡子、Babi、古川麦といったゲストミュージシャンの参加という中でどのようにアルバムのカラーがデザインされていったのか。
30smallflowersがインタビューを試みた。


ポップミュージックを徹底的に作曲する

–:とても濃厚な作りになっていると感じます。トラックは全てアルバム用に製作したものなのでしょうか、あるいはこれまでのワークからの素材なども多様されているのでしょうか?統一感と多様性が折り重なっているからでしょうか。時間軸というのか、、一瞬で終わるような、永遠に続くような不思議な感覚を覚えました。
網守将平(以下:網守):ありがとうございます。全曲アルバム用に制作しました。使用している音色/音素材に関しては、これまで独自に制作したシンセのプリセットで作ったものやコンピュータ上のジェネラティブなアルゴリズムで作ったもの、また新たにアルゴリズムから作った素材ももちろん用いています。冒頭のピアノ曲に関しては、高校生の頃に作ったメロディーが元になっています。使えるタイミングを待つために実家の自室の部屋に譜面を書いて貼っていました。
–:それはとてもいいエピソードですね。音楽そのものだけでなく時間軸の捉え方がとても素晴らしいと思います。
網守:とはいえ作品全体としては、制作のメソッドにおいて特にこれといった特徴も制限もありません。自分に課したのは「ポップミュージックを徹底的に作曲する」ということのみで、統一感や多様性のようなものももちろんあるのでしょうけど、それは自然と演繹的に付与されただけですね。それは僕が過去に西洋伝統音楽の教育を受けてきたこととも関係しているのかもしれないですが、この作品に関してはあくまでそれはたまたまそうなっているだけで、過去を生かして今まで積み重ねてきたものを統一して作品化しようとは考えませんでした。言い換えれば何も考えずに作ってるんですけど、制作の段階において「過去」は作者の預かり知らぬ部分で必ず介入してくるので、その介入というプロセス自体を事後的に自ら楽しむことは目指していたといえます。

「ゲスト」であるという社会性と、「一作品の一楽曲の中の歌という1ファクター」であるという実存が作品内で拮抗している

–:今回、ヴォーカルでお二人の方をフィーチャーされていますね。それぞれの製作についてお伺いしたいのですが、まず、柴田聡子さんをフィーチャーしたトラック3のKuzira、こちらのトラックはわりと大きなフレーズがゆったりとした形をもつメロディーになっているように感じました。柴田聡子さんの声、歌詞との相性など明確にイメージされているところはありますか?
網守:Kuziraは全楽曲中一番最初に作った楽曲ですね。アレンジが終わった段階では、メロディー含めあまりにもナラティブのある曲になってしまったのでどうしようかなと思ったのですが、いろいろ悩んだ結果、この楽曲と相性が合わなさそうな人に敢えて歌ってもらってどうなるか試してみようというアイデアに着地しました。そこで短絡的なファン心理で柴田聡子さんにお願いしました。
–:それでも結果的にはとてもうまく引き立てていると思います。
網守:最終的に柴田さんのヴォーカルがここまで楽曲に浸透するとは思ってなかったんです。柴田さんはやはり自作曲を一人で弾き語りしているのが圧倒的に良いと思うので、他人の曲、しかもこんな曲も歌えるんだと感心してしまいました。突発的に職人みたいにもなれる人なんだと。
–:次に、Babiさん参加のトラック8のenv Reg.ですがこちらは対照的に細かな粒立ちのようなものが印象的なメロディーですね。Babiさんのヴォーカルも他のインストゥルメントパーツと並列に組み込まれているような気がします。この辺りは意識されていましたか?
網守:env Reg.に関しては、歌と楽曲の諸要素との関係性を考える前段階、つまりアレンジ前にメロディーだけが頭に浮かんだ段階でBabiさんの声でしかメロディーを脳内再生できなかったので、アレンジが終わった段階で悩まずにすぐBabiさんにお願いしました。Babiさんも本来は作曲家であり、シンガーであるという意識が希薄な人なので、この楽曲で聴かれるテクニカルな歌唱をそういったアーティストにお願いしたという点では、これもまた良い意味でどこかで相性の合わなさがあったはずです。つまり、Kuziraで柴田さんにお願いした時のような動機が僕の中に残っていたんだと思います。
–:お二人のヴォーカルが対照的にフィーチャーされていて、アルバム前半の中核、後半の中核というようなイメージも受けました。とても良いバランスだと思います。どんな形で参加が決まったのでしょうか?
網守:今回参加して頂いたゲストミュージシャンのみなさんがこのようなラインナップになったことに関しては、単に僕がファンであったということだったり、共通のミュージシャンの知り合いがいたりなどたまたま近くにいたからという短絡的な理由でセレクトした記憶がありますが、自分で改めて聴いてみると、やはり耳を使って選んでいたんだなという自負はあります。今回の作品は音響系的なアプローチがあったり和声の動きが多かったりで情報量が何かと多いことは明白なんですが、最も意識的に作ったのはメロディー、なんです。なのでメロディーにどれだけ強度があるかという点とそれを誰が歌えばその強度がさらに向上するかという点も、ヴォーカリスト選定の大きな判断基準でした。そういう意味でスピーカーだけでなく脳内でも音を鳴らしてセレクトしたと言えます。
–:ある種の身体感覚、でしょうか。
網守:その結果、柴田さんに抽象度の高い詞をおおらかなメロディーに乗せて歌ってもらうことも、Babiさんに幼児退行したような詞を細かいメロディーに乗せて歌ってもらうことも、最初からシンガーオリエンテッドな意識で制作しなかったことで、最終的に楽曲自体の方向性と相互浸透させることができのではないかと思います。ただ、この作品は本来シンガーではない僕自身が歌ったり声を出したりしている楽曲も数曲存在しているというのも重要で、ゲストヴォーカルの入った曲が取り立ててアルバムの核であるとは思ってないんですよね。それは言ってみれば、「ゲスト」であるという社会性と、「一作品の一楽曲の中の歌という1ファクター」であるという実存が作品内で拮抗している。この拮抗を生み出すことがポップミュージックのアルバムを作る醍醐味の一つかと思います。

この作品はアルバムという形態を取りつつトータリティを志向していないんです

–:冒頭のタイトル曲や古川麦さんとのインタープレイもそうですが、エレクトロニクスが後付けとは思えないような、生演奏と電子音の融合がとても印象的でした。作曲をされている時点である程度の最終形はイメージされているのでしょうか?偶然を活かす集中力が生演奏にも電子音にも等しく注がれているようで驚きました。
古川麦さんとのインタープレイということでお伺いしたいのですが、製作以前から例えば共演のような形でお互いにつながりはあったのでしょうか?濃密なセッションを経て、あるいは試行錯誤を経て10.Mare Songの形が出来上がったのか、あるいは最初からイメージがあって、そこに古川麦さんが後からうまく色彩を増やしていったというような形なのか、その辺りはいかがでしょうか?
網守:古川麦さんは大学の先輩なんですが、学生時代は面識がなく知り合ったのは比較的最近ですね。Mare Songに関して言うと、丁度1年ほど前に現代アートのイベントに僕がライブで出演した際にゲストで麦さんにも飛び入り参加してもらい、その場で一緒に演奏した楽曲がMare Songの叩き台として存在していました。その時は僕の歌とピアノ、麦さんのギターというオーソドックスなデュオ形態で演奏したのですが、その時点でアルバム用にアレンジし直してレコーディングをすることも決まっていました。
–:そういった経緯があったのですね。アレンジはどうやって決めていったのですか。
網守:その後は基本的に僕一人で、生楽器の音もそれ以外の音も含めアレンジをフィックスさせ、歌と各楽器をレコーディングしました。なので楽曲制作においてはインタープレイ的な作り方はしていないんです。譜面も書いて、ワルツ調の伴奏フレーズや音域も基本的に僕が指定したものを、完成されたアレンジにオーバーダブさせる形で演奏してもらいました。とはいえ、やはり古川麦が弾いたギターは古川麦の音になるので、その絶対性みたいなものは信じて作った記憶があります。またこの楽曲にはヴォーカルが入っていますが、自分で歌うと同時に古川麦に「歌わせない」ことでも、ギターの絶対性を担保したかったんです。
–:時折のデジャブ感がアルバムを通貫するキーとして、例えばノイズから次第に和声が見えてくるアプローチであったり、リズムの配置であったり、そういったところに感じました。Mare Songのようにトラックが完全に独立して存在するもの、atc17〜env Reg.のように、曲間が曖昧なもの、Pool Tableのように冒頭とリズムトラックとのつながりが断片的なもの、と様々ですが、フィーリングは統一されているように感じます。デジャブ感と申し上げた要素です。製作は短い期間に集中的に行われたものなのでしょうか?あるいはかなり時間をかけたものなのでしょうか。
網守:作品全体の制作期間は一年以上はかかりました。楽曲単位だと一番制作に時間がかかった曲は一ヶ月くらいかな。この作品はアルバムという形態を取りつつトータリティを志向していないんですが、そんな作品でも突発的にデジャブ感みたいなものが感じられるとすれば、「トータリティを志向しない」というある種のレギュレーションみたいなものに、無意識に自ら反発して、テクスチュアルなレベルにおいて統一感をもたらしにいったのだと思います。
–:トータリティを志向しないことへの反発という内面と結果としてのデジャブ感というのは面白いです。
網守:ある曲を制作している段階で、数ヶ月前に完成しそのまましばらく聴きもしなかった曲の素材やアルゴリズムを、ほんの一部だけトレースしてみたりとか。なので事後的に「デジャブ感」という印象についてお聞きできたことは、自らがどのように作品を作ったのか振り返るにあたって非常に興味深いです。


>>良くも悪くも、正統な形でポップスをやっている音楽なのではないかなと思っています

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2016.12.24 21:00

【INTERVIEW】VANILLA.6 オオクボーイ 12/3(土)にEPリリース & 渋谷LUSH主催イベントに向けて

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大阪でPost Modern Team.のサポートギターをつとめていたオオクボーイが「VANILLA.6」というバンドを始めたという情報には強いインパクトを感じていた。2015年6月に発表した初の音源「90’s Milan」の80’s的なキラキラ感と過剰なまでにスタイリッシュなビジュアルからくるインパクト。
同年12月には大阪NOON+CAFEにて自主企画、さらに音源OWLSのリリースや3ヶ月連続のカバー動画企画等で周囲の耳目を集めていき、今年10月には東京での初ライブを果たす。
そして最初の音源の公開からわずか1年半、この12/3に彼らはEP『VNLGRL』をデジタル配信開始と共に東京での主催イベント『VANILLA NIGHT vol.2』を開催する。
その勢いは転がる石の様に加速していき、そのスタンスは挑戦的である。
そんなVANILLA.6 = オオクボーイにインタビューを試みた。

多幸感はVANILLA.6の活動のテーマの一つでもあるので

–:EP『VNLGRL』リリース決定おめでとうございます。
今回のEPを配信でリリースしようとした理由は?
オオクボーイ:自然な流れでそうなったというか、特に深くは考えずに決まりしたね。でも後々考えたらこれでよかったかなとも思います。僕たちって良くも悪くも周りから少し浮いた存在だと思っていて、いろんな人から「東京でやった方がいいんじゃない?」みたいなことも言われますし、僕自身首都圏や地方や海外でももっと知ってもらいたい気持ちがあるので、今回のEPに関してはCDを作るよりも配信で広く届けるって方がいいんじゃないかなと今は思っています。
–:EPを聴いて思ったのですが、現在公開中のMV「Old Friend」のをはじめとして、今までのVANILLA.6とも少し違うイメージを押し出そうとしているように感じます。その辺りは意図的なものですか?
オオクボーイ:今回、『VNLGRL』を作るにあたって、“多幸感”というテーマがあって、その一端をビデオで体現しようとしたのが「Old Friend」のMVなので、EP全体にもカラフルな雰囲気は漂っていると思います。4曲それぞれ違ったカラーを持っているけど、どの曲もとても自分達らしい仕上がりですね。
元々、多幸感のある音楽や映像が僕は好きだったし、多幸感はVANILLA.6の活動のテーマの一つでもあるので、MVも音も個人的にはバンドイメージとかけ離れるどころかむしろ狙い通りになったと思っています。
あと、MVのイメージは完全にThe Cureの「Friday I’m In Love」のMVですね。あのビデオが死ぬほど好きで、所狭しに用意されたセットを最後めちゃくちゃにして終わるってのを一回やってみたかったんですよね(笑)。


–:“多幸感”がテーマと聴いてEPを聴いた時の感覚が腑に落ちました。このテーマが強く出ているのはバンドの知名度が上がっていることや、バンド自体が回転しだして次のステップに行こうとしているという高揚感とリンクしている気がしますが、いかがでしょうか?
オオクボーイ:制作自体はすごくシンプルで、バンドの立ち位置とか周囲からの期待とかは特に考えることなく好奇心と探究心に任せてやるようにしていますね。外から見た自分達の見え方をいつもすごく意識しがちなので、それが頭にあると制作で変なプレッシャーや雑念になると思いますし。
僕小学校の工作の授業とか、アイデア練ったり作りに拘り過ぎて時間内に終わらないから、お昼休みや放課後もずっと独りで作業してるなんてことしょっちゅうあったんです。結局未完成のまま持って帰ったりしたんですけどね…。今も全然変わってないというか、曲作りや録音ミックスマスタリングに関しても単純に楽しく拘りを持ってやっています。
ただ、曲をバンドの肉体を経由して作品に落とし込む過程で、メンバー達のテンションとか今のバンドの雰囲気みたいな要素が思いがけず添加されていった部分もあると思いますし、結果的にそれらいわゆるバンドの化学反応によって僕が一人で思い描いていた以上の作品になったと自負しています。ほんと、みんなに聴いてもらうのがクソ楽しみで仕方がないです。
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–:今回『VNLGRL』のリリースパーティー『VANILLA NIGHT vol.2』を東京で開催しようと思ったのはどうしてですか?
オオクボーイ:もっとデカいステージでショーがしたいので、その為にはまず東京で名を上げるぞ。って思いですね(笑)。
ちょうど去年の年末大阪で開催した「VANILLA NIGHT vol.1」がバンドとしてはほぼ初めてのショーだったんです。それが最高に楽しいパーティになって、バンドとしてとてもいいスタートが切れたし、またやりたいなとは思っていたんです。それから今まで丸一年活動してきて、たまにクソ喰らえって事もあったけど、嬉しいことに今ではいろんなイベントに呼んでもらったり関西ではたくさんの人が知ってくれたり期待してくれるようになって。まだまだこれからだけど一年でバンドとして成長したなぁって思ったんですよ。でも目指しいてるのはもっと上だし、関西で認知されたからってなんだって思う自分もいる。なので次の一年は関西以外の人にもたくさん知ってもらって、もっとデカいステージでやってやるぞっていう、決意表明というか宣戦布告的な位置付けで、今回東京での開催に踏み切りました。
–:今回の『VANILLA NIGHT vol.2』での出演バンドを選んだ基準があれば聞かせてください。
オオクボーイ:「オオクボーイがかっこいいと思ったかどうか」で選びました。本当はトゲがありつつも幸福感が感じられるようなインディ・ロックバンドで固めたいって思いや、ポップさを追求してるバンドを集めたいって思いがあったり、他にもたくさん候補のアーティストがいたりしたんですが、結局はシンプルに僕がかっこいいと思うかどうかで選んで今回のメンツになりました。
共演したことのあるFor Tracy Hydeやcattleは初めて観たときに涙出るくらいハッピーな気持ちになって最高だったし、大阪から来てくれるMississippi Khaki Hairはぎらついたスター性があってすごくいかしてる。17歳とベルリンの壁、Fun House.は今回初共演なんですけど、両バンドとも音源や動画ですごい衝撃を受けてオファーしたのでステージを観るのがとても楽しみなんです。この日出てくれる5バンドは最高のバンドばかりだし、最高にいい塩梅で全編楽しめるイベントになったと思います。楽しみにしていてください。


>>次ページ「既存の音楽ジャンルを名乗ったところでその看板に誇りも拘りも持てないと思ったんです。」

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『VNLGRL』/ VANILLA.6
2016年12/3リリース
フォーマット:デジタル配信
レーベル:セルフリリース
価格:¥800
【Track list】
1. Getover
2. Old Friend
3. VNLGRL
4. Euphoria

VANILLA.6 prsents
『VANILLA NIGHT vol.2』
2016年12/3(土)渋谷Lush
ACT:VANILLA.6 / For Tracy Hyde / Cattle / 17歳とベルリンの壁 / Fun House. / Mississippi Khaki Hair
Open 17:30 / Star 18:00
Adv ¥2,500 / Door ¥2,800(+1d)
【Time Table】
18:00〜18:30 17歳とベルリンの壁
18:45〜19:15 Fun House.
19:30〜20:00 Cattle
20:15〜20:45 Mississippi Khaki Hair
21:00〜21:30 For Tracy Hyde
21:45〜22:15 VANILLA.6

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2016.11.27 21:00

【INTERVIEW】Gi Gi Giraffe『Gi Gi Giraffe』

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ジャンルレスに、シームレスに、まさに壁を乗り越えていく・・・その刺激的な爽快感、もしかすれば聞く人が聞けば、今回の主役Gi Gi Giraffeによるデビューアルバム『Gi Gi Giraffe』は椅子から転げ落ちるほどに刺激的な作品だろう。

今回、Gi Gi Giraffeの山本に直撃インタビューを行なった。音楽的源泉/己のバイオグラフィ/各作品群に答えるとき彼は、左手でアゴをさすりつつ、言葉を明晰に選んで、今回で2回目だというインタビューにも真摯に答えてくれた。

彼は、<音楽をいかに刺激的に響かせようか?>という苦闘を話してくれた。もしかするとかなり裏話っぽく読めるかもしれないし、このバンドや彼自身の音楽センスが持つ多様な可能性にも触れているのかもしれない。彼らのもつ可能性は、後出しジャンケンのようにはめ込むジャンル性を飛び越えていける、今回のインタヴューでその一端を感じていただけると嬉しい。



「オレがやれることっていえば音楽しかないんじゃないのかな?」とも思えたんですよね(山本)

草野:新作『Gi Gi Giraffe』や『Home Made Works』を聴いてまず最初に思ったのは、英語の発音が非常に良かったことなんですけど、海外にお住まいだったんですか?
山本:いやぜんぜん、海外に行ったこともないですね。生まれは東京です。もともと学生の頃から英語が得意で、大学では英文学科で、英会話にも1年ほど通っていたんです。宅録も高校1年のときくらいから始めたんですけど、「日本語で歌詞を作るのが難しい、英語で作れないか?」と悩んでいたとき、当時通っていた英会話の先生がバンドをやっているのを知って、先生に添削してもらってましたよ(笑)
草野:あの流暢な英語にはそういった秘密があったんですね(笑)どんな感じで音楽と触れ合ってきたんですか?
山本:中学2年生のときにギターを触り始めたのが大きいですね。父や兄の影響で、家に何十本もギターが置いてあったんですが、そこからですね。最初は独学で始めたですが、その頃にGreen Dayの『American Idiot』が発売されてたこともあって、最初はパンクな曲からはじめました。「オレが知ってるあの曲も、こうしてコードを弾くだけでできるなら、オレでも音楽作れるんじゃないかな?」と思わせてくれたのはとても大きいですね。
草野:他にはどんなバンドを聴いたり弾いていたんでしょう?
山本:その時はメロコアなバンドばかりですね。Sum41、New Found Glory、Good Charlotteはパっと思いつきます、この辺は兄の影響が大きいですね。兄もどんどんとそういった音楽から、違う音楽へ・・・ロックンロール・リバイバル世代や60年代ロックバンドの音楽を聴くようになって、僕も聴くようになりました。The Vines、The Strokesみたいな、The○○sみたいなバンドはだいたい好き!みたいな感じで(笑)




草野:僕も当時高校生くらいだからそのあたりも聴いてました。The White Stripesとかはどうでしょう?
山本:もちろん好きですよ。彼らとGreen Dayのようなメロコアバンドに比べると、スリーコードでガンガン押していくのは変わりがないんだけども、ちゃんとメロディに沿って歌うんじゃなくて、変なメロディをテキトーな音程で唄っても、むしろガナったり叫んだり構わないんだというのを教えられたと思います。僕自身は歌が上手いほうじゃないので、非常に勇気づけられましたし、モチベーションにもなりました。そのころ僕は高校生だったんですが、自宅にあるパソコンは兄と兼用している状況で、iTunesには僕が聞きたい曲と兄が聞きたい曲が同じようにiTunesに入っていて、「これは良い曲だ!」「これはないなぁー」と色々聞ける環境だったんです。無理やり聞かされているような状況ではあるんですけど(笑)そうして聴いていくうちに「オレならもっと面白い曲がつくれる」「こうしたほうがいいんじゃないのか?」という気持ちがドンドン芽生えていったんです。


草野:なるほど、その後に大学へ入学し、その時にメンバーとも出会えたわけですね。
山本:いまのメンバー・・・・ドラムの上村とは青山学院大学のビートルズ訳詞研究会というところで会いました。好きなバンドも結構被っていたし気が合うので、そのまま結成しましたね。Gi Gi Giraffeの名義を最初に使ったのはその頃だったので、正確にいえば2011年暮れのころだったかなと思います。そのときはドラムと2人と2ピースバンドだったんですが、ゆらゆら帝国が好きだったので2人でゆらゆら帝国のようなサウンドでやってましたね(笑)さっき言っていた宅録の音源は全部英語詞だったんですが、「あまり英語にこだわるのもおかしいよな」という思いもあって、この頃は日本語歌詞の新しい曲でやってました。
草野:ライブを回ったりしたの?
山本:さきに言ってしまうと、この頃ってライブハウス事情が全くわかっていなかったんですよね(笑)オープンマイクで誰でも参加できますよーという感じの場所を見つけて、「やってみようぜ」と思って勇んで行ってみると、おっさんが店主のカラオケスナックバーのようなところで(笑)
草野:そこでやったの!?
山本:演者スペースが2人でギリギリ入れるし、ライブ費用は1000円だけだし、「これは武者修行だ」という気持ちで何回か出ましたよ。僕らと常連のおっちゃんとアニソン歌うお兄さんという出演順、ものすごく浮きましたね(笑)
草野:曲作り自体は高校の頃から始めていて、どのような感じで作っているんでしょうか?
山本:基本的にはGarage bandで使ってます、10年くらいずっとこいつでやってますね。ギターは家に何本もあるし、ベースも家の中にある、ドラムに関しては打ち込みにはなりますが、ずっとバンドサウンドを1人で作っていくスタイルで10年作り続けてきましたね。
草野:なるほどです。大学2年生3年生まで続けていた活動が一旦止まったのはなぜなんでしょう?
山本:一つは就職活動ですね。もう一つは、ライブ活動を続けるのも大学生としてみると金銭的に厳しくなってきたので、ライブ活動をやめる方向になりました。ただ、そこで音楽を作ること自体をやめなかったのは、もしも自分が就職して人生を生きていくとなると、ものすごくつまんない人生を歩んでしまう、本能的ですがそんな気がなんとなくしたからなんです。なので、高校の時みたいに宅録で音楽を作るのはやめずに続けたんです。そのまま2年ほど経って大学も卒業したあと、たまたま遊びでドラムに音源をきかせたら、「やっぱり面白そうだし、バンドを復活させよう!」となって活動再開したんですよね。
草野:転機と言えるのは、そのまま音楽を続けて、バンド活動をも再開したことですよね。2年ほどの時間が空いて、大学も卒業して社会人にもなった、端的に言って、なぜだったんでしょう?
山本:うーん・・・日々過ごしていくうちに強くなっていったんですが、「オレがやれることっていえば音楽しかないんじゃないのかな?」とも思えたんですよね。正直言って僕の家庭は、父は役者として活動をしていて、母もダンスを教えているんですが、僕自身はサラリーマンとして生きていける姿を想像できなかった。しかも両親はぼくがどう生きていくかにまったく何も言わないし、僕は僕で好きに生きていける、これは両親と僕の間の利害は一致しているぞ?と気づいたんです。
草野:ちょくちょく思うんだけども、山本くんは聡い、鋭いですよね。論理的というか(笑)
山本:そうですか?(笑)僕は自分の家庭が他の家庭と明らかに違うというのをすごく感じていて、子供の頃からコンプレックスだったんですよ。親からは叱られたりすることもほとんどないのに、社会に出て叱られたりするのに耐えられるわけがないよなって思っていたりして。そうならば、自分が自由に生きたほうが、周りの人間のためにも有効に働くよな?と思ったんです。



