【INTERVIEW】For Tracy Hyde『Ethernity』


コロナ禍が収まったとしても、このライフスタイルは続けたいですよホント(管)

eureka:『NEW YOUNG CITY』発売以降というと、シンガポールのSobsとのツーマンライブが東京と大阪で開催していて、その後にはアジアツアーとして台北、シンガポール、マニラ、ジャカルタの4都市を回りましたよね。どういった経緯があったんでしょうか?
管:2018年の秋に、Sobsのラファエルからフェイスブックのダイレクトメールで『来年日本でライブがしたい、なんとかできないか?』と突然きたんですよ。そもそも連絡なんて取り合ったことのない、知り合いでもなんでもないのにですよ?(笑)
–:そりゃすごいですね(笑)
U-1:管くんがSobsの事について話をしてたんだっけ?
管:それもそう。僕らのジャケットやアー写を撮影してくれている小林光大さんがおすすめしてくれたりして、彼らの音楽を知ってましたし、それ以前からラファエルも僕らバンドのことが好きだったってのが大きいですね。そういったことが繋がって、2019年1月に彼らを呼んでライブをしたんです。そしたら別れ際あたりで、「もしもアジアでツアーをするなら僕らに声をかけてくれ、シンガポール周辺を回れると思う」みたいなこと言ってくれたんです。
–:なるほど。
管:でも、リップサービスだと思うじゃないですか?そしたら半年くらいあとに「アジアでツアーをやるならいつ頃にやれそうなんだい?つぎの新作が出たタイミングはどう?」っていう話がきたんです。6月か7月くらいから準備をはじめて、リリースされた9月にはアジアツアーを回りましたね。

For Tracy Hyde – #FTHNYC Asia Tour Documentary


草稿:あの9月、全国回るツアーも並行していたから、もう凄かったよな。毎週毎週ライブばっかりしてた覚えがある。
管:フィリピンでのライブがヤバかったですね。一泊してたかな?ってくらい、24時間いたかどうかってね。
eureka:そのあとのインドネシア、お風呂に入れるかもわからないレベルでつめ詰めだったもんね。
U-1:ぼくとeurekaは「もう無理、この状態でライブにでるなんて出来ない」って言ってね。
草稿:ぼくはもう腰を痛めてしまって、ずっと横で寝てましたもん。
管:6日で4か国周るのはね、正直しんどかったですよ。
eureka:休んでる時間はほとんどなかったね。
草稿:ライブハウスらしいライブハウスではなく、ただただおっきいハコ……ハコじゃなくて場所というか、とりあえず空間でライブしてたよね。
管:そうそう。ライブハウスらしいライブハウスがあったのは台湾だけで、そこは日本に近いんですよね。フィリピンやシンガポールでは音響とかPAを空間に持ち込んでライブをしていて、日本のようなライブハウスという空間がほとんどなかったんです。
Mav.:体育館みたいな場所でライブしたりとかね。
草稿:それは本当にね。ホールとは見えないし思えななかったな。
管:地元のRossi Musikという会社が経営するホールで、いろんな外タレがライブをしている場所でやらせてもらえたりね。
–:ちなみにですけど、いまの流行り病が終わって、以前と変わりなく海外にいけてライブもできるっていう状態になって、同じようなツアーを提案されたら、行きます?
管:日付と公演数をキチっと調整して参加してみたいですね。ラファエルからは「この状況が落ち着いたら、今度はアメリカツアーに行きたい」という話をしていたので、タイミングになったら声をかけたいって話をしてます。
草稿:アメリカかぁ……(笑)
(全員笑い)



