【INTERVIEW】pisica『passé et réalité』
2015年よりエレクトロニカ~ポストロック~ピアノジャズユニットkeshiki.にてキーボード、VJ、コンポーザーとして活動を開始、2018年より活動をソロプロジェクトに移したpisica、2019年8月にLAのレーベルDetroit Undergroundからリリースした『#1』より約1年、自身の現時点における集大成とも言える衝撃かつ待望の2ndフルアルバム『passé et réalité』をリリースしたpisicaにアルバムを中心に話を伺った。
自分のこれまでの生き様が凝縮されてしまっているので(笑)
- –:まずはリリースおめでとうございます!今回の『passé et réalité』はpisicaさんの音楽についての深い造詣が感じられ、全編凝縮された素敵な曲が詰まっていますね。まずはpisicaさんの作曲を含む創作への発想の源的なところを教えて下さい。
- pisica:自分にとって印象深かった風景、出来事、そこから生まれた感情ですね。制作はそれを音に変換する作業です。
- –:本作『passé et réalité』で聴いて頂きたいポイントを教えて下さい。また全体でも個別でも何かコンセプト的なポイントはありますか?
- pisica:何となく聴いてみた でも全然良いです。
何となく聴いてみて何か感じ取って頂けたらしめたものです。
お聴き下さった方は解るかと思いますが 全体的に暗く重い印象かもしれません(笑)
自分のこれまでの生き様が凝縮されてしまっているので(笑)
- –:「passé et réalité」というはとても素敵なタイトルですね。このタイトルにした意図といったところを教えて下さい。
- pisica:過去に制作した作品のリテイクが数曲収録されていますが 正直、当時流されるままに制作した楽曲の構成等は自分の意と反するものが多く、(ぶっちゃけた話、自分はこの手のジャンルは苦手なんです汗)世に放つ事に対して若干抵抗はありました。
しかし制作の過程で その時その中に込めた自分の感情を改めて思い返し、敢えて放出しました。
過去の自分の心の動き、そして今の自分が混在する作品群としてこのタイトルとしました。
強いて言えば「作詞て難しいな〜!」ですね(大汗)
- –:では各曲についてお聞かせ下さい。M2「mi ka ge (re’)」M3「qurage (re’)」はピアノとストリングスが素晴らしく、またドラムとの相性も抜群です、それぞれの曲について聴き所など簡単にご紹介をお願い致します。
- pisica:素直に嬉しいです。有難うございます。
この2曲に関してはピアノ、ストリングスのみですと憂いや切なさばかりが主張されてしまうのでdrms、ビートでそれを緩和している感じです(笑)
陰と陽のポラリティ、その均衡が図れているようないないようなそんな危うさも伝わったら嬉しいです。
オリジナルを制作した当初、大分危うい状態でしたし(笑)
- –:M3「qurage (re’)」はpisicaさんも出演されている素敵なMVがありますね。どのように制作されたのでしょうか?
- pisica:このご時世ですので 撮影は困難なのではと考え、一度はリスケしたのですが結局7月末に強行撮影致しました。
亡くなった海好きな父が 私が子供の頃から毎年連れて行ってくれた思い出の地で「撮影するならここやな」と決めていました。
「qurage(re’)」は父への鎮魂歌的に制作したのもあるので。
撮影当日、途中で雨が降り出したり悪天候の中ではありましたが かえってそれが良かったです。
(気持ちが入り過ぎてしまい気付いたら海水でびっしょりになってしまっていたし 砂でジャリジャリになってしまったしエライ事になりました(笑)
撮影協力して下さった岡田さんは以前から諸々お世話になっている方で写真撮影を趣味としているのですが、趣のある画を撮る方で「人物を撮る事はそうそう無い」と言いつつも 仕上がった写真を見てみると「瞬間を捉える天才やな!」と。
動画も撮影して下さったのですがそれもまた素晴らしく、MV制作には力が入りましたね(笑)
- –:M4「then the tears」の更新でハードなダウンビートが本当にクールだと思います。どのような発想の元に制作されていったのでしょうか?
- pisica:これは自分らしいものとなったかなと思います。重厚感のあるビートものも加えたかったので。
特に何も考えずにスラスラと作りましたが 強いて言えば「作詞て難しいな〜!」ですね(大汗)
- –:M7「蛍灯」M9「花時雨」ではピアノが非常に美しく印象的に響いていると思います。pisicaさんにとってピアノとはどういった楽器でしょうか?
- pisica:実は(?)ピアノは全く習った事が無く、以前活動していたユニットで遊び半分で鍵盤を弾き始めました。
小学生の頃 給食の時間にGeorge Winstonの「longing」がたまたま流れていた事からピアノの音に興味を持ち始め、お小遣いを貯めて小さなシンセを買って Georgeの曲を耳コピしていた位なんですよね。
今でもGeorge Winstonのあの透明感のある音や旋律は大好きですし 憧れです。
将来おばぁちゃんになる前に海辺に引っ越して小さなカフェを経営しつつのんびりとピアノ弾く生活とか良いですね(笑)
他にもDTMerになるか ノイズミュージシャンになるか とどれにしようか迷い中です(笑)
- –:M8「limited space (re’)」はミックスバランスなど含めとても完成された楽曲だと感じました。聴き所など簡単にご紹介をお願い致します。
- pisica:ただ秋の晴れた夜空を眺めていたら たまたま星が綺麗な日で 宇宙に思いを馳せていた時に作りたくなった という単純な理由で制作したのですが……(汗)
同じ気持ちで聴いて頂けたら嬉しいです(汗)
- –:エンディングを飾るM13「hazy blossoms -邏/譚- feat. Smany」ではSmanyさんをフィーチャーされています。どのようにお2人で制作を進められましたか?
