【NEWS】狩生健志 ソロ名義のLP『雨 / 水』フランスのBruit Direct Disquesよりリリース決定

狩生健志アーティスト写真

東京を拠点に活動する狩生健志は、ソロ名義のLP『雨 / 水』を6/14にフランスのBruit Direct Disquesよりリリースする。

バンド 俺はこんなもんじゃないのリーダーとしても知られる狩生健志。

前作『Sekai』がエレクトロニックな要素をベースにしていたことに対して、今作は人力でも打ち込みでもない曖昧な人間/機械らしさを意識して制作された作品。
“打ち込みの手法で捉え直した人間の演奏”というトロ・イ・モアにも通じるサウンド・ビジョンを用い、そこで生成された音響空間に抽象/幻想的な独自のポップスを浮かび上がらせることに成功している。
ロック、ポップス、ソウル、ボサノヴァ、フォーク、ジャズ、サイケデリック、ベットルームポップ等、様々な音楽的要素が入り組んでいながら、ジャンルを掛け合わせることで楽曲をダイナミックに拡張させるような手法はあえて避け、むしろ静的な音響感覚でミニマムにまとめ上げていくという特異で独創的なセンスが最大限に発揮されている。

また、“ただの声”を歌声として機能させる独自の歌唱法はますます磨きがかかっている。
“意味”と“音”の間を行き来しながら、異物感とも呼べるような圧倒的な存在感を放つ声が、ソフト・サイケデリックな音響体でもある楽曲を完成させるラストピースのような役割を果たしている。
声を音響として扱いながらも、音響に縛られない歌としての魅力が引き出されていく。
ここには意志を超えたところに存在する音楽の魔法のようなモノが宿っているのかもしれない。

さらに、現代に暗い影を落とす様々な事象に直接的な言及はないものの、音にも歌詞にも今の時代のムードはしっかりと刻まれている。
音楽の持つ快楽的なロマンチシズムと、閉塞感に満ちた日常にさらされ続けるリアリズム。
その狭間を無意識/意識的に描いているからか、本作における浮遊していくような淡いアンビエンス/音像には色を塗り重ねた絵のような重量感が含まれている。
それは、心地良い夢を見ながら過酷な現実と向き合わなければならない、アンビバレントな葛藤を抱えながら生きていく人間(音楽家)の心の模様とよく似ている。
この作品はオルタナティブでレフトフィールドな感性で綴られるミニマムなポップソング集であり、同時に多面的な錯綜を抱え込んだ現代社会に呼応した1つの音楽のあり方として、確かなリアリティを感じさせてくれる希有な作品でもある。

“ポップであること”への鋭い批評性に裏打ちされた音楽の姿を明確に提示した大傑作と呼べる作品が誕生した。

「雨 / 水」狩生健志アートワーク
「雨 / 水」
/ Kenji Kariu(狩生健志)
2024年6/14リリース
フォーマット:LP/デジタル配信
レーベル:Bruit Direct Disques
カタログNo.:Br-d 52
【Track List】
A-1 夢で会いました / I saw you in a dream
A-2 水 / Water
A-3 舟 / Boat
A-4 それから光が / And Then There was Light…
A-5 お菓子の夢 / Sweets Dream
A-6 とおりすぎる / Going Through
B-1 花の名前 / Flower Name
B-2 コンビニへ / Convenience Store
B-3 砂 / Sand
B-4 泡 / Bubbles
B-5 蜘蛛 / Spider
B-6 傘 / Umbrella

2024.5.16 12:00

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