【INTERVIEW】SPOILMAN『BODY』

バンド好きなんで、これが平常運転て感じです

–:カシマさんとタナベさんがいたロクトシチの活動終了が2019年5月ですよね。SPOILMANとしての活動はいつ頃から始まったんですか?
カシマ:ロクトシチが終了した5月にはとりあえずタナベとはスタジオに入ったりしていました。SPOILMANとして活動が始まったのは7月くらいからだと思います。
タナベ:ロクトシチが終了してすぐにカシマくんに誘われ驚きました。バンドが終了した後は、多少のインターバルが付き物だと思ってましたが、停滞するどころか、凄まじい速度でカシマくんが次々と新曲を持ってくるので、スタジオ入る度に驚いてます。
ナガイ:その後で僕が後から加入して、今の体制になりました。カシマさんに興味があるという話をしたら、その次の日くらいに三人でスタジオに入ることになって、2曲くらいあわせて加入が決まりました。
–:すごいスピード感でスタートしてったんですね。そのスピードで次のフィールドを作って行った原動力ってなんだったと思われますか?
カシマ:なんでしょう。ちょっとわかんないですね。バンド好きなんで、これが平常運転て感じです。
タナベ:細かい事で煮詰まって制作が止まるくらいなら、骨格が良ければ曲としてしまえという勢いを感じて大変心地良いです。
ナガイ:僕は加入からここまで怒涛のスピードで活動が進んできて、けっこうびっくりしていました。最近はだいぶ慣れてきましたが……。
–:SPOILMANというバンド名はいつ頃どのように決まったのでしょうか。
カシマ:俺とタナベの2人の時なので多分6月くらいですかね?特に意味はないのですが、SPOILMANって言葉思いついた時、なんかこれいいなって思ってタナベに言ったら、それいいね!みたいな感じだったよね。
タナベ:カシマ君が持ってきて、語感が凄く良かったので即決しました。後々直訳したら、”台無し男”みたいな意味で訳せるので、バンドの退廃的な雰囲気にも合ってると思います。
ナガイ:僕は入ったときに決まっていたので、経緯は特に知らなかったです。覚えやすくていいなくらいに思ってました。



スタジオ終了15分前とかにノリでセッションしたやつが、次のライブのラインナップになってしまった時はバンドの曲作りの価値観がひっくり返りました(笑)

–:先ほど凄まじい速度でカシマさんが新曲を持ってくるというお話をしてましたが、具体的にどのぐらいのペースで新曲ができてくるんですか?
カシマ:1回スタジオ入ると、大体1〜2曲できますね。
ナガイ:カシマさんだけで作る曲のデモもひと月に2曲くらいはできてますよね。スタジオ入って全員で瞬発的に作る曲も並行してできるから、多い時は月に5曲くらいできてる気がします。
タナベ:スタジオ終了15分前とかにノリでセッションしたやつが、次のライブのラインナップになってしまった時はバンドの曲作りの価値観がひっくり返りました(笑)
–:(ノリでセッションしたという曲は)どの曲になりますか?今回のアルバムに入ってますか?
タナベ:去年の年末のスタジオライブでやった曲なんですけど、まだ音源化されてないです(笑)
カシマ:『BODY』の中だと、「Sunday」「Cloudy Eyes」「Utonagan」がそれに近かったような気がします。
–:アルバムの曲を聴いていてまず「縦横無尽に気持ちの良さそうな音を鳴らしている」と思ったのですが、これはプレイする側としてはいかがでしたか?
カシマ:その通りだと思います。エフェクターも踏まないので、楽でいいですね。
タナベ:15曲全て1発録りで、半日程で全て録り終わりましたが、曲が崩壊するレベルのミス以外は多少のミスでもガンガンOKとなって進んでいってしまうので、実はめちゃくちゃ緊張して勝手に1人で切羽詰まってました(笑)
ナガイ:ベース以外のパートがとても自由なので、僕は無駄なことをしないように意識して演奏しています。音作りは好きにやっていて楽しいです。
–:自由なように感じていたんですがすごいチームワークというかバランス感覚の中で成立してますね。実際にカシマさんが曲を作ってきて、アレンジが完成していく過程ってどんなケースが多いですか?
カシマ:どうでしょう。なんかイマイチピンとこないとことかを3人が納得いくまでアイデア出しあいながら修正を繰り返すってのが多い気がします。
ナガイ:細かい所を詰める作業はほとんどなくて、構成とかをガシャっと変えるようなことが多い気がします。曲全体として「なんかいい感じ」に持っていけたら完成!みたいな雰囲気ですね。
–:プレイしていて納得感や爽快感がある感じが到達点になりますか?
カシマ:そのどちらかで言えば、爽快なものより納得いくものをって感じだと思います。でもそれが到達点かは、ちょっとわかんないですね……。
タナベ:断然納得感の方が強いです。爽快感ってあまり感じた事はないかも(笑)



