【REVIEW】「死神紫郎×豊川座敷×魚住英里奈」東阪スリーマン・ライブレポート


豊川座敷企画『三輪の黒い薔薇-大阪編-』


2021年3/13(土)難波ベアーズ
豊川座敷企画
『三輪の黒い薔薇-大阪編-』
出演:
1.豊川座敷 / 心猿
2.魚住英里奈
3.死神紫郎
テキスト:天使弾道ミサイル


2021年3/13(土)大阪の難波ベアーズで、〈三輪の黒い薔薇‐大阪編‐〉が開催された。
出演は死神紫郎、豊川座敷、魚住英里奈のお三方。

この日の前日、大阪は雷。
「やべーもん引きつれてくんじゃねーか?」と思ったが、ライブ当日は晴れ。

なんとも肩透かし。

雷の中ライブを見たかったが、彼らが雷である事を祈ろう。

豊川座敷


トップバッターは豊川座敷。



とにかく音が正確。そこでふと疑問が湧き上がった。
「音の正確さとは何だろう?」
音程がとれている事が正確なのか、リズムキープが正確なのか?

違う。

豊川座敷は音が<性格>なのだ。

彼の弱々しさが人を包み込んでる。
この時点で筆者は大分酔っ払っていたのだが、体内のアルコールが豊川座敷の音楽によって分解されていくのが分かる。

この人は客のアルコールすら、分解するほどの酒好きだ。

ライブ前の楽屋でビールとレッドブル、ブラックコーヒーをマクドのハッピーセットみたいに嗜んでいた。

自分を破壊したいのか?

ライブの話に戻すと、彼の声は弱い。
その弱さが人々を肯定している。

MCで豊川座敷がさほど面白い事を言ってないのに、お客さんは笑っている。
何故笑っているのか、俺には判然としないが、この人は「弱さ」という前提を元に「強さ」を提示している。

それがかなりギャグっぽく見えるのも確かだが、俺にはしっかり「強さ」として突き刺さってきた。

この日、豊川座敷は黄色いシャツを着ていたのだが、遠目からみると、ジャイアンにも見えるし、のび太にも見える。

そう、彼はジャイアンとのび太の合体なのだ。

強さと弱さを同時に兼ね備えている。
美しい。

それは出木杉君といった、<完璧>という概念を通り越した、
不完全という<完璧>さなのだ。

途中、マイクにギターをぶつけていたが、その音すら気持ちいい。
その辺りで尿意を催し、筆者はトイレに駆け込む。

そこで一つ発見したことがある。

「ベアーズのトイレのパイプから水が漏れてる!」

これは恐らく豊川座敷のせい。
感覚的にそう思った。

確かリハの時には漏れていなかった。

豊川座敷の音楽は、ベアーズのトイレのパイプから水が漏れる程の破壊力がある!!!!!!!
トイレに行ってもこの男は逃がしてくれない。

しばらくすると豊川座敷はバンドセットに切り替わり、たしか「しんえん?」という名前だった。
声があまり聞こえなかったが、もはやそんな事はどうでもいい。
先程と形態は違うがやっていることは一緒。

豊川座敷は最高にロックなのだ!!
ありがとう。豊川座敷。

豊川座敷がいればドラえもんは、もういらない!

魚住英里奈


2番目は魚住英里奈。



この日一番のお目当て。

この手の記事を書くとき、公平性が重んじられるが、そんなもの知らない。
オレは魚住英里奈が大好きだ。

大好きバイアス全開で書く。

ステージに二つ積まれたビールケースが魚住英里奈に座られるのを待っている。
彼女は相手に嘘をつかすのがうまい。
楽屋でお話させてもらったが、彼女の何とも言えない雰囲気がこちらの言葉を曲解させる。
魚住英里奈の周辺だけが、時間の経過がオカシく、少しだけ筆者も彼女に対してウソをついてしまった。

「私はスッキリしていますか?」
「スッキリしています。ですが少しだけ邪悪です」

魚住英里奈がステージに立った瞬間、客は全員「ウソ」をついた事になる。
これが彼女のワールド。

演奏が始まり、さほど音量はデカくないが、音量としての音量ではなく、音量がデカい。

音量というのは音のデカさではなく、エネルギーの量なのだ。

「UHA味覚糖のぷっちょ贅沢ぶどう味」を食べながら、鑑賞していたが、その咀嚼音をも吸収し、スピーカーがダンスしている。

彼女の言葉は放った瞬間の0秒で現実化し、0.1秒でウソになる。
見ている側はその空間をひたすら漂うしかないのだ。

彼女は拍手すらさせない。
拍手という音も邪魔なんだよ。

曲間でエフェクターを切り替えるのだが、マイクに頭を打たないかが心配だ。

彼女の所作の一つ一つに脳ミソを操作され、思考で応対するのは不可能。
歌詞の全部が反対のことを言っているように感じる。

「もう一度感動がしたい」
「夢と現実の区別がつかない」

それはこっちのセリフなのだ。
自分が寝ているのか起きてるのかさえ分からない。

途中、ボーカルマイクが入らなくなったが、その時の歌詞が

「ずっと、このまま」

「このまま何も変わらなくても、全然怖くないわ。」

オレは怖すぎる。

こえーよ。

歌えなくなっても、彼女は何も怖くないのだろう。

「拍手いらん」魚住英里奈がポロっとこぼす。
客は最後に拍手していた。全員ひねくれてる。

オレは拍手しなかった。

死神紫郎


最後は死神紫郎。



セッティングの段階から異常に丁寧で、何やら床にガムテープをいっぱい貼っている。
転換中、謎にずっとジャズが流れているのだが、それも込みでこの人も怖い感じがする。

怖いというの可能性。

死神紫郎のステージが始まる。

第一印象は顔が怖い。

顔が凄まじい。

顔だけで見る価値が既にある。

初っ端の歌詞が
「何の為に生まれてきたんだろう?」

歌詞が直球すぎて、笑けてしまった。
人生最大の問いを初球で投げてきやがった。

ストライク。

このアーティストは異常な「間」を使い分けるのだが、ギターの音だけで、ボケとツッコミを繰り返す。
急なブレイクで、空調の音がライブハウスに響きわたる。

これも既におもろい。

空調の音はずっと鳴っているのに、その上から死神紫郎がかぶさり、ブレイクする事で空調にツッコませてる。

ツッコミが早い。空調は既にツッコんでいるので、このツッコミも0秒。

死神紫郎は最近ラッパーを目指している。
ラッパー的な所作が随所に現れており、彼は現時点で既にラッパーなのであろう。
しかし終始酷い事を歌っているラッパーである。

死神紫郎のライブの特徴として、こちら側がニヤニヤさせられる。
これは笑いではない。ニヤニヤなのだ。

怖い顔に対して、客がニヤニヤしているので空間が怖い。

しかもこの人は頻繁に歌詞を終わらせずに終了する。
こちら側はモヤっとする。

ニヤニヤにモヤッとが追加される。

怖い顔に対して、客がニヤニヤし、そこにモヤっとが追加され空間が怖い。

地獄ですか?ここは。
もう逃げられない。

そして次の曲が
「逃げろ」

どういう事?

一通り演奏が終わり、アンコールが湧き上がるが、アンコールから戻ってくるのが異常に早い。

死神紫郎から逃げろ。

全てのアーティストの演奏が終了し、<3輪の黒い薔薇‐大阪編‐>は終了した。
企画タイトルのナルシシズムが半端ないが、自己陶酔はアルコールの用で、分解しきった時にその破壊力を増す。

彼らは雷だった。


テキスト:天使弾道ミサイル

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2021.5.8 18:00

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