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2016.11.16 12:00

【INTERVIEW】しずくだうみ 1stフルアルバム『都市の周縁』

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闇ポップシンガー・ソングライター、しずくだうみ。
自主流通盤として3枚のミニアルバムをリリースした彼女が待望の1stフルアルバム『都市の周縁』をNARISU COMPACT DISCより11/16にリリースする。
シンガー・ソングライターの現場のみならず、時にアイドルの現場に、時にハードコア中心のイベントに出演し、強い印象を残す「誰にも似ていない音楽」を紡ぎ出す彼女のアルバムに期待を寄せるリスナーも多いと思う。
そんな しずくだうみ にインタビューを申し込んでみた。

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『都市の周縁』/ しずくだうみ
2016年11/16リリース
フォーマット:CD
レーベル:NARISU COMPACT DISC / HAYABUSA LANDINGS
カタログNo.:HYCA-3058
価格:¥2,300(税抜)
【Track List】
1.いじわるなきみのこと
2.ぐるぐる
3.さみしさのABC
4.部屋
5.ゲーム
6.パラレルワールド
7.水色
8.選ばれない
9.さようなら
10.夜の海の夢
11.おしまい
全作詞・作曲:しずくだうみ
アルバム特設ページ




「やったー!」って感じです(笑)

—:1stフルアルバムの発売おめでとうございます。今回のリリースはなりすレコードさんからのリリースということですが、どのような経緯で?
しずくだ:えっと…これまでミニアルバム3枚を自主制作で出していて。流通は通していたんですけれど。「柴田聡子さんが好きで…」みたいな話をしたら「柴田さんのアナログをリリースしている、なりすレコードを紹介できるよ、話だけでもしてみれば?」と言っていただけたので連絡をしてみたら「アルバム出しませんか?」って言ってくれたので。「やったー!」って感じです(笑)
—:とんとん拍子だったわけですね(笑)しずくださんがなりすさんからアルバム出すって聴いて「ああ、イメージ通りのところから出すな」って思ったんですがその辺りは?
しずくだ:私もそう思いますね。自分のやりたい事をやらせてくれるし、なりすから提案していただく事も自分の中で許容範囲というか…「これなら」って思える事なので。
(ドリンクが運ばれてくる)
—:レモンスカッシュお好きなんですか?
しずくだ:レモンスカッシュが好きというか…カフェインがダメで飲めないんです。それで自動的にこういうものに。
—:イメージ的にコーヒーとかすごく飲んでそうな感じなんですけどね。
しずくだ:好きなんですけどもね。飲めない(笑)
—:一番辛いパターンですね。好きな人で中毒気味だと一日中飲んでたりするんですけどね。
しずくだ:逆の意味で中毒なんですよ。カフェイン飲むと中毒症状が出て…。
—:あ、そんなレベルで…じゃあ紅茶とか日本茶も厳しいですね。
しずくだ:烏龍茶とかもダメですね。炭酸系もコーラにはカフェイン入ってますし。
—:本当に選択肢無いですね。ずっとそうなんですか?
しずくだ:ずっとそうでしたね。なんか好きで飲んでたらずっと調子が悪くて。なんだろうってずっと考えていたらこれだなって。抜いてみたら一気に調子がよくなって。
—:見えなかった苦手なものが転がっていたわけですね。
しずくだ:まだいっぱいあると思いますけどね(笑)
—:そういうものをどんどん抜いていってシンプルライフに?
しずくだ:そうでもないですよ。ジャンクフードとか食べますし。カップ焼きそばとかも食べますよ(笑)





どうせ暗い曲しか書けないし、一方で「意外とポップだよね」とも言われるから「闇ポップ」かな?って

—:しずくださんといえば「闇ポップ」というコピーが定着してますが、このコピーっていつ頃から使い始めたんですか?
しずくだ:…どれくらいだろう?
—:前のEP(3rd E.P.『透明コンプレックス』)の時には使ってましたよね?
しずくだ:1枚目(1st E.P.『届かぬ手紙のゆくえ』)の時にはまだ使ってないですね。
—: ということは2nd(2nd E.P.『泳げない街』)ぐらいからですかね?最初にしずくださんが印象に残ったのって「闇ポップって何?そういうジャンル?」って思った辺りからなんですよね。Googleで他にやってる方いるのか検索したりして。
しずくだ:なんか私が使い始めてから、Twitterで検索するとたまに出るようになりましたね。
—:闇ポップのオリジネーターですね…どういうところから出てきたコピーなんですか?
しずくだ:高校生頃から曲を作ってきて、「明るい曲ができない!!」って。フルアルバムに収録されている「ぐるぐる」は比較的明るい曲だと思うんですけども、ああいう曲はたまにしか書けなくて。曲を作っている友達とも冗談で「ゴーストライターやってくれよ!」って言い合ったりしてましたね。
「明るい曲を作らなきゃいけない!」みたいな強迫観念に囚われてて、売れ続けているのは明るい曲だしって思うと…こう…普段もああいうような曲を作んなきゃいけないのかなって思っていて。
2ndの「オーカー」とかもすごくポップなんですけど、あれ初めて作った曲なんですね。で、あれが初めての曲だとあれ以上を作んなきゃいけないような気になるんですけど、実際私の声にもあまりあってないような気がして。
で、なんかキャッチコピーがあったほうがわかりやすいんじゃないかって思って、どうせ暗い曲しか書けないし、一方で「意外とポップだよね」とも言われるから「闇ポップ」かな?って。
—:当初そのコピーだけでイメージ膨らませてた時は、どういう方なんだろうって思ってましたが、実際会ってみると非常に話しやすい方で安心しましたね。確か初めてしずくださんと会ったのはharpsと対バンの時だったと思うんですが、今日しずくださんに会えるのかって思った時すごく緊張した記憶があります。
しずくだ:すごく色んな人にそう思われてますね(笑)ライブに行ったことはないけどなんとなく曲を聴いている遠巻きに見てる人たちに「あいつ正気なのか」って思われてると思います。


>>次ページ「弾き語りにこだわる事はないと思っていて、歌にあったアレンジをすれば良いと思っています」

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2016.11.15 12:00

【INTERVIEW】THIS IS JAPAN『DISTORTION』

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関東、特にここ東京には多くの音楽シーンがある。
ここindiegrabでは、多岐にわたる音楽シーンの中でも、よりディープなものを届けてきたと思う。
彼らTHIS IS JAPANは、東京における音楽シーン・・・いわば東京のロックシーンの中でも異質の存在だったようにみえる。
インタビューした当日は、メンバーが明かしたように『バンドが誕生した』日。
5年間で積み重ねてきた彼らの成長記となった今回、彼らが描いてきた成長線は、
オワリカラやSuiseiNoboAzらによる『Tokyo New Wave』から始まり、さらなる変化を遂げていることをはっきりと口にしてくれた。
東京のロックシーンのネクストステージは、彼らのような変化で始まるのかもしれない。
ぜひ読んでいただきたいインタビューだ。

オレが映画にのめり込むきっかけになったのは『タクシー・ドライバー』なんです(杉森ジャック)

今回発売された新作『DISTORTION』から1ヶ月、先日はTHIS IS JAPAN企画の「NOT FORMAL vol.2」があり、ライブでの反応も受け取れることも多いかと思いますが、ざっくりとどのように感じていますか?
杉森ジャック(Gt/Vo 以下杉森):ウケている、というより、伝わっているな、というのを感じますね。
this is かわむら(Dr 以下かわむら):方向性が一つバシっと出たからね。
THIS IS JAPANの楽曲や音楽の点に触れる前に近しい話題からお聞きしたいのですが、映画のタイトルを引用した楽曲がありますが、どんな映画が好きでしょうか?。

杉森:このなかだとオレが映画を一番見てるんじゃないのかな。オレが映画にのめり込むきっかけになったのは『タクシー・ドライバー』なんです。それまでは映画って大衆娯楽的なものなんだと思っていたんですけど、『タクシー・ドライバー』は大衆向けとかそういうのではなく<オレこういうのが好きなんじゃ!お前らどうだ!>というのを提示されたように感じたんです。そういった流れで『ゴッドファーザー』や<アメリカン・ニューシネマ>のような、映画のなかでも自分のやりたいことをやりきった<オルタナティブ>な作品があるということに気づけて、そういった作品は多く見てますね。
フランス映画はどうでしょう?
杉森:フランス映画は、自分の中で完結している感じがするんです、「わたしはこうです」で止まってる感じというか。オレはもうちょっと踏み込んで、「オレたちはこうだぜ!おまえらどうだ!?」っていう距離感が好きです。なのでオレはゾンビ映画とかも好きなんです、「わたしこうなんだけど、大丈夫かな・・・?」みたいなね(笑)
問いかけてくる感じですね(笑)「死霊のはらわた」とか?
杉森:「死霊のはらわた」は好きですね。「悪魔のいけにえ」も好きで、最近はホラー映画が好きですよ。
koyabinさんはいかがでしょう?
koyabin(Gt,Vo 以下koyabin):ぼく変な映画しかみないんです、ヒューマンドラマみたいな映画は見ないんですよ。
杉森:この前、たしかそんな話したよな。
koyabin:そうだったね、「ノッティングヒルの恋人」とか「ブリジット・ジョーンズの日記」みたいなのは見ないんですよ。
杉森:こ映画を架空世界体験型アトラクションみたいに感じてるんじゃないのかな
ベタにいうと『スターウォーズ』とか?
koyabin:基本SFは好きですけど、もうちょっと違くて。スタンリー・キューブリック、デヴィッド・リンチ、デヴィッド・クローネンバーグとかが好きなんです、頭おかしいなこれ!とか言って楽しむと。
杉森:映画に刺激を求めているんだよね、共感ではなくて。感情を押し付けるものより、ザクっとドライな作品が好きで。
koyabin:うんうん、そうですね。

シンガーソングライターがいない、それがこのバンドのバランス感に大きく影響を与えてるのかもしれない(杉森ジャック)

バンドの始まりは、大学のサークルからだったということですが、当時はどんな風に絡んでいたんですか?
杉森:オレとかわむらが同じ学年、2つ下にkoyabinとベースの水元がいました。サークル自体がコピーバンド主体のサークルだったんですが、固定メンバーで活動をつづけるんじゃなく、ワンショットで1回組んで1曲やったら解散して、次は違うバンドで組んで・・・というような感じだったんです。
4人でやるようになったのは、大学を卒業したあとからだったんですか?外バンで組まれていたとか?
杉森:外バンっていう言い方、すごく懐かしいですね(笑)オレは外バンも組んで曲を作ってやっていたんですが、そのバンドが空中分解してしまったんです。「なんかやりてぇなぁ・・・」と思ってかわむらとkoyabinに声をかけて、最後に水元に声をかけて以来、今年で5年目ですね。
かわむら:実は今日(インタビュー当日)、5年目の誕生日なんですよ、THIS IS JAPANにとっての。
おめでとうございます!。そんな日にインタビューを受けていただいてありがとうございます。
かわむら:なんにも覚えてなかったんですよ。
杉森:先日のライブが終わって今日一日ポカーンと過ごしていて、言われるまで気づかなかったしね。
koyabin:スタッフに言われるまで、全然気づきもしなかったんですよ。
かわむら:言われてもピンとこないですよ(笑)
杉森さんが3人を集められたということですが、その時までになにか共通していた音楽があったんですか?
かわむら:この4人でコピバンを組んだのは一回だけなんです。それがFugaziだったよね。そこで一つの共通見解はあったんだと思えます。
杉森:いかにコピバンとはいえ、クオリティに差が出るもので、このメンバーのときにはあまり良くなかったけど、このメンバーのときはビシっとくる!みたいな感触がコピバンでもわかるんです。このメンバーにあと1人メンバーがいたんですが、その5人でFugaziをやったときは物凄くビシっと決まったし、楽しかったんですよね。
かわむら:そんな感じで4年ほどやっていると、相手に趣向も分かるし、どういうプレイをしたいかもわかってくる。
杉森:オレとかわむらは100個くらいコピーしたよね?
かわむら:それは多いね(笑)、50くらいじゃないかな。
杉森:まぁそれくらい密にやっているんで、かわむらはオレがどういう音楽が好きでどういうプレイをしたいのかもわかってくれていると思っていたし、koyabinにしても水元にしても、コピーしているバンドが俺ら2人と被ったりしているから、悪くはないというのはわかっていたので、声はかけやすかったですよ。



ということは、このバンドが始まる最初のタイミングを考えてみると、9年近い時間が有るわけですよね。
杉森:かわむらとやり始めたのは考えると9年くらい、水元とは一緒にあまりやる機会はなかったけども。
水元(Ba 以下水元):僕はkoyabinとブッチャーズやナンバガを一緒にやることがあったので、そこから多分声がかかったんでしょうね。
少なくとも6年くらい互い見てきているんですね。曲作りでは杉森さんとkoyabinさんが主導していくんですか?。
杉森:僕らの場合、最近ではオレが原案をもってきて、かわむらとkoyabinと3人で「これがいい」「こうならどうだろう?」と色々と考え、水元にベースラインを作ってもらって完成させる、という感じになってますね。なのでバンドのイニシアティブという点では全員が限りなく平等になっているんじゃないのかな?とも思ってますね。
一人がプリプロで作って、「アイディアはこんな感じだから弾いて!」とメンバー全員に投げて、集まったものを再構成し調整をして作る、という作曲のバンドも多いと思うんですが、それに比べると非常にバンドマンらしい作りですよね。
杉森:オレが原案をもってきた段階で、「この曲はこういう音が鳴る」というのがほぼほぼ誤差なくメンバー3人に伝わる、このバンドはそういうバンドなんです。他のバンドだと、「こうだ!」と言って出すと他の人の意見とか入ってくると邪魔なものになってしまうかもしれない、このバンドの場合「こうだ!」と出すと「それだよね」という答えが3つ返ってくる感じです。
かわむら:制作進行上、それが一番早く進むしね。
koyabin:『このフレーズで』というものじゃなく、『この感じ』というものをデモから受け取って、自分にとって弾きやすいものにして弾く、という感じですね。
杉森:逆に一人で悶々としちゃって良い曲にならないことが多いですね。元々オレはギタリストでずっとやってきて、このバンドをやるということでkoyabinと共にボーカルを始めたので、元々はボーカル不在のバンド。たぶん、元々弾き語りでずっとやってきた人は「オレがこの曲を一番わかってる」「自分の曲を邪魔されたくない!」という自負や創作的なエゴも出でくるんだと思うんですよ。
koyabin:シンガーソングライターがいないということにもなるよね。
杉森:そうだね。シンガーソングライターがいない、それがこのバンドのバランス感に大きく影響を与えてるのかもしれないです。
・・・そういえばという感じでふっと思ったんですけど、なぜTHIS IS JAPANというバンド名だったんでしょう?
杉森:大学の卒業旅行の帰りだったかな。
かわむら:「オレらのコピバンも終わりだなー」みたいな話になったとき、杉森が「オレ、バンドやろうと思うんだけど」って急に言いだしたんです。そして「バンドの名前は、THIS IS JAPANか、Project Jack Knifeかだ!」と言ったので、「THIS IS JAPANで」と即答して、そこから決まってます(笑)
杉森:さっきの映画の話にも近しいんですけど、バンドっていろんなスタイルがあるじゃないですか?そのなかでも真面目に真摯に感情をぶつけられるよりも、ちょっとシニカルな感じが好きなんです。「THIS IS JAPANってどこまで本気で言ってるんだろう?」と思わせるという感じで、それは聞いてみて判断してください、みたいな感じでね。
かわむら:そういう「意味わかんない」というのは良いなと思うね。最初の頃はアメコミのTシャツを着てやったりしてるし
杉森:JAPANって言いながらアメリカンな感じを出したりしたからね。まぁなんだろ、あんまり意味がないってことですよ(笑)



最初は、1年に1回で友達20人くらいの前でやれればいいなと思ってたくらいだった(this is かわむら)




ロックバンドとして4人が結成したのが2011年、全国流通盤のファーストアルバム『THIS IS JAPAN TIMES』が2014年に発売、その前にも自主発売のEPが何枚かありますが、どんな気持ちで活動を続けていたんですか?モチベーションの保ち方が気になったんです。
koyabin:率直に僕のイメージでいうと、『楽しいね!』という気持ちで続けてましたよ(笑)
かわむら:でもほんとに、「こんなことになるとは・・・」という気持ちもありますよ(笑)
koyabin:それもありますよね、「こんなことになるなんて!」と。
杉森:なかったね
かわむら:最初は、1年に1回で友達20人くらいの前でやれればいいなと思ってたくらいだったよね。
杉森:かわむらくんはそう言ってたよね。オレも最初はそういうイメージでバンドをやってたんですけど、音楽メディアのcinraさんが主導でやってる『exPoP』に出たことが大きかったのかなと思います。大学の頃からよく行ってたイベントなんですけど、ちょうどそのときThis is Panicさんが出るというのを知って、「名前似てるし応募してみよう」と言って応募したら、出れることになって、それが確か結成して半年も経ってなかった頃だったんですよ。トップバッターで出て、かわむらと帰り道に話したんだよね。
かわむら:あぁ、そうだね。このバンドって実は・・・必要とされるところもあるんじゃないのか?
杉森:実はいけるんじゃないか?と言うと変だけど、この場所で戦えるんじゃないのか?っていう風に思えたんですよ
シーンで生き残れるのかもしれない、と?
杉森:そうですね。そういう思いが『exPoP』を通じて芽生えたんです。なのでそこから3年間、ファーストアルバムを出すまでの間は、いわゆるライブシーンに入っていって自分たちの立ち位置や生きる場所を見つけて、ファーストアルバムはそれを凝縮したものを詰め込んだと思えます。
<参照>2012.07.18 7月のexPoP!!!!! vol.64にTHIS IS JAPANの出演が決定 – exPoP!!!!! web site http://expop.jp/news/2012071838.php
『THIS IS JAPAN TIMES』を発売したあと反響ってどうでしたか?
koyabin:ファーストアルバムについては、曲がどうこうという話よりもアルバムを出せた!というところに重きがあったと思います。
杉森:そうだね。ライブハウスでの活動を凝縮した、それまでのベストアルバムといったところですね。「THIS IS JAPANとは?」というのを凝縮したところだと思います。
ファーストアルバムを聞いて、ライブも当時見させてもらった印象でいうと、<コミックバンド的>な側面があったと思うんですが、自覚的だったんでしょうか?
杉森:バンド名の話にシニカルさについて話したじゃないですか?なんていうんだろう、<王道から外す>というのが面白いんじゃないのか?と思っていて、そのスタンスが出たんじゃないのかなと思います。笑わそうとは思ってなかったよね。
かわむら:笑わそうとは思ってないね(笑)
セカンドアルバム含めて、THIS IS JAPANのコミカルな所が詰まった曲といえば、どれになりますか?
杉森:「靖国デート」・・・ん?いやあれは結構マジな方だな
koyabin:「Indian No.1」じゃないの?
杉森:いやいや
かわむら:フザケてるつもりなんて1回もないんじゃないの?(笑)
杉森:フザけてないね、フザケてない(笑)
かわむら:真面目にやってるつもりですよ、今も昔も。でもコミカルにとられるのは問題ない(笑)
koyabin:最初の頃、見ている客も真面目で見て良いのか笑って良いのかわかってなかったんだと思うんですよね
かわむら:俺らがわかってないからね、でもそれもよかったかな
難しいところを答えていただきありがとうございます。東京を中心にしてライブ活動を続けてきて、<彼らは僕らと同じ仲間だ><彼らは俺らのライバルだ>といえるようなバンド/ミュージシャンがいらっしゃるかと思うのですが、いかがでしょうか?
杉森:オレは、ハラフロムヘルといっぱいやってきて、スタンスとして共感しています。あと、去年だとナードマグネットがスゴイ好きで。両者に共通しているのは、自分たちの好きな音楽でちゃんとメインストリームに刺していこうという感じが見えるところですね。僕ら自身、好きなバンドは自分たちの企画でも呼んでいますし、いっぱいいますね。
水元:仲間だと思えるバンドは逃亡くそタわけ、ライバル・・・というか曲はそんなに近くはないけど波長が合うという意味ではotoriかなと思います。
koyabin:僕は、愛はズボーンですね。僕らと彼らはたぶん好きな曲調が似ていると思うんですよね。
かわむら:僕らよりも若くてオルタナティブなところをズドンとやれているバンドとして、ナツノムジナとか余命百年とかは好きですね。
杉森:いま出たバンドって、スタンスとしてオルタナティブだなと思いますね。いまある既存のものとか似たものをやるのではなくて、いま流行っているものと違うものを、自分たちなりにいろんなサウンドで表現しようとしていて、そこが好きなんですよね。自分たちにしかできないことを、閉ざしていくのではなく広げていこうというスタンスでやっているのも共通しているのかなと。

シニカルみたいなことはやってないですね。自分たちが思っていることや好きなものを素直に出す、それが今の僕らのモードだから出てきた(杉森ジャック)

ファーストアルバムから全国流通盤としては2枚になるミニアルバム「DISTORTION」にかけて2年ほど時間が空きましたが、なにかインスピレーションを与えられた出来事などはありましたか?
杉森:オレ個人の話としては、学生の頃に「TOKYO NEW WAVE」というムーブメントがあって、新宿MotionでSuiseiNoboAzやオワリカラとかがやり始めていたのを見たことで、「俺たちも新宿Motionでやろうぜ!」って言ってバンドをやり始めたんです。あとは北海道札幌のハードコアのバンド・・・COWPERSやキウイロール、それにbloodthirsty butchersやNumber Girlに銀杏BOYSとか、そういうティーンの時や学生の時に出会ったものを、今回は形にできるんじゃないのかな?と思えたんですよ。





かわむら:素直に見れるようになったんだよね。
杉森:素直に見れるようになった。初めの頃は、素直にそれを出さずに、自分たちなりに変なことやろう!という感じでやっていたと思うんです。でもこの2年間は、好きなものを素直に自分たちで構築してみよう、そういう意識がずっとありましたね。
かわむら:その意識はほんとに、一番強かったよね。インスピレーションを与えてくれた出来事と言われたら難しいけど、そう思えたというのが一番デカイですよ。
そういった意識変化の元で生まれた今作ですが、「DISTORTION」というタイトルはどういった意味があるんでしょう?
杉森:これはかわむらが命名したんです。なんというか、僕らのスタンスをそのまま表したような感じで。
koyabin:シンプルで尖ってますよね、ディストーション。
杉森:そうだね。ロックとディストーションってニアイコールでスタンダード、切っても切れない関係だしね。
koyabin:ギザギザしたものをハコ一個でドンっと出せる、これがこうでここがこうなって~みたいな感じじゃなくてね。
かわむら:そうそう。
今作には7曲入ってますが、この曲数の少なさはなにか理由があるんですか?
かわむら:人に聞かせたい曲が7曲あった、といえばいいのかな?
杉森:期限はここまでで、いつまでに作られなくちゃいけない、なんていうスケジュールが一切なかったので、ライブハウスで一曲ずつメンバーやお客さんと一緒に磨き上げてきたのが丁度いいタイミングでリリースと被ってきた、そういう自然な流れですね。ベストな感じで出したと思ってます。
なるほどです。僕はこの作品、すごく突き抜けているし、この音をこの2016年に衒いなく出してくる、その強さがすごく響く作品だと思います。
杉森:ありがとうございます。まぁなんだろう、自分たちの好きなものを世の中に出していけると確信できたから作れたんだなと改めて思いますね。いま音楽があるけど、僕らのような80’sポストパンクやポストハードコアな音をやってるバンドは多くはない・・・僕が知らないだけかもしれないですけどね。だからこそ、いまカウンターとして放ちたいし、それが大きくなればいいなと思ってます。
今作の曲をライブでやったとき、バチっとハマるのはどの曲でしょう?
koyabin:「SuperEnough,HyperYoung.」じゃない?



