【INETERVIEW】soejima takuma
福岡を拠点に活動する音楽家・soejima takuma。
俳句コア専門レーベル・basyo-labelやユーザーが素材を使用することで完成する作品『PARATEST』といった作品群で強い印象を植え付ける彼が、先日PROGRESSIVE FOrMからリリースされた1stフルアルバムをリリースした。
各所で「新たな才能」と称される彼にインタビューを申し込んでみた。
『Bouquet』/ soejima takuma
2015年10/15リリース
レーベル:PROGRESSIVE FOrM
カタログNo:PFCD51
価格:¥2,000(税抜)
【Track List】
01. Melt Alone
02. Fallout of Sky
03. Coelacanth feat. Smany
04. Catastrophe
05. A Faint Blue
06. Outbreak feat. Katsuki
07. Aire
08. Rafflesia
09. Daisy
10. Anemone feat. Ferri
11. Allium
12. Noir Fr feat. Honda Yoshiko
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ライブで演奏していた楽曲や友人の映像作品向けに制作した楽曲をリアレンジするという形で纏めました
- ーー簡単な自己紹介をお願いします。
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soejima takuma(以下soejima)福岡県内を中心にライブ活動や制作をしています。soejima takuma(ソエジマ タクマ)と申します。ピアノを主体に弦楽やグリッチノイズを織り交ぜた作品を多く作っています。10月の15日にPROGRESSIVE FOrMより1stフルアルバム『Boupuet』をリリースしました。
- ーーこの度はアルバムのリリースおめでとうございます。アルバムをリリースしてみての感想はいかがですか?
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リリースして未だ日も浅いので、あまり実感はないのですが、方々でアルバムを聴いてくれたと報告があって大変嬉しく思います。
- ーー今回のアルバムは、いつ頃どのようにして制作が始まりましたか?また、どのぐらいの時間で制作されていますか?
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soejima古いものだと21歳の頃に作曲した作品(M1 Melt Alone)などあって、アルバム中のほとんどの楽曲はここ1、2年ライブで演奏していた楽曲や友人の映像作品向けに制作した楽曲をリアレンジするという形で纏めました。もちろん作品によりますが、だいたい一曲が書き上がるまでの時間は100時間~200時間程度掛かったと思います。時間をかけて作ってるのでどうしても制作中に楽曲に対する新鮮さを失ってしまい作品の良し悪しの判断が困難になることも多く、同時に三曲取り掛かり、ローテーションを組むなどして、できるだけ作品への客観性を保てるよう工夫しました。アルバム全体のアプローチについてはある程度自由にさせて貰いましたがレーベルのPROGRESSIVE FOrMと随時連絡を取りながら相談し、最終的に今作『Bouquet』が仕上がりました。
- ーーピアノやストリングスの音が印象的なアルバムでしたが、どのような環境で制作をしましたか?
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soejimaピアノ、ストリングスだけでなく制作におけるほぼ全ての音は電子ピアノを用いて自分で演奏しMIDI入力しました。打ち込みはLogic Pro9とPro Tools LE8を使い分けて行っていますが、技術的な部分やソフトウェアの限界がある様な箇所については知人のミュージシャンにお願いして実際に演奏してもらっています。その際は大まかなイメージだけを伝えアレンジ自体はほぼ丸投げしました。仕上がったオーディオデータやMIDIデータの最終的なミックスは全てPro Toolsで行いました。
- ーー今作ではFerri、Smany、本田ヨシ子、香月というゲストボーカルを迎えて作品を制作されていますが、彼女たちを選んだ理由や基準が あればお聞かせください。
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soejimaアルバム全体がある程度見えた時点でボーカル曲を書いてみたら?という提案がレーベルからありまして、当初の予定では意見を気兼ねなく交換できるという理由から古い知人である香月に全てお願いするつもりでしたが、時間的な問題や香月にできる表現の制約などもあり、全曲というのは早い段階で断念しました。せっかくのアルバムということで気になっていたアーティストを片っ端から聴いていき、収録する楽曲のイメージに合わせて最終的にSmanyさん、Ferriさん、本田ヨシ子さんにそれぞれお願いするに至りました。Ferriさんと本田ヨシ子さんについては面識もやり取りも一切なかったので突然お願いする形になりましたが、お二方とも快くオファーを引き受けてくださり僕がイメージしていた以上に楽曲の完成度を高めてくれたと思っています。Smanyさんについても過去の共作を通して信頼できる素晴らしい才能を持ったアーティストだと確信していたのでアルバム制作にあたり再度共作をお願いしました。四方とも機会があればまた一緒に作品を作りたいです。
- ーー今回のアルバムに限らず以前の活動、矢野ミチルさんとの共同展示やbasyo-label等を見ているとアート方向への強い志向を感じます。その 志向の源はど辺りにあると思われますか?
