【INTERVIEW】三輪二郎に聞く『しあわせの港』全曲解説
シンガー・ソングライター、三輪二郎。その5年ぶりの新作は、2015年末からライヴで活動を共にしてきた伊賀航(ベース)と北山ゆう子(ドラムス)の3人で作られた。2018年5月、映画『アストラルアブノーマル鈴木さん』(2019年1月公開)の主題歌「ひなたぼっこ」(iTunes/Apple Music、Spotify)を録音、配信リリースしたことで制作気運は加速、夏からリハーサルを重ね11月からスタジオ入り、エンジニア中村宗一郎が加わり、この少人数の最大限のアイデアでもって1月に完成した。
1. 犬と煙草
- 三輪二郎:これが出来たのは2年くらい前、ブギーのカッコいいギターリフが出来てたんで、それを伊賀航と北山ゆう子に聴かせたんですね、それでアレンジつけてもらって。
- –:歌詞は同時に?
- 三輪二郎:そう、一気に出来ましたね。ボブディランの「サブタレニアン・ホームシック・ブルース」みたいな散文の羅列のブギーを作りたくて。ちょうどタバコ止めた時で、値上げがあったり、そこで♪マイルドスモーキン230円ってフレーズが出て来て、一気に言葉が出て来た。3番まで歌詞があって値段が上がっていく、歌の意味はほとんどないです。ブギーの軽さが表現出来て良かったです、歌詞もそう。
で、間奏だけ8ビートになるんですよ、キーも変えて。これは伊賀さん、北山さんのアイデアで、よくあるブルースとは違う特別な雰囲気にしてくれた。そう、この間奏だけ、キャロルになるんですよ、って勝手に思ってるんですけど、ウッチャン(内海利勝)みたいなギター。 - –:イントロからすぐギターの歪がこれ以上ないくらい絶妙な音で。
- 三輪二郎:おれ、エレキは歪ませなきゃ弾けないんですよ。スタジオ(ピース・ミュージック)にあった古いフェンダーのアンプにそのまま突っ込んだらそのまま出て来た音ですね。理想の歪が出来ました。
2. おもいで
- 三輪二郎:これを作ったきっかけは明白に覚えています。岡林信康の「26番目の秋」、これがすっごくいいの。
- –:『金色のライオン』の中の曲ですね。その歌詞に影響されたの?
- 三輪二郎:なんというか、ニュアンスです。幻を生きているというか、それを作りたかったんです。
- –:いきなり出来たんじゃないんですね。
- 三輪二郎:そう、最初に理想があってそれに向かって作っていきました。
- –:2年前くらいか、ライブで観たり、リハのテイクも聴いたけど、この曲はレコーディングでガラッと変わった。当初はこんなにいい曲だとは思えなかった。
- 三輪二郎:口笛のイントロとかね、これは前から演りたかった。ボビー・チャールズの「スモール・タウン・トーク」やサニーデイの「江の島」とか。本当はホーン・セクション入れてポップなソウル・ミュージックにしたかったんですよ。
- –:メンバー3人集まった最初の打合せではそうでした。
- 三輪二郎:ホーンズで考えていたフレーズを口笛で…。
- –:ホーン・セクション発注する予算なかったからね…、違うよ。リハ重ねていった中で3人で何でも出来るってなっていったんですよ。
- 三輪二郎:それが良かった。結果、このキラキラ感が(アルバム・タイトルの)『しあわせの港』になったと思います。
3. バージンギター
- –:これはイントロがカッコいい。
- 三輪二郎:全体的にこだわったのは8ビートの気持ちよさですね。
- –:去年の夏に配信リリースした「ひなたぼっこ」もそうでした。
iTunes/Apple Music
Spotify
- 三輪二郎:もう奇を衒った小手先のことはしないで、伊賀さんと北山さんでしっかり8ビート演ってもらって、そこに歌いたかった、それが実現した曲です。最初この曲が出来た時、ダセえなって思ったんだけど。
- –:アルバムタイトル候補だったくらい良くなりました。
- 三輪二郎:『III』の直後からもう5年くらい歌ってますね。ロマンチックとハードボイルドの間、そんな男の歌です。ギターも歪ませて、結構ぶっとい感じで録れました。
4. 翌朝
- –:これは新しい曲ですね。
- 三輪二郎:リハが始まってレコーディング直前に出来た曲です。…、これは「翌朝」ってタイトルの曲を作りたかったんですよ。
- –:“よくあさ”ね。
- 三輪二郎:タイトルから膨らませていきました。冒頭の♪ゆきずりってほどロマンチックじゃない、このフレーズはずいぶん前からネタ帳にあって、それを引っ張り出して強引に作ったところはあります。何となく朝帰りする、うーん、純愛の話かな。
- 三輪二郎:おれのギターでは、ジョン・フェイヒーのギターフレーズ、それはエリザベス・コットンのフレーズをフェイヒーが演ってるのがあるんだけど、それに影響受けてます。これに伊賀さんと北山さんが、少しニューオーリンズ風の拍子をつけてくれて上手く絡み合った。この2人がいてくれて別の景色になりましたね。
- –:リハ重ねて作り上げていったわけですね。
- 三輪二郎:元は、さらっとした弾き語りだったんですけどアレンジで工夫していって曲の性格まで変わりました。
>次ページ「5. スライディング・マドロス」へ
『しあわせの港』/ 三輪二郎
2019年2/20リリース
フォーマット:CD
レーベル:MY BEST!RECORDS/DIW/diskunion
カタログNo.:MYRD127
価格:¥2,500(税抜)
【Track List】
01.犬と煙草
02.おもいで
03.バージンギター
04.翌朝
05.スライディング・マドロス
06.ギターを弾く犬
07.ハロー・マイ・ジェラシー
08.グッドラック・ブギー
09.くわえ煙草の夢
10.ターニングポイント・ブルース
ディスクユニオン
iTunes/Apple Music
Spotify
三輪二郎:ボーカル、ギター
伊賀航:ベース
北山ゆう子:ドラムス
録音、ミックス、マスタリング:中村宗一郎
写真:宇壽山貴久子
デザイン:ダダオ
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2019.2.14 17:00
カテゴリ:INTERVIEW, PU3_ タグ:JAPAN, 三輪二郎, 伊賀航, 北山ゆう子
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