杉森:どれか一個というのは難しいですけど、メンバー全員のバランスが良いのは「SuperEnough,HyperYoung.」ですね。今作はどの曲もキャラが立ってると思っていて、メッセージ性としてキャッチーなのは「カンタンなビートにしなきゃ踊れないのか」って、言葉そのまま言えてしまう感じはキャッチーだと思いますね。
まさに「カンタンなビートにしなきゃ踊れないのか」についてお聞きしたかったんですが、この言葉をまともに受け取ると、敵対的なのかな?とも思えるんですが、いかがでしょう?
かわむら:これは解説してやってくださいよ(笑)
杉森:敵とか味方とはか関係なくて。音楽って、聴いてみてグッとくればオッケーじゃないですか?聴いてグッとくればいいんだから。でも「こういうビートじゃなきゃだめだ」とか「もっと速い曲じゃないと嫌だ」とか「○○じゃないとダメだ!」みたいな風潮をいまの音楽シーンに感じていて、音楽は聴いてみてグッとくればいいんだからそんなこと関係ないということを思い出しましょう!という考えを込めてるんですよ。途中で「かんけぇねぇよ」と歌っているんですけど、まさにその通りで、「ビートとか関係ないんだよ、キミが良い!と思えば良いし、オレが良いと思えば良い、それだけなんだ」というのを伝えたかったんです。だからこそ「カンタンなビートにしなきゃ踊れないのか」は<?>という問いかけでもあり、<オレはそんなの関係ないぜ?何でもいいぜ?>というメッセージでもあるんですよ。
かわむら:そもそもこの曲自体がカンタンなビートで、8ビートで作られている曲ですしね。説教したいわけじゃない、もっと自由に聞けばいいんじゃない?ということです。
ある意味では目標やロマンや理想的なスタイルを追い求めているからこそ、こういったメッセージが生まれているようにも見えます。それは、THIS IS JAPANが本来持っていたシニカルさによるところなんでしょうか?
杉森:むしろ、シニカルみたいなことはやってないですね。自分たちが思っていることや好きなものを素直に出す、それが今の僕らのモードだから出てきたんだと思います。だからこそロマンがそこにあると思うし、エモーショナルなものが前よりも出てくるのかな?と思います。
いまのモードになったTHIS IS JAPANを、どういう人に聴いてもらいたいですか?
杉森:今日草野さんと話していて嬉しかったのは、ポストパンクやポストハードコアのバンドを聴いてい流人に刺さったというところだったんですけど、世界中にいるであろうポストパンクやポストハードコアファンに聴いてほしいですね。オレはもっと仲間を増やしたいんですよ。こういううるさい音が大好きな人に届いてくれれば良いなと思ってます。
かわむら:オレは音楽が好きな人に、それも音楽を初めて聴く人の原体験になれたらいいなと思います。友達に1枚1枚借りたりして聴いてたあの頃の音楽って、いまでも覚えているしね。そのなかに入れたらうれしいですね。
水元:高校生に聴いてほしいというのと、音楽イベントとかで一緒だった同世代の仲間たちに聴いてほしいですね。
koyabin:・・・小中学生かな?
かわむら:まだ早いんじゃないの?(笑)
koyabin:なんというか、その世代の子達ってそもそもアジカンすら知らないかもしれないじゃないですか?なのでそういう子たちに<ギターってこんなにうるさいのか!>っていう衝撃を与えたいなとは思います。
年末にはワンマンが、10月頭にはカナダでのツアー「Next Music From Tokyo vol.9」が控えています。(既に「Next Music From Tokyo vol.9」は終了 帰国しております。)
杉森:海外でのライブ自体が初めてですし、5年近く東京でライブやっていると僕らのことを全く知らないという状況自体がないので、完全に全く知られていない状況でいまの僕らの曲がどう響いてリアクションされるかが楽しみだし、モッシュピットさせられたらうれしいですね。
かわむら:海外の人の前で「THIS IS JAPAN!!」って言いたいしね。僕自身は行って帰ってこれればもうそれだけでオッケーです(笑)
水元:学生の頃に実は海外でライブをやったことがあって、THE BEATLESのコピーをやったんですけど、物凄い反響とかリアクションをもらったんですよ。その時はTHE BEATLESの曲だからもらえたかもしれないですけど、今度はTHIS IS JAPANの曲で、それくらいのことをしたいと思ってます。
koyabin:・・・友達を作りたいですね。英語はできないですけど、楽しみにしてます。
(既に「Next Music From Tokyo vol.9」は終了 大盛況で終わり、メンバー無事に帰国しております。)
杉森:ワンマンに関しては、長い時間でワンマンを務める事自体が未知のゾーンで楽しみですし、カナダに行って、それ以外のライブでもますます磨きがかかっている状態で臨めるので、ワンマンに来た人全員を最高だ!と思わせたいですね。
水元:ワンマンの日、実は僕の誕生日なんですけど、僕らしか見に来ないというお客さんばかりなので、変な緊張とかはないですね。やりきるだけです。
koyabin:曲つくらないとね(笑)
杉森:そうですね。これまでの楽曲だけだと足りないので、新しい曲を最近のライブで披露し始めているんです。形になってないですけど、新しい曲がいくつか生まれる感じもつかめているので、ワンマンで披露できればと思ってます。


<インタビュアー:草野虹 9月26日 新宿にて>

2016年8/3リリース(Now On Sale!)
フォーマット:CD/ストリーミング
(APPLE MUSIC/spotify/Google Play/KKBOX/LINE MUSIC/AWA)
カタログ:TIJM-001
価格:¥¥1,600+TAX
【Track List】
1.GALAXY
2.SuperEnough,HyperYoung.
3.スーパーマーケット
4.カンタンなビートにしなきゃ踊れないのか
5.TELEVISION
6.WhiteCity
7.D.I.Y.

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2016.10.21 12:00

【INTERVIEW】ワニウエイブ『Contempo-Rally Championship 2016』

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不可思議/wonderboy、daoko、Jinmenusagi、GOMESS、YAMANE、EeMuらを輩出してきたLOW HIGH WHO?、期待の新人春ねむりがCDデビューを迎える中、次なるリリースはワニウエイブ『Contempo-Rally Championship 2016』だ。
Go-qualia、y0c1e、mochilon、Silvanian Families、吉田ヨウヘイ(吉田ヨウヘイグループ/Ellipse)という豪華なトラックメイカーが参加した本作、主人公となったワニウエイブとは一体どんな人物で、今作から漂う濃密な空気感とその源泉とは・・・?これまでの彼といまの彼を捉えてみた。(インタビュアー:草野虹)

音楽って情動が不安定な人間のためだけにあるわけじゃないんで

インタビュー始めちゃっていいでしょうか?
ワニウエイブ:大丈夫ですよー!
ついさっきツイッターで書かれていましたが、どれだけ虚(ホロウ)をアタラクシアできるのか、というインタビューでいきましょう(笑)今回の作品が云々という話の前に、そもそもwaniwaveさんってどんな人ですか?というバイオグラフィ的な話をしたほうがいいと思うんですけども
ワニウエイブ:アタラクシア、一体どういう意味なんだ・・・はい
LHWに入ったのは、2013年ごろ・・・でしたよね。それ以前はロックバンドをくんでいたり、自宅録音で音楽を作ったり、という流れだとお聞きしているんですが、どんな感じで音楽と触れ合ったんでしょうか?
ワニウエイブ:そうですね、LHWには2012年の末に加入決定して2013年頭から所属だと思います。音楽とのふれあいは、そもそもで言うと、小学校のころピアノ習ってましたね。それから中学二年生で打ち込みをはじめて、高校で軽音楽部に入って。その流れで宅録などするようになり、インターネット上に音源発表したりして、今に至るという感じです。
以前からツイッターでお世話になっていて、ロックバンドに造詣深いなーと思っていたんですけど、軽音部のときにかなりガッツリやられていたんですか?
ワニウエイブ:高校から大学ぐらいまでは完全にロックで、宅録も18歳から22歳ぐらいまではロックな曲ばかり作ってました。
そんななかでヒップホップやラッパーになっていくという。転機になった出来事があったんですか?
ワニウエイブ:なにかきっかけがあって急にそうなったっていうよりは、まあバンドでなく宅録でやっていく過程で、徐々にシンセとかサンプリングが増えて、楽器の音が減ってくみたいな感じで今のスタイルになりました
なるほどです。ヒップホップやりたい!とかいう気持ちよりも先に、流れとして今の形になって、それがヒップホップ流儀だと
ワニウエイブ:カットアップやらサンプリングやらヒップホップ的な手法が当時(オレにとって)すごいフレッシュだったのでヒップホップ寄りになっていったという感じだったんです
ちなみにワニウエイブさんのなかで、ヒップホップといえばどなたが思い浮かびますか?
ワニウエイブ:ヒップホップといえば~(4分経過)~カニエ・ウェスト!
長考でしたね(笑)ちなみに理由はなぜでしょう??
ワニウエイブ:オレが想像するなかでもっともヒップホップらしい人物なのかなと、オシャレですしね
ちなみに、ロックバンドといえば、どのバンドを思い浮かべますか?
ワニウエイブ:レッド・ツェッペリンですかね。ロックバンドの理想形だと思います。好き嫌いはもう関係ないですよね。
ワニウエイブっていうお名前、なんでこの名前なんですか?
ワニウエイブ:いまとなっては思い出すことも難しいんですが、精一杯誠実にお答えしますと。見た目がwaとwaでグラフィカルで良いというのと、その時思いついたからというのが一番大きい理由かと……。検索性が高く、なおかつキャッチーなものに変えようという意識はあったと思います。中学生のときは「もんち」というHNで、BMS……当時流行してたビートマニアのPC版みたいなやつですけど、そういうの作ったりしてましたよ。
最近ではそこをはじめにしてトラックメイカーになられたかたがかなりいると知って驚きました
ワニウエイブ:BMS出身の人や、BMSを経過した人には有名になられた方も多いですね。日本のネット音楽史においては相当重要だと思うので、誰か本とか書くといいですね。
もしかしてですけど、BMSやビーマニからゲームにハマっていったんでしょうか?歌詞にはゲーム単語や関連する語句がバチバチ入りますし、ゲームやアニメの方からの影響が大きそうな気がします。
ワニウエイブ:それ以前からもゲームはやっていますよ!今でもゲームが好きですね。ゲームや映画から受けた影響は計り知れないと思いますね。でもまあゲームが上手というほどには上手ではないですよ。あと小説も好きです
徐々に趣味と作風とがリンクしているところに話を移していきたいのですが、好きなRPGと好きなキャラは?
ワニウエイブ:好きなRPGは、いま答えるならFallout3です。好きなキャラ・・難しいなあ。クロノトリガーのカエルですかね。つきなみな感じですが。あとサガフロ2が大好きで、サガフロ2のギュスターヴですね。スクエアゲーになってしまいますね、世代的にね。
クロノトリガーすっごい懐かしいですね・・・87年生まれなので世代ドンピシャです。お好きな小説家と作品はなんでしょう?
ワニウエイブ:好きな小説家は舞城王太郎で、一冊選ぶならやはり「煙か土か食い物」です。「世界は密室で出来ている」というのを文庫で読んだのが最初ですね。きっかけも覚えてないんですけど。たぶん名前は知ってたんだと思います。誰かに勧められたのか、ネットで評判を読んだのか、芥川賞絡みのニュースで知ったのか……みたいな
となると、メフィストとか読まれたりしました?
ワニウエイブ:メフィストを買って読んでたわけではないんですけど、いわゆるメフィスト系みたいな人は結構読んでると思います。まあでも他の作家には、舞城王太郎ほど大きい影響を受けてるわけではないと思います
好きなエロゲはありますか?
ワニウエイブ:好きなエロゲだらけですよ。一番好きなのはリトバス(「リトルバスターズ!」のこと 美少女ゲームメイカーkeyが制作したノベルゲーム)です!以上です!
ワニウエイブさんは、以前かなり大掛かりな麻枝准(key所属の脚本家 先述の「リトバス」で脚本を手掛けた)を中心にした同人本に参加されてましたし、これまでの楽曲の歌詞にも参照してますしね
ワニウエイブ:麻枝准にはまあほんと強い影響を受け続けていると思います
ちなみに、僕はエロゲそこそこやっていて、型月(美少女ゲームメイカーTYPE-MOONのこと)はだいたいやってますね・・・。過去の曲で言うと、「ゲーム的リアリズムの死亡」と「高校生とはレディオヘッドを聴く」の2曲は、インターネットやSNSが好きなオタク系のギークやナードに刺さる曲で、こういった心性をワニウエイブさんが持ち合わせているように思ったりもします。いまの自分からして、過去の曲はどう聞こえますか??
ワニウエイブ:それらを作ってるときどういうことを考えていたのかを思い出しますね。ところで「ゲーム的リアリズムの死亡」は、実はあんまり「ゲーム的リアリズムの誕生」(現代評論家の東浩紀氏による著書)とは内容が関係ないんですが……。ひとつ言えることは、オレの根本的な語彙はインターネットによって構成されてるので、それがまあ世代感として現れているのだと思います
2014年に「ワニウエイブのCDは呪われた!」を出して以来、フリーEPをバンドキャンプで出し続けて、今年の頭には「Super Ultra Best on The WWW」をフリーとしてリリース、一気にこれまでの自分を精算するような感じに見えたのですが、その辺はなにか意識するような点だったのかな?と思いまして
ワニウエイブ:ベスト盤に関しては、LHWのサイト充実させてえからなんかフリーダウンロードの音源はないか?と要請がありまして、
「それだったらセカンドもあるし、まあ予習しやすいようにWEB既発音源をまとめるみたいなのがあると便利かな」って感じでつくりました。bandcampやサンクラでいちいち聴くのって面倒だし、「いい機会だし」ってのはありましたね
「Super Ultra Best on The WWW」から、この曲はワニウエイブらしい曲だなといえるような1曲を選ぶとしたら、どれになりますか?
ワニウエイブ:やはり「怨念の虹」かなと。曲調もメランコリックな感じでよいと思います。



ワニウエイブさんの歌詞って、物凄く達観したところから言葉を発しているようなところがあって、冷酷なところもありつつ、一つの視点から見て徹底的にぶっ叩くサディズムを感じられるんです。「怨念の虹」にもそういうフレーズがあって
「でっかい口を叩いて 溜飲を下げる理由は ウォーリーみたいにそこらに あつらえられたように潜む その怒りは本当に 君の内側のものなんだから 宝物みたいに大切に 餌をやって育てればいい」
というフレーズとか
ワニウエイブ:自分でいうのもあれですけど、アイロニカルですよね。でもまあ達観しているということではないんですよ。諦観している、あるいは諦観しているフリをしているということであって。それと「怨念の虹」ぐらいから、自分の根本的なテーマのようなものが明確に見えてきたなあと思ってます
ワニウエイブさんは諦観がキモになっている・・・ともおっしゃっていましたが、一貫して憤怒と覚悟を唄ってきたんじゃないのかな?とも思ったりしていて
ワニウエイブ:「怒り」というほど怒ってはないんですが、まあ悪意はありますよね!
「衆preme 愚oods」、ここには入ってないですが「さよならロッキングオン」などなど、自身に愛がある題材をモチーフに唄うからこそ、怒りも表に出てくるんだなと思ってますよ
ワニウエイブ:覚悟や選択というのも、特にファーストアルバムの頃はそういうテーマだったような気がします。さっきの「ゲーム的リアリズムの死亡」とほとんど全く同一のことを歌ってますね
ワニウエイブさんが好きなKeyとロックについて2曲とも唄ってますが、その実、これからを生きる覚悟をもて!という非常に前向きなメッセージなんですよね。
「散らかしたままの部屋を片付けて 窓を開け、服を着替える 僕らの愛した時代は死んだ。襟を正し、そして生きてく。」(「ゲーム的リアリズムの死亡」より)
ワニウエイブ:すごくざっくりまとめるとオワコンについての曲なんですが、そこにはどうしたって郷愁がついてまわるんですよね。自分の曲をさっき「諦観してるフリ」と言いましたが、強がってるということ、寂しくなんかないぞ、っていうことですね。これも世代感かもしれないですけど、正面からエモく表現するということがあまり信じられないんですよね。試みることはあるんですが。
なるほど
ワニウエイブ:世代という話でいえば、VIPイズムなのかもしれないですね。 VIPど真ん中世代なので、まあ人格形成に一役買ってるのは間違いないです
素直に、ストレートに表現して、受け入れられるかわかんない不安感とか、それ自体がかっこよく見えない・・・上の世代はそうやっていたしかっこよく見えていたけども・・・僕らはどうだろう?みたいな
ワニウエイブ:音楽って情動が不安定な人間のためだけにあるわけじゃないんで!

自分の目線から「現代」を切り取って、そのパーツパーツを楽曲に落とし込んでいった感じですね



(先行配信された「ブルーインフェルノ」)

いよいよ「Contempo-Rally Championship 2016」に話を移したいのですが、今作ではワニウエイブさんはあまりトラックメイカーとしては参加しておらず、ラッパーに徹していて、代わりに多くのトラックメイカーを招集しましたね。なにか意図はあったんでしょうか?
ワニウエイブ:そもそも、あんまりアルバム製作ということに興味がなかったんです。そんな折、2015年末に今回トラックメイカーとして参加していただいたGo-qualiaさんが、年間ベストみたいな企画でオレの曲を褒めてくれてたんですよ。そこで「いろんな人とコラボレーションしたいという理由ならアルバムが作れるのでは?」と思いついたのが最初です。その後、派遣で働いてるときに、<これはなにか音楽かなんかをやっているという実感がないと狂ってしまうぞ!>と思いまして、製作を開始したという感じです。
なるほど。以前ライブ現場でお会いした際には、トラックメイカーは有名な人に声をかけまくったんだよね~~なんて話を冗談めかしてましたけど、どんな曲を作って欲しいかはある程度トラックメイカーさん各々に任せっきりだったんでしょうか?
ワニウエイブ:最初に企画書を書いたんですよね。どのような流れでどんなアルバムになるかっていう。で、この曲なんですがどうでしょう?と一人ひとりにまずテーマを伝える形で作っていきました。
かなりコンセプチュアルに?
ワニウエイブ:今回のアルバムはかなりコンセプチュアルですね。企画書段階から変更点もあるんですけど、TMが決定して以降はほぼ変更なくそのまま作りました。トラックも最初の段階で、こういう曲を頼むならこの人かな、みたいなのを考えてオファーしてました
どの曲も、どの曲とも違いますよね、ギターポップ、オールドスクールなヒップホップ、電波ソングぎみ、エレクトロニカ、ジャジーなもの…
ワニウエイブ:そうですね、よい感じにちらけたと思います
これまでだと、一貫したトラックメイキングにワニウエイブさんの声が乗る、というのが常だった。そうじゃなくて、他人が作ったトラックに自分がどう言葉を乗せるか?というチャレンジでもあるし、そうすることで自分の周りの現実からも逃れられる感じもあると
ワニウエイブ:あとまあ、やはり、自分以外の視線とか視点が入ってくるということですよね。テーマを伝えてトラックをつくってもらうわけですから。
作り終えてみて、いまの気持ちはどうでしょうか??
ワニウエイブ:もうだいぶ経ってしまったんで、早くでねえかなと思いながら寝転がってますね。作り終わったときは、とにかく「長かった」と思いましたが。
製作期間、どれくらいだったんですか?
ワニウエイブ:半年ぐらい作ってたような気がしますね。コンセプト考えたり歌詞考えたりするのはまあ大変でした。トラック作るみなさんも結構苦慮なされていたようですね
先日のライブに来られていた吉田ヨウヘイさんにもカンタンに話を伺ったんですけど、悩んだんですよねーと話されてましたね
ワニウエイブ:いやいや、いきなり無理難題を押し付けて申し訳ない限りでした
今作でもワニウエイブさん自身いろいろ歌詞を深く考えたと思うんですけど、なんというか、Twitterで見られるあらゆる騒動を俯瞰的にみて悪態をついている、ような感じの言葉がすごい多いとまず思えました。
ワニウエイブ:ツイッター含めたインターネットのあちこちですね
VIP時代から生きてきたワニウエイブさんからみて、ココ数年くらいのツイッターやネットニュースで目につく話しに何か言いたいことや不満がグシャメシャに溜まっていったんですか?
ワニウエイブ:ああ、そういう風に感じましたか。別に怒ったり不満に思ってるってわけじゃあないですよ!今回のアルバムの一番最初のコンセプト、というかとっかかりが、タイトルの一部にもなってるように「現代」というものでした。なので、自分の目線から「現代」を切り取って、そのパーツパーツを楽曲に落とし込んでいった感じですね
いままさに「コンテンポラリーチャンピオンシップ2016」の歌詞を読んでいたんですけど、まさにそういったことを歌われていますよね
「コンテンポラリーチャンピオンシップ “今一番アツい”という御旗を掲げる 良い悪いが何度も回転し “逆にいい”となる中盤を迎える」
ワニウエイブ:現代とは何かということを考えたときに、やはり一番最初に出てくるのは、価値多様世界であるということですよね
客観的な序列がなく、色々な視点や価値観の併立・共存があって、それぞれの視点と価値観に立って複数の主張ができることを容認する、みたいな
ワニウエイブ:もっとミクロな話を突っ込んでいくと、もちろん最終的には大きくなるんですが、今回取り扱っているものだと、音楽の聴かれ方、とかそういうものですよね。これはこれでいい、いやむしろコレがいい、というような。
だからこそ、楽曲の毛色もバラバラですしね
「多種多様な定義の“現代的” 各自勝手に設定する仮想敵 種目数も増えていく兆候が で自分以外誰もいない表彰台」
という歌詞にもまとまってますよね、そのあたりの感覚は
ワニウエイブ:そうですね。今回のアルバム製作を通じてすごい自覚的になったんですけど、オレのテーマってのは多分、大げさに言えば「価値多様世界における孤独、孤立、疎外」だと思うようになったんです。言葉にすると短いんですが、それって実はあんまりシンプルじゃなくて。いろんな目線から描きうるテーマだなと思いますね
「ロスト・イン・ジ・イオンモール」が本作の2曲目に入ってますけど、イオンモール自体が多様な商品を取り扱うスーパーマーケットの代表格で、その中で<ロスト>する感じとかは、まさに<価値多様世界における孤独、孤立、疎外>ですよね
ワニウエイブ:はい。あとイオン自体が「郊外」にあるものですからね
僕の中で現代的とは・・・と言われると、そもそも答えがないのに、答えらしきものを設定して、答えじゃないものをも設定すること、だと思っているんですよ
ワニウエイブ:それってなんか禅問答みたいですね(笑)でもいいたいことはわかります。すげー最初にもどりますけど、それってホロウですよね。ホロウとか、スタンドとか、なんでもいいんです、ポケモンでもいんですけどね、
まさにホロウをアタラクシアする感じですね
ワニウエイブ:実際存在しないものに、意味を付与しようとしている感覚ですね。
まさにSNS絡まりで炎上するのとかでもいいんですけど、
「各自勝手に設定する仮想敵」
と歌われているじゃないですか?これまでは社会的な風潮などで<仮想敵>が決まっていたんですけど、いまだと個々人それぞれが勝手に生み出してる気がするんですよ
ワニウエイブ:わりと自分の立場が正義であるという大前提をもとにそれが行われますね
疎外感とか孤独とかもそういったものから生まれたりしますしね。価値が多様になり認めつつ、各自に敵を設定することで、阻害と孤独を深めていく流れを歌っている。
ワニウエイブ:手を開けないまま局面が進むポーカーみたいなものです。オレはロイヤルストレートフラッシュだぜ、って口先で言い合ってるんですよね
でも札をオープンにする瞬間は訪れないわけで
ワニウエイブ:そもそもそんな札なんて本当にあるかどうかもわからない、と。ただ、俯瞰する、とか、客観的になるってことは、孤立することでもあるんですけど、自分を保つということでもありますね。さっきから価値多様世界みたいな話してますけど、じゃあそれが全体主義みたいな。価値単一になればいいかっていうとそれはぜったい違うわけですし。
この作品を仕事していてすり減っていく中で音楽を作らないと自分を見失う中で作り始めたと仰っていていましたが、「おしゃべり」や「会話」の先にラップがある、そういった根源的なところもすごく感じられますね。今作から物凄い悲しさを感じ取れもしましたが、今日のお話などを聞いていて、なるほど働いている自分の身だからこそなのかもと。
ワニウエイブ:今回はすごく悲しいですよね。その悲しさと向き合うときに、ユーモアだったり、たとえば俯瞰だったり、ちょっとバカにしてみたり、そういうことを使うのが知恵ってもんですよ。だから本当に、怒ってるというわけではないですね
最近発売になった宇多田ヒカルが新作に纏わるインタビューで、「ユーモアって、どうにもならない状況に対して唯一できること」と仰っていたのを思い出します、それを踏まえると、今作はワニウエイブ全身全霊のユーモアとコンセプトによって疎外感や孤独感による悲しみを込めた・・・という作品ではありますよね
ワニウエイブ:そうですね。宇多田ヒカルは育ちいいですけど、オレらみたいなもんは育ちが悪いのでユーモアだけじゃなくて、毒も悪意も使うということです
ブラックユーモアも、インターネットミームも、ネットスラングも、全てをまとって生まれるリアルなラップミュージック、みたいな感じですね、本当に。だからこそ刺さると
ワニウエイブ:ヒップホップの誕生という話でいうと、ここがオレらにとってのストリートですからね

