【INTERVIEW】武田理沙『Metéôros』
写真:南阿沙美
全曲インストゥルメンタルで構成された1stアルバムから一転、ほぼ全曲ボーカル入りのトラックで構成された2ndアルバム『Metéôros』を10月にリリースした武田理沙。
彼女特有の感情のうねりをはらみつつ前作以上にポップミュージック……特にJ-POPと言われる領域に踏み込んだアルバムは、どのような感情とどのような方法論で生み出されたのか。
個人的な興味とアルバムを聴いて生じた疑問をぶつけるべく武田理沙にインタビューを試みた。
自分のエゴを単純に吐き出しただけでは自分の聴きたいボーカル曲が創れないと感じました
- –:ボーカル入りの楽曲を公開し始めたは前作リリースの直後ぐらいからだったと記憶しているんですが、アルバムをボーカル入りの曲で作るというのはいつ頃から決めていました?
- 武田理沙:1st録音中、2018年初頭には決めていました。
- –:「深海魚」と「断頭台の灯」はかなり早い段階で曲を公開していましたよね?これらはいつ頃に作られたものになりますか?
- 武田理沙:2018年の11月からです。レコ発関西ツアーが終わった辺りから徐々に創作モードに入りました。断頭台の灯はかなり早い段階からメロディやアレンジまでほぼ完成された状態で頭の中にありましたが、「深海魚」はお試しのつもりであまり深く考えず適当に創っていたら偶然いい感じになり、「断頭台の灯」より早く完成したので先にSoundCloudにアップしました。
- –:ボーカル入りの作品を作ったのは今作が初めてですか?インストの楽曲とどんなところに違いがありました?
- 武田理沙:今作が初めてです。ソロのライブをやり始めた頃から歌入りの曲を弾き語りでやりたいと思っていましたが、人前で歌うことに途轍もなく抵抗がありどうしても出来ませんでした。しかし入念に作り込んだ録音作品として残すことを最初にやってしまえば自分の声に対する嫌悪感を和らげられるかもしれないと思ったのです。
インストの場合はどの楽器でも主役、主旋律も副旋律も主役という考えでも完成に辿り着けましたが、ボーカルが入った途端Aメロやサビといった概念や、歌のある部分とない部分のコントラストと闘わざるを得なくなり、メロディや展開などを生みだすのに非常に苦戦した時期もありました。
ドラムを2chで録っている曲はどうしてもドラムだけ解像度が低くなってしまうので他のMIDI音源もそちらに寄せた音にするしかなく、その音像は自分の理想としていたポップスの音ではなかったんです
- –:「深海魚」「断頭台の灯」と同時期に公開していた「サルビア」は今回のアルバムには入っていないようですが、ボーカル入りで作成した曲はアルバムに収録されたものの他にもありますか?
- 武田理沙:完成までたどり着けなかった曲は今回かなりあります。制作途中で、自分のエゴを単純に吐き出しただけでは自分の聴きたいボーカル曲が創れないと感じました。恐らく自分の声や言葉を音楽に乗せた作品に対し、客観視できる視点を必死に探していたのだと思います。そこもインスト曲とボーカル曲の違いだと認識しています。
- –:やはりボーカルの存在というのは大きかった?
- 武田理沙:大きかったと思います。私自身も取り組む前まではこんなに厄介な要素だと思っていませんでした。他の人に歌ってもらっていたら、また違った感想になったかもしれません。
- –:Twitterでは音の大きさで悩んでいるツイートをされていましたが、今回ボーカル入りという事でバランスの問題等あったと思います。その辺りの折り合いはいかがでした?
- 武田理沙:今回はアルバム全体の音量または音圧をできる限り統一したいと考えていたのですが、大雑把に言うと、ドラムがPC内蔵音源か自分で叩いて録ったものかどうかでかなり質感に違いが出てきてしまうというのに途中で向き合わざるを得なくなりました。ちょうど3曲入りCD-Rを発表したすぐ後に「HEADSHOT」を創ったのですが、自分らしい曲ではないものの、自分が聴きたいポップスはむしろこちらの方だと思いました。その後アルバムの内容を大幅に改変するつもりで、エレクトロ寄りの曲を増やしたんです。ドラムを2chで録っている曲はどうしてもドラムだけ解像度が低くなってしまうので他のMIDI音源もそちらに寄せた音にするしかなく、その音像は自分の理想としていたポップスの音ではなかったんです。歌なしインストの時はそれでよかったのですが。どれくらいの変化を齎す事ができるか分かりませんが、3rd以降でドラムを自分で叩く場合は8点録りに挑戦したいと思っています。
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『Metéôros』/ 武田理沙
2019年10/23リリース
フォーマット:CD/デジタル配信
レーベル:MY BEST! RECORDS
カタログ
No.:MYRD134
価格:¥2,500(税抜)
【Track List】
01 Meteoric phenomena
02 ゼロと無限のQ明
03 断頭台の灯
04 スーサイドスター
05 深海魚
06 HEADSHOT
07 揺らぎ
08 薬疹
09 沈める月
ディスクユニオン
Spotify
Vocal, Lyrics, Recording, Arrangement by Risa Takeda
武田理沙『Metéôros』発売記念ワンマン・ライブ
~The little shepherd 2019~
2019年12/10(火)渋谷7th FLOOR
ACT:武田理沙
Open 19:00 / Start 20:00
1 2
2019.11.17 21:00
カテゴリ:INTERVIEW, PU3_ タグ:classical, electronic, J-pop, JAPAN, 武田理沙