【INTERVIEW】okkaaa『okkaaa – EP』
プロの方と並んで自分の音楽が聴かれていくという状況になってきていくなかで、自立とはなにか?みたいなエクスキューズが生まれてきた(okkaaa)
- –:ではこのまま音源の話に……と移りたいんですけど、その前に。先程SoundCloudの話もあがってましたが、EPとしてまとめて音源を出すのではなく、単純にSoundCloudに音源を上げ続けていくだけでも十分ではないのか?というのはあったと思うんです。EPとして1枚にまとめようと思ったのは、なぜなんでしょうか?
- okkaaa:もともと1つの作品を作りたいし、ポートフォリオとなるような1枚を作りたかったんです。名刺代わりになるような1枚を作れば、アルバムを作るまでに1つの音源が作りたかったのがきっかけです。自分のカラーや自分の感覚を打ち出していきたいとも思うし、嘘っぽいものを作ったらすぐにバレるのが音楽だと思う。覚悟してやっていかないとなと思って、まずこのEPを作ったんですよ。
- –:なるほど。今作を聴いて感じたのは、ものすごく統一感のある1枚だということだったんです。なぜなら、このEPには「速い曲」がないですし、もっと言うと「速くなるタイミングすら来ない」じゃないですか?
- okkaaa:おおお……意識してなかったですね、そこは。
- –:たとえばディアンジェロだと、グルーヴの刻み方で「速く聴こえるタイミング」もありますけど、今作にはそれすらない。トラップ系の刻み方や、ワブルベースでブイブイ鳴らしているけども、ロマンティックな雰囲気もあり、微睡みながら聴かせてくれる1枚だと感じたんです。
- okkaaa:いや、すごくありがたいですね。さっきも話したとおり、ぼくは一人でいることのほうが好きで、超チルアウト志向なんですよ。自分の生活の中に溶け込むような音楽が好きで、そういう根本の部分がハッキリと伝わったんだなと思いました。
- オオシマ(カメラマン):とてもじゃないけど、19歳としては本当に完成された1枚だと思いましたね。ほんと。
- –:そうだね、完成されている。そこもokkaaaさんの意識とかがそうしているんだと思うんだけどもね(笑)
- okkaaa:いまは大学に通いながら音楽を作っていて、ライフワークの一つとして音楽を作っている節があるんですよね。なので、音楽を作る時間を作るのもわりと難しい状況だったりしますね……ストックもあるにはあるんですけど、すでに昔の曲過ぎて、今の自分にはうまくマッチしてないし、現状ではストックと言えるような曲も多くはないんですね。
- –:作っているときに、なにかイメージしながらそれに向けて作ったりしたのでしょうか?
- okkaaa:まさにそのとおりです。今作にはじつはテーマがあって、『青年19歳と決別』というテーマですし、「こういうイメージで作りたい」という意識で曲を作ることが多いんです。「シティーシティー」という曲はそのテーマ性が強く出ていて、村上春樹の「海辺のカフカ」や「世界の終わりとハードボイルド・ワンダーランド」のような、同時並行世界の物語をつくったつもりです。物語は、客観的な事実がほとんどないというように言われることもありますけど、時代の有り様や人物そのものを映し出すものだと思っているし、そういった洗練された物語を作っていきたいし、唄っていきたいんですよね。
- –:『青年19歳と決別』というと、決別しなければならない理由があると思うんですけど、具体的にあげるとなるとなんでしょうか?
- okkaaa:20歳になる、ということでしょうか。準備もなにもしてないのに、19歳から20歳になっていくわけで、時間が進まなくてなければいいのにってブルブル震えていたんですよ、心のなかで。でも、「大人にならなければならないのか」という気持ちにどんどん変わっていく中で、この『青年19歳と決別』というテーマになっていったんですよね。
- –:それは元々から自分の中にあったわけなんですね。
- okkaaa:そうだと思います。プロの方と並んで自分の音楽が聴かれていくという状況になってきていくなかで、自立とはなにか?みたいなエクスキューズが生まれてきたことが、今作を作ろうと思えたきっかけだったとも思いますし。
- –:さっき「完成されている」って思わず言っちゃったけど、こう聞いてみるとちょっと違うよね。「一人の人間として何ができるだろうか?」ということに意識的になったんだと思うんです。
- okkaaa:ああ、なるほどです。
- –:そのへんが年齢離れした感じになっているのかもしれないなと思いました。最後に、今後の目標はありますか?
- okkaaa:目標っていうのもあまりないんです。例えばストリーミングサイトでバイラルチャート1位を目指そう!とか、ホットチャート1位を取ろう!みたいなことを言われたりもするんですけど、目に見えて実感できるものでいうなら……渋谷WWWを埋めたいというところでしょうか。先日ライブをやらせてもらって気づいたんですけども、スポットライトをあびると、「自分が生きてる」「認められている」と感じられる瞬間だったんですよ。ああいう場所に立てるように頑張ってみたいですね。
【拡大するTypeBeat(タイプ・ビート)文化、その理由と具体的な活用】
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インタビュー・テキスト:草野 虹(新宿 8月上旬)
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2019.8.27 11:59