【SELF LINER NOTES】Shingo Mimura『Heart Sky Door』
アルバムを制作するにあたり、自分にとって本当の癒やしとはなんだろうと考えていました。
祈る事やお墓参りの後のような心穏やかでスーっと前向きになれる、そんな感覚をイメージしました。
その後も色々考え、悩み、たどり着いた答えは『心』や『魂』を肯定する事ではないかと思ったのです。
人生を歩んでいく中で人は良くも悪くも変わって行きます。
精一杯生きていても悩み、後悔、怒り、妬み、様々な負の感情に支配される事も少なくありません。
だけど誰しも心の奥底に純粋で無垢で絶対に立ち入る事の出来ない神聖な魂を持っているのではないかと思うのです。
感情の先にある『魂』が否定される事なく、全て肯定出来るような穏やかな音楽、美しい作品を作りたいと思いました。
制作過程でずっと意識していたのは、心を出来るだけ空っぽにしてこの曲が何を求めているのかを注意深く感じる事、心を穏やかにして集中し、自分に問いかけ答えていく、それを音に変換していく作業。同時にある時ふと気付いた事があって、他の何かの行為と似ているなと感じました。
それは『祈り』でした。
神社や神様の前でただ『お願い』するのではなく、手を合わせて心穏やかに今の自分の状況、周りの状況を思い、こんな世の中であってほしい。
その為に自分はこうしていきたい。
その過程が自分の制作過程と同じだったのです。
音楽面で最も大事にしている事は『質感』を表現する事でした。特に今回こだわったのはピアノの音で、各曲のイメージにあった空気感になるように様々な工夫をしました。幼少の頃より弾いていたアップライトピアノの音がインスピレーションを与えてくれました。次にベース。演奏家として最もキャリアが長い楽器で私の個性の一つといえます。今回多くの曲でエレクトリック/アップライト共に使用しています。但し通常よくあるベースラインを演奏しているのではなく、背景を彩るパッド音や実験的な音として使用しています。とてもユニークで美しく、温かみのある音を得る事が出来たと思っています。その他ノイズも含め、生活の中にある音や自然の音を使い世界観を表現しています。
シロフォンのサンプリング録音を北航平さんに担当して頂きました。
基本はピアノとストリングスによるシンプルなアンサンブルですが、楽器以外に革靴をこすったり、床を滑らせたり、紙クズを丸めたり様々な物質からでる音を収録し加工しています。
沢山のユニークな音とピアノアルペジオ、ストリングスで滑らかな躍動感と雄大なイメージを表現しています。
佇まいがまるでラピュタの世界観のようだと知られています。
人間が造った、肯定も否定も出来ない戦いの歴史の跡。
長い時間をかけてその人工的構造物が魂とともに自然に飲み込まれていく荒廃感、無常感や哀しさ、美しさを表現しました。
各フレーズの『間』にそれぞれの楽器の音が美しく、深く響くように音作りを意識しました。特にチェロ、バイオリンの息づかいを感じるような演奏がとても気に入っています。また背景に何かがうごめいている様子を描きたいと思い、石臼の音などを加工しています。
この曲は全曲中で最も悩み、時間がかかりました。基本14/4という変則的なフレーズに並行して3/4や5/4拍子などのフレーズを混ぜる事で混沌とした印象を描いています。
この曲も膨大なトラックを使用していますが、どこか静寂感がある様に目指しました。
激しく愛し合った若き2人を回想し描いたポストクラシカル作品です。
バイオリン、ビオラ、チェロを何回も繰り返し収録し、全ての録音を少しずつ混ぜる事で、絶妙で豊かな響きを表現する事が出来ました。
ヨーロッパのどこかの街で、再び出会う二人の男女。
でもそれは「必然の再会」。
ピアノの内部奏法と様々な物質音でユニークなグルーヴを表現しています。
ノイズを多く含んだアップライトピアノとこもったストリングスの音でノスタルジックな空気感を表現しています。
この曲のみテーマとなるリフにシンセサイザーを使っています。変拍子を使用する事で独特な浮遊感を表現しています。
穏やかな眠りの中で聴こえてくるような音をイメージしたアンビエント作品です。
ボーカル/コーラスを堤沙織さんに担当して頂きました。声を彼女と私で収録しました。
