【REVIEW】死神紫郎企画『救いのない音楽 vol.2』ライブレポート


2021年4/29(木)に開催された死神紫郎主催の有観客+配信イベント『救いのない音楽 vol.2』のライブレポートを掲載する。
筆者は天使弾道ミサイル。




死神紫郎企画『救いのない音楽 vol.2』

こんにちわ。天使弾道ミサイルです。2021年4/29(木)死神紫郎企画『救いのない音楽 vol.2』が開催された。直前でJURASSIC JADEの出演がキャンセル。コロナ禍を鑑みての事だろう。どんな選択を取ろうがミュージシャンにはリスペクトを送る。改めていつも楽しい環境をありがとう。
さて、会場である東高円寺二万電圧に余裕を持って1時間前に到着。席を陣取り、iPadの充電場所も確保。「しかし、その時!!!」愛する人からのコーリング。今すぐ来てくれとのこと。
天使弾道ミサイルの出演も急遽キャンセル。配信でこのライブレポートをお送りする。仕事よりも愛を選ぶ彼にもリスペクトを送ろう。愛は0秒。
後日、死神氏から若干の皮肉を言われつつも、関係者のみの配信招待URLをゲット。関係者だなんて何と気分がいい。ぼくは皆んなの関係者だよ。早速ポチッと押してみる。画面上に『救いのない音楽 vol.2』と表示される。なんだかあんまり見たくない。だって人間誰しも救われたいんだもん。ここで一旦再生を止めたが、勇気を振り絞ってもう一度再生。なんとも2度足を踏ませる主催者だ。ツイキャスの仕様なのか、手をパチパチする絵文字が出てきた。気持ち悪い。今のところ文句しかない。早く始まって欲しい。なんとなくスキップはしたくないのだよ。早く始まれ!業を煮やしてスキップ。

SHOWKYOS ME




10分経過したくらいでSHOWKYOS MEが登場。このバンド名は何と読むのだ。これ以上筆者に負担をかけないでくれ!でもギターの人の顔がなんとなく好き。このギタリストのお陰でなんとなく見る気がしてきた。皆さんSHOWKYOS MEのギタリストに拍手。演奏が始まる。配信の都合上なのか音圧が低い。この辺は配信プラットフォームの課題であろう。ヘッドフォンに切り替える。ボーカルの人がぶつぶつとお客さんに語りかける。なんだかかっこいい。このバンドは「なんだかかっこいい」雰囲気をずっと出してる。「なんだか」とは理由がはっきりとわからないこと。



バンドの話に戻る。歌詞が深い。でもなんだかよくわからない!それがヤバイ!テンションがぶち上がる!!!配信をもろともしてないぜ!めっちゃロック!マラカス持ってるのにめっちゃロック!「ライブハウスにこよーぜ」ボーカルのKANO MEが言う。いや、あなたたちの音楽は行かなくてもヤバイのがわかる。そこら辺が矛盾点。めちゃくちゃ声が特徴的で「喉に色んなもんが引っかかってんじゃねーか?」と勘繰る。喉のCT検査を行い、是非ともその過程をミュージックビデオにしてもらいたい。なんだか酒が飲みたくなってきた。酒が旨くなるバンドは間違いない。沖縄県産パイナップル酎ハイを呑みながら拝聴する。



ちょくちょくボーカルのKANO MEがドラムのタムを叩いてる。ドラマーはいるのに。タムだけがボーカルの方に向けられている。どんな人間関係なんだ。ドラムのお姉さんは気にも留めてない。途中、振っていたマラカスの先端が飛ぶ。マラカスが空気を読んだかのようにバンド全体のシュールさが際立つ。いいバンドの定義がもう1つできた。いいバンドはマラカスの先端が飛ぶ。間違いない。こちら側のテンションを上げるだけでなく、しっかりとぼくの孤独な魂にも呼びかてくる。「孤独でいいんだよ。」と。全楽曲に一貫したテーマ性を感じるが一辺倒さがなく、ライブ全体がショウとして作り上げられてる。テンションをぶち上げるだけなら簡単。そこにドラマを持ち込み観客の感情を揺さぶるのがプロフェッショナル。彼らは「プロ」という言葉に甚だ疑問を抱きそうだが、この際「プロ」という言葉を押し付けさせてもらおう。