俺らの音楽を通じて第三者に訴えたいこととか特にないので歌詞は個人的なことです

–:本作の歌詞は一部をのぞいて英語ですよね?以前ロクトシチのインタビューの際に英語ができないので翻訳を外部に頼むとお話しされていた記憶があるんですが、本作の作詞はどのように作られたんですか?
カシマ:元の日本詞は俺が書いてます。最近は友達に訳してもらうのも面倒くさくなってもっぱらDeepL翻訳とGoogle翻訳ですね。
–:今作、歌詞カードに歌詞がないようですが、こちらはどのような意図で載せていないのでしょうか。
カシマ:歌詞は正直、どうでもいいからです。俺らの音楽を通じて第三者に訴えたいこととか特にないので歌詞は個人的なことです。もし知りたい方いたらDMとかくだされば教えます。
タナベ:個人的に歌詞載せないオルタナバンドかっこいいなって思うところがあり、SPOILMANの音楽性的にも載せない方がしっくり来る感じもあって、カシマ君の載せないという意見にはすぐ賛成しました。
基本的に何を歌ってるのかあまりよく分かってないんですが、曲によっては、中学生で習う様な英語を絶叫してる箇所があったりして、ライブ中に笑いそうになる事があります。
–:笑いそう…というと少し違うんですけど「Drunken Man」で「バカヤロー!」ってシャウトしてますよね?私は聴くたびに驚いてるんですが、あの「Drunken Man」の酔っ払い感にはモデルとか元になる実体験があるんですか?
カシマ:それ完全に空耳ですね(笑) 多分what are you brainって言っているところだと思います。タモリ倶楽部の空耳アワーに出して欲しいですね(笑)
–:そうなんですか!ずっと「バカヤロー!」だと思って聞いてました。



カシマ:このDrunken Man」て曲は実は酔っ払いの曲ではなくて、小林泰三という作家の酔歩する男という話が元になってます。酔歩する男を直訳してDrunken Manですね。
タナベ:Drunken man、”I’m fine thank you,and you?”って叫んでるとこがシュールすぎて大好きです。
–:小林泰三さんはSF作家ですよね。SFお好きなんですか?
カシマ:好きですね。伊藤計劃とかも。アニメだとAKIRAとか攻殻機動隊とか。
–:タナベさんとナガイさんは音楽以外でお好きなエンターテイメントのジャンルはどんなものがありますか?
タナベ:お酒の安い店で意識の低い飲み食いをする事が好きです。あとはネット、漫画、アニメ、とかですね……。
ナガイ:映画見たり、小説読んだり、美術館行ったり、みたいなことは好きです。最近は運動不足解消のために筋トレとかしていて、それもけっこう楽しいです。
–:バンドのメンバーで集まっている時に音楽以外のそういった趣味分野の話をすることってあります?
カシマ:あんましないですね。メンバーとは会話自体あんましない気がします。ライブとスタジオの間しか会わないし。
タナベ:決して仲悪い訳じゃないけど、殆ど雑談らしい会話しないですね。僕自身、会話がめちゃくちゃ苦手なので原因は僕にある気がします……(笑)
ナガイ:僕も会話するのは嫌いではないけど得意でもないので、話がはずまないですね……(笑)

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『BODY』/ SPOILMAN
2020年8/5リリース
レーベル:Kerosene Records
カタログNo.:KRSE23
フォーマット:CD/デジタル配信
価格:¥1,600(税抜)
【Track List】
01. Amaryllis
02. Declaration
03. Ghost
04. Inner Haze
05. Sunday
06. Drunken Man
07. Cloudy Eyes
08. Monotonous
09. Comfortable
10. Life is REM
11. BODY
12. Pail and Ladder
13. Rampage
14. Woodcutter
15. Utonagan
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2020.12.2 21:00

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