『Contempo-Rally Championship 2016』/ waniwave
2016年10/19リリース
フォーマット:CD
レーベル:LOW HIGH WHO? PRODUCTION
【Track List】
01. 人とは違う音楽が好きな人のための音楽 [Prod. ツマー]
02. ロスト・イン・ジ・イオンモール [Prod. 吉田ヨウヘイ]
03. ここがヘンだよはちまjin [Prod. Silvanian Families]
04. 嘘だドンドンドン [Prod. waniwave]
05. ブルースクリーンインフェルノ [Prod. 4sk]
06. ガールズアンドパンツ [Prod. y0c1e]
07. 神話カンパニー [Prod. mochilon]
08. ノーカントリーフォースキッツォイドメン [Prod. Go-qualia]
09. コンテンポラリーチャンピオンシップ2016 [Prod. kumorida]
10. 1分でわかるワニウエイブ2ndアルバム「Contempo-Rally Championship 2016」


<インタビュアー:草野虹 10月6日 Twitterにて>

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2016.10.16 12:00

【INTERVIEW】塚原啓によるソロ・プロジェクトrakia 新作『Eclectic Color』インタビュー



サウンドクリエイター塚原啓によるソロ・プロジェクトrakiaが6年ぶりにリリースしたアルバム『Eclectic Color』。
坂本龍一によるオーディション番組での紹介や、前衛舞踏・演劇への楽曲提供、スペイン国営テレビ主催のクラブイベントへの参加といった経歴を持つ彼が、ブランクの間に訪れたヨーロッパの風景や芸術作品、そして日本国内の厳しい景色をモチーフとして作り上げたというこのアルバム。
彼にインスピレーションを与えたもの、そのインスピレーションをどのように吟味し、作品を形作っていったのか。
これらを掘り下げるべく塚原啓=rakiaに行ったインタビューを行ってみた。

美術で培ったノウハウが音楽制作に置き換えられているイメージかもしれません。

:6年のブランクですが、本作のトラック制作はいつころからスタートしたのでしょうか?
rakia:最初の2年間はネットが繋がらない環境に身を置いて居たため、充電期間といいますか…一旦音楽から離れ、旅行と絵画製作等を行い展覧会に出品したりしておりました。その後、震災で実家や東北の親戚が被災した為2年程,DIYのツールを一式揃えてリフォームや再建へのボランティア活動を行っておりました。生活全体が安定するに従って、一度は処分した機材を海外のオークションサイトを利用して買い戻したりして…リペアやメンテナンスも含めて、海外の人とのコミュニケーションをとるのに相当な時間とエネルギーを費やしました。
:確かに6年というと間に震災もありましたね。。機材を買い戻すといっても結構大変だったのではないですか?
rakia:当時は多少円高だったのでタイミングとしては恵まれて、憧れのビンテージシンセをコレクターの方から入手できたり、急激に安価になったサンプラー等の機材も購入する事ができました。又、新しいMacに加え0.S9にしか対応していない使い慣れたアプリケーション用に敢えて古いMacを買い戻したりしました。…そんな感じで、漸くセットアップ期間に入ったのが2014年秋頃で、トラック制作を再開できたのは2015年初旬からです。
:一貫したサウンドの統一性に圧倒されました。すべてのトラックが揃った後で、もう一度全体を見直して整合性をとるといったことを行っているのでしょうか。あるいは、サウンドを組み立てる前に精密に計算したものなのでしょうか?
rakia:僕の場合、義務教育だった頃から絵画(水彩、日本画)版画(ドライポイント)を制作していた時期が有り、無意識といいますか体感的にその制作過程そのものが刷り込まれておりまして。恐らく、美術で培ったノウハウ(組み立てる前に計算、完成型から逆算する習慣)が音楽制作に置き換えられているイメージかもしれません。
:完成型から逆算する習慣、というのはものすごく分かる気がします。
rakia:故に、幸か不幸か…DTMならではのポピュラーな制作手順は行っておらず、絵画制作に於ける“取材~スケッチ~パネル作り~構図/下図作り~本描き=納得がゆく迄描き込む”スタイルがそのまま“取材~モチーフ制作~ベーシックトラックを構築~マテリアル単位での解体~再構築を繰り返す”過程にピッタリと重なり合う感覚で制作を行っております。建築家が模型作りをバインドする流れと全く同じフローです。そのようなアプローチを試みているせいか自ずと一貫した世界観を表現する事が出来ました。

Y.M.Oの“テクノデリック”の様なアルバム構成が理想だったりします。

:アルバムは、1-4曲目までで小さく一周、その後5曲目からは最初の1-4曲目を踏まえて大きく構成を辿るといったような2部構成のような印象も受けました。曲順について意識されているところはありますか?
rakia:曲順に関してはnikさんとのやり取りで決めました。正直、1曲目の選考は非常に悩ましかったです。耳から入る情報は無限ですが、実際リスナーの立場で考えると連続して同系列のトラックが重なると恐らく脳の処理の仕方が漫然とするでしょう。その辺りは起伏を考慮して曲順を変えたセットを幾つか用意して相当に吟味しました。
:かなり慎重に配置されたんですね。オープニングはとてもスムーズで、素晴らしいと思います。
rakia:冒頭としてのスタートダッシュ的な躍動感を持たせる、楽曲としてのフックを提示する、示唆したいイメージを持続させる、持続したイメージを落ち着かせる…といった1サイクル。要するに、DJ的掟のような起承転結を、曲同士の前後関係を通じて役割を持たせている事は確かです。In Blossomで明確に切り替ります。
ご指摘の通り、5曲目からsideBに移行するニュアンスです。おこがましいですが、Y.M.Oの“テクノデリック”の様なアルバム構成が理想だったりします。

美術館等で、工芸品や肉筆絵画をダイレクトに見る行為そのものが、トラックメイキングの発展に繋がる重要なファクターであると考えております。

:ヨーロッパと日本のEclecticというコンセプトですが、例えば「ヨーロッパ的な役割」はすべてこの音響、といった音色による役割指定というよりも、和声感覚であるとか旋律であるとか、伝統的な音楽の部分に静かな折衷を感じました。それはとても抑制された美しさだと思います。ヨーロッパ、日本、それぞれで印象に残る景色というのはありますか?
rakia:確かに、音色あるいは音響で「ヨーロッパ的な役割」は表現そのものが困難かもしれません。音楽的な部分、すなわちコード感及び旋律的な音列(インターバル)を適宜設置する事により平均率に対してよりヨーロピアンだったり、ジャポニズムな折衷感を醸し出していると思います。
:表現そのものが困難というのは確かにあるかもしれませんね。そこに絵画の役割も自然と折り重なるようなところがあったのでしょうか。
rakia:景色に関してですが、ヨーロッパは逆光を差して黄金色を帯びた広大なドイツの麦畑や、朝霞がかったスイスのルツェルン湖がとても印象的でした。そのイメージで当初“Swan”のタイトルでインストとして制作しましたが、後になってリリックとvoiceを作って頂いた為、真逆なモチーフをそのまま“The Desert Of The Moon”として発展させました。日本では、青森県白神山地沿いの夕暮れ時の日本海が絶景でした。さらには奈良の吉野山から見下ろした山桜も圧巻でした。青森、奈良それぞれ晩秋と早春の時期に訪れ“Tidal Flow” 及び“Cherry Petals Falling”のモチーフ制作のインスピレーションの源となっております。
:音楽がキーになって記憶が蘇るということをよく聞きます。ここれはむしろ逆で(音を制作する訳ですから当然ではありますが)、景色がキーになってサウンドを具象化する、ということになりますが、トラック毎に明確にこの景色、といったような分離があるのでしょうか。あるいは大きな物語のようなものが作品全体を覆っているというようなイメージでしょうか?
rakia:前述したものは景色や心象がトラックに具象化されておりますが、曲によっては完全に“無”の状態からモチーフを作りつつ(往々にして季節感は影響しますが)、一旦クールダウンさせて、再度別解釈で構築しトリミングを施した結果、ベクトルが明確になり作品として成立したものもあります。今年の1月にモチーフを作った…White Landscapesはその試みの典型です。逆に、2月に入ると早朝や夕方に“渡り鳥の群れ”を多数見かける様になり“Migratory Birds”のベーシックな部分を作ったり…と身近な日常からヒントを得てます。ですので、トラック毎にこの景色という分離よりも、その後の“高みに昇華/発展させる処理”に重心を置く事が、結果として景色と結びつくのではないかと思われます。
:景色、心象、無、日常、そして再び景色…と。
rakia:更に、個人的な経験則としては美術館等で、工芸品や肉筆絵画をダイレクトに見る行為そのものが、トラックメイキングの発展に繋がる重要なファクターであると考えております。理由は通常の音楽(当然、主軸であり影響もある)からの刺激と比べ、より気分がフラットになり、客観的に“イケてるか、否か?”分別が付き易くなるという空間的な感性が備わる様な気がします。尚、作品全体に関しては、それほど俯瞰しておらず、偶然の賜物とでも言えますが…トラック単位で臨んでいる為、大きな物語といった括り等は特に意識しておりません。
:rakia名義では今後、どのような活動を考えているのでしょうか?
rakia:音の質感やトラックメイキングのスタンスは今まで通りですが、個性的な女性ボーカリストをフィーチャーしたメロディアスな楽曲にもトライしてみたいと思います。機会があればライブ活動も視野に入れたいと思います。

インタビュー 30smallflowers(@30smallflowers)


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『Eclectic Color』/ rakia
2016年10/15リリース
フォーマット:CD
レーベル:PROGRESSIVE FOrM
カタログNo.:PFCD62
価格:¥2,000
【Track List】
01. Cherry Petals Falling
02. Day Dream feat. Manami
03. Tidal Flow
04. After The Rain
05. In Blossom
06. Reflection feat. Hiroe Baba
07. Migratory Birds
08. Nostalgia
09. The Desert Of The Moon feat. Hiroe Baba
10. White Landscapes
11. Water Drop


30smallflowersによるrakia『Eclectic Color』レビューはこちら
↓↓↓
【REVIEW】Eclectic Color / rakia(PROGRESSIVE FOrM)

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2016.10.15 12:00

【INTERVIEW & REVIEW】gift to her / guitarsisyo (PROGRESSIVE FOrM)

2016年1月に3rdアルバムが配信されたばかりのguitarsisyoだが、早くも4thアルバムが届けられた。従来からリズムトラックに乗せた折り重なるアコースティックギターのアルペジオが印象的な安定した作風を保ち続けているが、今作は淡さを残しながらも音色の多様性やリズムトラックの透明感にも配慮されたトラックが多く収録されている。



1.toou
幾重も重なるギターのアプローチは音響的にも前作とも近い感触を持つが、ややダビーなブレイクビーツがとてもクリアな音色を保っている。外観は前作の延長ともとれる。しかしリズムトラックは今作のオープニングとして新しいアプローチをさりげなく、そして下降する美しいコードと共に深く提示する力強いはじまりかたともとれる。ここでの音響処理は以降のトラックでも随所に埋め込まれているようが気がする。静かだがオープニングにふさわしいトラックだ。

Q1このリズムトラックの音響は前作までの作品と比較してとてもクリアにリズムトラックが押し出された気がします。例えば、トミーゲレロのような要素を一層クリアにしたような印象です。前作から程なくして発表されたアルバムの1曲目としてはとても驚きました。このトラックはいつ頃作られたものなのでしょうか?前作とは明確に区別されているのでしょうか?
guitarsisyo作ったのは多分去年の中頃?だったと思います。基本的に曲作りは、時間があるときに断片断片で作って、あとでまとめる作業をするということが多いので、前作がどうだったから区別するとかそういうことはあまり考えていないです。ちなみに、トミーゲレロという名前くらいしか知らないのです…すみません…。
2.tpgk
冒頭のクリアなピアノのフレーズは絶妙に揺らぐことで、Hip Hop経由のサンプリングカルチャーが透明感を伴って昇華したような印象を残す。電子音を重ねながらトラックは進行するが、時折に挟みこまれるアコースティックギターの叙情的なオブリがECMのレコードのような感触を残す。
3.osk feat. hikyo
続くトラックでは非常にクリアでオンマイクなギターとリバーブに淡く揺らめくhikyoのヴォーカルの重なり具合が心地よい。ここでも繰り返されるフレーズは各所に揺らぎが織り込まれている。そこにリズムボックスの端正なノートが挿入されることでフォークトロニカとHip
Hopが入り混じる奥行きある響きを作り出している。

Q2この揺らぎと端正なリズムボックスのバランスがとても好きです。このトラック、どのパーツもナチュラルメイクというのか、丁寧な音響とナチュラルさが同居していて素晴らしいと思います。例えばヴォーカルRECの際には、例えば歌い方や言葉の散らばし方などあらかじめイメージを共有されていたのでしょうか?
guitarsisyo歌については、すべてお任せです(笑)。お互い離れたところに住んでいるので、カラオケ状態の音源をお渡しして、歌トラックをスタジオで録ってもらい、歌ファイルだけを頂いて、こちらですべてエフェクト処理、ミックスをしました。個人的にhikyoさんの声質が好きで、多分自分の曲に合うだろうなとは以前から思っていたので、私的には想定内(笑)の出来です。
4.dbnrm
細やかに配置されたリズムトラックとサンプリング音が印象的な冒頭部分にギターのアルペジが重なる瞬間、リズムトラックがミュートされギターを中心としたオーガニックな音が目の前に広がる瞬間、ピアノとギターが淡く交差する瞬間、シーンが切り替わるごとにそれぞれの美しさが刻まれているとても繊細な楽曲。どの瞬間も音響がとても印象に残る作りになっている。
5.sra
電子音が静かにコードを刻み、ディレイによってリズムが提示され、ギターはゆっくりと端正なアルペジオを刻む。シンプルなコード進行が物語を進めていく。中間部で入れ替わる細かな電子音の美しさに続くリズムトラックは意外にも高速感を持ったキック。シリアスさに寄り過ぎず穏やかなユーモアさえ感じさせる余裕のある表現に成功している。

Q3このトラックはシーンの切り替えが見事だと思います。特に後半に向けてのJUKEの倍速感覚とも違う、ダビーな音楽でもなく、なんとも予想外の展開なのですが、ある種の余裕とユーモアを感じてしまいました。そのような感じ取り方はどんなものでしょうか?
guitarsisyo私的には、あまり凝った展開ではないと思っています。多分ですが、ポストロックとかマスロックとか言われるジャンルの方々の曲を聴いていたからそういう影響からもしれないですね。そういう中だと「ベタ」かなと感じているくらいです。
6.teks
前曲から程なくつながるが、ここでは再び端正なブレイクビーツが再現されている。リバーブに暖められたスネアと透明感ある電子音に寄り添うギターのアルペジオ。静かに7thを入れ込むアプローチや、中間部以降で強調され繰り返される転調、音の動きがとても絵画的なトラックだ。
7.sbe
複雑な和声が示された前曲との対比でシンプルなコード進行が引き立つこのトラックでは、ピアノにMarei
Suyamaを迎えた淡いインタープレイが印象的だ。ピアノを覆うどのパートも大きく出すぎることなく、シンプルなコード進行を印象付けるべく一体となるようなアレンジと音の分離具合の対比がとても美しい。美しさへの配慮の多いトラックだ。

Q4冒頭にも登場する管楽器の音色からもっとvaporwave的な展開を予想したのですが、むしろ自由に広がるピアノや前曲との対比でのシンプルなコード進行が印象的でした。曲の並び方がとても効果的だと思います。(が、曲順が見えてきたのは制作のどの段階あたりなのでしょうか。こうした繊細な並べ方というのは相当時間を掛けて練った構成なのかなと想像しました。そのあたりのお話を伺えたらと思いまして質問させて頂きました)
guitarsisyo曲順については、レーベルの方と相談して決めました。全曲揃ってからですね。今回のアルバムは今までだったら、全て自分で考えないといけないところを客観的に見てくださる方がいたので、大変助かりました。
8.cbmh
リードトラック的な明快さを持ちつつ、ギターが旋律とアルペジオの中間点のようなフレーズを奏でている。複雑さと明快さを併せ持つトラックだが、端正なバランスがそれらを両立させている。ギターの揺らぎはかつてのミニマルミュージックも連想させる。あらゆる要素が織り込まれている。
9.ansl
朴訥なピアノのブロックコードを支えるブレイクビーツ。美しい転調をはさむコード進行、ギター、電子音、オブリとリズムトラック、表情の移り変わりがとても自然で、楽曲の展開を意識せず、つい聴きいってしまう。中間部以降徐々に音が集まり集中力を増す。このゆったりした淡い変化が美しい。
10.slw
朴訥としたピアノとギター、楽曲は静かにレイドバックしたブレイクビーツに乗せて、美しくもシンプルな進行の中での物語のシーンを切り開いていく。ここでも端正で美しい世界はキープされているが、時折みせるギターのオブリをとらえる音響が美しい。ピアノの細かな打鍵、ゆったりしたフレーズ、旋律以外の要素も一体となって淡い世界観を醸し出している。
11.life is dictionary
最後に収録されたこの曲では、淡さはリバーブの中に残しつつ、ダイレクトな音響のギターがそれを引き立てる。陰影を帯びたコードや、静謐なブレイク、サイン波を引き伸ばしたような低音の余韻、どのパーツも自らの短いフレーズをもっており、それらが揺らぎながら寄せては分離するサイクルに包まれていく。soejima
takumaによるミックスがラジカルな側面と叙情的な背景を同居させることに成功している。とても美しい。

Q5soejima takumaさんとの音楽的な相性はとても良いと感じました。シリアスさやアーティスティックな側面が時折ユーモアでうまく包まれていることがあったり、とてもラジカルな部分が時としてむき出しになっていたり。。ミックスによって変わった部分、変わらない部分というのはありますか?
guitarsisyo元々は、ギターとエレピのかなりシンプルなものだったのですが、soejimaさんがピアノを足してくれたり、ミックスしてくれたことで最後の曲に相応しい感じになったかな?と思います。
Q6どうしても伺いたいと思っていたことがありました。それは不思議な曲のタイトルについてなのですが、、逆に最後のトラックだけは明確な単語になっていますね。そして”dictionary”という言葉。前作までのタイトルも含めてとてもdictionary的だなという集約されたイメージをこのトラックに求めてしまうのですが。。(が、そんな深読みはアリでしょか)
guitarsisyoタイトルは付けるのが苦手なのと、dawのファイル名も製作開始年月日なんですよね。で、尊敬する宮内優里さんの曲タイトルも結構適当だったので(笑)、「あ、もうこれでいいや。」という感じで付けています。一応、ある単語の頭文字のアルファベットを取っているんですが、思い付きでつけているので殆ど覚えていません(笑)。
最後の曲だけ明確な単語なのは、昔、音楽的にかなり影響を受けた人とユニットを組んでいたことがあって、そのときのユニット名なんです。もうその人とは音信不通で今どこで何をしているかも分かりませんが、もしこれを見たら思い出して頂ければありがたいなと。なので、楽曲については全く関係無いですね(笑)。
Q7最後に、このアルバムに込めた「家族への想い」というのはどういったものなのでしょうか。(私は、そこにある種のメランコリーと、自我っていうのでしょうか、、そういうものが縦軸、横軸で交錯する、、とても複雑な、肉親ゆえの、、的な想いを感じてしまいましたが、、そのようなものなのでしょうか)
guitarsisyoあんまり深い意味は無いですが、僕のように嫁や子どもがいて、音楽で生業を立てていない人が、音楽活動を続けるのって意外と難しいのかな?って思います。それが出来るっていうのは、やっぱり家族が理解して許してくれているからだと思うんですよね。そこに対する感謝という意味でこういうアルバムタイトルにしました。ま、結局、楽曲には何の関係も無いですね(笑)。
そういう意味から言うと、次のアルバムタイトルは「gift to her vol.2」とかになりますが、それは避けます(笑)。
基本的にはこれまで通り、不思議な曲名と美しいアコースティックギターが織りなす世界観はしっかりと提示されているが、多様性がその世界をさらに押し広げることに成功しているのではないかと感じる。「家族への想い」をタイトルに込めたという本作は、家族故のメランコリーを持った陰影を残しつつ、自己の透明感はキープする。そういったタペストリーを連想させる折り重なった世界を幾重にも提示してくれる作品に仕上がった。