様々な国の『ありがとう』を収録し、耳元でささやくヒソヒソ話のような演出をしています。
ボーカル/コーラス/声を堤沙織さんに担当して頂きました。
中性的な質感の声が魅力的でエフェクトをかけた時の音がとても印象的です。
背景でスティーブライヒのようなミニマル的表現をカリンバで制作しています。
地中に伸びた根から大きな幹を通って枝先、葉脈まで満ちていくエネルギー。
そこから放たれる精霊たちを表現しています。
祈る事やお墓参りの後のような心穏やかでスーっと前向きになれる、そんな感覚をイメージしました。
その後も色々考え、悩み、たどり着いた答えは『心』や『魂』を肯定する事ではないかと思ったのです。
人生を歩んでいく中で人は良くも悪くも変わって行きます。
精一杯生きていても悩み、後悔、怒り、妬み、様々な負の感情に支配される事も少なくありません。
だけど誰しも心の奥底に純粋で無垢で絶対に立ち入る事の出来ない神聖な魂を持っているのではないかと思うのです。
感情の先にある『魂』が否定される事なく、全て肯定出来るような穏やかな音楽、美しい作品を作りたいと思いました。
制作過程でずっと意識していたのは、心を出来るだけ空っぽにしてこの曲が何を求めているのかを注意深く感じる事、心を穏やかにして集中し、自分に問いかけ答えていく、それを音に変換していく作業。同時にある時ふと気付いた事があって、他の何かの行為と似ているなと感じました。
それは『祈り』でした。
神社や神様の前でただ『お願い』するのではなく、手を合わせて心穏やかに今の自分の状況、周りの状況を思い、こんな世の中であってほしい。
その為に自分はこうしていきたい。
その過程が自分の制作過程と同じだったのです。
音楽面で最も大事にしている事は『質感』を表現する事でした。特に今回こだわったのはピアノの音で、各曲のイメージにあった空気感になるように様々な工夫をしました。幼少の頃より弾いていたアップライトピアノの音がインスピレーションを与えてくれました。次にベース。演奏家として最もキャリアが長い楽器で私の個性の一つといえます。今回多くの曲でエレクトリック/アップライト共に使用しています。但し通常よくあるベースラインを演奏しているのではなく、背景を彩るパッド音や実験的な音として使用しています。とてもユニークで美しく、温かみのある音を得る事が出来たと思っています。その他ノイズも含め、生活の中にある音や自然の音を使い世界観を表現しています。
01 Heart Sky Door – 空のすきまに扉はひらく
ピアノを傍で聴いている様な音作りを意識しました。一方で楽曲の構成やメロディ、アレンジはどこまでも続く空の様に、スケール感のあるイメージを目指しました。また背景にピアノ内部の音やノイズ、エレクトリックベース/アップライトベースの音を使い、空気感を演出しています。02 At 1.5 Knots Over Still Water – 湖水の1.5ノット
バイオリンは串田えがくさん、ビオラは佐野美菜子さん、チェロは森左介さんに担当して頂きました。シロフォンのサンプリング録音を北航平さんに担当して頂きました。
基本はピアノとストリングスによるシンプルなアンサンブルですが、楽器以外に革靴をこすったり、床を滑らせたり、紙クズを丸めたり様々な物質からでる音を収録し加工しています。
沢山のユニークな音とピアノアルペジオ、ストリングスで滑らかな躍動感と雄大なイメージを表現しています。
03 Sarushima Heartbeat – 猿島の心臓
かつて東京湾の砦だった無人島『猿島』。佇まいがまるでラピュタの世界観のようだと知られています。
人間が造った、肯定も否定も出来ない戦いの歴史の跡。
長い時間をかけてその人工的構造物が魂とともに自然に飲み込まれていく荒廃感、無常感や哀しさ、美しさを表現しました。
各フレーズの『間』にそれぞれの楽器の音が美しく、深く響くように音作りを意識しました。特にチェロ、バイオリンの息づかいを感じるような演奏がとても気に入っています。また背景に何かがうごめいている様子を描きたいと思い、石臼の音などを加工しています。
04 Shinjuku, A New Day Dawns – 新宿、東の空
