【INTERVIEW】guitarsisyo『12 promises made with her』
2010年より活動を続けメランコリックなギターを中心に情感を彩るサウンドをプロデュースするミュージシャンguitarsisyo。
2016年の5thアルバム『gift to her』、2018年の6thアルバム『a day in the girls life』に続く待望の7thアルバム『12 promises made with her』をリリースしたguitarsisyo氏にアルバムを中心にお話を伺った。
コンセプト的には、自分のカラーを出しつつ、聴きやすいっていうのだけ意識しました
- –:まずはリリースおめでとうございます!今回の『12 promises made with her』はguitarsisyoさんの音楽への深い愛情が感じられ、全編凝縮された素敵な曲が詰まってると思いました。まずはguitarsisyoさんの作曲を含む創作への発想の源的なところを教えて下さい。
- guitarsisyo:まず、前作からの経過からお話しすると、前作が完成した後、PCとオーディオIFを入れ替えました。それまではずっとノートPCでチマチマと制作していましたが、デスクトップに変えてすごく画面も大きくなって見やすくなりました。
制作については、これまで同様の創作方法で、いろいろなサンプル音源をあさって、そこからインスピレーションを湧かせて進めました。また今回のアルバムは、最初と最後の曲以外はサンプル音源が起点になって制作しています。 - –:本作『12 promises made with her』で聴いて頂きたいポイントを教えて下さい。また全体でも個別でも何かコンセプト的なポイントはありますか?
- guitarsisyo:まず聴いたときに前作と大きく違うところは、ベース音が入ったことです。実は、これまであえてベース音を入れていない楽曲が多かったのですが、今回最初と最後の2曲を除く以外は全部入れました。やっぱり低音って大事ですね(笑)
コンセプト的には、自分のカラーを出しつつ、聴きやすいっていうのだけ意識しました。全編を通してBGMとして聴いていただけれるのがありがたいですね。
- –:『12 promises made with her』というはとても素敵なタイトルですね。このタイトルにした意図といったところを教えて下さい。
- guitarsisyo:今回は非常に悩みました。ここで言う彼女とは、娘を指しています。12の約束って言うのは、あくまで願望ですね。あまり詳しく言えないのですが、娘は約束って言う事が出来ないので、いつかそれが出来るようになったら、娘に話してあげたいですね。ちなみに各曲のタイトルに約束の内容が隠されています。その辺はご想像にお任せします。
- –:では各曲についてお聞かせ下さい。M2「Take Care Of Your Friends」は美しいギターの響きがとても印象的です。この曲の着想点はどういったところからきているのでしょうか?
- guitarsisyo:最初のサンプルが広がりのあるパッドの音で、あまり合わない感じのビートをあえて当ててみて、そこから作り込みました。ギターに関しては、エレピを入れた時点で、そこから広がりを持たせるように作りました。どの曲もそうなんですが、
基本的にはギターを重ねたときの響きや広がり感は、意識していますね。
- –:M3「Love It」はローズの質感やフレージングがとても素敵です。簡単にご自身での楽曲解説をお願い致します。
- guitarsisyo:ローズは2種類のサンプルを組み合わせて、作っています。僕の中では結構王道フレーズなのですが、BGMとして聴くにはいいかな?と思います。ギターも極力シンプルにしました。ドライブとかで聴くのが合うと思います。自分で車を運転することが多くなっているので、今後もこのような曲が増えるのではと思います。
- –:M5「Make Your Dream Come True」は本アルバムでの数少ないマイナー進行の楽曲かと思いますし、グルーヴィーでクールです。簡単にご自身での楽曲解説をお願い致します。
- guitarsisyo:これは完全に夜を意識していますね。あまり最初から決めて作る事は少ないのですが、この曲に関しては、作る当初から決めて作りました。ピアノのフレーズも、いいサンプルがあったので、それを元に作りました。
- –:M8「Look Ahead」とM9「Spare No Effort」はコケティッシュというかある意味ユーモアも感じさせる気持ちの良いダウンビートですね。それぞれ楽曲が出来上がっていく過程を教えて下さい。
- guitarsisyo:「Look Ahead」は、宮内優里さんの影響がモロ出ていますね。サンプル音源あさっていたときに、いい感じのがあったので、そこから作り込みました。といっても、使ったのは、日常の効果音だけなんですけど(笑)
「Spare No Effort」は、Love itと同時期くらいにあさっていたサンプル音源から作り込みました。実はこの曲が一番苦労しました……使ったサンプル音源にちょっと問題ありまして……ある意味いい勉強にはなりました(笑)
今後の制作に活かしていきたいと思います。
日常で流れる音楽、僕の場合は車のラジオなんですけど、いいと思ったものは、自分でもDAW上で試すようにはしています。その中から生まれることもありますね
- –:アートワークはカズキヒロ氏ぼ写真を使われたとお伺いしました。現物のCDを手に取られた際の感想を教えて下さい。
- guitarsisyo:すごくいいジャケで大変満足しています。ジャケ買いして欲しいです(笑)中のアートワークも僕の先輩の写真家のものが採用されていますので、こちらも宜しくお願い致します。ちなみに、中の写真は僕の住んでいる香川県にある、四国のウユニ塩湖と呼ばれる、父母ヶ浜と言われるところです。
- –:楽曲制作に対するアプローチや、楽曲制作で常に意識していることは何ですか?
