【REVIEW】ライブレポート:ぶっ恋呂百花 1st Album 『幽霊のように』 Release Tour 「幽霊としての証明 」東京編

Photo by ハタサトシ
NMB48卒業後より、音楽活動を開始した木下百花が、ぶっ恋呂百花と名義新たにラップトップミュージックプロジェクトをスタート。
約2年半の活動を経て今年8/9に1stアルバム『幽霊のように』をリリースし、東名阪を巡るリリースツアー初日が東京のWALL&WALLにて9/6(土)に行われた。
会場には『幽霊のように』収録曲”死体”をモチーフとした写真の展示に加え、MV監督や客演で本作に携わる人々のフリマなど1stアルバムの世界観をさらに拡張するような会場で、ライブを心待ちにする人々の熱気は開演前から高まり始めていた。
開演を迎えると初めに登場したのはvq。ステージには何台ものiPhone。入力された音をミキサーでアレンジしフロアへと出力していく。ダンスミュージックの核心を意外な切り口から突いた稀有なスタイルでフロアのボルテージを早々に押し上げていく。
終盤では彼が奏でるビートと共にホワイトノイズが会場へと押し寄せカタルシスをもたらした。出番を十二分に真っ当するパフォーマンスにフロアが湧く。
2人目の出演者はCwondo。あらゆるシーンで頭角をあらわし音楽家として熱く注目の集まる彼は、ぶっ恋呂百花1stアルバム『幽霊のように』で「死体」の編曲を手がける。
少し巻き気味に終えたvqのパフォーマンスで温まった会場、そこにCwondoが登場するとセッティングを開始。「まだやらないです。時間通りやります。」とカジュアルに声をかけると、音出しがてらビートを鳴らす。Cwondoのペースにガラリと変わったところで、まだ捌けきっていなかったvqがリズムマシンを操作、意外にもセッションの形となり現場でしか味わえない光景に一層ステージへ注目が注がれていく。その後、vqが捌け、Cwondoがセットリストを展開。ビートマシンや、ギターなども用いた、予測不能で自在な音使いによって、フロアをさらなる高揚へと高めていく。
Photo by ハタサトシ
興奮冷めやらぬまま、ついに、ぶっ恋呂百花がステージに登場。
「今日はありがとうございます。何も気にせず狂喜乱舞してくれたら嬉しいです。」その一言と共に、1曲目「サプリメント」を披露。
兼ねてより縁のある南虎我によるMVも記憶に新しい本楽曲。
同MVの衣装を纏って現れたぶっ恋呂百花は、1曲目から一味違った。
これまでのライブではコントローラーを用いて、イコライジングやエフェクトを効果的に重ねていくことで現場ならではの有機的アプローチを行ってきたが、この日、ラップトップやコントローラーはステージ下手側に設置、ステージを存分に使ったパフォーマンスにシフトしていた。
元NMB48という木下百花としてのキャリアと、現在のぶっ恋呂百花をフルに踏襲したこの変化は、現在地を伝えるに充分すぎるパフォーマンス、フロアをさらに牽引していく。
2曲目も最新アルバムより「耽溺」。ミッドテンポでキャッチー、そして、寂寞感をまとった楽曲で、アグレッシブさに重心をおいたぶっ恋呂百花初期曲ともまた違った作風だ。
ステージングの能動性も相まって、早々に新譜の世界観を色濃く表現してみせた。
Photo by ハタサトシ
3曲目に披露したのは「恋するとしたら」。
前2曲と打って変わってキャッチーでアップテンポなナンバーを展開。
ここまでで既に、会場の熱量は最高潮に。”今の全て”とでも言わんばかりの全力のステージにフロアからも大きな歓声があがる。
「”ぶっ恋呂百花”なんて物騒な名前をつけた当時は本当にそんな気持ちだったけど。2年経って振り返ってみて、やっぱり当初の殺意は忘れちゃいけないなと思いました。おばあちゃんになるまで”ぶっころ”って言い続けてないとダメだって。」
会場を笑いに包みながら、今後へ向けた覚悟を伝えると、4曲目「断捨離」を初披露。
本楽曲は最新アルバムにも未収録の完全新曲だ。
過去のみならず、ぶっ恋呂百花としての未来までも描き切った前半戦だった。
次に、vqがリミックスを手がけた「耽溺」を初公開。
この曲を流しながらぶっ恋呂百花が一度ステージから捌ると、最新アー写で着用した銀のドレス姿に衣装チェンジし再び登場。
Photo by ハタサトシ
「後半戦に入るんですけど、みなさん、まだ他人の目を気にしてませんか?」とオーディエンスを煽る。
「最新アルバムは、デザインやMVで色んな人たちに協力してもらえたから作り上げる事ができた」と『幽霊のように』のバックグラウンドを伝えるぶっ恋呂百花。
オーディエンスが真摯にぶっ恋呂百花の言葉を受け止めると、6曲目「幽霊のように」を披露。
本楽曲はアルバムタイトルにも冠したリードトラック的立ち位置の作品。
パフォーマンスのみならず、衣装チェンジやMCも相まって会場の一体感はさらにましていく。そして、アウトロのモスキート音がメロディと共にフロアを駆け巡ると堰を切ったように歓声があがる。