カリンバの音で粒の細かいリフを制作しています。石を砕く音や呼吸の音、その他様々な物質を使って音を収録し、それぞれの音がグルーヴの一部になるように散りばめています。100トラック以上の膨大な音を収録し、躍動感とダイナミックな『広がり』を追求しました。一方、それぞれの音の性質により、『広がり』とは逆に静かに燃え続ける『内向的な魂』を表現しています。05 Artless Beauty – 天衣無縫
ボーカル/コーラス/声を高山奈帆子さん(a.k.a. Carneiro)に担当して頂きました。声そのものに映像的な奥行感、空気感があり、全体の世界観を包み込んでいてとても気に入っています。トイピアノのサンプリング録音を北航平さんに担当して頂きました。この曲は全曲中で最も悩み、時間がかかりました。基本14/4という変則的なフレーズに並行して3/4や5/4拍子などのフレーズを混ぜる事で混沌とした印象を描いています。
この曲も膨大なトラックを使用していますが、どこか静寂感がある様に目指しました。
06 Dasha Waits – ダーシャの待ち人
東欧の小さな村。戦いに旅立った愛する人をただ待ち続ける老婆のストーリー。激しく愛し合った若き2人を回想し描いたポストクラシカル作品です。
バイオリン、ビオラ、チェロを何回も繰り返し収録し、全ての録音を少しずつ混ぜる事で、絶妙で豊かな響きを表現する事が出来ました。
07 Tangled Fates – その糸を辿れば
「偶然の再会」。ヨーロッパのどこかの街で、再び出会う二人の男女。
でもそれは「必然の再会」。
ピアノの内部奏法と様々な物質音でユニークなグルーヴを表現しています。
ノイズを多く含んだアップライトピアノとこもったストリングスの音でノスタルジックな空気感を表現しています。
08 Museum In The Deep Sea – 深海美術館
深海の優しい生物たちが行き交う景色をイメージしています。この曲のみテーマとなるリフにシンセサイザーを使っています。変拍子を使用する事で独特な浮遊感を表現しています。
09 A Short Letter Of Farewell – 短い手紙
天寿を全うした大切な人が、空からさよならの挨拶をしてるような、だけど悲しくない別れ。穏やかな眠りの中で聴こえてくるような音をイメージしたアンビエント作品です。
ボーカル/コーラスを堤沙織さんに担当して頂きました。声を彼女と私で収録しました。
様々な国の『ありがとう』を収録し、耳元でささやくヒソヒソ話のような演出をしています。
10 Spirits Of The Bodhi Tree – 菩提樹の精霊
神秘的で優しいエネルギーのある音をめざしました。ボーカル/コーラス/声を堤沙織さんに担当して頂きました。
中性的な質感の声が魅力的でエフェクトをかけた時の音がとても印象的です。
背景でスティーブライヒのようなミニマル的表現をカリンバで制作しています。
地中に伸びた根から大きな幹を通って枝先、葉脈まで満ちていくエネルギー。
そこから放たれる精霊たちを表現しています。
『Heart Sky Door』 / Shingo Mimura
2018年9/12リリース
フォーマット:CD
レーベル:PROGRESSIVE FOrM
カタログNo.:PFCD81
価格:¥2,200(税抜)
【Track List】
01. Heart Sky Door
02. At 1.5 Knots Over Still Water
03. Sarushima Heartbeat
04. Shinjuku, A New Day Dawns
05. Artless Beauty
06. Dasha Waits
07. Tangled Fates
08. Museum In The Deep Sea
09. A Short Letter Of Farewell
10. Spirits Of The Bodhi Tree
【副題】
01. 空のすきまに扉はひらく
02. 湖水の1.5ノット
03. 猿島の心臓
04. 新宿、東の空
05. 天衣無縫
06. ダーシャの待ち人
07. その糸を辿れば
08. 深海美術館
09. 短い手紙
10. 菩提樹の精霊
2018.10.26 18:00
カテゴリ:INTERVIEW, PU3_ タグ:ambient, instrumental, JAPAN, shingo mimura