【REVIEW?】ペンネンネンネンネン・ネネムズ 2ndアルバム『whim』全収録曲のMV9本を解説
9月に2ndアルバム『whim』をリリースしたバンド、ペンネンネンネンネン・ネネムズ。
彼らはアルバムのリリースに際してあるプロモーションを行った。
それはアルバム全収録曲のMVを公開するというものだった。
全曲を試聴可能にしまうメリットとデメリット、単純に全曲のMVを制作するというリソース上の問題をどのように解決するのかという不安をよそに、彼らは持てる時間と技術と知恵を使い全曲分のMVを公開してきた。
手書きのアニメーションが印象的な「そらちゃんのテーマ」。
ソ連時代のフイルムのような摩訶不思議な雰囲気を醸し出す「Mashkov and Gedevan」。
いやいやえんのささきさき主演の日常感がたまらない「南浦和の恋人」。
以前から公開されていたがアキ・カウリスマキ愛が視聴者を唖然とさせる「ストラトキャスター」。
どれもこれもペンネンネンネンネン・ネネムズというバンドのファンを納得させる色合いの強いMVたちである。
そして彼らは11/23(水・祝)にミュージックビデオの上映会を開催するという。
彼らのミニライブや『whim』のジャケットに使用された田川薫さんの原画の展示も行われるこのイベントを前に、このMV群についての彼らのセルフライナーをお願いし、掲載する許可をいただいた。
上映会当日に会場へ行ける方にも当日行けない方にも、全てのMVを見れていない方にも、ペンネンネンネンネン・ネネムズに興味があるがよく知らないという人にも楽しんでいただけるテキストになったと思う。
1.そらちゃんのテーマ
おいっこがちょーかわいくてピカピカしていて、ひたすらに会いたいという気持ちだけで書いた曲。
初めて演奏したのは新世界交響楽団というユニットで、ドラムにエレアコという編成だった。
ネネムズでのアレンジも気に入っている。
MVは、田川薫さん(月の海、umistudio)のイラストを使わせてもらった。
もともとはアルバムのジャケット用にイラストの制作を依頼したのだが、どれも素敵でしかも相当な枚数を描いてもらった。
「なんかかわいい&なんかこわい」のような子ども特有の感じが曲とイラストに共通しているのでは、と思い使わせていただきましーた。
イラストを切ったり貼ったり塗ったりして一枚ずつ書き出していき、アニメーションとして並べていく。
制作を始めてすぐネタが切れて後半はアイディアをひねり出すのに苦労した。
後半のサイケ色が濃くなってくるところが好きです。
素材として、クラブで回るミラーボールや長岡の花火大会で撮った写真、自分の腕の画像なんかも使っている。
(藤井)
2.Mashkov and Gedevan
映画を見て意図的に曲を作ろうと思ったことはないけれど結果的にそうなることが多い。
ほとんどの映画は印象だけを残して他のことはたいてい忘れてしまう。
その印象や感動は長い間自分の中に沈殿していて、あるときひょんなタイミングでブワービシャーと飛び出てくることがある(ないない)。
この曲もその中のひとつで、アレンジも詞もギターリフも気に入ってる。
MVに関しては神ノ口くんにSF感を出したいという要望を出していた。
撮影中は完成イメージがまったく共有できていなかったが、完成版を見て日中の明るい映像ばかりなのにすごくSF感というか宇宙人感が出ていていいなと思った。
(藤井)
3.南浦和の恋人
浦和と名のつく駅は北浦和駅、東浦和駅、南浦和駅、西浦和駅、浦和駅、武蔵浦和駅、中浦和駅そして浦和美園駅と全部で8つもあります。その中でなぜ南浦和が選ばれたのかは置いておいて、この曲はネネムズとしては珍しく実直なラブソングであり、現代っぽい、若いふたりによる小さな恋を描いた作品になります。
MVは「ストラトキャスター」に引き続き山本監督に依頼しました。山本監督が撮影前のロケハンで感じたこと、それは「特徴のない街だね」ということでした。ふむふむ、たしかにそう特徴なし。しかしそれでよかったと思います。ぼくたちは実際さして特徴のない街に住みながら、俯瞰的にみれば特徴のない恋をします。この曲で描きたかったこと、それは歌詞の中の一節「ランチを食べ 君の家へ歩いていた頃は ふんわりふんわり 飛んでいるような心地がしたよ」に表されるような特徴のない日常の1コマなのです。そしてこのMVはそんな何げなさすぎで、愛すべき1コマ1コマが集まってできているのだと思います。
(神ノ口)
4.すこしふしぎ
この曲は、自分の職務質問されるべき不審者的な怪しさと青くさいガキっぽさが共存していると思う。
ストリングスのアレンジがそれらを中和しつつ際立たせているというか、なんかそんな感じがしてる。
このストリングスアレンジは古い友人である有田氏 (AJYSYTZ) に依頼した。
仕上がりを聞いて彼は自分のことを理解してくれているんだなーと勝手ながら思いました。
とても感謝しています。
サビのコード進行は、高2のころはじめて真剣に書いた曲から拝借した。
(松本大洋のGOGOモンスターを読んで作ったかっこよい曲でした。高2の藤井くんが報われた瞬間。)
MVは当初、荒川の土手で夕暮れ時を狙う計画を立てていたが、天候や締切の関係でやむなく台風明けの真昼間に撮影することになった。
台風の影響かなにかで当日はやや風が強く、空は怪しくきれいだった。
想定外のことがいろいろ発生していたが、一発撮りにこだわって貫いた結果、よい出来上がりになったと思う。
偶然にも曲の終わりで飛翔する鳥が映り込むというところもいいですよね。
あと自分の後頭部がすげえでかいなと思った。
撮影後に「Mashkov and Gedevan」にも出演している亀の亀山くんとフルートのちいちゃんのラブシーンを撮ったのだが、
結局MVでは不採用となった。もしかしたらMV上映会で見られるかもしれません(来て下さい)。
(藤井)
>>次ページ「5.ストラトキャスター」〜
ペンネンネンネンネン・ネネムズ
2ndアルバム『whim』
ミュージックビデオ上映会&ミニライブ
2016年11/23(水・祝)国立 音楽茶屋 奏
LIVE:ペンネンネンネンネン・ネネムズ
GUEST:山本鷹生 / 田川薫
Open 14:30 / Start 15:00
Charge ¥1,000(+1d)
※20名限定
※予約制
予約方法:
メール(mail@pen-nenems.com)
Facebookのイベントページにて参加ボタンをクリック
※whimのジャケットに使用された田川薫さんの原画も展示予定
2016.11.14 12:00
カテゴリ:REVIEW タグ:JAPAN, ペンネンネンネンネン・ネネムズ
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