【INTERVEW】死神紫郎(ギター弾き歌手)×天使弾道ミサイル(映像作家)インタビュー
死神紫郎が、昨年12月に配信リリースした1stデジタルシングル「人間樹海」が、iTunes Storeでフォーク トップソング 日本1位を記録した。
その裏には天使弾道ミサイル監督による「short film ver.」と副題が付けられた衝撃のMVの存在があった。
そして本日、そのメイキング映像が公開された。
今回はMVの制作秘話に迫るべく、5つの質問を投げかけた。
(聞き手:MCミチ)
〜天使弾道ミサイル(映像作家)編〜
- Q1:今回の作品では、死神さんがトイレに入るシーンが印象的でしたが、死神さんの以前の作品「続・自殺の唄」の中にもトイレのシーンがあります。
何かトイレへの拘りがあるのでしょうか? - 天使弾道ミサイル:トイレへの拘りは特にないですが、僕が作品で描いてる多くは人間の営みに関する事が多いです。
例えばセックスがそうですが、人間が当たり前として行う行為を「恥ずかしいもの」として扱う子供っぽい社会を反映しています。 - Q2:また、お二人の対談動画の中で、エンディングのシーンはウンコが流れるシーンにしようと仰ってたのですが、本編では、死神さんが鏡を見て終わるシーンが印象的でした。
エンディングシーンを変更した理由は?
https://youtu.be/mJt8jBB45hg
https://youtu.be/iyXnG5PiO3k
- 天使弾道ミサイル:人間は他者からの影響を常に受けています。
他人に感化されて行動が変わるなんて事は日常茶飯事で、その他人も誰かから影響を受けている。
ではそもそも他人と自分に境界なんてあるのでしょうか?
このような意図でエンディングは構成されていて、変更はされているものの意味は同じで、死神氏をラストにする事によって「傍観者が1番の加害者である」というメッセージをつけ加えました。 - Q3:本編では、オープニングシーンが主観映像で始まり、エンディングは鏡越しに死神さんが自分を客観視している映像で終わるのですが、天使弾道ミサイル監督は、この作品に限らず、伏線を回収する事は計算されてますか?それとも、自然とそうなってますか?
- 天使弾道ミサイル:計算しなくてもキャラクターの設定さえしっかり作れば、キャラが勝手に解決していきます。
映像論法ありきの作品づくりは、評価されたいというエゴに基くので僕はやらないです。 - Q4:本編では、void氏扮するギャルの存在が無くてはならないアクセントになっていたと思ったのですが、彼女の演技はどのくらい即興で、どのくらい演技指導されたのですか?
何故この質問をしたかと言うと、天使弾道ミサイル監督の作品の殆どには、彼女のようなアクセントのある役者さんを起用されます。
どこまでその演技をコントロールされるかが知りたいです。 - 天使弾道ミサイル:基本的には本番に入る前に、作品で伝えたいこととキャラクターの意図をお伝えするので現場ではボリューム調整程度ですが、その人が現実に抱いてる先入観はしっかり外します。
- Q5:今回、「人間樹海」という作品が何楽章かで区切られていた事もあり、本MVでは音楽を途中で区切り、ドラマ仕立てにされました。
そのアイデアはどの段階でどういう経緯で思いつきましたか?また、それによってビデオが長くなる事への抵抗感はありましたか? - 天使弾道ミサイル:アイデアというのは思いつくものではないと思います。
話を整理していった結果、それがアイデアとなっているだけです。
ビデオが長くなる事への抵抗はありません。
尺が長くなると見てもらえる可能性は減ると思いますが、そもそも作品を人に見てもらう必要があるのか?という問いまで立ち返っています。
例え再生回数が0でも、作ったものに価値を感じれるかが重要だと思います。
〜死神紫郎編〜
- Q1:まず、今回の「人間樹海」の発表に当たって、天使弾道ミサイル監督との対談動画をzoomにて前・後編に分けて撮影しました。
また、死神紫郎さんは去年YouTubeも始められ、よりその人間性を開示され、ファンやリスナーさんが作品をより理解しやすくなったと思うのですが、最近そういった自己開示を積極的にされようと思ったキッカケや心境の変化はあったのでしょうか? - 死神紫郎:2020年6/14に池袋手刀で初の配信ライブをやったのがきっかけでした。
配信ライブは、生ライブよりつまらないものと思い込んでいたのですが、やってみたらこれが面白かったんです。
ライブハウスのキャパ以上のお客さんが見てくれるし、これはすごいなと。
自己開示を積極的にし始めたのは、MCだけでも面白いなんて言われて調子乗った結果です。
ピンときたものはすぐ乗っかろうと思って、配信ライブの4日後からYouTuberを始めました。
今はモノの弾み、直感を大事にしてます。 - Q2:「人間樹海」に限らず、死神紫郎さんの作品には独特の「間」があり、個人的にはその「間」こそが今回のような長編MVを飽きさせないようにさせていると思いました。
どのようにして、そのような音楽スタイルに辿り着いたのか興味があります。
何か大きなキッカケや影響があったのでしょうか? - 死神紫郎:17年くらい前に、志度というドラマーと知り合ったことがきっかけです。
今でも年1くらいで“死神紫郎バンド”(死神紫郎の楽曲をバンド形式で演奏するグループ)で叩いてもらっています。
最初、彼とバンド組むときに「西洋の真似事止まりのロックはダサいから、日本独自のロックを創り出そう」と半年掛けて研究するうちに、“間”に着目するようになりました。
そこから舞踏に興味を持って、舞踏家・中嶋夏さんの稽古場に通うようになりました。
舞踏を通して“間”を学ぶのが私には一番合っていました。
音楽的な“間”のアプローチは、マリア観音の影響が一番強いです。
リーダーの木幡東介さんに定期的に稽古つけてもらってた時期もあるのですが、キツすぎて1ヶ月足らずで逃げました。
- Q3:今回の「人間樹海」も含め、死神紫郎さんのMV撮影では、ゲリラ的な手法で撮影されたものも多いのですが、void氏などに関しては、その過酷な状況すらも楽しまれているように見えたのですが、死神さんはこのような過酷なロケ環境に対する心境どうだったのか知りたいです。(笑)
- 死神紫郎:ああ見えて実は楽しんでますよ。
それでもやはり過酷は過酷ですから「一発で決めてやる! 」という気持ちが強かったです。
中途半端にやってNG出したら、ますます過酷になるだけなんで。
以前、さそり監督というゲリラ撮影をメインに撮る人の自主映画に出演したことがあって、そこで全裸で公園走ったりするうちに「一発で決めれば自分も他の俳優もスタッフも一番ラク」ってことを身を持って学んだんです。
本音を言えばゲリラは心配事が増えるので嫌ですけど、それでも表現したいことがあるからこそ、率先してやりたいんです。 - Q4:少しディープな質問になります。
死神さんの作品には、世間的にはマイノリティー側に属する人達の心境が巧みに描かれている事が多いような印象を受けるのですが、普段の素の死神さんご自身の性格はマイノリティー側に属されていると思われますか?