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soejima間違いなく高校時代ですね。一緒に活動ないし、関わりのあった友人の殆どが美術関係者だったというのもあって、彼らの考え方やアートとの向き合い方にはかなり影響を受けたと思います。今の美術界隈では創作する上で「作品の意味」「作品を作る意味」といいますか、コンセプチュアルな部分を少なからず意識せざるを得ない状況があったりして興味深いです。こじ付けや後付けでもいいから作品にコンセプトを付けるという本末転倒な事もしばしばあったりして…(笑)音楽の場合ですと音そのものに具体性がないので、思想や思考よりは感情と結びつきやすく、コンセプト重視の作品はアーティストにもリスナーにもあまり好まれてないように感じます。以前共同で展示した矢野ミチルさんはそういう意味では現代アートから完全に外れているというか、確信犯的に感覚のみで作品を描いていらっしゃるのが凄く面白いです。構造的構築的に創作する僕とは逆に位置にいる点でも惹かれました。
質の良い作品はもちろんのこと、興味を持ってもらえるような発信力こそ最も大切だと痛感させられました
- ーーsoejimaさんというと個人的に「basyo-label(※1)」が外せないのですが、このレーベルをやろうと思ったきっかけはどのようなも のでしたか?
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soejima当初、友人のトラックメイカーのtokomanonkaや、ラッパーの近藤考次、線描の四人で何か一緒にコンピでも作ろうという話になったのが発足のきっかけです。最近はsoundcloud、bandcampなどの台頭でオンライン上で楽曲を発信しやすくなったのもあり、音楽の供給が一方的に過剰になっていて一曲のクオリティに関わらず楽曲を通しで聴いてもらうことは殆ど不可能だと認識していました。そこで他人に聴かせるのでなく自分たちだけ楽しむための音楽をやってみようという話になり、僕の方から俳句を題材にして、1分未満の短い楽曲を作りたいと提案しました。と言うのも、当時楽曲に合わせて詩を朗読するというジャンル『ポエムコア』がネットで頻繁に話題に上がっていて、オマージュとして1分未満のトラックの中で俳句を2度読むというコンセプトの元『俳句コア』というジャンルを作ってみようかなと。
※1 basyo-label:soejima takumaがsenbyo、tokomanonka、kondo kojiと主宰していた「俳句コア」専門のレーベル。コンピレーションには canooooopy、BOOL、EMDEE1、yuko lotus、LTPIMO他の豪華なメンバーが参加していた。
- ーーbasyo-labelをやってみて世間の反応はいかがでしたか?また、その活動前後でsoejimaさんの音楽活動に影響がありました か?
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soejimabasyo-label発足時に四人で6曲程度の簡単なEPを作ったところ、自分たちだけで当初楽しむつもりだったのが企画の不可解さや、楽曲のインスタント性が一部で話題になりまして、その後多くのミュージシャンらの賛同を得、更に2作品のコンピレーションを発表をするに至りました。この2つのコンピは参加人数が多かったのもありますが、DL数もそれぞれ100を越え、再生数もトータルで1万回以上再生されました。この件は僕自身の音楽活動の影響といいますか、誰かに作品を聴いてもらうためには、質の良い作品はもちろんのこと、興味を持ってもらえるような発信力こそ最も大切だと痛感させられました。俳句コア自体は話題性や新鮮さありきのコンテンツの一つだったと思うので、すぐに消費されてしまったのですが、得たものは凄く大きかったです。
とにかく人との繋がり、制作、
そして発信し続けることに尽きます。
- ーー今年の夏に開催された「Summer War Game03」や「超能力酒場」「liminal」など、福岡で興味深いと思うイベントにはよく名前をお見かけするsoejimaさんですが、soejimaさんから見て現在の福岡のシーンはどうなっていると感じていますか?
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soejima福岡だけでなく地方発信というのが徐々に強くなっているという印象です。上の質問でも触れましたが、個人の発信力がインターネットの力で高まってるので才能があるにも関わらず地方で埋もれがちだった人でも活躍しやすい状態になったのかなと思いました。福岡県内でも泉まくらさん、lee(asano+ryuhei)さん、duennさん、レーベルだとyesterday once moreなど地方在住のまま全国区で活躍しているミュージシャンも出てきて、関東で一極化していたシーンが少しずつ分散しつつあるなと。それでもレーベル、人口、ミュージシャンの数で関東の持っているアドバンテージは圧倒的だとは思います。質問の例としてあげて頂いた3つのイベントについては集客力もイベントとしての質もかなり高いのですが、国内外からも面白いアーティストの招致を積極的に行っていて、一際目立っていますし、福岡のシーンはこれからどんどん面白くなっていくと僕は思います。
- ーーアルバムをリリースして、次の展望などがあればお願いいたします。
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soejimaとにかく人との繋がり、制作、そして発信し続けることに尽きます。
soejima takuma『Bouquet』information
http://on.fb.me/1kW7tin
インタビュー sabadragon(@sabadragon)
2015.10.30 11:58
カテゴリ:INTERVIEW タグ:JAPAN, soejima takuma, 現代音楽