インタビュー 30smallflowers(@30smallflowers)



gift-to-her
『gift to her』/ guitarsisyo
2016年7/17リリース
フォーマット:CD
レーベル:PROGRESSIVE FOrM
カタログNo.:PFCD59
価格:¥2,000(税抜)
【Track List】
01. toou
02. tpgk
03. osk feat. hikyo
04. dbnrm
05. sra
06. teks
07. sbe
08. cbmh
09. ansl
10. slw
11. life is dictionary
amazon
All Tracks Written, Produced & Mixed by guitarsisyo in Japan
Except:
M2 Vocal by hikyo, Recorded by CatooO NO asoviva
M5 & 11 Additional Production & Mix by soejima takuma
M7 Piano by Marei Suyama
Mastered by Yoshio Machida
Model by mirei
Artwork by rieko w, guitarsisyo
Design & Layout by nik
Thanks to: bit, horse ride park, sexy chocolates, selvasupina, CatooO, NO asoviva, My Family & All Friends

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2016.7.26 21:00

【INTERVIEW】エレファントノイズカシマシ

interview_enk

ノイズ集団エレファントノイズカシマシ。
パッケージングされた音楽を嫌うかのような激しいパフォーマンスと常識を踏み越えるライブを続け、東京のアンダーグラウンドシーンに大きな歯型を残し続けている。
今回indiegrabでは全体的なシルエットが見えにくい彼らにフォーカスを合わせるべく、メンバーの片岡フグリ、小林ムーク、剤電にインタビューを試みた。

いいですね、パートって。バンドみたいですね(笑)

本日はお集まりいただきありがとうございます。まず、自己紹介としてお名前とパートを教えていただけますか?
剤電:いいですね、パートって。バンドみたいですね(笑)
片岡フグリ(以下片岡):じゃあ剤電からお願いします。
剤電:ノイズ作家の剤電です。
ノイズ作家??
剤電:カルチャーブロスに書かれました(笑)でもけっこう気に入ってます。
片岡:「エレファントノイズカシマシ」って書いてないの?
剤電:書いてない。
私も剤電さんの参加ユニットの全容って、把握しきってないです(笑)
小林ムーク(以下小林):えー、シンセとか モノとかをやっている小林ムークです。以上です(笑)
よろしくお願いします。
片岡:総合司会の片岡フグリです。
一同:総合司会(笑)
片岡:『自分は総合司会です』と、エレファントカシマシの宮本さんが自己紹介で言っています。
剤電:あ、そうなんだ(笑)
インタビューってされた事ありますか?
片岡:いや、ないんじゃないですか?
剤電:1回だけ、youtubeでやってたラジオ番組で、お話しをした事がありますね。
ラジオ出演みたいな?
剤電:MOGIKOJINさんっていう、ドラムソロとか企画とかやってる方のネットラジオに出演させて頂いたことがあります。その時は華屋与兵衛で死んだうちの犬の話とかして、あとイチヤマ君(motherpill)っていうウチらの友だちも何故か同席してて、完全に危ない人たちって感じで…。
あ、あれの後にKLONNSもあって…その時も僕いたんだけど全然話が盛り上がんなくて(笑)モギ(MOGIKOJIN)さん、心折れちゃって…多分。探せばまだMOGIRADIOっていうのが音声で上がってるかと。



G.G.G.G.は重い、巨人系の音楽。

よく私「エレカシ」って略しちゃうんですけど、正式な略称としては「ノイカシ」ですか?
小林:ノイズ…エレカシ?(笑)
片岡:様々な略称がありますね。ノイズエレカシという略称をかつて使ったのは小堺さん(インキャパシタンツ)だけです。バリエーション出しちゃうとtwitterで見つけにくいし、ノイカシが一番使い易いです。
(twitterアイコンなどに用いられている)ノイカシのロゴマークってどなたが作ったんですか?
gFVfyLzJ_400x400

片岡: あれはエイフェックスツインが作りました。
一同:(爆笑)
片岡: いや、俺が作りましたけどね。でもあの会社に頼んだらいいんじゃないかな。デザイナーズ・リパブリック。10万ドルぐらい払って。
剤電:デザイナーズ・リパブリックにお金払って「エイフェックスツインのマークみたいなやつお願いします」って。
小林:断られるんじゃない?普通に(笑)
片岡: (デザイナーズ・リパブリックの)展示会に行った時、オウテカがずっと流れてたんですよ。
小林: オウテカ流れてたの?
片岡: オウテカ流れてた。っで、これなんていう人の曲ですか?って受付で聞いたら、「オウ⤴︎テカ⤴︎っていうアーティストです」って。
一同:(笑)
剤電: オウ⤴︎テカ⤴︎?
片岡: オウ⤴︎テカ⤴︎
小林:イントネーションが(笑)それ、説明してる人も知らないよね。全くそういうのに精通してない。
ノイカシって正式なメンバーは今何人いるんですか?
片岡:5人ですよ。メンバーが出れない時とか、特別な編成の時とかは助っ人が入ります。
一時期すごく人が増えていたような印象があるんですが。
片岡:G.G.G.G.(エレファントノイズカシマシの別名義ユニット)とかやってたからじゃないですか?


(LIVE) G.G.G.G. (a.k.a GREAT GIANT GIGANTIC GRAVITY)

G.G.G.G.はユニットとしてはいつ頃から始めたんですか?
片岡: 半年ぐらい前かな。(2015/8/9 新宿ゴールデンエッグにて初ライブ)G.G.G.Gを組んだきっかけは、ライブに出れないメンバーがいたけど、どうしても出たいライブに誘われて。でも、いないメンバーがいるのに、エレファントノイズカシマシって名義は使いたくないなと思って。G.G.G.Gという新しいバンドで出演することにしました。
剤電:それでやってみて結構良かったんでもう4回ぐらいやってるという。
小林:メンバー全員出れる時も。誰も欠員してないのにG.G.G.G.でやったりする(笑)
剤電:でかい音でやりたい時とかはG.G.G.G.ですね。
片岡:そうですね。確かにね。
今は、使い分けができてるんですね。
片岡:爆音系のイベントだとG.G.G.G.でやろうみたいな感じになりますね。
剤電: G.G.G.G.は重い、巨人系の音楽。
巨人系の?
剤電:アイアンジャイアント…心優しい巨人みたいな。


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2016.6.26 20:00

【INTERVIEW】Boyish岩澤が語る新作『STRINGS』「いままで僕が聞いてこなかった音楽を発見して、昔と今の音楽がつながっていく、そういうのが楽しくて」

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人は成長する。
音楽の話なのに何を書いているんだ?と思われるだろうが、本当にそう思えるのだ。
東京のインディバンドBoyish、彼らを知る人はこの記事を読む時、これまでの作品と新作『STRINGS』とを聴き比べながら読んで欲しい。一人の人間が生み出し、多人数で奏であう音楽が、これほどに変わることができるのか、と。
その驚きをもとにして今回のインタビューでは話を聞かせてもらった。今作を生み出すまでにいたった経緯はもとより、音楽を生み出す上での彼自身の信条と、これからの彼が目指していく未来像が少しだけ垣間見えると思う。

おかげで「What’s going on」のベースは全部弾けますよ(岩澤)

お久しぶりです。
岩澤:お久しぶりです。前のお話っていつでしたっけ?
僕が1年前に『Bad apple』を作った時ですね。あの時はFor Tracy Hydeの管くんと一緒に話をしてくれたんですよね。
岩澤: そうでしたね。セカンドが出た翌年のすぐでした。
あの時は、バンド結成のいきさつや、For Tracy Hydeの管くんと一緒にバンド組んでいたという話、好きな音楽とかその時見えていたヴィジョンについて、お互いの作品についていろいろと話してくれたんですよね。でも、実はあの時、僕の口からはセカンドアルバムについての話をそこまでしていなかったんですよね。
岩澤: はい。
Boyishの『Sketch For 8000 Days Of Moratorium』については、Belong Mediaにて僕とKalan Ya Heidiのおかざきくんとでディスクレビューを書いたんだけども、要約すると、<BPMが早くて、ウォールオブサウンドなギターサウンド、これまでよりもロックバンド然としつつもシューゲイザーっぽさもあって、メロディの良さが際立っている>というような話でした。いまの岩澤くんから見てみると、前の作品はどういうふうに映りますか?。サウンドとしての変化、制作したのも2年前ということで立場や感じ方もいまとは思うのですが。
岩澤: うーん・・・当時やりたいことはちゃんと詰め込んだし、それなりにできた作品だとは思うんだけども、録音とかはやっぱり当時から納得はいってないですかね。ファーストのときは、メンバーそれぞれが録音したものをミックスした作品だったんですけど、前作はバンドっぽいノリにプラスして宅録風な要素を詰め込んでいて、ある意味では実験的なアルバムといえるんですよね。ギター1つにしてもかなり重ねてて重ねて・・・という作業もあったので、無理がある作品というか
なるほど。それは制作にも響いたりしましたか?
岩澤: いえ、この時はむしろ制作費は抑えられてると思います。ただ今回の作品を作ったあとのいまにしておもえば、ギターをたくさん重ねることが必ずしも正解にはならない、ということに気づけましたね。
ありがとうございます。メンバーの交代やライブ活動を経て、なにかバンド内での変化などはあったんでしょうか?
岩澤: ギターリフとかアレンジメントで「これはこうしたほうがいいんじゃないのか?」とかちょこちょこと話をする程度で、ライブを重ねていくことでの変化は実はあまり多くなかったですね、むしろCDやレコードを漁って聞くことでかなり影響を受けてると思います。
まさにその話に繋がるようなお話をお聞きしたかったんですが、ストレートに言って今回発売する『Strings』はこれまでの作品とは一線を画すような作品になったと思います。聴く音楽が変わったんじゃないのか!?と疑うくらいんだったんですが、どうだったんでしょう?。
岩澤: USインディやオルタナとかネオアコみたいなものを嫌いになったわけではないんです。RASAというソウルミュージシャン・ユニットがいるんですけど、いまのミュージシャンじゃないし、かなりレアでマイナーな方なんですが、その人達を聴いて、「おっ、面白いな、ソウルミュージックを聴いてみよう」と思えたんです。そこから、マーヴィン・ゲイ、カーティス・メイフィールドとか、あとはフィリーソウルとかもよく聴きました。
ダニー・ハサウェイとか。70年代ソウルですよね。
岩澤: 川崎にTOPSっていうソウルやジャズ系のレコード屋があるんですけど、帰り道とか用事がある時にはそこに入っていろいろ探しましたね。ちょっとお値段が張るから必ず買うということでもないですけど、知識とか興味を継続して保つ意味でも。
なるほど。前作を出してから今作を出す間で、東京のインディが大きく変化したといえば、ロックバンド然としたサウンドではなく、ポップバンド然としたサウンドとしたバンドが大きく受け入れられたことにあると思いますし、そういったバンドがどんどんと増えていっているのも事実です。もしかして、Boyishの変化は、そういった流れに乗っかろうという軽い感じだったんでしょうか?
岩澤: 僕はそういうのは一番嫌いですね(笑)
うん、わかっていて聞いてみました(笑)むしろそういったものじゃなく、岩澤くんの中での変化が如実に現れたということですよね。
岩澤: そうですね。でも、確かにそういうサウンドが世の中にも受け入れられているのはわかります。星野源の『Yellow Dancer』は僕もよく聴きました。全部が好きな曲!ということでもないですけども。
いろいろ聞いたと言いましたけど、どれくらい聴きました?50枚くらいですか?
岩澤: いや、もっと多いです。TOPSで買ったレコードもあれば、僕自身はツタヤでCDをガンガン借りるタイプでもあるので、棚一つ分以上は全然聴いてます。あとは、去年くらいに横浜の赤レンガで行われた『70’sバイブレーション!YOKOHAMA』っていうイベントがあって、70年代や80年代のロックを掘り直そう!みたいなイベントがあったんです。YMOやはちみつぱいとかはっぴぃえんど、当時使用された楽器の展示とか、影響された音楽の展示があったんです。いままでは70年代というところに大きな注目はしてなかったんですけど、ソウルミュージックとかこのイベントの影響がすごく大きかったですね。
ソウルへの傾倒は他のメンバーにとってはどう見えていたんでしょうか?
岩澤: メンバーもメンバーで様々です、人間椅子好きだったりCOALTAR OF THE DEEPERSが好きだったりする人もいるし。ブラックミュージックと同時進行でシュガーベイブ界隈が影響を受けたミュージシャン・・・例えばシンガーソングライターのアルゾとか(Alzo & UdineのAlzo Fonte、1972年にファーストアルバムを発売)、The Lovin’ SpoonfulとかThe Fifth Avenue bandとか(60年代末のロックバンド)、ああいうバンドのノリを取り入れたかったんです。
そこはメンバーと意思疎通してやれたんですか?
岩澤:いや、別に
岩澤くんの中でということですね
岩澤:演奏面でそこまでやってしまうと、モロにそこまで近づけたいわけでもないので、あえて黙っていたんです。
インプットの内容がだいぶ変わったことで、創作としてアウトプットする術がだいぶ変わったんじゃないのかな?とは思いましたが、そこはどうなんでしょう?
岩澤:音楽理論とかコードでいえば、メジャーセブンスやマイナーセブンス、ちょっと変わったコードを加えていくのは意識しましたね。これまではカポタストつけて分数コードを弾いていくのが主だったんですけど、それだと作れる音楽が限定されてしまうんですよね。
そこの変化は、岩澤くん個人の成長がBoyishに大きく影響していくという意味でかなり大きいと思えますが、面白がってドンドンやれたということなんでしょうか?
岩澤:うーん、確かにそうですね。
いまサラッと仰りましたが、方法論を一気に変えつつ、コード進行のクセみたいなものも気にしてやっていくのは、かなりドラスティックな変化にも思えます
岩澤:いや、そうでもないんですよ。ファーストの頃にも同じような形でやっていたりするので、方法論としては未知のものじゃないです、ただまぁかなりの曲をコピーして理解しようと努力はしましたね。おかげで「What’s going on」のベースは全部弾けますよ
今作のデモ音源をメンバーに投げた時の反応はどんな感じでしょう?
岩澤:「いやーだいぶ変わったねぇ-!」っていう感じでしたね
岩澤くんの作曲能力の進化だけじゃなく、「変わったよねー」と言いながらもこの変化についていって表現していく他のメンバー4人、音楽が変わるとベースとドラムは必然的に変わっていくもので、岩澤くんの大胆な変化に対応して表現していこうとするメンバー4人の凄さを感じます。
岩澤:ドラムの酒井とベースのMav.がいなかったら、今作は成立していないんですよね。ドラムにしても、「ソウル系のこういうドラムを叩きたい」というとすぐにレスポンスしてくれたりして、この2人の理解力の高さがなければうまくいかなかったです。だいぶ無茶振りだったなと思いますけど、だからこそ、めちゃくちゃ信頼できます。
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これまでよりはっちゃけよう!外にでよう!というような意識はあったんですけど、実際歌詞を書いてみると・・・

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2016.5.25 12:00

【INTERVIEW】OMOIDE LABEL主賓ゆずちん、大いに語る『ミュージシャンやDJが陽の目を見る場所を作りたい』

Jukeとの出会いはCRZKNYさんの音源を聴いたことがきっかけです(ゆずちん)


2012年、音楽を愛する日本人の中でTraxmanのあの一作は大きなショックを与えた。
BPM160で細いシンセベースがウネり続け、2拍3連を時たまにはさみながら「一体どの楽器で拍をとってるんだ!?」と注意しても決して解き明かせないシカゴからの新たなマジック、それがJuke/Footworkだった。

だがそれ以上に驚異的だったのは、日本人トラックメイカーからのレスポンスの速さ。次から次へと新たなボムトラックが生まれ、実力のあるDJが台頭、本場シカゴからも一目置かれるようになったのが日本のJukeシーンである。

今回特集するOMOIDE LABEL、その主賓であるゆずちんは、トラックメイカーに陽の目を与える檜舞台を着々と作り、多くのリスナーと同じくこの音楽に魅了された一人でもある。いまの日本のジュークシーンを引っ張る男に惹きつけられた彼にとって、コンピレーション作品『JUKEしようや』シリーズにはやはり熱い気持ちを宿らせていた。彼と彼のレーベルを追いかけながら、日本のJUKEシーンの特異性を封じ込めた今作品を覗き込んでみよう。

         CfSxaY1UUAASbGF


こんにちは、ゆずちんさん
ゆずちん:どうもです。突然だけど、草野さんに聞きたいことがあるんだよ。
はい?なんでしょうか?
ゆずちん:僕はこれまでindiegrabのニュースと言う形でオモイデレーベルをピックアップしてもらい続けてきたし、他のメディアさんでは取り扱っていかないようなフィールドの音楽をニュースにしてくれていて、『indiegrab、すげぇな!』みたいなところがあったの。でね、そこに草野くんが入ることは個人的にすごくデカイニュースだったんだよ
なるほど(笑)でもそこをデカイものとして捉えてくれるのは多分10人もいないと思いますよ(笑)
ゆずちん:いやいやいや。でさ、なんでindiegrabに入ることになったの?
僕は今年で30歳に近い年齢になってきていて、これまでずーっとロックバンドとかを追いかけてましたが、音楽が好きで色々な音楽を聞いてきて、もっといろんな音楽があるんだよーという気持ちでディスクレビューをいろいろなメディアさんに寄稿していたんです、そうしたらindiegrabの方から声をかけていただいたんです。あと、ツイッターなどを介してこういったエレクトロニカやハウスミュージックをdigできるような感じになってきたんです。それまでもテクノとかハウスは聞いていたけど、リスナーがトラックメイカーさんみたいにどんどんdigしていくようになっていけるようになったのは、ネットによるものが本当に大きいと思っていますね。
ゆずちん:ロックバンドしか追いかけてこなかった、というのはオレもそうだね。
僕は1年くらい前に『Bad apple』というジンを作っていました。なぜそれを作ったかというと、東京にはいろんなミュージシャンがいるなかで、様々なシーンが形作られてすごく盛り上がっているのは住んでいてとても良くわかる。でも、横を繋いだりできる読み物やメディアがないよな、そのミュージシャンがいかに面白いか?を答えてくれるメディアがないよな、この雑多さを希釈せずにギュっとまとめあげているメディアがないよな・・・と思ったからなんです。
ゆずちん:それはすごいよくわかるね。うちのオモイデレーベルも、そういうハブになれる存在になりたいと思っているんだよ。
例えば、一昨日はハウス系のDJイベントがあって、昨日はV系のロックバンドのライブ、今日はインディロックバンドのライブ、明日はアニソンのDJイベント、明後日はしんみりとしたシンガーソングライターのライブがある・・・なんてことがザラにあるわけじゃないですか?。でもいま上げた5つのミュージシャンや各々のファンが、残り4つのミュージシャンを見た時に「あ、こいつ知ってる、すげーやばかったんだよね」みたいなことってそうそう起こらない、横同士で知らないんですよ。いや、ライブハウスの人はもちろんみてるから知ってるだろうけども(笑)
ゆずちん:うん、そうだね(笑)
それって、もしも自分が音楽を作る身として考えた場合、インスピレーションが湧くような状況なのかな?と疑問に思えたんです。加えて、音楽っていう不思議な力でハイになりたい人間・・・ファン同士になるとどうだろう?実は凝り固まってるんじゃないのか?、その<知らない>という状況は「音楽を聴いてハイになる」機会を逸してるんじゃないのか?なんて思えたんですよ。
ゆずちん:面白いこと考えてるねー、え、これ草野くんへのインタビューなの?
いや、あの、あとちょっとしたら戻りますよ(笑)そういった感覚があったので、<これは面白い音楽じゃないか?><この人らはヤベーんじゃねぇのか?>という人にインタビューをして、何を考えて音楽を作っているのか?何をきっかけにして音楽を作り始めたのか?というのを聞いてみたい、それを広めることでより多くの人にインスピレーションを与えられればと思ったんです。
ゆずちん:僕もそこは考えてるなぁ、うまくできているかは別としてね
個人的には、うまくできているか?できていないかは置いておいて、「やってるか?やってないか?」に重きを置いてますね。という流れの中で、オモイデレーベルさんから発売された『JUKEしようや Barren Illusion ~ Remember Hiroki Yamamura ~ 』が、いかにして生まれたのか、ないしは、オモイデレーベルの源泉を明らかにできればと思います。よろしくお願いいたします。
ゆずちん:ふふ(笑)よろしくお願いいたします。いやでも、よかったよ、そういう気持ちで草野くんがやってるのが知れて。僕も話しやすくなったよ。賛同してるというか共感してるというか、その気持に近しいところで今回の作品を作ったのはあるので。
         
       <OMOIDE LABEL最新リリース 『Emocute’s Etude No​.​1』>

ざっくりとしたお話なんですけど、ゆずちんさんはこれまで音楽と聞いてきたり触れ合ってきたりしたのかをお聞きしたいんですが。
ゆずちん:高校とか大学もそうですが、大学卒業後もコピーバンドをやっていたんです。もちろんアマチュアだったんですけど、「今日はこの曲やりたいねー」とか話して、その曲の歌詞を読んでコードを書いていくんです。
・・・・え?ちょっと話が見えないんですけども・・・。
ゆずちん:えーっと・・・例えばくるりのこの曲やろうよってスタジオで話しをして、その場で曲を流して僕が聞きながらコードを書いていくんです。「こんな感じかなー」「じゃあここのパートはちょっとむずかしいからこういう風にしてー」と仲間と話して、コピーをするんですよ(笑)
それって巷の楽器屋で売ってるようなコピー譜を買ってコピーするわけでもなんでもないわけですよね。
ゆずちん:そうですね。
普通のコピーバンドとは、ちょっとかけ離れた感じがありますねそれは(笑)
ゆずちん:それは楽しかったですけど、すごくきつかったですね。ベタな曲しかやっていなかったとはいえ。
TOKIOみたいですよね。「家つくろう」「なにからいく?」「木から作ろう!」的なそういう(笑)
ゆずちん:そんな感じです。大学まではバンドとかやってなかったんですけどね。ライブハウスでライブをやろう!という目標もなかったので、その場で集まったらその時のノリでセッションをしてみる、みたいなね。
昔、僕も近しいことをやっていたことはありましたが、それは僕が覚えてる曲をコードで弾いていってコピーする、みたいな感じだったので、ゆずちんさんのようなとっさにできる感じはなかったですね。
ゆずちん:コピーバンドだけどセッションしてるような感じでね。
そこからいまにつながるような出来事があったんですね?
ゆずちん:ツイッターが面白かったんですよ。
いつごろから始めたんですか?
ゆずちん:2009年ですね。コピバンの流れがちょっと食傷気味になったころで、ヒップホップが面白く思えた時期でもありました。オモイデレーベルでも最初はヒップホップの人に声をかけてるしね。なんというか、バンドって大変じゃないですか?
まぁいろいろ理由はあるとは思いますけど大変だとも思います(笑)
ゆずちん:ヒップホップのほうが軽やかに思えたんですよ。連絡とかするのにもいちいち面倒だったりするし(笑)
バンドからは離れてトラックメイクへと没頭していくわけですね、どんなトラックを作るようになっていったんですか?
ゆずちん:最初はマッシュアップを作ってたんです。それまではチープなテクノトラックを作ってたりはしたんですよ、ネットで公開しよう!と思えたのはネットの影響ですね。迷われレコードさんにTHE BEATLESのマッシュアップを乗っけていただいた時に、「ああ、ネットレーベルも面白いぞ」とも思えたんです。Lil’諭吉さんとかを当時聞いたりとかして、センスバツグンで心惹かれてドンドンと聞くようになってハマっていって、そうして今回のリリースに至るわけですよ!
ちょっと待ってください、トビすぎです(笑)。
ゆずちん:いやでも・・・
そこに飛ぶ前に、飛ぶ前にお話をしたいんですけども、いいでしょうか(笑)
ゆずちん:はい・・・
ゆずちんさんの中で、自身が運営しているレーベルでの既発曲以外で、思い出深い1曲をあげていただけますか?
ゆずちん:えー!草野くんだってそれをそう言われたら大変でしょう?
大変ですけど、これだな!という1曲が僕にはあるんです。ゆずちんさんにとってそういう曲があればと思って。
ゆずちん:本当?パッと思いついたのは・・・Weezerの「Tired of sex」かな。Weezerでのセカンドアルバム『Pinkerton』の1曲目だね

