【INTERVIEW】ninomiya tatsuki『laidback』
2018年初頭にボーカリストYikiiとのユニットanemoneとして同名タイトルの処女作をリリースしたコンポーザーninomiya tatsuki、ブレイクとサンプルにスポットをあて2018年6月にリリースされたソロ名義での1stアルバム『homebody』から約8ヶ月、より成熟されたプロダクションが目映い輝きを放つ秀逸・必聴の2ndフルアルバムをリリースしたばかりのninomiya tatsukiに本作『laidback』に関してインタビューを行った。
お部屋の掃除や散歩などのゆるーい時間にマッチするようなアルバムです。
- –:まずはリリースおめでとうございます!『homebody』から約8ヶ月ですが、今回の『laidback』も全編凝縮されたカッコいい曲が満載ですね。まずはninomiyaさんの作曲を含む創作への発想の源的なところを教えて下さい。
- ninomiya tatsuki(以下、nt):ありがとうございます。色々な楽曲を聴いたり作ったりして、インスピレーションを高めていました。暇さえあれば音楽を掘り下げて聴いているので、その時にふと「あ、こういう曲を作りたいな」と思ったイメージをDAWで形にしていく感じです。ここ最近はヒップホップをよく聴いていたので、今回のlaidbackの作風もよりヒップホップにアプローチ出来たのではないか、と思っております。
laidback Trailer
- –:本作『laidback』で聴いて頂きたいポイントを教えて下さい。またトータルのコンセプト的なポイントはありますか?
- nt:トータルのコンセプトとしては、「生活に溶け込むBGMになるようなアルバム」を意識していました。作品として真摯に聴いて頂くというよりも、BGMとして軽く聞き流してくれればなと。お部屋の掃除や散歩などのゆるーい時間にマッチするようなアルバムです。
in the world
- –:本作『laidback』と前作『homebody』での類似点または相違点といったポイントはありますか?
- nt:類似点は、前回の「homebody」に引き続きヒップホップを主軸としているところです。ですが、前回よりも「ワンループの中でどう飽きさせないようにするか」「バース・フックなどの決められた構成の中でどう動きを見せるか」など、自分なりに工夫を凝らしました。相違点はボーカルの起用、よりエレクトロニカにアプローチした楽曲があることです。
homebody Trailer
- –:M2「window feat. Sleep walker krow」はSleep walker krowのラップが16ビートのブレイクビーツに鋭くハマってますね。Sleep walker krowさんとはどのように制作を進めていかれたのですか? また簡単にSleep walker krowさんのご紹介をお願いします。
- nt:Sleep walker krowさんとは同郷ということもあり、ツイッターで何度かやり取りをしていました。元々自分がkrowさんの音源を購入していたファンでもあったので、こちらから声をかけて「いつか一緒に音楽作れたらいいですね」みたいな話になって。
それで自分が楽曲を作り、krowさんに送って、ラップを録音して送ってもらって、それを受け取ってミックスして、完成って流れでした。「2フックに洋画の台詞を入れる」という素敵なアイデアはkrowさんが出してくれました。感謝感謝です。krowさんの「黎明」、kragamusa名義の「オトノヨスガ」という楽曲がとてもカッコいいので、「Movement」というCDがオススメです。ぜひ聴いてみてください。また、奥さんのSahnyaさんと活動しているユニット「Mawe」も要チェックです。
window feat. Sleep walker krow
- –:ラップという意味において、ハープのイントロが印象的なM5「self-portrait feat. Sonarr」ではSonarrさんをフィーチャーされています。タイトなLo-fiダウンビートにたたみかけるようなラップ、Sonarrさんとはどのように制作を進めていかれたのですか?
また簡単にSonarrさんのご紹介をお願いします。 - nt:Sonarrさんとは前に何度か一緒に制作したことがあって、krowさん同様、自分が曲を作り、ラップを録音してもらって、それを受け取ってミックスをして、完成みたいな感じで制作を進めていきました。この楽曲は当初イントロの琴のワンループで作っていたインストだったんですが、Sonarrさんのラップを乗せることでイメージを変えようと思って、思い切ってアブストラクトな雰囲気にしてみました。CDに歌詞カードは付いていないんですが、ラップもさることながらリリックもカッコいいです。(私のSoundCloudに単曲でアップロードしてそこでリリックを記載しております。)
SonarrさんのCDもとてもカッコいいので要チェックです。特に「陸」というアルバムがお気に入りです。「UUV」というインストのアルバムも癒されました。
- –:M9「twilight feat. fraqsea」はスペイシーな曲のテイストにfraqseaさんの透明感ある歌声が見事に調和されていると感じました。ninomiyaさんにとってはanemoneでYikiiさんと制作されていると思いますので女性ボーカルの制作についてはお手の物だと思いますが、今回fraqseaさんを起用しようと思ったポイントを教えて下さい。またninomiyaさん的に本曲の解説をお願い致します。
- nt:全然お手の物じゃないですよ(笑)、分かんないことだらけです。fraqseaさんを起用したのは、その楽曲「twilight」のイメージがfraqseaさんにマッチしていたからですかね。曲の解説……といいますと難しいんですが、アルバムの中でも、よりエレクトロニカ色の強いものにしようと思いました。ヒップホップのビートだけど音色や上モノはエレクトロニカ、みたいな。PROGRESSIVE FOrMってエレクトロニカのイメージが強かったので、レーベルからアルバムを知って聞いた人でもすんなり入れるような楽曲に仕上げたつもりです。ちなみに作詞は自分がやりました。
ひたすら感情をストレートに制作にぶつけていきたいですね。
- –:楽曲制作に対するアプローチや、楽曲制作で常に意識していることは何ですか?