- guitarsisyo:楽曲制作はとにかく数を作るようにしています。完成までしなくても、後から聴くとまた印象が変わったりもするので。最初から作り込むっていう事はしないようにしています。なので、殆どの曲が最初はデモレベルで、そこから微調整して完成させるという感じでやっています。後は、日常で流れる音楽、僕の場合は車のラジオなんですけど、いいと思ったものは、自分でもDAW上で試すようにはしています。その中から生まれることもありますね。
- –:これまでに影響を受けたアーティストを教えて下さい。
- guitarsisyo:国内アーティストでは、Spangle call lilli line、toe、宮内優里、山下達郎、国外ではmice parade、Squarepusher、i am robot and proudといった感じなんですけど、音楽的に衝撃を受けたのは、XTCと学生時代に知り合った先輩ミュージシャンです。先輩とはもう音信不通になってしまって何十年も経つんですけどね……。
- –:最近のお気に入りのアーティストや作品を教えて下さい。
- guitarsisyo:実はあんまり音楽聞いていないんですけど、去年でたFilFlaの新作はいまだによく聴いています。
あとは、サブスクでフュージョンとかスムースジャズとか言われるもののプレイリストを垂れ流ししていますね。
あんまり固定のアーティストを聴くことは少なくなりました。また日本のAOR(70年代、80年代くらい)とかを、ネタ的に漁ることはありますね。個人的には、このくらいの年代の楽曲って、滅茶苦茶演奏もうまいし、アレンジも曲もすごくよく出来ていると思います。 - –:フィーチャーや共演など、今後一緒にやってみたいアーティストはいますか?また、今後どのような創作を続けていきたいですか?
- guitarsisyo:いっぱいいます(笑)具体的な名前はここでは控えますけど、やっぱりバンドやっていた人間なんで、人とやるのは楽しいですよね。今後の創作については、基本的にはペースは変えないつもりですが、今ポッドキャストのほうで、ちょっと新しいプロジェクトがはじまりそうなので、まずは、そっちを形にしたいですね。その後、自分のほうの制作にまた取り掛かれればいいかなと思います。
- –:これからの音楽シーンについて、特にフィジカル、配信、ライブなど、アーティストの視点でみる今後や将来像的なところを教えて下さい。
- guitarsisyo:配信については、いい曲がすぐにリスナーへ届けれるという点では音楽家としては、ありがたいです。フィジカルについては、僕は古い人間なので、物として持っておきたいっていう気持ちが大きいので、無くなって欲しくないですね。ただ、配信にしてもフィジカルにしても、音楽を作っている側が創りだしたものではなく、流通側が創りだしたものなので、音楽家側はあまり意識せず、これから先も、いい曲を書くことが大事なのではと思います。
問題はライブですよね。新型コロナウイルスの影響で、当分ライブとかフェスとかって無理なんだろうなって思います。特にそれを生業にしていた人には大変だと思います。しかし、今後はライブの楽しみ方が変わってくるのかな?と思います。もちろん配信が主体になるでしょう。配信って、普段いろんな事情でライブに行けない人にとっては、すごくありがたいです。僕もそうです。前にナンバガールの無観客ライブの配信見ましたけど、もうお金払っても全然いいレベルでしたし。現状、ライブをやる側は、置かれた状況でできることをやっていくしかないですし、たとえ配信でもライブは楽しめると僕は思います。
あと配信がメインになると、場所が関係なくなるので、僕のように地方の田舎に住んでいても、デメリットは無いと思いますので、そこは僕自身も活かしていきたいです。ただこれについても、音楽家側というよりも、ライブハウスやフェスの運営側が考えていかなければならないことなので、いい方向に向かってほしいですね。
『12 promises made with her』
/ guitarsisyo
2020年5/13リリース
フォーマット:CD
レーベル:PROGRESSIVE FOrM
カタログNo.:PFCD97
価格:¥2,200(税抜)
【Track List】
01. AM 6:00
02. Take Care Of Your Friends
03. Love It
04. Be On Time
05. Make Your Dream Come True
06. Gentle To People
07. Walk Slowly
08. Look Ahead
09. Spare No Effort
10. Sometimes Remember Us
11. Happiness
12. Let’s Meet Again
Amazon
タワーレコード
2020.5.30 17:00
カテゴリ:INTERVIEW, PU3_ タグ:folktronica, guitarsisyo, JAPAN
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