         

うわぁーーー!!マジすか。オレもWeezerならこの曲ですよ!。最高ですよね。ブレイクしたファーストの次のアルバム、みんなが期待していた2枚目のドアタマにこの曲!
ゆずちん:本当に衝撃的、すっごいカッコイイですよね。これが本当に思い出深い1曲かどうかはあれですけど、確実に僕にとって影響は大きかったですね。だって、Weezerが好きならスピッツが好きじゃない?。僕はスピッツも好きなんですよ。スピッツが好きならスーパーカーも好きで・・・みたいなファミリーツリーがあって、大学の時にそういう数珠つなぎをずーっとテーブルに書いていったこともありますよ
なにしてるんですか(笑)僕は脳内でずーっと暗唱していくような感じですね。スピッツはハヤブサ以後とフェイクファー以前で結構好みに差が出てしまうんですよ。
ゆずちん:さっきのコピバンの話にも近しいんですけど、バンド毎にクセがあるじゃないですか、ミスチルだと転調が多くて、くるりだとラストに転調がくるとか。スピッツはコードがCかAかDが多くて、シンプルでわかりやすいなものが多くて人を捉えるような曲を生み出し続けられる、そこに彼らの凄さがあると思うんです、日本のロックバンドで一番好きですよ。
次のページへ
『Jukeしようや』シリーズも同じように海外の人に聴いてほしいと思って作っているんです

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2016.5.3 22:00

【INTERVIEW】宇宙初のポエムコア・アイドル owtn.

owtn01

宇宙初のポエムコア・アイドルowtn.。
アンダーグラウンド感の強いのジャンルであるポエムコア界にその可憐なルックスをもって降臨し、キュートでありつつ鋭さを持つ詩で聴き手に強烈な印象を与えていく。
また、彼女のプロデューサーとしてもyano munenoli、Franz Snake、SCIBATTLON、SLATE/Glimus等の並々ならぬメンツが顔を揃え、mus.hibaの作品にゲストボーカルとして参加等、以前からindiegrabとしても気になる存在であった。
そんな彼女にBOOL主催のイベント『おもしろダークネス』でご挨拶をする機会があったためインタビューを申し込んでみた。


「本物のowtn.だ!実在してるんだ!!」

先日の『おもしろダークネス』ではご挨拶にお応えいただきありがとうございました。3/12日『甘噛みモーニングコール』と『おもしろダークネス』東京1日2公演を終えてみていかがですか?
owtn.(以下o):こちらこそ、お時間いただきまして、ありがとうございました。
今回は1日2公演ということで、リハなど準備含め早朝から深夜までずっと動いていましたが、ファンのみなさん、共演者・スタッフの方々に温かく迎えていただき、うれしく思いました。
ライブとしても、満足いく良いパフォーマンスが出来たと思います。

『甘噛みモーニングコール』ではナマコプリさんや栗原ゆうさん、Pastel Pantsさんなど、わたしと同じく「自作型」のアイドルさんたちとの共演で良い刺激をもらいましたし、『おもしろダークネス』では、ポエムコアの聖地、西麻布BULLET’Sでライブを出来て、感慨深いものがありました。
あ、BOOLさんと念願の2チェキも撮りました!(笑)
東京でのライブは既に何度もご経験されているかと思いますが、北海道でのライブとの違いはありましたか?また、以前『クリエイティブ北海道ナイト』で台北でのライブがありましたが、海外と国内の違いなどがありましたらお願いします。
o:やはりどちらも、普段触れ合うことのできないファンの方々とお会いできるのがとても嬉しいですね。みんな「本物のowtn.だ!実在してるんだ!!」とおっしゃいますが、わたし的にも「普段画面越しに見ているヲタさんたちだ〜!ホンモノだ!」って感じです。(笑)
海外はまだ、台湾の一回しか経験がないのですが、現地の方々は日本語のリリックでも純粋に音楽として聴いてくれて、壁を感じることはありませんでしたね。「言葉はわからないけどいい!」みたいな。
でもやっぱり、外国の言葉で自分の詩の微妙なニュアンスを伝えられたらいいなと思うので、引き続き英語は勉強中です。
あ!台湾の女の子たちはみんな元気いっぱいでオシャレで、日本からきたわたしに興味津々でした。美容専門学校の子たちが、メイクのお手伝いで楽屋に入っていたのですが学校の話や今流行ってるものの話をして、仲良くなれたのがうれしかったです。
『おもしろダークネス』のMCで現在アルバムを制作中とおっしゃってましたが、現在公開できる範囲で構いませんのでどのようなものになるか 教えてください。
o:これは…まだまだ内緒の部分も多いのですが、プロデューサーの交代もあって、ちょっと趣の違うものになりそうです。
これまでのリリースは「水」を連想させる作品が多かったと思うのですが、ただ綺麗とか雰囲気の良さだけじゃない、そんな一枚にしたいです。
人の精神世界というか…感情を掘り下げたものにしたいという意図があって、今までの良さは残しつつ、新しいことにも挑戦していく作品にしたいな…。
なにより朗読の技術が以前よりついてきたと思うので、もっと言葉を聞かせる、そして考えさせるものにしたいですね。
…もちろん「以前に比べて」なので、まだまだ半人前と自覚しています。(笑)
アルバムはどのような感じで制作が進んでいますか?以前のインタビューでiPhoneを使用して朗読を録音しているとおっしゃってましたが、現在はどのような制作環境でポエム・テープを制作していますか?
o:以前と変わらないです、iPhone6のまま、アプリもディクタフォンのままですね。
編集ソフトはAudacityと、リアルタイムではないのでわからないのですが、多分Windows創世記みたいなシンプルな環境なんじゃないかと思います。(笑)
でも、シンプルだからこそ操作性が高く、今のところ不自由していません。
ただ…そろそろインターフェースとマイクは購入しようと考えていて、目星をつけている物があります。
マイクは色々話を聞いたり調べたりして、SHUREのKSM9HSがいいかなぁと。
PCは古いiMacとLIFEBOOKを併用していたのですが、無理をさせすぎたのかiMacが動かなくなり(笑)、今はLIFEBOOK1台で編集などの作業をしています。


>>次ページ「自分にとっての「詩」はそもそも「呼吸」に相当するものだと考えています。」

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2016.4.17 21:00

【INTERVIEW】nemo asakura & 結川ユイ『haruno yuki EP』

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迷われレコードのフィジカルリリース第7弾としてリ3/16に全国流通版を開始した『haruno yuki EP』。
これまでソロワークが目立っていた千葉の宅録エモーショナルnemo asakuraが北海道出身のシンガー・結川ユイをプロデュースして生み出された作品である。
ネットレーベルとしては老舗の域に達してきた迷われレコードが昨年から打ち出しているフィジカルリリースというネットレーベルの一つの到達点と言うべき活動。
そして、各所でその才能と技術力に対する高評価を受けつつもbedroom music的な路線を続けてきたnemo asakuraが見せる全国流通版という作品に対するスタンス。
シンガー、結川ユイが見せる「歌う」という活動と、その活動のために見せるエネルギー。
これらの思いが2016年という時代に交錯して出来上がった傑作『haruno yuki EP』。
その“現象”に対し、indiegrabでは彼らにインタビューを敢行してみた。
一つ間違えれば見逃してしまいそうな、大きな音楽界というフィールドから見ればささやかな動きから出来上がった傑作に対するサブテキストとしてどうぞ。

haruno yuki EP
『haruno yuki EP』/ 結川ユイ
2016年3/16リリース
フォーマット:CD
レーベル:迷われレコード
価格:¥1,080
【Track List】
1 春の雪
2 must be there  
3 Apple girl  
4 夕暮れ過ぎて恋花火
迷われレコードリリースページ
amazon



歌っているうちにもっと本格的にやりたいなと思って。それで仕事を辞めてフリーター期間を経て上京してきました。

— :結川さんは東方界隈でも活動をされているんですよね?
結川ユイ(以下 Y):そうですね。
— :ずっとそのような感じで活動されていたんですか?
Y:最初はニコニコ動画で「歌ってみた」をあげていたんですが、上京してきてから東方界隈の人に知り合いが増えたので声がかかりやすくなったんです。
— :じゃあ東方界隈に関わり始めたのは上京後なんですか?
Y:そうですね。
— :元々は北海道にお住まいでしたよね。上京されたのはいつ頃ですか?
Y:大体3年前ですかね。
— :プライベートな質問になってしまうんですが、結川さんが北海道から東京に来られたのにはどのような理由が?
nemo asakura(以下 N):(いきなり)師匠(nemo asakuraはsabadragonをこう呼ぶ)の写真録ってビリー・コーガンと並べてtwitterにアップしていいっすか?
一同:(爆笑)
— :ど、どうぞ(笑)で、質問いいですか?
Y:なんでしたっけ?(笑)えーっと…私普通に北海道で就職して一人暮らしをして部屋で宅録してたんですけど、歌っているうちにもっと本格的にやりたいなと思って。それで仕事を辞めてフリーター期間を経て上京してきました。
— :じゃあ歌い手としてもっと大きいフィールドでやるために東京へ…。
Y:そんな感じですね。
N:俺との活動がでかいフィールドかどうかわかんないけどね(笑)
— :(リリース時の)営業とか行かれたんですか?
Y:初めてタワレコに行きました。
— :あ、タワレコって行かないんですか?
Y:地元になくって「都会のもの」ってイメージが強くて。タワレコとかHMVは。だから敷居が高くて今まで入った事なかったんですよね。
— :北海道ではどうやってCD買われてたんですか?
Y:TSUTAYAですね。
— :ああ、なるほど!結川さんはルーツとしてはどんな音楽を聴いてきたんですか?
N:俺、今回結川さんにボーカル依頼しておきながら結川さんの音楽性一切知らない!
— :それ凄いな!!(笑)
N:結川さんがtwitterであれが好きこれが好きみたいなのを書いてるのは知ってるけど、特に音楽の話とかしたことがない。まあ誰とも音楽の話ってしないんだけど(笑)
Y:私も深く音楽を知ってるわけじゃないからなんとも言えないんですけど、私小学校3年ぐらいまで凄くオタクだったんですよね。アニメが好きで。で、その時に初めて買ったCDが米倉千尋さんのCDで。私はほぼアニソンしか聴かずに育ったんですよね。それで今に至るんですけど。
— :今も現役で聴かれていると。
Y:中学生の時にマキシマム・ザ・ホルモンにはまりベースボール・ベアも聴き始めて。周りがすごいバンプ・オブ・チキンとかRADWIMPSとか言ってるから…周りと違うものを聴きたくなって。
nemo asakura・sabadragon:すげー(笑)
— :北海道にいらっしゃった頃は一人でやっていたんですか?
Y:1人ですね。私が中学生ぐらいに頃にニコニコ動画が始まって、最初は普通に見てたんですけど高校に入った頃に「歌ってみた」が盛り上がってきたので高2ぐらいの頃に投稿し始めたのが始まりですね。
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— :じゃあそこから上京していろんなところのゲストボーカルをやるようになったと…。今回迷われレコードからのリリースですが、どういう経緯でリリースに至ったのかという事を聞かせていただけますか?
N:迷われレコード自体がフィジカルリリースするという話になって、レーベルオーナーの山岡迷子から「nemo asakuraとしても何か出さないか」という話になったんですよ。で、せっかくリリースをするので商品価値の高いものを作ろうと。ちょうど結川さんには以前自分の企画で歌ってもらったりしていて。じゃあ結川ユイの作品集を作ろうと。で、リリースの順番の問題もあって(迷われからのリリースは)一番最後ぐらいに出そうという話になって。ちょいちょい作ったりイラストレーターの方に発注したりしてかなり時間が経ってしまって。
— :じゃあ話としてはだいぶ前から?
N:だいぶ前から。
— :迷われレコードのフィジカルリリースが始まった頃からって事ですね。じゃあお二人はずっと前からお知り合いだったんですね。
N:ずっと前ではないよね?
Y:ずっと前ではないですね。
N:結川さんが上京してきたあたりに自分の企画でボーカリスト探していて。twitterで誰かいないかなーとチラチラみていたら見つけたという。
Y:私がそのtweetをみてふぁぼったんですよね。
N:俺ふぁぼとか全部チェックしてるからね(笑)んで、「ああ、この子上手い」と。
— :ネットでの自意識の高いnemo asakura的に(笑)ふぁぼから始まったコラボという事ですね。じゃあnemoさんからのオファーでEPの制作に取り掛かったと。そのオファーを受けた時の結川さんの印象は?
Y:割とこう…ふわっとしてて…。
N:軽いノリだったね。「どうすかね、やってくれます?」って感じで。その時はまだ全国流通って話では無かった気がするんですよ。
— :迷われレコードのフィジカルリリース立ち上げ頃だとそうかもしれないですね。
N:山岡さんからね、「CD出したい」って言われて「ああ、そうですか」って感じの話だったと思って。そこからどんどん話が膨らんでいって…。
— :最初はとりあえずフィジカルを出すという話があってから、山岡さんが流通経路をどんどん作っていったという事なんですね。という事で全国流通という事なんですが、その辺いかがですか?Amazon等にも名前が出ていますが。
N:ヨドバシドットコムのサイトで予約できるの無茶苦茶笑ったんですけど。なんだよ、ヨドバシドットコムって(笑)
— :その辺も山岡さんの努力の結果という事で(笑)
N:まだなんか実感として、全国流通って感じがなくって。ああ、そうなんだって。ショップが置いてくれるかどうかはわからないからね。
— :でもネットではボタンひとつでどこからでも買えるようになるって事ですよね。

>>次ページ「そう、俺のプロデュース作品(笑)」へ

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2016.4.9 21:00

【INTERVIEW】CICADA『Loud Colors』

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2010年以降、東京と関西を中心にしたインディバンドの興隆/ムーブメントを振り返れば、
バンド≠ロックという暗黙がどことなく浮かび上がり、同時に、華やかかつ躍動的なショーを目指したアクトが多かった。
CICADAは、そうした活況に満ちたムーブメントからをも自らを遠ざけつつも、
ブラックミュージックを中心にした音楽愛とフレイヴァーを血肉化し、
東京の闇に光を照らそうとするバンドとして名乗りを上げることになった。
昨年2月に発売されたファーストフルアルバム『BED ROOM』から今年4月に新作『Loud Color』の発売に至るまで、鋭さを増していく彼らのスタイル、
その始まりと現在を聞くことができた。

おじいちゃんが音楽やりたいなら仕事なんてするんじゃないと言ってくれたりして。家族が工面してくれたのが大きかったです。(若林)

2012年からこれまで3年ほど活動を続けてきたということですが、どういった形でメンバーが出会ったんでしょうか?。
若林とも (Gt&Key 以下若林):2012年に僕がmixiでメンバー募集をして、木村くんと最初に出会って、城戸ちゃんと櫃田ともちょっと後に出会って活動をしていました。及川は木村くんが誘ってきてくれたメンバーで、2013年から5人で活動をしてきました。
なるほどです。それまではどういった形で音楽と関わってきたんでしょうか?
櫃田良輔 (Dr 以下櫃田):僕は小学校の時にブラスバンドに入ったのが始まりですね。ドラムをやるようになったのは中2の頃から、ヤマハで習い始めたんです。僕はその時には広島住んでいたんですけど、(当時)組んでいたバンドのメンバーが進学するので大阪へと移住し、そのあと同じメンバーと共に上京してきたんです。
その時は既に現在のCICADAのようなバンドだったんですか?
櫃田: 全く違いますね。当時やっていたバンドは4つ打ちのポップバンドみたいな感じですね。
城戸あき子(Vo 以下城戸): あれだよね。ダンスロック的な音だったよね。
若林:ウルフルズとか歌モノロック、っていう感じのバンドだったね。
櫃田: そうだね。逆にCICADAのようなサウンドは全く知らなかったですし、通ってなかったんですよね。
城戸さんはどうだったんでしょうか?
城戸:わたしは大学の音楽サークルでコピーバンドをずっとやっていて、いざ大学を卒業するというときに本格的にやってみたいなと思ったのがきっかけですね。それまでは音楽をやっていこうとは全然思ってなかったんですけど。
櫃田: 初めてのバンドだもんね。
城戸:そうなんです!。
若林さんはどうでしょうか?
若林:中学1年のときにギターを始めたのがきっかけですね。高校卒業ともにこっちに上京してきました。
ということは櫃田さんのようにバンドとともに上京とか、進学して上京ということでなく
若林:そのまま単身で上京してきて、『さてどうやってやっていこうかなー?』って(笑)
いやいや、漫画みたいじゃないですか(笑)木村さんはどうでしょうか?
木村朝教 (Ba 以下木村):兄がドラムをやっていて、その影響で音楽を聴くようになった中学の頃からベースを弾くようになりました。バンド活動を始めたのは高校の頃からで、大学の頃にはサポートミュージシャンとして仕事を幾つかもらうようになったんです。あと、もともと僕がやっていたバンドでギター/キーボードが抜けてしまったことがあって、そこで目をつけたのが若林で、最初は僕から声をかけたんです。
CICADAを組む以前のお話ですね
木村:そうですね。その時は2度3度ライブをやって、『自分の活動を追求したい』と言われて離れてしまったんですが、それから2年後に彼から連絡が来て、『ベースをやってくれないか?』と言われたのは嬉しかったですね。
及川さんはいかがでしょうか?
及川:小学校のときにピアノを習っていて、中3のときにドラムを叩いてましたね。
櫃田: 元はドラマーだよね。
及川:当時はスラッシュメタルとかヘビーメタルバンドを組んでたんです。それ以降はずっとキーボードですね。今でも暇な時間ではスタジオとかでもドラム叩いてることが多いですね。
及川さんは若林さんとともにこのバンドのコンポーザーですが、作曲する時はドラムから入る感じなんですか?
及川:確かにそうですね。打ち込みでドラムフレーズを作るのが始まりになりますね。やっぱりドラムがカッコよくないと曲もカッコいいものにならないと思うので。
CICADAというバンド名にした理由はなんでしょうか?直訳すると「セミ」という意味になりますが
若林:スーパーファミコンの『フロントミッション』というゲームが好きだったんです。そのシリーズにある『フロントミッション オルタナティブ』に出てくるロボットから取ったんですよ。
すごく懐かしい(笑)ゲームはお好きなんですか?
若林:ゲームは大好きですね。上京してからずーっとやってましたね。
音楽やりたくて上京してきて、仕事やバイトしつつ、ゲームをして音楽して・・・
木村:バイトもしてないでしょ?(笑)
若林:してないね(笑)おじいちゃんが音楽やりたいなら仕事なんてするんじゃないと言ってくれたりして。家族が工面してくれたのが大きかったです。
好きな音楽や影響を受けた音楽を一つあげるとすると誰でしょう?
若林:最近よく聴いている、という意味ではZeebraをよく聞いてます。KGDRのファーストアルバム『空からの力』も聴きますし、ソロ作品だと『THE RHYME ANIMAL』、新しく発売されたアルバム『25 To Life』もよく聞きますね。

木村:僕はRed Hot Chili Peppersがすごく好きで影響を受けてます、ライブも何度か行ったことありますね。Fleaが一番好きで、ソウルミュージックやファンクを聴くようになって、FunkadelicやSly & The Family Stoneを聴くようになりましたね。テクノのような、バンドものとは違う音も全然聴いてたりもします。
Derrick Mayとか?
木村:Derrick Mayは若林から教えてもらいましたね。UnderworldやChemical Brothers、一番最初に聞いたのはThe Prodigyでしたね。でもやっぱり、一番好きなのはRed Hot Chili Peppersですね。

ありがとうございます。若林さんはいかがでしょう?
若林:好きなのはいっぱいありますけど、最近iPodで一番聴いているという意味でASIAN KUNG-FU GENERATIONですね。「新世紀のラブソング」をよく聴いてます。
『マジックディスク』ですね。世代としてよく聴いていたんでしょうか?
若林:僕はもうちょっと後の世代なので、AIR-JAMをモロに直撃した世代ですね。でもあの当時思い出してみると、X JAPANを主にずっと聴いてました。
そこからDerrick Mayへとつながるところに、大きな変遷がありそうですね。
若林:音楽いっぱい聴いてみようと思って有名どころを手あたり次第に聴いた時があったんです。そのなかにNirvanaの『In Utero』を聴いてクリティカルヒットして、そのおかげで「より聴いていこう」と思えたんです。ちょうどその頃はロックンロールリバイバルが流行っていたこともあり、海外の音楽がどんどん広まっていた時期でもあったのは大きかったですね。

城戸さんはいかがでしょう?
城戸:いま私が目指してるのはエリカ・バドゥなんです。それまでのコピーバンドでは日本のポップスをやることが多かったんですが、StarFes.’14で彼女を見て、ボーカリストとしての存在感や色気に衝撃を受けて、彼女みたいになれればとも思ってます。メンバーからはいつも色気がないとか言われてますし(笑)そういうものを出せたらと思ってます。

木村:一緒に見に行ったよね
城戸:そうだね。2人でね。
なるほどです。櫃田さんはどうでしょうか?
櫃田:ぼくはマーク・コレンバーグですね。創ちゃん(及川)が入ってきたとき、ロバート・グラスパーを薦められて聴いたのですが、そのアルバムでドラムを叩いているクリス・デイヴを聴いて「ドラムでこんなことができる人がいるのか」と知ったんです。その後に出たグラスパーの作品を聴いたときにはマーク・コレンバーグがドラムを叩いていて(Robert Glasper Experiment 『Black Radio2』 2013年発売)。彼が叩いてる姿を見たくてyoutubeで探して見たら、もう衝撃でした。
どんな風に見えたんですか?
櫃田:僕、美しいのが好きなんですよ。ツイッターとかでもよく使うんですけど
城戸:使うね、「美しい」って(笑)
櫃田:音も、フォームも、全部が合わさって美術品のように完成されたドラムをたたいてるんですよね。僕はいまあの人のようになりたくて叩いてます。