また、死神さんが食事をされているシーンの中で、死神さんが左利きだという事が判明したのですが、幼少期、その左利きは親御さんから矯正されましたか?
(左利きである事は日本では稀少な部類に入るので、敢えてこの質問をさせて頂きました。) - 死神紫郎:自分では、「マイノリティになりたい願望を持ったマジョリティ」だと思ってます。
平穏な会社員の家庭に生まれ育って、高校大学にもダラダラと行って、まるで苦労らしい苦労をしてないんです。
マイノリティには苦労が似合うんです。
そこから生まれる本物の怒りとか悲しみは画になりますから。
私にはそれがないんです。
ですが、マイノリティに成りきれないマジョリティだからこそ感じられる、違和感や気づきもあるのでそれを歌にしています。
それからMVの“左利き”に注目してくれたのは素晴らしい視点ですね。
実は私は“右利き”なんです。
あれは天使弾道ミサイル監督のアイデアです。
いつものように日常生活が送れなくなるのを、“左利き”生活で表現しています。
おまけに、医療用ゴム手袋で作られたチューブを手は引っ張られてますし、何もそこまでしなくてもいいと思うのですが、天使弾道ミサイル監督ですから、そこまでやるんです。 - Q5:天使弾道ミサイル監督との対談の中で、アーティストはマスタリングが終わった段階でその作品が手から離れるというような主旨の事を仰ってました。
映像作成やその編集に関してはおそらく監督に全幅の信頼を寄せておられると思うのですが、今回の作品の編集が上がってきた段階で率直にどんな印象を受けられましたか?予想通り?予想以上? - 死神紫郎:予想以上に「これは酷い!」と思いました(笑)
もちろん誉め言葉です、情報量の暴力ですよ。それとゲリラ撮影のシーンが、撮影時間に比べたら随分少ししか使われていないんだなと。
一番ヒヤッとしたところが案外使われていなかったり。
ゲリラの贅沢遣い、監督らしいなと思いましたね。
コラボに必要なのは、相手を信じることと敬意だと思っています。
だから天使弾道ミサイル監督には映像に関するすべてを任せました。
過去2作含め、一度もリテイクをお願いしたことはありません。
「さすがにこれはダメでしょ」という線を越えたら当然言いますけど、いつもギリギリを攻めてきてくれるんです。
そこがコラボの面白さだとも思っています。
「人間樹海」/ 死神紫郎
2020年12/21リリース
フォーマット:デジタル配信
配信URL一覧
死神紫郎企画
『三輪の黒い薔薇-東京編-』
2021年02月13日(土)大久保ひかりのうま
ACT:死神紫郎 / 魚住英里奈 / 豊川座敷
Open 13:00 / Start 13:30 (終演予定15:30)
会場チケット:¥4,000(+1d)※完売
配信チケット:¥2,800(2週間視聴可)
チケット購入:
TwitCasting
*配信イベントページにアクセスしてご購入ください。
※ご購入の際、メッセージ欄に【お目当ての出演者】のご入力をお願いいたします。
【タイムテーブル】
◎13:20~配信開始
◎13:30~14:00 [1].死神紫郎
◎14:15~14:45 [2].魚住英里奈
◎15:00~15:30 [3].豊川座敷
豊川座敷企画
『三輪の黒い薔薇-大阪編-』
2021年3/13(土)難波ベアーズ
ACT:死神紫郎 / 魚住英里奈 / 豊川座敷
Open 18:30 / Start 19:00 ※60名限定
Adv. ¥2,500 / Door ¥3,000(+1d)
チケット購入:
予約フォーム
【タイムテーブル】
◎19:00~19:45 [1].豊川座敷
◎19:55~20:40 [2].魚住英里奈
◎20:50~21:35 [3].死神紫郎
■チケットご予約方法:
「お取り置き予約のみ」となります。
お取り置き予約とは、ライブハウスの受付で前売りチケットを「取り置く」ことができるシステムです。
予約フォームにアクセスし、【公演日時】【ご希望枚数】【お目当ての出演者】を選択し、【お名前(カタカナ)】と【メールアドレス】をご入力ください。
ご予約が確定すると、自動返信メールが届きます。
ライブ当日に会場受付にて【お目当ての出演者名】で予約している旨とお名前をお伝えいただき、代金をお支払いください。
2021.1.26 18:00
カテゴリ:INTERVIEW, PU3_ タグ:JAPAN, 天使弾道ミサイル, 死神紫郎
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