【INTERVIEW】Fugenn & The White Elephants『Elevated Petal』

2011年の1st『an4rm』で彗星の如く現れ、2012年にエレクトロニカ~エレクトロニックサウンド史に燦然と輝く名盤中の名盤である2nd『Prays』を発表、初期音源集のリリースを挟み、2013年の4thアルバム『B A BEACON』でFugenn & The White Elephantsの名を確固たるものとしたShuji Saitoによるプロジェクト、5年の歳月を経て創出された【Fugenn & The White Elephants 復活!!!】の狼煙を高らかな宣言するに相応しいエンジン全開な至高6thアルバム『Elevated Petal』のリリースに伴い、長くの友人でもあり海外のインディーシーンとリンクした形で音楽イベントの企画/主催などを中心に活動するCMFLGを主宰するDelaがインタビューを行った。

トータル的にみて、5年のブランクは大きいですね

–:5年ぶりの新作「Elevated Petal」の発売おめでとうございます。5年というブランクを感じさせない、これぞFugenn & The White Elephantsという、前々作「Prays」前作「B A BEACON」をさらに発展させた抜けの良い快作に仕上がっていると思います。
久しぶりのアルバム発売という事にあたり、何かこういった前作からの部分は意識されましたか。それとも全く新しい形でのスタートでしたでしょうか。
Fugenn & The White Elephants(以下 Fugenn):うーん、新しくはありません。今までの作風を踏襲した作品なので割と簡単に完成したのですが、チャレンジしたいジャンルとかもあるので色々と課題は残りました。トータル的にみて、5年のブランクは大きいですね。



–:今回のアルバム「Elevated Petal」の発売前後にも、ご自身のBandcampでアルバム「Nehan Loops」等多数の作品をハイペースで配信されてますが、この辺は創作意欲の高まりと比例して、という感じでしょうか。
またそれらの配信での作品は今回のアルバムとはまた違った色々な作風で、以前お話を聞かせていただいた際も「実は色々なジャンルの曲を作るのが好き」と仰られていましたが、アルバムとの違い、またこれらの活動からのアルバムへのフィードバックなどはありますでしょうか。
Fugenn:いえ、あまり関係性はないです。基本その時作りたい曲を作るっていうスタンスをとってます。「Nehan Loops」は、その時の気分で出来た曲をまとめてアルバムにしたという感じです。「Elevated Petal」との違いは、何を引き立たせているかですね。今回はメロディーや、コード、サウンドスケープ、ストーリ性だったりします。



–:ではアルバムの話題に移りましょう。アルバムタイトルでもあるM2「ElevatedPetal」はこれぞFugenn節というストリングスアレンジの冴えるスケール感、レイヤー感のある楽曲ですが、ご自身でこういった「自分らしい楽曲」と感じる時はありますか。
Fugenn:そうですね、コード進行、ベースライン、ビート、アンビエンス感、ストーリー性、等。トータルでこういうタイプ曲を作る人は見たことないです。それが良いかどうかは別ですけど、好みもありますよね。



–:続くM3「State Of Mind」はレーベルメイトでもあるiLUよりKUROさんをボーカルでフィーチャーしていますが、全面的なボーカル曲は前々作「Prays」での「Magnolia Featuring Ngatari」以来となります。前作「B A BEACON」はボーカルをレイヤー的に使う事が多かったですが、改めてボーカル曲での作り方というのは違いがありますか。
Fugenn:まずオケが出来上がって、PROGRESSIVE FOrMを主宰するnikさんに相談して紹介して頂いたんです。で、オケだけ送りました。その後、返ってきたメロディーと声にびっくりしました。それ以来色々と個人的に御願いする事も多く、とてもありがたい縁です。



–:M4「Eternal Earth」、これ個人的にも好きな曲なのですが、叩きつけるようなビートに、重なるシンセとカットアップされたボーカル、這うようなベースライン、前作までの特徴を集約・レイヤー化させて完成したような完成度の高い楽曲だと思います。
ビートだけでも十分成り立つレベルだと思うのですが、こういった楽曲はまずどの部分が先に出来ますか。
Fugenn:この曲は言ってみれば、アルバムの中でもっともFugenn的なのかもしれないです。ピアノのコードをM4Lのパッチで切り刻み、オーディオ化して切り刻んで、ベース、ウワモノを重ねて構成を練る感じですね。正直こういう手法はもう自分で飽きてしまいました。今後は違う形の王道を探すといった感じです。



–:M5「Migratory Birds」はラップを中心としたメロウなビートチューンですが、アルバムにすっかり馴染んでいるので忘れがちですが、意外とこういったラップをフィーチャーした曲は初だと思います。元々以前はビートメイクをされていたと聞きましたが、今作で新たに入れたのは何か意図がありましたか。
Fugenn:まず最初にオケが出来上がって、物足りないと感じたのでネタのラップを入れました。案外馴染んでくれたのでそこは良かったと思います。こういうネタは隙間を埋めてくれるので重宝しますね。今後も使っていきたいと思います。



