【INTERVIEW】Fugenn & Tooson『POSTMODERN SOPHISTY』

Fugenn & The White Elephantsが2000年代中~後半に4年程ヒップホップ・プロダクションのユニットを組んでいた盟友Toosonと2020年後半より Fugenn & Toosonとして活動を開始、術ノ穴よりアルバム『FAR EAST CITYSCAPE』『GOD BLESS ISLAND』『INNER CITY DUB』『FAR EAST CITYSCAPE2』をリリースし、満を持して5thフルアルバム『POSTMODERN SOPHISTY』を全国流通盤として昨年12月にリリースしたお2人に話しをうかがった。

近代からの脱却を目指した新しい洗練の形としてコンセプトに沿ったタイトルだと感じ、名付けました

–:まずはリリースおめでとうございます!今回の『POSTMODERN SOPHISTY』はツボを付いたサウンドプロダクションと様々に共鳴するメロディーやコードワークがとても心地良く響きます。まずは作曲を含む創作への発想の源的なところを教えて下さい。
Fugenn:ありがとうございます。この作品は当初、Toosonとの共通の嗜好であるSADEの話題となった時に、当時のミステリアスで洗練された都会的なポップスが突如登場した時期の感覚を、現代の最新のビートで再現できたら面白いなと、そのテーマで制作を開始しました。
Tooson:そうですね、術ノ穴でヒップホップ的なビート集は4作リリースし、やり尽くした感もあった時期に、そのテーマは新鮮に感じ、制作に入ったのですが、結果的にビートはハードな仕上がりとなってしまいました。ですが、都会的な洗練された最新ビートにボーカルを絡めていく方程式が出来上がったので、それを軸に創作し、作品を仕上げていきました。


–:『POSTMODERN SOPHISTY』で聴いて頂きたいポイントを教えて下さい。また全体でも個別でも何かコンセプト的なポイントはありますか?
Fugenn:Toosonの黒さを感じさせるベースのビートとウワモノを、より劇的に、かつ精密さを加えて自分がリミックスし、化学反応が発現しているので、そこを聴いて頂きたいですね。
Tooson:他にはない、新しいタイプの洗練された都会的な歌モノをコンセプトに、そのテーマに沿った仕上がりになっておりますので、是非聴いて確認して頂きたいです。



–:Fugenn & Toosonとしての楽曲制作はどのようやられているのでしょうか?
Fugenn:制作はToosonが、ある程度の展開をしたベースとなるビートを制作し、そのパラデータを受け取り、自分がメロディやボーカル、ブレイク等を加えてリミックスして、最後に2人で編集して仕上げるパターンが多いですね。
–:アルバムタイトルの『POSTMODERN SOPHISTY』は独特で何かアイコン的な言葉ですが、このタイトルにした意図や思いといったところを教えて下さい。
Tooson:これはアルバムを制作していた時期に自分がポストモダニズムの本を読み進めていたので、そこからインスパイアされ、近代からの脱却を目指した新しい洗練の形としてコンセプトに沿ったタイトルだと感じ、名付けました。

質感の心地よさと、展開部分は、常にこだわって制作をしております

–:アルバムのオープニグを飾る「Approach」はキレのあるビートとボーカルがとても印象的です。聴き所などご紹介をお願い致します。
Fugenn:インパクトのあるイントロから、目まぐるしく入れ替わっていくボーカルと、その間を演出した、勢いある展開を是非お聴きください。
Tooson:新しい質感の跳ねた都会的ビートに絡み合うボーカルと、独特な空間は他にはないと思います。

PROGRESSIVE FOrM · Fugenn & Tooson "Approach" from "POSTMODERN SOPHISTY" PFCD105

–:M2「Pathos」の流れるような進行と郷愁感溢れる響きが素晴らしいです。どのような発想の元に制作されていったのでしょうか?
Fugenn:清涼感のある都会的ビートと、最近の哀愁あるトラップ寄りのウワモノを融合した素材を相方から受け取ったので、さらにドラマチックにボーカルとメロディを加え、展開し完成しました。
Tooson:洗練されたビートに、哀愁あるゲットー感あるウワモノを組み合わせた結果、いい化学反応が起きたと思います。

PROGRESSIVE FOrM · Fugenn & Tooson "Pathos" from "POSTMODERN SOPHISTY" PFCD105

–:M8「Indulge」はマイナーに聴こえつつ音の広がりを含めて楽曲が飛翔しているようなイメージが想起されます。聴き所などご紹介をお願い致します。
Fugenn:この曲は、預かったToosonのメロディラインを全て入れ替えた自分のパートの箇所がかなり飛翔してるかもしれません。聴き所としてはギターとビートが絡み合う部分です。
Tooson:シティポップ的なモノを、ストリートなノリで表現してみようと制作してみた結果、不思議な感覚のビートが完成しました。聴き所は後半のFugennの展開の部分ですね。

PROGRESSIVE FOrM · Fugenn & Tooson "Indulge" from "POSTMODERN SOPHISTY" PFCD105

–:楽曲制作に対するアプローチや、楽曲制作で常に意識していることは何ですか?
Fugenn:質感の心地よさと、展開部分は、常にこだわって制作をしております。
Tooson:アルバム単位でコンセプトに沿った、質感とメロディライン、心に響くビートかどうかを常に意識して制作に臨んでます。

自分達の場合、海外まで市場を広げる事ができなければ、楽曲での収入を安定的に確保するのは厳しいと感じるので、そこを強化し、広げていくのが急務です

–:これまでに影響を受けたアーティストを教えて下さい。
Fugenn:Squarepusher、DJ KRUSH、坂本龍一。
Tooson:RZA、DJ KRUSH、MILES DAVIS。
–:最近のお気に入りのアーティストや作品を教えて下さい。
Fugenn:Juice WORLD「FIGHTING DEMONS」、Wiz Khalifa & Cardo Got Wings「WIZ GOT WINGS」。
Tooson:Belly「SEE YOU NEXT WEDNESDAY」、Trae Tha Truth & Mysonne「If You’re Scared Stay Inside」。
–:これからの音楽シーンについて、特にフィジカル、配信、ライブなど、アーティストの視点でみる今後や将来像的なところを教えて下さい。
Fugenn & Tooson:今後は、ライブやフェスで魅せるアーティストが強いと思います。楽曲のセールスはサブスクが主流となるので、自分達の場合、海外まで市場を広げる事ができなければ、楽曲での収入を安定的に確保するのは厳しいと感じるので、そこを強化し、広げていくのが急務ですので、まずはそこに勤めていきます。


『POSTMODERN SOPHISTY』
/ Fugenn & Tooson
2021年12/15リリース
フォーマット:CD
レーベル:PROGRESSIVE FOrM
カタログNo.:PFCD105
【Track List】
01. Approach
02. Pathos
03. Sophisticated
04. Light In The Dark
05. Evenfall
06. All Over
07. Calm
08. Indulge
09. Inner Peace
10. Majestic
11. Turn Around
12. Outro
Amazon
タワーレコード


PROGRESSIVE FOrM · Fugenn & Tooson "POSTMODERN SOPHISTY" PFCD105

2022.2.3 18:00

カテゴリ:INTERVIEW, PU3_ タグ:, , ,