- nt:そんな意識してることはないですね。気が向いた時にDAWで遊んで、その時の心象を音で表現出来ればなと思っているくらいです。
- –:これまでに影響を受けたアーティストを教えて下さい。
- nt:常に何事にも影響を受けているような人間なんで、一例を出すのが難しいですね……。今回のlaidbackのジャンル、ヒップホップで言えばGREEN ASSASSIN DOLLARさんの楽曲に制作意欲を駆り立てられています。(あんなにクオリティ高いカッコいい曲は作れないんですが……。)
- –:最近のお気に入りのアーティストや作品を教えて下さい。
- nt:これも一例を出すのが難しいんですが、繰り返し聴いてるのはGREEN ASSASSIN DOLLAR「HYPES」とチプルソ「一人宇宙III -歌陽風月-」ですね。あとはツイッターに気に入った楽曲のApple MusicやSpotify, SoundCloudのリンクがありますので、そっちを見てもらえればなと。
- –:フィーチャーや共演など、今後一緒にやってみたいアーティストはいますか?
- nt:特に思い当たらないですね。今後思い付いたら声をかけてみようかなあって感じです。自分なんかが恐れ多いことこの上ないんですが。自分はいつでも受け付けてるんでお誘い待ってます。
- –:ninomiya tatsukiさんのSoundCloudやTwitterを拝見するにつれ多彩さとそれぞれのクオリティーの高さがとても印象深いです。今後どのような創作を続けていきたい
ですか?
また実はanemoneの1st時にもインタビューをさせて頂きました、anemoneの新曲も少しずつSoundCloudで公開されていてとても楽しみにしているのですが、今後の活動はどのようになりそうですか? - nt:今後も気が向いたら制作に打ち込んでいこうと思っています。どのような創作と言われると難しいんですが、頭に浮かんだイメージを滞りなくDAWで表現出来る創作を続けていきたいですね。そもそも自分にはリスナーがあまり居ないと思っているので、こうしたら受けるとか考える必要がなく、ひたすら感情をストレートに制作にぶつけていきたいですね。anemoneに関しても、自分の中でYikiiさんとマッチするような曲が出来たらそのまま形にしてSoundCloudに出していきますので、ふとした時にチェックしていただければなと思います。
- –:これからの音楽シーンについて、特にフィジカル、配信、ライブなど、アーティストの視点でみる今後や将来像的なところを教えて下さい。
- nt:音楽シーンは、昔も今もこれからも語れるほど知識がないのでよく分かんないです。
でもサブスクリプション(Apple MusicやSpotify)の登場で凄い便利になりましたよね。自分もよく使っていて、他の方が作るプレイリストがとても好きです。Bandcampも凄い便利だなあって思います。時々Bandcampにある作品を掘り下げているんですが、凄い楽しいんですよね。もちろんフィジカルでも作品を購入していますよ。CDはもちろん、特にカセットテープやレコードを集めるのが好きなので、そういった情報は常にチェックしています。ライブは体調を工面して足を運ぶことはありません。インストアライブとかならなるべく行きたいんですが……。
『laidback』/ ninomiya tatsuki
2019年2/6リリース
フォーマット:CD
レーベル:PROGRESSIVE FOrM
カタログNo.:PFCD86
価格:¥2,200(税抜)
【Track List】
01. in the world
02. window feat. Sleep walker krow
03. nostalgia
04. midnight
05. self-portrait feat. Sonarr
06. mania
07. ocelot
08. loser
09. twilight feat. fraqsea
10. sepia
11. timid
12. flat
amazon
タワーレコード
2019.2.25 19:00
カテゴリ:INTERVIEW, PU3_ タグ:anemone, JAPAN, ninomiya tatsuki
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