【INTERVIEW】壊れかけのテープレコーダーズ 小森清貴インタビュー『楽園から遠く離れて』

壊れかけのテープレコーダーズ アーティスト写真

今年4月に7thアルバム『楽園から遠く離れて』をリリースした壊れかけのテープレコーダーズ。
長い活動にも関わらず作品を重ねるごとに凄みを増していくバンドの新作は、第一報の段階で期待値も高かったが、CDの先行販売が行われた下北沢BASEMENTBARのリリースイベントでの熱量も素晴らしかった。
元々先行シングルを聴いて期待値が高かったこともあり、リリースイベントの会場でGt./Vo.の小森清貴氏にメールでのインタビューを申し込んだ。

今回自主制作リリースで行こうと決めました

–:今回のアルバムは自主制作と伺っていたのですが、自主制作はスタジオ音源のフル・アルバムとしては初めてということであっていますか?今回自主で制作、リリースを行おうと思ったのはどうしてですか?
小森清貴(以下、小森):はい、合っております。過去のフルアルバムはdisk union/DIW内レーベルからリリースをさせて頂いておりました。

※1st=ハヤシライスレコード 2nd~6th=MY BEST! RECORDS


今回自主での制作/リリースを行おうと思った主だった理由/目的としては、自分たちの中にアルバム制作/リリースまでのノウハウを蓄積し、自分たちだけでの対応範囲というものを把握したかった為でした。(シングルの自主リリースは経験がありましたが、やはりアルバムとなると制作にかかる期間や予算も規模が変わってくるので「アルバム制作」というものの知見を得ておきたかった)

恐らくインディーズで活動されてる多くのミュージシャンが当たり前に行っていることとは思うのですが、自分たちは結成最初期から幸運にもレーベルからのリリースをお声がけ頂け、言うなれば環境に恵まれ、ことアルバムリリースに関しては今までレーベルに頼っていた状態でもありました。そういう自らの甘えのようなものへの反省も兼ねて、今回自主制作リリースで行こうと決めました。

また、長年レーベルでお世話になった金野篤さんがdisk union/DIWを2021年に定年退職されたことを契機に、この先金野さんに頼れない状況下でも自立しやっていかなければいけないと思ったことも、理由の1つですね。
–:自主でのリリースにあたってレーベルからのリリースとは異なる苦労があったかと思いますが、制作面やバンド側の手間などいかがでしたか?
小森:実は壊れかけのテープレコーダーズの運営庶務は完全に私の一元体制的なところがあり、本アルバムの制作にまつわる庶務(レコーディング、アートワーク、プレス、流通、宣伝、配信、メディア連携など諸々の調整)は、すべて私1人で対応をしました。
これらに関し(ある程度は自分でも対応しておりましたが)多くの側面を、アルバム制作においてはレーベル側にご対応頂いていたので、その分の稼働が自分に振ってきた状況ではあるのですが、最初の質問への回答の通り、元来インディーズミュージシャンが対応するべき当たり前のことと思っていますので、特に苦労も手間もなかったです。寧ろ、楽しかったです。
–:これから自主で音源リリースをしようとするアーティストに向けて、何かアドバイスやノウハウの共有といったものがあれば聞かせてください。
小森:ここを読んでいるようなアーティスト様におかれましては、きっと私達なんかより自主制作のノウハウをお持ちの方が多いかと存じますので、アドバイスができるような立場でもないかなと……。
      
ただ、もし初めて検討されている方に向けてということですと「知見を持っている方に敬意と真摯さをもって相談する」 と「関わってくれる方全員に感謝の念を忘れない」の2点でしょうか。人と何かをするということにおいて当たり前のことですが、この2点を疎かにすると物事はうまく進行しないと思いますし、この当たり前のことを私も昔は出来てなかったように反省しています。自戒の念も込め、アドバイスというか、メッセージとして心に留めて頂けると幸いです。