–:2020年はコロナ禍で、レコーディングやライブもままならない状況に陥っていた1年でした。端的にお聞きしたいのですが、どのように過ごされてましたか?
管:ライブができないのは気持ちにクるものがありましたね。うちらのバンドは少なからず収入が入ってくるバンドなんですが、収入源が完璧になくなったことで、作品を制作しようと思ったときにヤバイなと思ったんですよね。
U-1:制作費があまりない、どうしようってね。
管:それを除けば、会社の仕事もリモートになって自宅での仕事を続けていて、映画も見れるし、料理もちゃんと作れる、運動もできる。実は結構良い生活が出来ているんですおね。正直、コロナ禍が終わって、また通勤して出社するの、イヤですよ(笑)
–:はっきり言いましたね(笑)
管:コロナ禍が収まったとしても、このライフスタイルは続けたいですよホント。
eureka:わたしは基本的に外に出て出社しないといけないお仕事なので、ほとんど変わらない生活なんですよね。あまり実感もないし、毎日電車で通勤していくのも変わらない。マスクとか消毒はしっかりやりますけど、なにか変わったか?というとなにも変わらないんですよね。
U-1:去年の今頃って、緊急事態宣言が出ていて街が今よりも死んでいたじゃないですか。時短営業になって、出勤退勤もしっかりするようになって残業もなくなり、実際早い時間に帰宅できるようになって、自宅でできることが増えるし、外は人が少なくなって、休める時間が増えた。最初のうちは「幸せだな……」って思ってたんですよ。でもだんだんと時間が経つにつれて、「待てよ?これは偽りの幸せなのでは?」って気づいたんですよ(笑)
–:はい(笑)
U-1:前までのサイクルは苦しかったけど、この緊急事態宣言の状態もおかしいぞって。そのあとにはどんどん夜間営業ができるようになって、通勤や街にも人が戻ってきた。でもライブはできないし、見たいものは見れない状況が続いてた。実は最初の頃よりも今のほうが厳しい、割と不自由だと思えましたね。
Mav.:ぼくは自宅でリモート作業できるお仕事なんですけど、ずっとリモートで自宅作業できる分、生活と仕事の境目が分からなくなって発狂しそうでしたね。仕事量も多いし、深夜まで作業しても大丈夫だろって部分もあったので。音楽を新しく聴くということもできなくなってましたし。
U-1:音楽流しながら作業ってできないの?
Mav.:意外と集中できなくて、無理だなってなったな。
–:わかりますね。聴くモードに自然と入ってしまいますよね。
Mav.:そうそう。とはいえ、家にはずっと居るので体の力は残っていて、管から作曲をお願いされても、じゃあ作ってみようかっていう気力が十分にあったので、その辺で影響はあったかなと思いますね。
草稿:ぼくはテレワークできるんですけど、ぼくは逆に自宅で作業ができないタイプなので、むしろ出社しているんですよね。
–:すごいですねそれも。
草稿:バンドに関していうと、ライブが好きじゃないのでやらないならやらないで……という感じだったんですけど、それに比例して練習をする時間がガクっと減って、本当にヘタになりましたね。
–:ええぇ……ギターやベースに比べても、ドラムスはドラムキットなりがないと実際的な練習が難しそうなイメージがあります。
草稿:それもありますし、やっぱり実際音を合わせてやらないとダメなんですよね。コピバンでもなんでもバンドをちゃんと組んでやってきたのでどうしてもね。数か月以上まともに叩かない状態で、「よーし、そろそろやってみるかぁ」ってちょっとやってみたりとかしてましたよ。
–:あんまりやらなくなったゲームを久しぶりに起動した、みたいに言わないでくださいよ(笑)
草稿:はは(笑)あーでも、スピッツが赤レンガ倉庫で開催したライブがコロナ禍ということで公開されていたんですけど、それをずーっと見てましたね。200~300回は再生してたかな、数か月はほんとにずっと流しながら仕事していたので。
U-1:え……。
eureka:こわ……。
–:少なくとも1日に2回以上は見てるってことですよね?(笑)
草稿:ですね。MCも覚えたし、観客の歓声もタイミングも分かるくらいには聴いてたんです(笑)それで気づいたのは、意外と変なフレーズとかを入れても、案外楽曲としてはスルっと流れていくもんなんだなということ。ならもう少しは変なことを取り入れてもいいんのかなと、ヒントを与えてくれましたね。
–:なるほどです。2020年のステイホームな流れのなかで、色んな作品に出会えたりしたと思うんですけども、印象的だった作品はありますか?
管:うーん……2019年に公開された「ブックスマート 卒業前夜のパーティーデビュー」ですね。フォーマットはアメリカの古典的な学園ものコメディだと思うんですけど、登場人物それぞれがセクシャルマイノリティだったり社会的な背景を反映していたりして、ダイバーシティに対応してアップデートしつつ、コメディとして下品じゃなく魅せることができているのは、単純に凄いなと。もしかしたら、後々にアメリカコメディ作品の傑作だと言われるようになるんじゃないかなと思いましたね。



–:ちなみにどういった経緯で見たんでしょう?
管:今作でアメリカについて触れて作っていこうと思ったときに、いろんな映画を見ようと思ったんです。「いま劇場映画でなにやってるかな?」とおもって調べて、一番最初にこの作品が出てきて見に行って、食らいましたねこれは。
eureka:『サ道』ですね。アマゾンプライムでたまたま見つけたんですけど、私含めて友達とサウナと温泉に行くようになりましたね。
–:このコロナ禍のなかでですか!?
管:めちゃくちゃ影響されてるねそれは(笑)
草稿:米津玄師の『STRAY SHEEP』ですね。めちゃくちゃ良かった。
–:めちゃくちゃ良かったですね。
草稿:あとはゲームになるんですけど、僕はアイマスが好きで、そのなかで『アイドルマスター シャイニーカラーズ』が時流に乗った話題をうまく組み込んでいて、運営型のゲームコンテンツとしてすごいなと、楽しませてもらってますね。



Mav.:去年1年でというところでうぅーん?ってなっていたんですけども、永田カビさんのエッセイマンガですね。自分の人生とどう向き合うか?という部分にフォーカスしていて、悶々としつづけるだけのマンガなんですけど、去年読んだマンガでもやっぱり一番グっときましたね。あとはSHIROBAKOの劇場版。


U-1:何あるかな?ってずっと考えてたんですけど、『Cyberpunk 2077』がありましたね。ほんとに映像も素晴らしいし、ストーリーも素晴らしい、ただ……バグがひどい!
–:もしかしてPS4でやってました?
U-1:そうなんですよ(笑)ただ僕のはまだバグが酷くないほうではあるので、少しずつ進めてますよ。あれは感動しまくってます。
–:『マトリックス』以降のサイバーパンク系統の作品では最高峰でしょうね。
U-1:それこそポリティカル・コレクトネスな部分が強く出ているけども、めちゃくちゃSFとしても面白いしね。




>次ページ:ドリームポップやシューゲイザーをやっているバンドが割と政治から距離を置こうとしているのをみていて、「むしろそこと向き合うことで意義があるんじゃないか?」と思ったんです



『Ethernity』
/ For Tracy Hyde
2021年2/17リリース
フォーマット:CD/デジタル配信
レーベル: P-VINE, Inc.
カタログNo.:PCD-94012
価格:¥2,400(税抜)
【Track List】
01. Dream Baby Dream (Theme for Ethernity)
02. Just Like Fireflies
03. Interdependence Day (Part I)
04. Interdependence Day (Part II)
05. Welcome to Cookieville
06. Radio Days
07. Desert Bloom
08. Chewing Gum USA
09. City Limits
10. ヘヴンリイ
11. The Nearest Faraway Place
12. Orca
13. Sister Carrie
14. スロウボートのゆくえ
amazon
Apple Music
Spotify





1 2 3

2021.5.5 12:00

カテゴリ:INTERVIEW, PU2 タグ:,