【SELF LINER NOTES】三輪二郎 『Essentials of MIWA JIRO』
とてもステキな品物だと思います。ぜひ
– 三輪二郎
活動21年目に初のベスト・アルバムをLPで発売する三輪二郎が、収録11曲それぞれについて自ら語ってくれた。
A-1「おもいで」
この曲はよくラジオでかけてもらった。長いスランプの後にポロリと出来た曲。スタジオに持っていった時、伊賀航も北山ゆう子もすぐノッてきた。ライブで歌い込んでどんどん評判良くなった。岡林信康の「26ばんめの秋」って歌、知ってる?ああいうの、すごく作りたかった。イントロの口笛はボビー・チャールズの「スモールタウン・トーク」の影響。間奏を生ギターにしたのは録音の前日に福富町のクライスラーのジュークボックスで「時間よ止まれ」を聴いたせい。エイト・ビートのフォーク・ロックは僕の永遠のテーマA-2「野毛の唄」
下北沢にランブリン・ボーイズというレコード店があって、よく溜まっていた。ここでジム・クエスキンとか、ホーリー・モーダル・ラウンダーズやら昔のグリニッジビレッジのヒップなフォーク・シンガーらを教わった。「野毛の唄」は23歳くらいに作った歌だけど録音するなら奴らみたいな少しサイケでハッピーなラグタイムにしたかった。定番のブルース進行だけど、あだち麗三郎、轟渚、吉田悠樹の演奏はグルーヴィーで別次元に持っていってくれる。吉田の二胡の間奏がエキゾチックで横浜の猥雑感を醸し出している。シベリアカステラは母親が野毛のコテイベーカリーでよく買ってきた我が家の定番のおやつだった。A-3「バージンギター」
以前、京都のまほろばというお店でオクノ修さんとのライブがあった。出番前に夕闇迫る鴨川沿いを1人タバコをプカプカほっつき歩いていた時、気持ちがBADな方向になぜか急に傾いた事があった。これから歌うって時に。ステージフライトとかいうのか。その時の雰囲気を歌詞にした気がする。曲がつくのは随分時間かかった。北山ゆう子と伊賀航のエイト・ビートは最高である。今でも歌うと情景が浮かぶ。この曲は自分を鼓舞するためのロックン・ロールだと思っている。A-4「ダブル・ファンタジー」
きっかけはゴキブリコンビナートのほりぼうの散文だった。この歌はテイク1だった。大森靖子の表現力に引っ張られたと思う。2人とも危険で偉大だ。何で知り合ったんだっけ?沢田穣治のアレンジは思いを貫くというか。そして、幻想の町が見える。言葉に潜んでいるリズムとメロディを引き出してくれたような気がする。色んな世代や音楽畑のミュージシャンでスタジオは混沌とし決してハッピーな雰囲気ではなかったが膨張して爆発しそうな雰囲気だった。
非日常的な体験だった。
A-5「ひなたぼっこ」
映画「アストラル・アブノーマル鈴木さん」の主題歌の依頼があり、脚本を読んでこの歌の歌詞がピッタリだと思い大野大輔監督に提案した。快諾いただき急遽ピース・ミュージックに伊賀航と北山ゆう子と録音。伊賀さんの提案で「空気の読めないリード・ギター」を重ね完成。単調だが味わい深いフォーク・ロックの完成。NHK朝ドラ「ひよっこ」での松本穂香さんの存在感にはとても惹かれていたので、ラストシーンのやけっぱちダンスにこのテイクが重なった時の感慨はひとしおだった。今でもこの歌を唄うとき、やけっぱち天使、鈴木ララのダンスを思い浮かべるのだ。
A-6「すけろくさん」
すけろくさんはどこいった?知らねー。永島慎二の「フーテン」思いだす。あるいは子供の頃、時折お目にかかった気がする白いメリーさん。
もう現代の町には妖怪は存在できないだろう。
しかしこのダンスヴァージョンはマジカッコいい。
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『Essentials of MIWA JIRO』
/ 三輪二郎
2022年7/20リリース
フォーマット:LP
レーベル:MY BEST!
カタログNo.:MYRD149
【Track List】
A1. おもいで
A2. 野毛の唄
A3. バージンギター
A4. ダブル・ファンタジー
A5. ひなたぼっこ
A6. すけろくさん German Suplex Mix
B1. 休日の朝
B2. 家出っ娘
B3. ソルティードッグ・ブルース
B4. シーサイド・ライン
B5. 出不精のバラッド
ディスクユニオン
Amazon
[演奏]
三輪二郎:ボーカル、ギター [ALL]
吉田悠樹:二胡 [A2, B1]
轟渚:ベース [A2, B1]
あだち麗三郎:ドラムス [A2, B1]
川本真琴:コーラス [B2]
沢田穣治:ベース [A6, B3,4]、コントラバス [A4]
マルコス・フェルナンデス:ドラムス[A6, B3,4]
向島ゆり子:バイオリン [A4, B3,4]、アコーディオン [A6]
大熊ワタル:クラリネット [A4,6, B3]
大森靖子:ボーカル [A4]
伊賀航:ベース [A1,3]
北山ゆう子:ドラムス [A1,3]
[エンジニア]
かわばたてるゆき:録音 [A4, B1]
宇波拓:録音、トラック・ダウン [B2]
中村宗一郎:録音 [A1,3-6, B3,4]、トラック・ダウン [A1-6, B1-4]
佐京泰之:録音、トラック・ダウン [B5]
プロデュース:三輪二郎
編集・マスタリング:ジョージ・モリ
画:風
デザイン:ダダオ
2022.6.23 12:00
カテゴリ:INTERVIEW, PU2, PU3_ タグ:JAPAN, 三輪二郎
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