音楽はどこか漬物みたいなところがありますので、未完成な状態で一度寝かせるというのも、1つの曲作りの策なのかもしれませんね

–:今回の収録曲はいつ頃の時期に作られたものになりますか?
小森:「作られた」という起点をどこに置くかによりますが、(私小森にて詞/曲を書き上げた時点に置くか、あるいはそれをバンドでアレンジし楽曲の体裁として完成された時点に置くか)今作の楽曲は一部除き結構明確に作成の時期感を記憶しており、取りまとめると以下となります。

曲名小森書き上げバンドアレンジライブ初披露
1. lost paradise2021年7~8月頃2022年夏頃2023年2月
2. 10年前、10年後2020年初頭頃2020年秋頃2020年暮れ頃
3. 梢2019年暮れ頃2021年初頭頃2021年5月
4. The Wate Land2020年4~5月頃2020年6~7月2020年8月
5. ai2019年未明2020年初頭→一度封印
2020年秋頃再開
2020年暮れ頃
6. ノスタルジア2020年4~5月頃2021年未明(上半期)2021年10月
7. グロリア2020年4~5月頃2020年6~7月2020年8月
8. 夢の、終わりの、そのあとで2021年3~4月頃2022年初頭頃2022年5月

書かれた時期感と楽曲性質(特に歌詞)、そこに当時の社会情勢等を思い出し当てはめて頂けると、より想起される何かがあるかもしれません。
–:(表をみて)M05「ai」の封印というのが興味深いんですが、封印した理由についてうかがってもいいですか?また、再開した理由についても教えていただければ。
小森:恐らくなんですが、時期的にコロナの影響によりスタジオに入れなくなり、披露するライブの目途も立たなくなったからだったような記憶ですが、あまり明確な理由を覚えておりません……すみません。

普段あまりバンドでの曲アレンジを寝かせることはないんですが、音楽はどこか漬物みたいなところがありますので、未完成な状態で一度寝かせるというのも、1つの曲作りの策なのかもしれませんね。



–:本当に新型コロナに影響を受け続けたここ数年だったんですね……。そういった時期を経験してライブやバンドの運営等に影響を受けた部分はありますか?
小森:難しいご質問ですね。

影響を受けていない方は恐らくいらっしゃらないと思われますし、語り尽くされてきた内容とも思うので、敢えて2020〜2023年の間に起こった個別事象への言及は避けさせて頂きますが、強いて「影響を受けた部分」とすると、コロナ禍を経てバンド活動を継続していく上での「大切なもの」が、それまで多分ぼんやりとしていたものが、ある種の確実性と明瞭さを持って浮かびあがり認識することが出来た、というのは「影響」だったと思っています。

「大切なもの」の具体は、きっとメンバー個々によっても多少の差分はありますし、言葉に出来ないようなものをも内包すると思うので、この場で語を羅列することはしませんが、個を超えたバンドという存在がこの4年間の間にそのことに気付き、今そういう意識を持って活動や演奏が成されているように見受けられ、そのように映っているとも思っています。

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『楽園から遠く離れて』壊れかけのテープレコーダーズ アートワーク
『楽園から遠く離れて』
/ 壊れかけのテープレコーダーズ
2024年4/3リリース
※2024年3/22のリリースイベントより先行販売開始予定
フォーマット:CD/デジタル配信
レーベル:HALF-BROKEN TAPERECORDS
カタログNo.:HBTR-004
【Track List】
01. lost paradise
02. 10年前、10年後
03. 梢
04. The Waste Land
05. ai
06. ノスタルジア
07. グロリア
08. 夢の、終わりの、そのあとで
Amazon
ディスクユニオン
マルチリンク

【クレジット】
全作詞作曲:小森 清貴
全編曲:壊れかけのテープレコーダーズ

録音・ミックス:三木 肇 (M&N録音サービス)
at 調布 SUN MUSIC STUDIO、西荻窪 UEN  2023 July – November
マスタリング:狩生 健志

アートワーク:森 千咲 
デザイン:dadao
写真:船木 和倖




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2024.5.10 12:00

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