【INTERVIEW】しずくだうみ 1stフルアルバム『都市の周縁』
弾き語りにこだわる事はないと思っていて、歌にあったアレンジをすれば良いと思っています
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—:今回のアルバムは過去のアルバムから楽曲をピックアップしたり、新録があったりという構成ですが…「さみしさのABC」や「おしまい」は以前soundcloudにデモで公開されてたものですよね?
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しずくだ:はい。
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—:収録曲のチョイスについてお聞きしたいんですけども、過去のミニアルバムに収録された曲なんかはどのような基準で選ばれました?
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しずくだ:基準ですね…こう…より響きそうなものを。
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—:リスナーの方にという事ですか?
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しずくだ:はい。
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—:以前他所のインタビューで、「現場によって反応の良い曲と悪い曲が変わる」と話されていたあたりが基準という事ですね。「血のインクといちょうの木」は、最近のミニアルバム発なんですけど今回は入っていないんですね。
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しずくだ:あの曲はライブで説明ありきというか…アルバムには違うかなって思って。ミニアルバムならいいんですけど。
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—:フルアルバムを全国流通するにあたって、初見のお客さんも意識したわけですね。今回のフルアルバムでは1stミニアルバム『届かぬ手紙のゆくえ』からの曲が少ないと思うのですが、この辺りに理由はありますか?
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しずくだ:そうですね。なりすレコードの平澤さんとアルバムの収録曲の話をした時に「1stから何曲」というのを例として出されて。他の曲はアレンジすればそれなりに仕上がるんですけど…そこまでこだわりがなかったので。
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—:なるほど。
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しずくだ:アレンジをやってみたらそれなりに面白かったとは思うんですけどね…どっちでもいいかなと。やっぱりこだわりがなかったんですね(笑)
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—:今回のアルバムでは「選ばれない」が完全な新曲という事ですが、これは音源化されていない曲?
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しずくだ:そうですね。iPhoneで録ったデモは出しています。
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—:今までのミニアルバムでは吉田仁郎さんがアレンジやレコーディングに参加していましたが、今回から藤木和人さんが参加されていますがこのあたりは?
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しずくだ:別件で藤木さんとワントラック、音で遊ぶという感じで作業をする機会があったんですけど、ブレスなども直してくれて。今回のアルバムで「水色」が多分一番変わっていると思うんですよ。歌も同じだしトラックも同じなんですけど、凄く滑舌を意識したんで。
「水色」とか「夜の海の夢」とかラジオとかで流れることを意識した時にもっと伝わるようにと思ったら滑舌だよねって。具体的にどうしたらいいかっていう事をやってくれました。
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—:今までになかった視点を提供してくれたと。
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しずくだ:どういう風にしたいっていうのを引き出してくれたんですよね。
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—:以前のミニアルバムではあまりアレンジに手を加えていない印象だったんですが。
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しずくだ:私に音の語彙力が無さ過ぎて、うまく指示を出せなくて。こうしたいって言っても「え?」って困惑されて。(笑)
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—:「透明コンプレックス」がインタビューされた時に弾き語りの方向を意識したというお話をどこかで書かれていたと思うんですが、今回もそういう方向を踏襲しているかなと思ったんですがそのあたりは?
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しずくだ:私はそんなにピアノを弾けないのでそうじゃない方がいいなとは思ってるんですけど、今回アルバムの中で一番綺麗な曲は「選ばれない」だと思っていて。あれは私がメロだけ先に作って仁郎さんにコードをつけてもらって。それでアレンジをしてバンドでセッションして作っていったので。一番バンドっぽい作り方をした曲っていうか。私が完成された曲を持っていくっていうよりも歌だけがふわっとあるのをバンドで固めたという感じです。
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—:先ほどお話した弾き語り方面に寄せるというのはアルバム全体ではあまり意識していないという事ですね。
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しずくだ:弾き語りにこだわる事はないと思っていて、歌にあったアレンジをすれば良いと思っています。
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—:今回のアルバムの聴き手として考えている層というのはどういった方になりますか?どのような方に一番聴いてほしいと思っていますか?
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しずくだ:今までCDを買ってくれている人はもちろんなんですけど、遠巻きに見ていた人たちや全く私の事を知らなかった人たちの中にも受け入れてくれる層がいるんじゃないかと思っています。J-POPが好きだけど今のJ-POPが微妙だなと思っている方に届くといいなと思っています。
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—:しずくださんは「J-POPのリスナー」という存在にこだわりを持たれていると思うんですが、そのあたりはいかがですか?