- pisica:自分は昔からSmanyさんのファンでしてSoundCloudでよく楽曲を聴いたりLIVEにもお邪魔したりしていました。
思い切ってSmanyさんにコラボ制作のお声掛けしたところ快諾して下さりその時の自分は完全にテンションやばい人でしたね(笑)
最初に楽曲データをSmanyさんへお渡しし、そこへ声を乗せて頂いたのですが、桜の散る様と、Smanyさんの儚く危うげな雰囲気はぴったり来るものがあると私は思っていて白昼夢のような 過去の事柄を懐かしむようなそんな描写が出来たらという思いで制作していました。
イントロとアウトロで敢えて全体的にローファイな感じに仕上げたのはそれを表現したかったからです。
今は蝉の鳴き声とか カエルの鳴き声とか 波の音とか好きです
- –:素敵なアートワークもご自身で制作されたと聞きました。デザインのイメージはどういったところからきているのでしょうか?また改めて現物のCDを手に取られた際の感想を教えて下さい。
- pisica:夏のリリース予定でしたので夏の極楽鳥花をイメージして作りましたが、単にそれだけが理由ではありません。
極楽鳥花というとパキッと鮮やかで派手な印象はありますが英語の花言葉に「誠実」とあり、過去の自分、今の自分にも誠実に向かい合うという意味合いも添えています。
捻くれ者の私はただ「美しい」だけではつまらないと思いふと目に止まったのがSNSの投稿にあった別ミルメさんの青いペンで描かれたドローイングでした。
即座にご本人に使用許可を頂き作品にレイヤーしましたが、とても良い味を出してくれていて気に入っています。
- –:楽曲制作に対するアプローチや、楽曲制作で常に意識していることは何ですか?
- pisica:何も考えない。その時の感覚のままに音を重ねる。単純な響きを作り出さない。自分の気持ちに誠実に制作する。
作りたくない時は作らない(笑) - –:これまでに影響を受けたアーティストを教えて下さい。
- pisica:Karlheinz Stockhausen、George Winston、Throbbing Gristle、OOFJ、SPK、半野喜弘、Frank Zappa、Tigran Hamasyan、passion pit、Minikon、Pascal Comelade、Tujiko Noriko、dip in the pool、でんぱ組.inc etc…
- –:最近のお気に入りのアーティストや作品を教えて下さい。
- pisica:その時気になったもの。特にこれと言うものは無いです……
普段それ程音を聴かないかも……
今は蝉の鳴き声とか カエルの鳴き声とか 波の音とか好きです。
- –:フィーチャーや共演など、今後一緒にやってみたいアーティストはいますか?また、今後どのような創作を続けていきたいですか?
- pisica:中山晃子さん、片山真理さん、細川麻実子さん、原田 仁さん、Smanyさん、sato namiさん、Exportionさん、Araki Yukoさん、SYNSH GUMI 04さん、LVVさん、phewさん……沢山居すぎて書ききらないです……(汗)
- –:これからの音楽シーンについて、特にフィジカル、配信、ライブなど、アーティストの視点でみる今後や将来像的なところを教えて下さい。
- pisica:今置かれているこの状況から考えた事は多々ありますが 音のみ と その場の空気を感じながら とでは全く異なるもので……現場だからこそ感じ取れる感動 てあるじゃないですか。
今はそれがなかなか難しい状況故に 配信等では如何にその場の臨場感に近付けようと色々と模索され それを実行している方々が多くいらっしゃって本当に素晴らしいと思っています……
今後 状況がどう変わっていくのか全く不透明ですが アーティストと視聴して下さる方々との関わり方、新たな道をどんどん切り開いていかなくては と自身も考えてはいます……
今のところなかなか良い案が浮かばすですが……
『passé et réalité』
/ pisica
2020年8/12リリース
フォーマット:CD/デジタル配信
レーベル:PROGRESSIVE FOrM
カタログNo.:PFCD98
価格:¥2,200(CD、税抜)
【Track list】
01. 1′
02. mi ka ge (re’)
03. qurage (re’)
04. then the tears
05. lumi (re’)
06. 2′
07. 蛍灯
08. limited space (re’)
09. 花時雨
10. lune a l’aube d’ete
11. moon phase
12. lost
13. hazy blossoms -邏/譚- feat. Smany
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タワーレコード
2020.8.28 22:00
カテゴリ:INTERVIEW, PU3_ タグ:JAPAN, keshiki., pisica, progressive form, smany
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