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彼らもカッコイイ、オレらCICADAもカッコイイ

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2016.3.19 0:00

【INTERVIEW】alicetales

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高校、大学とバンド生活に明け暮れ、会社や社会のなかに独り立ちしてもまだ、バンドサウンドに身を捧げる人がいる。
情熱的に、時には落伍しかけながらも、しがみつくように活動を続ける人もいる
『やりたいからやってる、やらされているわけじゃない、という感じです』
そう答えたのは、今回インタビューしたalicetalesだ。楽曲に込めるエッセンス、音楽への愛とともに、自分たちの立ち位置と信条をしっかりと胸にし、今後の作品を見据えるほどに大人びた姿を見た。
愛ゆえに、しかしながらマイペースに歩みを進んでいく、そんな彼らを切り取ったインタビューだ。(草野)

僕らはそこまでまじめに音楽について考えて活動をしているわけじゃなく、楽しいからやっている、というモチベーションなんです。やりたいからやってる、やらされているわけじゃない、という感じです。(nakamura)


ぼくがalicetalesというバンドを知ったのは、sugardropというバンドを好きだったことがきっかけでした。年末に行っている個人的なランキングにsugardropを選んだとき、nakamuraさんからツイッターで即フォローされて(笑)、僕も同じようにフォローしたことが始まりでした。数年したときに「そういえば最近活動しているのかな?」と思ってnakamuraさんのアカウントを覗いたところ、alicetalesというバンドを活動をされていたと。sugardropではドラムをたたかれていたわけですが、どういったいきさつがあって結成したのでしょうか?


kyosuke nakamura(Vocals/Guitar 以下nakamura):もともとは、僕がsugardropをやっている合間に、家でちょこちょこと宅録をしていて、その宅録をバンドサウンドで再現したくなったというのがきっかけですね。
—いつごろでしょうか?
nakamura:2014年の終わりごろ?
ichikawa(Guitar/Vocals 以下ichikawa):2013年の終わりごろじゃない?
nakamura:いや、2014年の終わりごろだったはずだよ・・・うんでもそれくらいですね。

—メンバーを探すタイミングで、まず最初に声をかけたのは・・・
nakamura:ichikawaくんですね。
ichikawa:光栄ですね。
nakamura:そのタイミングでichikawaくんがやっていたFloat down the Liffeyというバンドが止まっていたんです。彼は、僕が良いと思ってくれたものに対して良いと言ってくれたり、興味を持ってくれる領域も非常に似ていたし、彼は歌もうまいし、ギタリストとしてのセンスがすごく良いなと思っていたので、ichikawaくんに声を掛けました。
ichikawa:めっちゃ褒めちぎってるね(笑)


nakamura:ベースは僕の実弟ですね。昔から自分でバンドを組むことを考えたときにベースは弟だと決めていたところがあったし、というかあいつなら声かけたらやるというだろうと思って放っておいたんです。
ichikawa:兄貴権限だね。
nakamura:そうして弟をメンバーにも加えて、ドラムを探したときに弟が一緒にやっていたバンドのドラム、taskに声がかかったという。そういう感じでメンバーが集まりました。
ichikawa:2014年の頭にライブがすでに決まっていたんです。なのでそこから曲をメンバーと一緒に合わせる日々が始まりましたね。
—当時、nakamuraさんの手元にはどれくらいの曲ストックがあったんですか?
nakamura:50~60曲くらいですね。ただ、これは元々全然違う感じの宅録だったんです。僕自身がニューウェイヴがすごく好きだったので、ニューウェイヴやゴスっぽい音の宅録をやっていたんです。ただ、ギターポップやパンクな音ももすごく好きで通っていたので、一度そういう曲を宅録してみたところ、意外とハマっていることに気付いて、「これならバンドとしてやれるんじゃないか?」ということでalicetalesにつながったんです。
—なるほどです
nakamura:あと加えて言いたいのは、僕らはそこまでまじめに音楽について考えて活動をしているわけじゃなく、楽しいからやっている、というモチベーションなんですよね。新曲のために集まって合宿とかしますけど、夜にバーベキューとか予定していて、そのために早く曲を仕上げてさっさとそっちに移るとかね(笑)
ichikawa:もちろん前日には10時間くらいみっちり練習とかするけども。その次の日にね(笑)
nakamura:そうだね(笑)不真面目というわけではなく、やりたいからやってる、やらされているわけじゃない・・・というような感じですね。
—好きなバンドや影響を受けたバンドはありますか?
nakamura:好きなバンドはたくさんいますが、Huskar DuとSugarで活躍したBob Mouldのソングライティングにはすごく影響されたかなと思います。パンクなんだけどもポップですし、ノイズがあってもなくてもよい曲だと思わせてくれる、ギター一本で声だけのライブでも曲として十分に成り立つような曲が多いんです。もっと古い時代の人たちでも自分が影響された人もいますが、現代のバンドとしてやるのであれば、Bob Mouldのやり方はすごく合ってるような気がします。

ichikawa: 僕は、THE BEATLESとサザンオールスターズとスピッツですね
—alicetalesの音からするとぜんぜんそうは思えないですね(笑)
ichikawa:もともと、音楽を聴くきっかけになったのは桑田佳祐さんの「波乗りジョニー」だったんです。THE BEATLESは両親がすごく好きだったし、スピッツは高校の先輩が好きだった影響で好きになりました。3組とも僕にとって根底にあるバンドで、メロディアスでポップでキャッチーな音に惹かれてしまいます。

これまで作っている曲も実はアニメや漫画から取ってつけていたりアナグラムだったりするんです(nakamura)


—お2人はこのバンドでダブルギターを弾いてます。それぞれ違う楽器を弾くこともあるとは思いますが、<ギター>をどのようなものだと考えていますか?
nakamura:消耗品ですね。これは僕が尊敬しているバンドのblgtz(ビルゲイツ)の田村さんの家に遊びに行ったとき、家にギターがずらっと並んでいて、「どれもライブで使ってますね」と言ったら、「これも壊れてるし、それも壊れているし、あれも壊れてる」「全部壊れてるじゃないっすか!」「ああ、消耗品だからな」ということをやりとりをしたのが大きいですね(笑)
—それを捨てずに、大切に家においてあるというところに僕はびっくりです。大切な消耗品、だと
nakamura:確かに消耗品ではあれど、決して粗末に扱っているわけじゃない、その考え方に共感できますね。最近新しいギターを買いましたが、僕自身がそのギターを<扱っている>感覚がしないと、良くないように思ってます。
ichikawa: 僕は日用品ですね。僕自身の身の丈に合ったギターを使うといえばいいのかな
nakamura:取り回しが良い、感じだよね
ichikawa: そうだね・・・でも僕はギター壊したりとかしないですけどね!(笑)
—お2人とも仰っていることはすごく近いと思います、ギターに使われない、自分に合ったギターを使うことに注目してますよね。だからこそ、このバンドのサウンドはパンキッシュでありながら、トゲトゲしさがなく人懐っこさが耳を惹きます。公式HPをみて気になったのですが、映画はお好きなんですか?
nakamura:映画は好きです、アクション映画が好きですね。
—シュワルツェネッガーやスタローン、ブルース・ウィリスが出ているような?
nakamura:まさにそういったのが好きですね。
—ジェット・リーにアントニオ・バンデラスとか?
nakamura:好きですね。音楽で例えると、Captured tracks(ニューヨークのインディレーベル)から出ているようなバンドがだいたい好きになる、というのと一緒で、ハリウッドで大金つぎ込んで作られたアクション映画は誰が出ていようがが好き、みたいな感じなんですよ(笑)
ichikawa: やっぱり一番好きなのはバック・トゥ・ザ・フューチャーが好きですね。恋愛ものだと、小さな恋のメロディが一番好きなんですよね。
—それと同じくらい目をひいたのが、アニメについてなんですが・・・
nakamura:それ、長くなりますよ
全員:(笑)
nakamura:実は、alicetalesというバンド名自体が、そっち系のところから取っているんです。成人向けのゲームから取られているんですよ。
—というと、普通に東方とかアリスゲームとかアリスソフトになるんですか?
nakamura:それとは違うもので、15年くらいまえにRUNEというゲーム会社から発売された『今宵も召しませAlicetale』というゲームから取ったんです
—えーっとすいません、ぼくも結構やっているほうなんですが、初耳ですね。
nakamura:すげーエロいですよ(笑)
—これは公式ページでも確認できる話題ではあるのですが、nakamuraさん、かなりディープなアニメ好き・・・というかオタクですよね。ほかのメンバーがシンプソンズとか選んでいるのに、一人だけFLCL/ましろ色シンフォニー/まよチキ!/かのこんっていうラインナップで趣向が違う、この人やべーんじゃないかと思っていましたが・・・これは確実にオタクですね(笑)
nakamura:エロゲ声優の小倉結衣さんのライブに行くくらいにはそういう系統にどっぷりハマってますね。ライトな方ではなく、かなり好きな方だと思います。XEBECとエヴァやフリクリを作っているころのガイナックスが好きなんですよ。
ichikawa: 僕はこういう趣向のは見ていないんですよね、みんなに薦められていくつかは見ましたけど。
nakamura:俺の弟はガンダムが好きで、ベースよりもガンダムのほうがたぶん好きなんじゃないのかなぁ?(笑)バンド名がこういう感じなんで、これまで作っている曲も実はアニメや漫画から取ってつけていたりアナグラムだったりするんです。ただ、歌詞やサウンドはその元ネタとは一切関係ないので、ある意味では2度驚かせることができるというか、楽しめることができるというか。どのタイトルがどうというのは、想像にお任せします。
—なるほどです。ではその楽曲についてです、お2人の中でこの曲を聴いてほしい!このパートを聴いてほしい!というのはありますか?
nakamura:「ashwin」という曲ですね。この曲は僕が宅録でキッチリとアレンジしてメンバーにもっていった曲だったんですけど、みんなそれぞれ練習してスタジオで合わせたら、元々の曲とまったく違う形になって、しかもそっちのほうがより完成されていたんです。ギターソロとかも入っていなかったのに、ichikawaが超カッコイイソロを入れてきたりとかして・・・この曲があったからこうして続いてるなと思えますし、このバンドでやっていける!と思えたんですよね。

ichikawa: 僕は新しくリリースされたカセットとかsoundcloudにも公開されている「inverse」のイントロとか間奏に入っている英語部分を聴いてほしいですね(笑)
—ギターリフで始まるイントロなのにそこですか(笑)でもこの曲は本当にいいなと思いました。このリフ、完全にハードロックバンドのそれじゃないか!と
nakamura:まさにその通りで、ichikawaはハードロックも好きなんですよ。僕はPaul Gilbertとかが好きなんですけどね。
ichikawa: BON JOVIとかGUNS N’ ROSESみたいなスタジアムロックな感じね。大学時代に入ったサークルで最初にやったのがGUNS N’ ROSESの「Welcome to the Jungle」だったんです。
nakamura:先ほどの話にもつながりますが、こういうわかりやすいところで聴かせてくるメロディってすごく重要ですよね。
—そこが炸裂しているのが「inverse」でもあるということですね。

—今後、バンドとしてどんな活動をしていきますか?
nakamura:まず、今年中にアルバムを出せれば良いなと思います。これまでのリリースをコンパイルしつつ、いま作ってる曲を一緒に入れてアルバムに出来ればと思ってます。Deep Woundを経てDinasour Jrになってリリースされた彼らのファーストのように、初期衝動を詰め込んだ様な作品になればいいなと思います
ichikawa:こういうバンドみたいになりたい!というので一つ思うのは、Weezerの『Everything Will Be Alright In The End』みたいな一作を作れるバンドになりたい、というところですね。実はそれまで彼らを好めなかったのですが、この作品でかなり好きになれたんです。Queenらしかったり、Van Halanらしかったりして、僕が好きなバンドの音っぽさがそれぞれの曲に詰まっていて、たぶんメンバーも好きだからこそそういうのを出していったんだと思うんです。alicetalesでやりたいことといえば、個人的にはそう思います
—いま話を聞いて思ったのは、同じバンドメンバーでDinasour.JrもWeezerもVan Halanも好きだっていうことが共通認識になっている点です。普通、この3バンドのうちどれかは好めないとかあるはずなのに。
nakamura:基本的に、当人同士が仲悪いとかいがみあってるとかありますからね(笑)。
—カート・コバーンとアクセル・ローズ、みたいなね(笑) そういったところを並列に好きだと言えるのは、いまの時代らしさがあると思いますし、このバンドの強さなのかもしれないですね。
nakamura:ちょっと年上のバンドさん方と飲んだ時に、「Yo La TengoとPaul Gilbertを同じように好んで聴いてるとかいったら、自分たちが同じ20歳ごろでは仲間外れにされてたよ」って言われて衝撃を受けました。そういえば、メンバーで同じように好きなバンドといえば、LOVE LOVE STRAWがありますね
ichikawa:LOVE LOVE STRAWは最高だね
nakamura:LOVE LOVE STRAWみたいなバンドになりたいですね。







<インタビュアー:草野虹 2月25日 新宿>

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2016.3.17 12:10

【INTERVIEW】 House Of Tapes ― 混沌かつポップを目指すエレクトロニカ

PitchforkMTV81等の海外メディアで所属レーベルTanukineiriと共に紹介され、2015年7月にはTeen Daze、NYANTORAとの共演を果たした名古屋在住のトラックメイカーHouse Of Tapes。 その勢いを駆って主催イベント『Nagoya-Elektronic-Fes』を昨年12月に開催するなど、精力的にライヴ活動を行っている。 今年2016年4/16(土)には早くも第2回が開催される同イベントについて話を聞いた。

Interview by 森 豊和(@Toyokazu_Mori)




House of tapes artist photo

House Of Tapes https://twitter.com/House_Of_Tapes



ナゴエレ2016フライヤー

クリックして拡大



4/16(土)にエレクトロニカ、アンビエント、テクノ中心の音楽イベント第2回を行うとのことですが、今後も継続されるんですね。
House Of Tapes(以下 H):はい。『音楽愛+名古屋愛=ナゴエレ』をキーワードに続けていきたいです。今回から入場者全員に、出演者のコンピレーションCDを無料で差し上げます。
会場の名古屋spazio ritaは地下鉄矢場町駅から東へ5分程度の便利な場所ですね。地下鉄から地下道でセントラルパークを横切って。
H:spazio ritaはクラブやライブハウスではなく多目的イベントスペースなんです。生演奏だけでなく、絵の展示、トークショー、映画上映会など、様々なイベントをやっていて面白い場所だと思います。
徒歩圏内には僕がお世話になっているFile-UnderStiff Slackなどの独立系レコードショップや栄パルコ等があって便利な場所です。
 
西に少し歩きますが大須にRECORD SHOP ZOOもありますね。ところでトラックメイカーは音源をネット・リリースして終わりでもいいのに、主催イベントまで始めたのはなぜでしょう? 何かきっかけでもあったのでしょうか。

H:2015年夏に東京の西麻布Bullet’sでライブしたことがきっかけです。蛍光灯で演奏する伊東篤宏さんや、東京で活動するトラックメイカーの皆さんとご一緒して刺激を受けました。 そして、名古屋や東海地方にも素晴らしいトラックメイカーがいることをもっと多くの人に知ってほしいと思いました。それがきっかけです。
名古屋のトラックメイカーといえばfredricsonさん(レミ街 / tigerMosのキーボード奏者)など有名ですね。でも食品まつりさんは横浜に移りましたし、あまり横のつながりは目立たないように思います。
H:名古屋は、あくまで私感ですが、東京や関西に比べてシーンが形成されておらず、閉塞感が漂っている気がしています。そして仰る通り、東海地方のトラックメイカーさんでも、拠点を関東に移したり。
有名になるために地方在住では限界があるかもしれませんね。上京する理由はもちろん他にも色々あるとは思いますが。
H:名古屋や東海地方で活動しているトラックメイカーさん達と繋がって、一緒に名古屋を盛り上げたいんです。そういう場を作れたら。そういった気持ちが最初にあります。イベントを始めた一番の理由です。
 
それでは各出演者の紹介をしていただけますか?
H:各プロフィールはフライヤー画像に載っていますので、ライブを見た僕の感想を言いますね。まずSOMA 奏間さん。海外での豊富なライブ経験に基づく圧倒的なビートを繰り出すかた、才人です!

海外のフェスといいますと?
H:彼はヨーロッパのフェスのメインステージでプレイされたりしているんです。海外のイベントでの観客の雰囲気、その場の空気をつかんでらっしゃるんだと思います。そして神戸からのゲストで、Jomyakさん+下村唯さん。電子音楽とダンス・パフォーマンスを融合したステージ。

電子音楽だけに止まらない表現活動をされているかたですね。
H:今回はさらにVJも加わります。前回同様つかさハニーさんにVJを全編していただきます。経験に裏打ちされた圧巻のVJを見せてくれます。壁2面使って音に合わせて次々と展開するビジュアルがとても新鮮だったので今回もお願いしました。
つかさハニーさんのVJは観ていて飽きないですね。
H:はい。そしてrobotmeさんは徹底的にミニマルでシンプル。ループミュージック好きには堪らない感じです。


Vista Visionさんは宇宙的アンビエント。独自の世界観が炸裂します。ビートを強調した他出演者の音に対して、アンビエントな表現を得意とされる彼を合わせたくて、第1回に続いて参加してもらいました。


そして主催の私House Of Tapesは、今回の出演者の方々はビートを強調する方が多いので、メリハリをつけつつ、ポップなメロディを炸裂させたいと思います。
House Of Tapesの新曲についてお伺いしたいです。最近発表された曲はほとんど披露されますか。
H:ええ、そのつもりです。

まず「Twinkle Color」はトイトロニカを作りたかったとのことですが美しい曲ですね。
H:ありがとうございます。ポップさを全面に出してメロディを紡ぎました。
対して「Disorder!!!」「Rev-Ex」はその反動で大暴れ、ないし原点回帰しているかのような。
H:混沌好きな僕ですが、「Disorder!!!」は混沌を混沌だけに終わらせないというテーマで作りました。「Rev-Ex」は現在の僕のテクノを、そのまま出す、というテーマの曲です。
硬派なハードボイルドな感じですね。これらの曲はただぶっ壊すのではなく、破壊の後の再生といいますか、戦争や自然災害で荒廃した土地に、草花が芽生えるように、後半キラキラしたメロディーが生まれる瞬間がありますね。
H:適確な表現をありがとうございます。混沌かつポップな曲作りを指向していますが、混沌なだけで終わらず、音楽的にするということを心がけているつもりです。
また過去のデモである「アネモネの花を食いちぎった」については、架空のベースレス・サイケデリックバンドの曲、というコンセプトで作りました。ヴォーカルや歌詞、雰囲気を面白くしたつもりです。

house of tapes flaoting
3/1配信の新曲「Floating Ache」については?(Apple Musicで聴けます)
H:僕の中では最近の流れでつながっていて、ただ明るいだけでなく、不穏なコード進行を入れてみました。それをどれだけポップに聴かせられるか、考えながら作りました。
ありがとうございます。それでは最後に、今後のナゴエレをどういったイベントにしていきたいですか?
H:ナゴエレをライフワークにしたいです。東海地方で埋もれているトラックメイカーさん達を世に紹介していく。繰り返しますが、一緒に名古屋を盛り上げたいんです。そのためにHouse Of Tapesも成長したいです。いつか枯れても、限界を感じても、成長しようと努める心があれば、成長できると思うのです。名古屋を拠点に東京や他の地方からお誘いがあれば喜んで出演したいし、期待に応えられるよう成長したいです。
SOMAさんのように海外からオファーがあれば?
H:ぜひ行ってみたいです!
お話を聞いていると、House Of Tapesさんにとって、音楽は生きること、感情そのものなんだろうなと感じます。『音楽愛+名古屋愛=ナゴエレ』というキャッチフレーズ通り。
H:ええ、僕にとって音楽は血液です。全身を巡る、愛おしい血液。僕は混沌とポップさを織り交ぜた曲を追求しています。楽曲制作して発表するサイクルが短いのは、死を意識しているからです。いつ死ぬか分からないから、生き急いでいます。



最後に

以前、彼は海外メディアSoundfrinedsのインタビューで「Nice Dream」という曲について「涙が出るほどの、多幸感あふれる曲が作りたかったのです。しかしそれだけではなく、せめて眠っている時だけは良い夢を見たい(逃避では無く)、現実と対峙して疲弊した後の癒やしの曲になれば」と答えていた。

彼にとって音楽は、美しい癒しであり、ユーモアを交え、他者を楽しませるものであるべきなのかもしれない。そしてそれこそが彼にとっての「音楽的」ということではないか。

そう問うと、彼は静かにゆっくりと、しかし力強く頷いた。

 

house of tapes elefes
『Nagoya-Elektronic-Fes 2016春』
2016年4/16(土)名古屋矢場町spazio rita
Act: SOMA 奏間 / jomyak+下村唯 (神戸) / robotome/ Vista Vision / House Of Tapes
VJ:つかさハニー
open 17:30 / start 18:00
adv2500(1D込)/ door 3000(1D込)

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2016.3.4 21:00

【INTERVIEW】fraqsea『Star Cocktail』(PROGRESSIVE FOrM)



シャーベットポップと評されることの多いShellingでヴォーカル/ギターとしても活動しているayaのソロプロジェクト 《fraqsea》による、2013年以来約2年半振りとなる2ndフルアルバムが発表された。アルバムは、全体の印象として声を引き立てるために極めて慎重に配置されたトラックのバランスの良さがとても上品に響く作品に仕上がっている。一方でシューゲイズのアプローチもごく自然に配慮されており、主には電子音によって構成されているにもかかわらず必ずしもエレクトリックな印象ばかりではないところや、抑制された出過ぎない音圧などの目新しさも印象的だ。これらの音を取り巻く環境について、indiegrabはayaに伺ってみた。

︎「今回のアルバムは声の加工をほぼせず
ポップソングを意識しました」

Shellingはとても心地よいシャーベットポップなサウンドが印象的です。浮遊感あるヴォーカルはShellingの中では時としてある種の孤高の印象、遠く手の届かないところで歌われている印象もあります。この辺りはソロプロジェクトでは少し距離感が違うようにも感じます。歌詞やメロディーの印象でしょうか。ソロプロジェクトfraqseaとShellingでは歌い分けているという意識はありますか?
fraqsea(以下 f):Shellingでは映像の浮かぶ音楽というものを意識した音作りをしています。歌い方に関しても声を音の一部として捉えているので輪郭をなくした加工作りをして表現しています。fraqseaでは、そういったジャンルや世界観を決めず、自由に創作します。今回のアルバムは声の加工をほぼせずポップソングを意識してのアルバムとなりました。
例えばWe’ll Go To See The Seaは、Shellingよりも、一層バンド的な、つまりギターと声をメインにした楽曲ですが、今回fraqseaでこの曲は不思議とバランスよく収まっているように感じます。この曲を含めて、ソロプロジェクトとShellingでは楽曲は使い分けを意識していますか?
f:楽曲作りにおいてはShellingもfraqseaも、おもちゃで遊ぶような感覚で、始めはイメージの括りをせずにまず機材を触っていく中で形にしていきます。そこでShellingの曲として作るか、fraqseaの曲として作るかと決める場合もあれば、いじっていく内にfraqseaになったりもします。
なるほど、後からこれはfraqseaに相応しいな、ということが見えて来るというときもあるんですね。
f:そうですね。それからShellingでは、バンドとして楽曲のアレンジを出し合い化学変化をしながらどのように完成していくかといったつくりかたをしています。映像が浮かぶ音楽だったり、より芸術性に沿った音響的な部分を意識しているのですが、ソロではジャンルを括らず自由な曲作りをしているので自然と弾き語りの楽曲も増えていきました。We’ll go to see the seaもその内の1曲です。
今回の作品はいつ頃、生まれたものなのですか?
f:今回のアルバムの楽曲ほとんどは、2015年の1月に出来た曲で、1ヶ月で20曲位作りました。元々フロアミュージックを好んで聴いているのですが、この頃は特にハウスミュージックを聴いている内にShellingでもfraqseaとしてでもなく単純に、こういうのやりたいなぁと思い立って作ってみたんです。それは新たな制作の仕方でした。
これらの楽曲は特に発表することもなかったのですが、PROGRESSIVE FOrMレーベルオーナーのnikさんからアルバムリリースのお話をもらった時に、デモでも構わないから今ある曲をいくつか送ってほしいと言っていただいたので今回、日の目をみたという形です。

