【LIVE REPORTS】シャール&都和子初共同主催LIVE『朱夏燦燦』レポート
5/27(金)BECKアキバにて『朱夏燦燦』が開催された。主催が誰かなんてもっぱら興味がないが、こんな雨のち晴れな上に雑踏をサラリーマンの体臭が駆け巡る秋葉原に「私は何の用だ?」と問いかける具合には主催者が誰なのかが気になる。誰であっても勿論弊害はないのだが、観客の1日をコンプリートしてこそがイベントと言うもの。道中のリーマンの体臭すらも企画してくれ。
トップバッターはkiss the gambler。キスザギャンバー?読み方がわからない。読めたからって、どうってこともないんだが、こう言った1つ1つがライブの空気を作りあげる。全ての前提を亡くしてはライブというものは語れない。強いて言うなら、自分の足の小指の長さすらライブに関係してくる。kiss the gambler。この人とにかく足が小さい。何センチかはあくまでも比較論になるので、筆者が足が小さいと思うぐらいには足が小さい。ミュージシャンに留意して欲しいのは、観客は没入した際に目線が落ちるので、足ばっか見てる。足元に仰々しいスモークマシンがあるのだが、そいつが唸ることは一生なかった。kiss the gambler。足元を確認させるアーティスト。これはもはや批評なのかも分からないが、ミュージシャンをそもそも良いか悪いかの2分論で語るのは不毛なのです。そのことを速攻で想起させるのがkiss the gambler。本番中も基本的に何処を見ているのか分からない。何処も見ていないのか?そんな事が人間には可能なのか?何故この人はオレの目の前にいる?疑問が沸々と湧いてきた所に、そっと彼女の音楽がある。そんな感じ。トップバッターの彼女によってこのライブレポの趣旨を決めさせられた感がある。答えはこちらだ。「音楽と音楽以外」。では張り切って参ろう。
続いて死神紫郎。筆者天使弾道ミサイルと癒着関係にある。癒着って素敵。アーティストの才ってのはいつだって何かとの癒着だ。それは自然でもあるし、経済でもある。自分を自分ひとつで語るのもそろそろ無理があるし、このライブレポ同様、事象ごと捉えなければならない。環境と相互作用で全てが同時に存在するという三位一体的なあれだ。故にアーティストを切り取った瞬間にそのアーティストの独自性が阻害されるという何とも皮肉な世の中だ。僕は徹底的に差別しない。何故なら鑑賞者がアーティストを作り上げるので、自分の足の小指と目前のアーティストを切り離した瞬間に世界ってのは瓦解して、すごくチープに見える。これは単なる採点ではないのだ。紫郎のギターが鳴る。美しい。ギターがちゃんと鳴っておる。それも小慣れた感によって。僕は小慣れた感というのは決して好きではなく、僕が大切にしているのは処女性だ。だが小慣れた感も決して悪くないなと思わせるぐらいにはギターが鳴ってるし、ギターそのものがテカってる。ギターがだんだんと美女に見えてくる。悪くない。初めて紫郎とギターが分離して見えたライブだ。前世からの約束か。ギターと溶け合ってんぜ。そしてお馴染みの「さよなら平成」。確かにさよならだ。それは時代感に囚われないさよならなんだな。僕もとうに来たる3.0の経済にさよならし、メタバース、NFT、を掻い潜って更にさよならし、このリアルライブ空間でも小気味よく紫郎がさよならしてくれた。要は言葉じゃないんだ。言葉じゃないとこに意義があり、それを言葉を介して伝え合うという特殊なエイリアンなんだ。そのエイリアン性を競って今日、この場を介しているので、一瞬でも気なんて抜けないんだぜ。その単語をその単語の字義通りにその瞬間発しているのか?ってことなのだよライブは。
続いて都和子。
ライブは初見だが、以前から異様な雰囲気を放っていて、彼女は多分、1人ではない。同時に何体か存在してる。その一瞬のパラレルを食いちぎったような潔さと、なんていうか元気がある!僕は言語で現実を認識するタイプではないのだが、そのエネルギー見たいな部分は元気と言っていいだろう。人は元気な人が見たい。単にそれだけ。元気のないミュージシャンはなんか斜に構えてるし、事件性もないので恐ろしさがない。「世の中ってこうだよね〜」的な話は主婦にお任せしているので、とりえず恐ろしさ。アーティストに大事なのは恐ろしさ。当事者意識と、次の瞬間に地獄に堕ちれる覚悟。都和子はまさにそんな感じ。だが如何せん他力を上手く使いこなせてない感は否めない。背後に阿修羅50体ぐらい引き連れてんのに、1人は散歩してるし、1人はチワワと睨めっこ。が、ふと油断した瞬間に全員でこっちを向いてくるんだ。ライブ中ニヤケが止まらなかった。「ヘモ・グロ・ビーン」。こんなコールアンドレスポンスしたくなる、コールアンドレスポンスありますか?あの瞬間、俺の全部の血が沸騰して、喉に大火傷を負ったよ。
続いてシャール。
彼も都和子、同様に言語が空間のインテリアみたいな湿度調整システムで、本質は発するエネルギー的な部分にある。本番前に「その髪色は何色なんですか?」と質問。おっきくグラデーションで黄緑だが、その可視光領域や可聴領域を超えた部分が大幅にエネルギー変換されていて、本来人間ってのは知覚できていない領域だけを取得し、言語で理解してる部分はあくまでも誤魔化しなんだと再認識。所謂クオリティと評されるものが如何に偏狭な世界観なのか。リズムやピッチ、音圧の座標でクオリティは構成されるが、言葉ではない世界ってのは空間なんだ。果たして空間を感じられる人がどれだけいるのでしょうか?これはもうどれだけ人間がエイリアンなのか?みたいな問いで、音とかいう、そういった暫定的なものではないのだ。
以上で『朱夏燦燦』のライブレポートは終了するが、物事を2極で捉えるチープさがよく身に染みたイベントであった。結局何が言いたいかってのは、そこに答えがあっては空間的でないということなんだよね。今回はできる限り、4次元的に文章を書いてみた。感じるものが成長してこそ音楽は成長するので、日々アップデートは怠らないよう前向きになれるイベントであった。
シャール&都和子初共同主催LIVE
『朱夏燦燦』
2022年5/27(金)BECKアキバ
ACT:
kiss the gambler
死神紫郎
都和子
シャール
テキスト:愛は0秒・天使弾道ミサイル
写真:小磯晴香
2022.6.28 22:00
カテゴリ:REVIEW タグ:JAPAN, kiss the gambler, シャール, 死神紫郎, 都和子
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