「いけてんの?」とぶっ恋呂百花がさらに焚き付けると、7曲目「証明」を披露。
最新アルバムでは1曲目を飾る本曲は、AIR-CON BOOM BOOM ONESANを客演に迎えた作品。
1番目のサビを終えるとぶっ恋呂百花の呼び込みとともにAIR-CON BOOM BOOM ONESANがステージに登場。客演も含めて生で披露されたのはこの日が初となる。ダンスバトルのような掛け合いなど、2人の楽しげながらパワフルなステージングにフロアからは大きな歓声が上がると、「次は皆が踊る番、かっこ悪い踊り躍れ!」とぶっ恋呂百花がさらに後押ししていく。
ボルテージは最高潮に到達したオーディエンスの盛大な拍手の中、AIR-CON BOOM BOOM ONESANが捌けると、「いい感じ、かっこ悪くなってきた!笑」とさらに会場を1つにしていくぶっ恋呂百花。
Photo by ハタサトシ
8曲目には「死体」を披露。没 a.k.a NGSがMVの制作を手がけた本作。「証明」とは雰囲気が変わり、独特なリズム感とアトモスフェリックなメロディで、熱気はそのままに一味違ったアプローチでオーディエンスを牽引して見せた。
9曲目には「ラーメン替え玉ヒキニート」。ぶっ恋呂百花に煽られ手拍子が会場を包んでいき。サビでは左右に手を振るオーディエンス。この時点で既にフロアとステージの境界は無くなっていた。アルバムでも屈指のアップナンバーで「一番鬱だった頃」を思い出しながら作品に昇華したというが、そこにマイナスな雰囲気は一切なくフロアには笑顔と熱気が溢れていた。
10曲目には「貴方を誘う」。伊東真一をギタリストとして客演に迎えた本曲、彼とぶっ恋呂百花は木下百花名義の頃からの縁で作品を通じて「2〜3年ぶりくらいの再会」とのこと。
この日はステージに伊東本人が登場し、ギターを披露。
ローテンポでどこか儚げな楽曲に伊東真一のインプロ風でノイジーなフレーズが抜群に絡み合い、最後まで熱気冷めやらぬまま終演。
大きな歓声に見送られながらぶっ恋呂百花はステージから去っていくのだった。
Photo by ハタサトシ
しかし、これだけでオーディエンスの熱が冷めるはずもなくすかさずアンコール。
ぶっ恋呂百花がアコースティックギターを携えステージに戻ってくると、「過去を振り返ることにより、この1stアルバムが完成しました。今日は皆に会えて嬉しかったです。」と、この日までにかける思いと、謝辞を告げる。
そして、木下百花名義での楽曲「強さ」を披露。
ぶっ恋呂百花のファンであればアンセムとも言える本作、この日はいつも以上にエモーショナルに感じただろう。
続いて”5秒待ち”。パワフルな歌声がオーディエンスの胸をうちながらも「バレーコードばっかりで手が痛い、ずっとライブでやってない理由忘れてた」と笑いを誘う。
そして、「私は今まで逃げの姿勢だった、色んな他人巻き込んでなんかやろうとか思った事が無かった。でも、それも美しい過去。今は大人になっていく寂しさもあるけど、誰彼構わず尖った態度してた時よりマシ。成長出来ていってる。」と昔の自分を受け入れることができるようになった事をMCで告げる。
最後には「料理教室は似合わない」を披露。こちらもファンにとっては定番だが「明日の私は私が決める」、「ここには帰らない」といった歌詞は聴こえ方がまた一味違ったことだろう。
冷めやらぬ拍手と歓声が、笑顔で去っていくぶっ恋呂百花を見送ると終演を迎えた。
この日はぶっ恋呂百花最新楽曲から木下百花名義での楽曲まで過去を踏襲しつつ未来を見据えるぶっ恋呂百花の全てを拾う。1stアルバム『幽霊のように』リリースに端を発するイベントだが、それ以上の結実がそこにはあった。今後のぶっ恋呂百花の活躍も目が離せない。
【セットリスト】
01.サプリメント
02.耽溺
03.恋するとしたら
04.断捨離(新曲)
05.耽溺リミックス
06.幽霊のように
07.証明
08.死体
09.ラーメン替え玉ヒキニート
10.貴方を誘う
(アンコール)
EN1. 強さ
EN2. 5秒待ち
EN3. 料理教室は似合わない
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『幽霊のように』
/ ぶっ恋呂百花
2025年8/7リリース
フォーマット:デジタル配信
【Track list】
01. 証明 feat. AIR-CON BOOMBOOM ONESAN
02. 死体 (Arrangement by Cwondo)
03. 恋するとしたら
04. 幽霊のように
05. サプリメント
06. 耽溺
07. ラーメン替え玉ヒキニート
08. 貴方を誘う (Guitar by 伊東真一)
マルチリンク
2025.9.25 20:00
カテゴリ:PU2, REVIEW タグ:JAPAN, ぶっ恋呂百花

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