約45分のライブが終了し、SHOWKYOS MEはステージに幕を下ろした。ぼくはアーティストの去り際を真剣に観察するのだが、去り方もSHOWKYOS MEで、恐らくお客さんに感謝していた。なんともツンデレで、ぼくはこのバンドにデレっとした。


死神紫郎




続いては死神紫郎。なんとなく始まらないで欲しい。これもなんとなくだ。主催者は「なんとなく」も計算済みか?俺はこのなんとなくが好き。死神紫郎登場。相変わらず死ぬのがうまい。そして何か笑ってる!!なんで笑っているか配信からは確認できない!人が死んでいるのか?何も始まっていないのに笑っている!楽しそう!アーティストは表情ひとつひとつを見られている。それも計算済みで笑ってみたのか?救いがないぜ。



楽曲が始まる。さっきの謎の笑みがフックになって、楽曲に一気に集中させられる。毎度のことだが、とにかく顔がいい。これはイケメンとかそう言ったことではなく、顔面力だ。基本的に顔が怖いのだが、時折可愛い顔も見せるので、心の中で思わず「がんばれ!」と叫んでしまう。ネットの問題なのか死神氏の妙な顔面で、画面が静止する。これも演出か?いつも通り小気味いいトークが繰り広げられる。余裕綽々なので、本気で笑いをとりにいったトークも見てみたいものだ。俺はもうこれくらいじゃ笑わないぜ。だがあくまでも彼のメインは楽曲。素晴らしい。何が素晴らしいって、誤魔化しがないのだよね。彼の音楽は。音楽というのは自由なぶん逃げ道がいっぱいある。その逃げ道を自ら塞いでいるので、真面目に聞いてしまう。真面目に聞くのは当たり前だが集中させられるということだ。歌詞に耳を澄ますと旧態依然とした日本に異論があるようだ。だがその問題ひとつひとつが今の日本は徐々に改善されていってる。その時、死神氏は何を歌うのだろう?それが1番の恐怖だ。途中、エフェクターが上手く作動せず、機械が苦手だとおっしゃる死神氏。これからはAIの時代。少し話は脱線するが、死神氏の代表曲に「牛は屠殺を免れない」という曲がある。もし?牛が屠殺を免れたらどうなるのだろう?現在、動物細胞を培養してラボで生産される「培養肉」の研究が盛んだ。この研究の成果が出れば屠殺を減らすことに繋がる。未来の死神氏の代表曲は「培養肉は温室効果ガスを減らせない」といったところか。今後の期待が大。



しかし実に気持ちよくギターを弾くものだ。ステージのサイズがどう考えたって足りてない。死神氏は何の為に生まれてきたんだろう?最後の曲は「ねぼけまなこ」。かっこいいね。ロック!ヤリきった感満載で、死神氏がステージを退場。ツイキャス上に花火が飛び交う。何故に花火なのかわからないが、なんだか特した気分。アンコールで死神氏再登場。最近、ラップを始めたという。どうやら初のMC死神紫郎を拝める模様。一聴するとマイクの使い方がうまい。意識か無意識かは判然としないが、音の強弱、緩急、まるでステーキ。美味しく食べてもらいたいという真心が伝わる。きっとそれは死神氏が忌み嫌うヤンキーたちの心をも打つであろう。執念。その執念に感化されたヤンキー達がコンビニの前にタムロする日は近い。



以上、死神紫郎企画『救いのない音楽 vol.2』配信ライブレポートでした。初めて配信ライブをしっかり見たが、それなりに楽しめる。だが、そこが問題なのだろう。ライブ会場に行けば行ったで、空間が持つ嫌味というものがある。人は無意識下で損得勘定してしまうもの。それも含めてライブだと言われればそれまでだが、理屈の押し付けをしているならば、政府がやっていることとなんら変わりはない。見る側は自分の都合の良さが最優先だ。はっきり言ってお酒が出ないライブハウスなら、家で呑みながら見る方が良い。それをどこまで、才能とセンスで切り抜けられるか。今後はミュージシャンがミュージシャンなだけではダメだろう。タイトル通りこの業界には救いがないのか?

テキスト:天使弾道ミサイル
フォト:小磯晴香




『救いのない音楽 vol.2』
2021年4/29(木・祝)東高円寺二万電圧
1.SHOWKYOS ME
2.死神紫郎

2021.8.23 18:00

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