︎「この2曲はイメージやテーマが始めに自身の中であり制作したので楽曲の世界観が出しやすかったです」

アルバムを通して聴くと、冒頭の曖昧果実とラストのNear The Rainはどちらもとてもオーガニックな印象を併せ持つアンビエントスタイルが印象的ですね。
f:あるアンビエントイベントにお誘いいただいて、そのイベントに向けて作った楽曲がNear The Rainです。曖昧果実も、以前コンピレーションアルバムのお誘いがあり制作した楽曲です。この2曲はイメージやテーマが始めに自身の中であり制作したので楽曲の世界観が出しやすかったです。
収録曲や曲順は、つまりこの2曲で全体を挟む構成は、アルバム制作のどこ段階で見えてきたものなのでしょうか?
f:アルバム収録曲を決める時に送ったデモ曲の中にこの2曲も送っていて、nikさんがセレクトしたという形です。収録曲、曲順などもお任せしました。
PVを作られた2曲(My Own Way, Always With U)はフロア仕様でありながら抑制の効いたトラック、タイトル曲(Star Cocktail)はポップなメロディーが印象的な仕上がり、これらの曲はアルバムの軸になっていると思います。
f:Always With Uについては、メロディーの構成は元々あり、それに装飾していくような形で始めはうわもののシンセサイザーからフレーズを作っていきました。後からリズムをどう作ろうかと考えた時に、自分の思う幻想性(音響、空間的な)のある音とクラブミュージック寄りのリズムを融合させたらどうなるだろうという試みから出来た曲です。抑制という風には自身では思わなかったのですが、こういった経緯からそう思う方もいらっしゃるかもしれませんね。イメージとして近未来都市や再生、前進、といった楽曲作りに努めました。歌詞に”舞い上がる好奇心を再生させる”とあるのですが、実は昔作った曲の歌詞の一部で。過去に書いたものだけど今もそれは残っていて、その歌詞には未来に前進する気持ちが書かれていて。それが不思議に思ったし、おもしろいと思い、そのまま使用しました。それからMy Own Wayはリズムトラックから作り始めました。メロディは後から作ったパターンです。90年代に流行った風のシンセサイザーを取り入れて、女性目線のメッセージ性のある歌詞作りを意識しました。キャッチーな楽曲になったと思います。
そこでお伺いしたいのはこのアルバムタイトルの意味です。アルバム全体の言葉の 絵画的なイメージを集約しているようにも思えますし、一方で本作の中ではやや異色な仕上がりという引っかかりもありますが、この曲がタイトル曲になった理由はありますか?
f:楽曲Star Cocktailは、リリースの話が決まってから収録曲を決めるときに、あと数曲作ろうと思い、制作して出来た曲です。それで新たにStar CocktailとTake Me Awayが収録曲に加わったんです。夏をイメージした曲でよりポップさを出したかったのもあり歌い方も変えました。具体的にいうと思いきり歌ったというか。この曲で新たに歌い方のバリエーションが増えました。今までリリースしてきた曲の中ではこういう歌い方をしたことが無い故にもしかすると異色と印象づけられるのかもしれません。制作過程は違うものの、これらの曲をアルバムの軸と言っていただくのは嬉しいですね。
ありがとうございます。そして、これがアルバムタイトルになりました。
f:そうですね。Star Cocktailという言葉を作ったのが音楽活動をしていた初期の頃で、なんか良いなぁと、常に頭の片隅にあった言葉でした。今回のアルバムタイトルを決めるときに直感で浮かんだのもありこのタイトルにしました。楽しみながら作ったアルバムなので、ぱっと見て楽しそうな響きかも、と思ったりもしました。

︎「皆で作り上げていくことって素敵なことだなぁと
改めて感じています」

ayaさんは常にアートワークを手がけていますが、今回のアルバムは印象として、とても抑制の効いた世界観とそれに呼応するモノトーンの写真、それに合わせて言葉はとても絵画的で広い世界を散りばめているようで、実際にはとてもパーソナルな世界を歌っているようにも感じました。アートワークでその辺りを意識されている部分はありますか?
f:アートワークは今回、レーベルオーナーのnikさんをはじめカメラマンの小川さん、ヘアメイクをしてくださった酒井さん、イズミさん、映像作家のミヨシさんたちと皆で話し合って完成したものなんです。
アートワークそのものも、とても時間をかけたんですね。
f:衣装のディテールや色、ヘアスタイルのイメージも細かく意見を出し合いながら進んでいき、撮影では寒い中早朝からサロンで、夕日の沈む前の海で、夜は六本木ヒルズのイルミネーションの中で撮影しました。数百枚の写真の中からジャケット写真を選び、タイトルのフォントや色味も納得いくまで決めていきました。皆で作り上げていくことって素敵なことだなぁと改めて感じ、一層思い入れのあるアルバムになりました。

︎「自然の現象、ファンタジックな世界感と
叙情感を結びつけました」

星や夜空、宇宙、といった広い世界と、わたし、という存在、どちらも考えてみればとても捉えることの難しい、大きな世界と、繊細な心の感情を 含んでいるように思います。ある種のプライベート感覚というか、心の中、心象風景というような。これらはayaさんにとっては日常的なものなので しょうか、それとも特別な、あるいは非日常的なものなのでしょうか?
f:メロディーの歌詞やタイトルに取り入れている雨や月や星などの『自然の現象、宇宙観』+アイスクリーム、ブレスレット、ドレスなどの『ファンシー、ファンタジックな世界感』(ex.アイスクリームが大好きすぎてアイスクリームも私を好きなの、というIcecream Holic)+日々生きる上で感じる、愛する気持ち、迷い、自我、楽しさ、リラックス、といった『叙情感』を結びつけました。
いいエピソードですね(笑)。それは音作りもやはり同じような世界が背景にある訳ですね。
f:音作りに関しても同じく、自然の現象、宇宙観として霧をイメージしたMoon,Fog Moonのベースシンセサイザー、水の雫をイメージしたCardinal Pointのミニマルなシンセサイザーフレーズ、叙情感としてリバーヴやディレイを多用したギターNear The Rainなどです。
もう少しこの辺りについて聞かせて下さい。アートワーク、言葉、歌、声、音、あらゆる表現を通じて、つまりとても多様な方法で、それが最後に一つにつながっていくというような世界観で創作をされているような印象を受けました。実際にお話を伺ってやはりそのように感じます。作品を作る時、一番最初にイメージとして湧き出てくるものは、どんなものでしょうか。言葉、絵、メロディーなど、何がきっかけで作品が膨らんでいくのでしょうか?
f:創作するときは何も考えないで楽器に向かうことが多いです。何も浮かばなければその場でやめて、没頭するときは時間を忘れて気がついたら3時間過ぎているということもあります。普段日常でメロディーが浮かんだ時はボイスメモに録音して、ギターコードから作ることもあれば歌いやすい音階を鍵盤で合わせてシンセサイザーの音色から決めていくこともあります。そこからベースとなる音作りをしていく中でその曲のカラーや情景が浮かんできます。
とてもピュアな創作のスタイルなんですね。
f:何もない状態から作る時は、始め1音をギターや鍵盤で鳴らした時にイメージを膨らませていきます。美術館や博物館、海外旅行に行ったり、映画を見たりすることが好きで、印象に残る景色や作品は数多くあります。そのような複合がイメージとして浮かぶこともあるかもしれません。

︎「今回はダンスミュージック寄りの楽曲、弾き語り、とバリエーションを増やし新たな一面を表現できたと思います」

曲作りの方法や言葉に隠された意味など色々とお伺いできてとても良かったです。ここで、もう一度「fraqseaの」ayaさんという視点からみて、リスナーの皆さんにあらためてお伝えしたいことがあればお聞かせ下さい。
f:今回はダンスミュージック寄りの楽曲、弾き語り、とバリエーションを増やし新たな一面を表現できたと思います。星のようにちりばめられた曲たちをアルコールと一緒に飲み込んでも良いし、歌詞の中にある言葉を自分に当てはめていただくのでも、なんでも自由に楽しんでいただけたらと思います。
たしかにそういった自由さがとても上品にパッケージされていると感じます。
さて、最後になりましたが今後のfraqseaとしての活動予定があれば教えて下さい。
f:4月にリリースパーティーの予定があります。まだ未定ですが、いくつかリリースのお話があるので楽曲作りもまた始めています。
まだこれからの展開も楽しみですね。今日は、ありがとうございました。

インタビュー 30smallflowers(@30smallflowers)


Star-Cocktail
『Star Cocktail』/ fraqsea
2016年1/17リリース
フォーマット:CD
レーベル:PROGRESSIVE FOrM
カタログNo:PFCD54
価格:¥2,000(税抜)
実店舗限定購入特典:PROGRESSIVE FOrM 2016のNEWミックスCD(80分弱収録)+歌詞カード
【Track List】
01. 曖昧果実
02. Love Tonight
03. Icecream Holic
04. My Own Way
05. Cardinal Point
06. Always With U
07. Take Me Away
08. Star Cocktail
09. Nothing
10. We’ll Go To See The Sea
11. Moon, Fog Moon
12. Near The Rain

All Music & Lyrics by Aya

Additional Production & Mixed by Tetsuya Hikita+NIL
Mastered by KASHIWA Daisuke at Studio FLAT

Photography & Design by Satoshi Ogawa (3104 GRAPHIC)
Hair by Sakai (OFF)
Make by Izumi (OFF)

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2016.1.30 12:00

【INTERVIEW】『WORKERS』/ Mulllr

workers

MOTORO FAAMの中心メンバー・Ryuta Mizkamiのソロプロジェクト・Mulllr。
bandcampで3枚のアルバムをリリースしてきた彼が、4thアルバムにして初のフィジカルとなる『WORKERS』を11/13にPROGRESSIVE FOrMからリリースした。
今までのアンビエント色の強い作品から今回のビート・ノイズの強い作品への変貌。
コンセプト色の強い彼の制作姿勢。
これらを読み解くテキストとなるインタビューを掲載する機会をいただけました。

『WORKERS』/ Mulllr
2015年11/13リリース
フォーマット:CD
レーベル:PROGRESSIVE FOrM
カタログNo:PFCD52
価格:¥2,000(税抜)
【Track List】
01. …and the World’s W___ O__
02. …and Late Rising
03. …and Son of the Dentist
04. …and Crowded Trains
05. …and Timecard Timecard
06. …and Checking Emails
07. …and Brunch Time
08. …and Unproductive Debate
09. …and Snoozing
10. …and Caffeine Poisoning
11. …and Huge Searchbar
12. …and Over Timeless
13. …and Dancing Alone
14. …and Excessive Drinking
15. …and Loss of Memory
16. …and Night in the Forest
17. …and Black Ceiling
18. …and Light Sleep
19. …and Light
20. …and Sleep Again
21. …and tex_
amazon ※実店舗限定の初回出荷特典として、アーティスト未発表音源の無料DLクーポンが付属。





作り手の文脈よりも受け手の解釈のユニークさの方がずっと重要と考えたい

新作「WORKERS」は、今までの作品からもある”Mulllr”ならではの鋭い電子音の反復、カットアップが緻密に構成されたサウンドはそのままに、1曲1曲ではまた違った表情を持った曲が並んでいるという印象を持ちました。それこそ一概に「電子音」と言ってしまってはいけない程、一音でも色々な表現があり、それが構成される中で各曲がまた違う表現を見せる中で、さらにその表現の幅が広がったという感じです。この辺は意識されましたか。
Mulllr(以下 M):ありがとうございます、今回は踊れる楽曲にしたいなと思って、なるべく立ってノリノリで体を動かしながら作ったんです。これはキャリアの中で初めてのことですね。ガクガクッ、ビクビクッビクって(笑)というのは冗談なのですが、前作までとの一番の違いは、各曲の長さが全体的に短くなってきていることかなと思います。前作までの10分を超えるような長尺のアンビエント楽曲では、極力少ない変化になるよう工夫していたのですが、その逆に、一曲中にめまぐるしく早い展開にして多くの情報を入れても、不協和している部分がなるべく無いようにしたくて、その点でより丁寧になっている面があると思います。
タイトルである『WORKERS』に現れているように、今作は「サラリーマンの1日」がコンセプトという事をお聞きしました。今回トータル21曲というヴォリュームですが、作品を通して聴くと1つの流れとして作品が完成されている印象です。今作の「…and Crowded trains」「…and Timecard timecard」と曲名にも現れていますが、それぞれの曲のコンセプトについても数曲可能であればお聞かせください。
M:アルバム全体を通して1曲の印象になるように、という所は前回から継続して意識しています。サラリーマンの一日が、…and として果てしなく何度も何日も繰り返されていくような円環構造にしたくて、タイトル、コンセプトがよりしっかりしたものになっていった感じです。「…and Crowded trains」、満員電車のギチギチ感。「…and Timecard timecard」、出勤しました「ウィーン・ガチャン」みたいな。ただ、その人の一日を淡々と、ごくごく単純にスケッチしていった感じにできたらと考えました。
あ、でも最近ってもうタイムカードじゃなくて電子化されてますね。「ピピっ」か、、(笑)
今回の作品のコンセプトに至った経緯は何だったのでしょうか。勝手な印象かもしれませんが、今までのMulllrの作品はどちらかと言うと記号の羅列的な的な側面があり、聞き手にコンセプトのヒントを与えるという事は無かったように思われます。
M:そうですね、分かりやすすぎるくらいのモチーフを意識的に使おうと思ったのは、MOTORO FAAMという名義で数年前に出した『…and Water Cycles』というアルバム以来かなと自覚しています。

ちょっと脱線しますが、音楽にかぎらず様々なアート作品って今コンテキスト9割、コンテンツ1割みたいな 価値の置き方になってしまっていると思うんですが、付随しているコンセプトや、制作者の名前やストーリーみたいなものに、私は興味があまりもてないんです。 「どんな見た目の人?」「男性?女性?」「どこの国?」「どういった素養がある?」「ジャンルで言うと?」みたいなタグ付けはできれば知らずにいたいな、というのが本音で。誤解でもなんでも、勝手に過大解釈や想像、妄想して楽しむ事ができれば、壁のシミも美しい絵画も、風の音も最新のダンスミュージックも、フラットに見えて、以外な面白さを発見できるのに、タグが一個つくたびに、一個面白さが減る気がするんです。作り手の文脈よりも受け手の解釈のユニークさの方がずっと重要と考えたい。

『…and Water Cycles』の頃、自分にも「タグ」がついてしまった事にも違和感を覚えて、以降、前3作まで、アートワークもタイトルも極力単純チープで無意味、記号性
を減らして自然現象や抽象概念に近づけられるかを意識してきて、小難しく考えず、良くも悪くもない、赤ん坊が初めて世界を見ているような、プリミティブな状態を極力匿名なままで作り出したいと常思っていたんです。

でもそれとは別に、いろいろなプロジェクトや、日々のちょっとしたタスクが膨大な時期があり、こういう生活の中で出てきた音が、ちょっと自己矛盾してきている感触があって「これってなんだろう?」と思った時に、忙しさからくるストレスみたいなものや、自分のエゴが、音に乗っかっちゃってきてることに気がついたんです。
『…and Water Cycles』と同じ作り方をまた始めた自分がいるなと。

何か忙しい感じの精神状態が今の自分なのならしかたない、これを「プリミティブ」と強引にして、音に乗っけてやってみよう、となるんですが、これは簡単に言うと私の憂さ晴らしで、快感とは程遠い。 それをコンセプトなしにリリースするのではなく、できれば隠したかった腹の部分を少し出して、聴いてくださる方と少しコミュニケーションの余地が欲しくなってきたんです。プリミティブでいたいけど、私たちは不完全だよね。大自然に還りたいけど、24時間戦い続けてるよね。どうしてかな?という素の自分が、メッセージみたいなものが、隠しきれなくなってしまったんだと思います。
変な質問かもしれないのですが、もし「Mulllrの1日」として作品を作るとしたらどのようなものになるでしょうか。日常をお聞きするようで申し訳ないのですが、イメー
ジだけでもお聞かせください。
M:丁度こちらのご解答と言えそうなのなものとして『WORKERS』を作れた面があるかな?と思っています。ステレオタイプな記号としての「ジャパニーズサラリーマン」という言葉を設定していますが、本当に言いたいことは、あくまで何かをする上での思考そのもの、日々の生活を送る中での私の「頭の中身」をそのまま写実しようと試みた部分が大きいので。

「…and Loss of Memory」以降はステレオタイプの「サラリーマン」ではなく、おそらく明確に私の一日になってしまっています。記憶を無くして夜の森を彷徨う毎日のMulllrですが、何故かはご想像で楽しんで頂ければ(笑)
Mulllrとしての作品は一貫して独特の作曲方法があると思うのですが、これはどのようにして生まれたものでしょうか。リズムや使い分ける楽器によって決められた既成の「ジャンル」の中の音楽とは違い、曲の構成や音の造りに非常に独特なものがあり、興味深いです。
M:私自身バンドでドラムを叩いた所が出発点のリズム野郎なのですが、途中クラシック音楽のメンバーや、ドローンミュージシャンとの共作を通し、いわゆるバンド音楽と全然違う事を学んだことで、「時間軸への疑い」を持つようになったんです。BPMってフレームワークじゃんって。ド・ミ・ソが快感を作るのと同じで、体を動かしやすい一定な太鼓が高揚感を作る、という音楽の普遍的な「正解」は一旦忘れて、音を使いはするが、音楽にはなっていないようなものもアリって考えるようになってから、BPMを意識せずに瞬間瞬間で脳が反応・錯覚するようなものを紡いでいきたい、不快だろうが不協和音もストーリーに入れたいなと思うようになり、Mulllrではこういう部分を継続して取り組んでいます。

リバーブが変化すると、お風呂場くらいの狭さからコンサートホールへ、今立っている場所が巨大化した感じにできたり、右から左にずっと音が流れていると自分が移動していたり、音程が変化するとぐにゃっと歪んたような印象になったりと、変化がでてきますよね。それを聴覚でなく脳全体で捉えてもらうことができれば、音楽としては難解でも、体感としては、タイムスリップしたり、パニックになったり、変形する建築物みたいな、非常にわかりやすいアトラクションとして表現できるはずで、クラブミュージックやクラシックの多くがこういう部分で面白いさを作り出していると思うのですが、この先の部分にもう一歩突っ込んで何かできないかなと試行錯誤しています。
Mulllr_live

今までに聴いた全ての音に影響を受けていると思います

独創的な故に、他の作品からの影響が想像しにくいという印象があります。影響を受けたアーティスト、作品などがあれば教えてください。
M:ヒドイ答えになってしまいますが、今までに聴いた全ての音に影響を受けていると思います。逆に何にも影響を受けなくなってきてしまったとも言えるのかもしれませんが、一周して日常の中の些細な事を過大評価して影響を受けられるように自己訓練しているイメージです。

恥ずかしい話、頭でっかちに「こういう事を考えてこれを作ってみたんだ」なんて話を親しい友人にしてみても、「それって◯年前に◯◯◯って人が同じことを言っているね」なんて事ばかりで、コンテキスト重視で影響を受けそうな優れたモノと、誰もやっていない境地を探し続けると、不幸な未来が待っているかも、と気が付いちゃったんです。何も作りたくなくなるだろうなって。

あくまで今日の私の場合ですが、いかに自覚的に車輪の再発明を楽しめるか、鈍感であるか、が重要な事かな?なんてことは時々考えますね。

「よそはよそ、うちはうち」ですかね(笑)

なので、文脈をマッシュアップ出来きたり面白く紹介できるタイプの方は、ジャンル問わずそのストイックさを尊敬しています。
Mulllrの音楽を説明する時に、「電子音」「ノイズ」といったワードを使用する事でちょっと難解に思われる方もいるかと思うのですが、そうとは限らないと思います。ご自身としてはどのように思われますか。
M:電子音楽・ダンスミュージック等どのジャンルと考えても破綻してしまっているし、比較的広義を扱う「エクスペリメンタル」という言葉にかろうじて仲間に入れてもらえるかな?と思いつつも、崇高な実験性も別段持ちあわせていないと自分の事を思っています。 どれかのジャンル音楽として聴いてみると不快さが半端ない。自分がリスナーでもおそらく、0点に近い評価になっちゃいそう。でも『WORKERS』にかぎらずMulllrのどうしてか0点にはならない、その数点の部分があって、とても魅力的だなと私自身はMulllrの事を思っています。
この作品の前にYui Onodera氏とのユニットReshaftとしてのアルバムのリリースがありました。こちらはよりダブテクノ、ミニマルダブ的な作品でしたが、Mulllrとしての作品との違いとして意識されましたか。
M:Reshaftは、私っぽくもなく、Yui Onodera氏っぽくもないものにしたい、という意識合わせだけが当初ありました。お互いに普段やらないアプローチを試していって、何か面白いものが出てくるならば良し、といった感じですね。結果としてお互いに、自分達が意識していなかった部分まで、自分の手癖や性質みたいなものが浮き彫りになってきて、非常に興味深い体験でした。

Mulllrは100%1人でコントロールできるので、よくも悪くも想定内で、個人的、フェティッシュな音になってしまうけど、Reshaftはもう少し余地があり、もう少し多くの方に届くのではないか?と感じています。
Mulllrとしての活動後、ライブを行われる事も増えたと思いますが、ライブでの違いは意識されていますか。
M:あまり意識していない、というよりできないんです。空気全力で読んでも上手くいかない(笑)

元々私はLiveを結構お断りしてしまっていて、時間と場所を共有する以上、ライブは演者と聴衆どちらも楽しくありたいとなると、先ほど述べた「正解」の事を考えないとならず、私のスタイルはちょっとこれの実現が難しいなとの思いが長年あったんです。

でも、近年は技術的な進歩でユーストLIVEみたいな存在が出てきたのは大きくて、 これならその人が一番リラックスできる状況でLiveを提供しやすくなってきたので、リスナーに辛さを強いず、私自身も楽しくやれるチャンスがぐっと高まったと感じています。多くないですが時々こういうライブはやりたいなと思っています。
最後にMulllr名義に限らず、今後の活動などについて教えてください。
M:Mulllrとしての活動はもちろん継続しつつ、 いろいろなアーティストと進めている別名義も少しづつ発表していけたらと考えています。 コラボは時間がかかってしまいますが、一人ではできない面白いものができると思うので、是非次回作も興味を持って頂けたら嬉しいです。

インタビュー/聞き手:小野寺(CMFLG)

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2015.11.27 19:50