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しずくだ:J-POPは割と聴くんですが、これでは満足できないと思うし。母がTHE PRIVATESやTHE BLUE HEARTSなどがすごく好きだけどそれはそれでなんか違うなと思うし。高校生ぐらいの時はSyrup 16gも好きだったんですけど、当時は「こんなのでもいいんだ」って思ったんですけどやっぱり違うなと思って。しっくりくるところをずっと探している感じです。
たまに明るい曲がかけてもボツにしちゃうんですよね
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—:そういえばしずくださんってかなり幅が広いイベントに出演してますよね。弾き語りからバンドだらけの現場からアイドルの現場から…。一度幡ヶ谷でイベントに出演した時はハードコア系のイベントでしたよね?
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しずくだ:どこの現場にも馴染めない層っているんでそういう人を拾っていければいいかなって。アイドルの現場でも疲れちゃった層はきっといるし、パンクとかの現場でもモッシュしてるのを見て「なんか違うな」って思う人はきっといるし。(笑)
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—:幡ヶ谷の時は凄く盛り上がってましたよね。
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しずくだ:あれは良いライブでしたね。
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—:逆に一番だめだった現場ってありました?
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しずくだ:だめだった現場!?そもそもお客さんがいないっていう現場はありましたね(笑)
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—:集客ゼロ!?
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しずくだ:集客ゼロ(笑)
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—:あまり集客に積極的じゃなかった感じですか?
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しずくだ:誰かの知り合いばっかりでそもそも音楽ファンじゃないってのがあって本当に辛かったですね。
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—:アイドルの現場とかはどうなんですか?親和性というか。
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しずくだ:界隈によっては割と聴いてくれたりしますね。
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—:イメージ的にアイドルの現場って自分が推してるグループ以外にはあまりお金落とさないイメージあるんですけどその辺ってどうなんですか?
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しずくだ:そんな事もないですよ? 人によります(笑)
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—:(笑)それだけ広い界隈で色々聴いていてもぴんとくるものってない感じですか?
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しずくだ:すごく心が狭いんですよ(笑)基準が無茶苦茶に厳しいんで…。
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—:本当に納得できるものじゃないと…って感じですか?
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しずくだ:そうですね。
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—:心が狭いって闇ポップの真骨頂的な感じですね。しずくださんの歌詞を聴いてるとあまり人間の狭さって感じないんですけどね。
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しずくだ:心が狭すぎて自分が嫌になるんで、周りを受け入れる努力はしてるんですよ(笑)
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—:そういえばしずくださんの歌詞ですが、テーマというわけではないんでしょうけど、何かを諦めているようなものを感じるんですが。
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しずくだ:それは…私がにじみ出てしまっているんではないかと。
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—:私見ですけどそのあたりに闇ポップというか…しずくださんの作家性という部分を感じるんですよね。先ほどのお話ですとかつては明るい曲を書かなきゃってのが強迫観念だったというお話でしたが、今はそういうものってすでに乗り越えているようにも見えるんですよね。
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しずくだ:そうですね。やっぱり明るい曲が書けないって悩んでた頃からそうだったんですけど、そもそも明るい曲を歌いたいのかっていう問題があって(笑)たまに明るい曲がかけてもボツにしちゃうんですよね。私が「嬉しい!楽しい!ハッピー!ラッキー!」みたいな曲を歌ってどうするんだみたいな事を思っちゃうんですよ(笑)
他のアイドルの曲で「負けないぞ!」みたいな歌詞があるの見てて「わー、歌いたくねー!」って思って(笑)
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—:「負けないぞ!」ってそういうのしずくださんのキャラにないですよね。
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しずくだ:思ってたとしてもそれを表に出したくないっていうか。「会いたくて震える」って思っていてもそれを実際に歌うかどうかって凄い差があるじゃないですか(笑)思ってる事と歌う事って別というか。
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—:でも思う事は思うんですね。
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しずくだ:思う事は思いますよ。
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—:以前どこかで歌詞が実話かどうかを話されてた気がするんですが、歌詞に実際あった事を反映してたりするんですか?
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しずくだ:結構ありますね。でも、わからないようにしておかないとみんなが病んだりするんで。
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—:その一方で以前のMVには「本人にだけわかる」ってもの盛り込んでましたよね。
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しずくだ:そうですね。ぶち◯◯◯ぞと(笑)
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—:闇ポップ(笑)
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2016.11.15 12:00