–:美麗なM6「Running Lamp」と来て、M7「Flowing Debris」は久々にドリルン主体のビートながらも、今までの高速クラッシュビートと違い、こちらも美しさの際立つ一曲となっています。こういった楽曲の持つ「美しさ」というのはFugennとしての作品のキーとなりつつありますが、この辺ご自身では意識されていますか。
Fugenn:基本的に意識はしてないです。そこは自然と気持ちの良い部分が出てくるというか、そんな感じですね。僕は聴く音楽もどこか美しさやストーリ性のあるものじゃないとハマるまではいかないです。そことは別に音像の勉強で音楽を聴くことはあります。



–:続くM8「Ran Away」、M9「To Rose」はビート感やメロウさも含め、ちょっと今までとは少し違ったアプローチに感じました。何か違いなど意識したことはありますか?
Fugenn:いえ、僕の中では特にないですね(笑)
–:ラストM11「When Sunflowers Bloom」もラップを混ぜつつも、非常に耳に残るシンセが特徴的な曲ですが、今作は結構こういったフックのあるシンセのリフが効果的で、今までの作品に無い新たな「武器」に感じたのですが、これは意識的なものでしょうか。
Fugenn:いえ、特に意識はしてないです。物足りないと感じたので、最近はあまり使ってないんですが、NEXSUS2というソフトシンセを使いアルペジエーターでリフを作ったという感じですね。



–:今作も全11曲、隙が無く、アルバムとしての流れも良い完成度の高い作品だと感じました。やはりアルバムとしての流れ、完成度というのは常に意識されていますか。
Fugenn:ありがとうございます。しかし、まだまだですね、音使いの面でも、作曲の面でも。まだまだ挑戦して行きたいですね。自分の可能性を狭めたくないので、。毎日ひたすら音楽作ってますよ(笑)
–:これは毎回している質問なので申し訳ないのですが、今回のアルバムタイトル「Elevated Petal」は「気高い花びら」と言いますか、咲き誇るような意味があります。「Prays」が「祈り」、「B A BEACON」が「希望」という意味でしたが、今作はそういった理由はありますか。
Fugenn:そうですね、メロディーとか、そんな感じがしたのでつけた感じです。





やはり先端の音楽には触れて、取り入れないと生き残れないと思いました

–:あと一つ気になった点として、前々作は青、前作は黄色、今作は赤を基調としたジャケットですが、これは何か意味がありますか?
Fugenn:Elevated Petalのデザインを担当してくれたbunaさんのアイディアがベースですが、紅葉の時期ってくらいですかね(笑)
–:前作のインタビューで「非常に音の幅が広がった」というお話もされていましたが、この5年間、Fugennとしての活動以外にも多くのCM、作品に楽曲提供をしていく中で、やはりこの辺は実感されていますか。
Fugenn:これも、まだまだ、勉強していく部分ですね。とある映画音楽を担当させて頂いた感じたのですが、やはり先端の音楽には触れて、取り入れないと生き残れないと思いました。
–:あとこれは是非ともお伺いしたい事として、最近ブログを始められて、楽曲制作のノウハウまでかなり踏み込んでの内容に驚いたのですが、この辺現在進行形や新たに楽曲制作する方たちに向けて、何か新たな考えがあっての事でしょうか。
Fugenn:僕は歳も歳ですし、音楽を始める方などに、少しでも役にたてば良いなと思いました。最近更新してないですけど(笑)
–:最後に、今作は前作から5年の歳月を経た訳ですが、これから「Fugenn & The White Elephants」として、もしくは個人としての活動のビジョンを教えてください。また5年待つのは嫌ですので(笑)
Fugenn:「Fugenn & The White Elephants」としては、BassMusic全般を基盤として、歌モノを作ってます。違う名義になるかもしれませんが、楽しみにしていて下さい!個人としもFugenn~でおそうですが頂いたお仕事をしっかりこなしていくだけですね。それにつきます。

インタビュー・文:Dela(CMFLG)



『Elevated Petal』 / Fugenn & The White Elephants
2018年10/10リリース
フォーマット:CD
レーベル:PROGRESSIVE FOrM
カタログNo.:PFCD82
価格:¥2,200(税抜)
【Track List】
01. Mother Meteorite
02. Elevated Petal
03. State Of Mind feat. KURO from iLU
04. Eternal Earth
05. Migratory Birds
06. Running Lamp
07. Flowing Debris
08. Ran Away
09. To Rose
10. Furattorain
11. When Sunflowers Bloom
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2018.12.3 22:00

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