【INTERVIEW】Austin Lucas『Immortal Americans』
フォークとパンクにカントリーの要素をミクスチャーした米国の音楽家であるAustin Lucasのアルバムを紹介したい。
Austin Lucasは、インディアナ州出身のアーティストでロバートプラントとの共作でも知られるカントリーシンガーAlison KraussがプロデュースしたBob Lucasの息子として生を受け、幼少期にはインディアナ大学少年合唱団で六年間歌っていたという。
音楽キャリアの最初期では、Twenty Third Chapterでベース兼バッキングコーラス担当として。
その後はRuneというバンドでリードボーカル、並行してK10というバンドでリードシンガー兼ギタリストして活動を開始し、2013年にNew West Recordsと契約して以降、現在は主にソロとしてシンガー兼ギタリストとして活動をしている。
今回、紹介するAustin Lucasの『Immortal Americans』は、2018年にリリースされた7枚目のソロアルバムで彼の伴侶が癌に蝕まれている最中に多くの楽曲が作曲されている。そんな逆境の中でありながら、彼のルーツであるパンクロックやロックンロールのルーツを意図的に取り入れ、故郷の子供時代の情景を思い起こさせるような郷愁だけではない力強さを取り入れることに成功している。
また、レコーディングエンジニアは、スティーブアルビニを迎え虚飾をとりはらったシンプルでありながら温かみのあるサウンドで彼の切実な心情を克明に記録され、このシリアスな作品に花を添えている。
全編に渡ってイメージされるカントリー色、カラっとしたドライな手触りでメジャーキーの作品や、バンジョーといった要素は全く強くなく、サウンドとしてはブリティッシュロック的な影響も感じられる切々とした切実なサウンドでパーソナルな内容を切々とした要素でサウンド面ではたびたび挿入される美しくメロディアスなペダルスティールのサウンドが雄弁に歌詞だけでは伝わらないサウンドを補足しているのがとても印象に残る。
また、タイトルチューンである『Immortal Americans』ではアメリカの片隅に暮らす諦念といった情景を思い起こし、郷愁とともにほのかな毒も感じられてサウンドとともにビターな印象が非常に現代的であり、大きな田舎の集合体である合衆国に思いを馳せさせた。
以下にAustin LucasにEmailで本作について行なったインタビューを掲載する。
このアルバムのサウンドは、シンプルに歌とパフォーマンスの本質をオーガニックに届けることができたと考えています
- ー:このアルバムの内容はとてもシンプルでクリーンに感じられるますが、それプラス個人的な体験に根差した情景を思い起こさせるところがありましたが、アルバム制作時はどんな感じだったのでしょうか?
(I feel Immortal Americans album is very simple and clean , and the sound makes me variety of scenes that’s my similar personal memories. How was the your feel at that time?) - Austin:今回のアルバムでは可能なかぎり私の声とサウンドを自然にする必要性を感じていました。また、殆どの曲を1,2週間でほぼライブレコーディングで全てのマテリアルを録音しました。それによってこのアルバムのサウンドは、シンプルに歌とパフォーマンスの本質をオーガニックに届けることができたと考えています。
(What you have already said is very accurate, I very badly wanted to have these songs and my voice sound as natural as possible. We recorded most of these songs in one or two takes, completely live with vocals and everything. And I believe we really succeeded in making something organic, with a simple and direct line to the song and the performers. ) - ー:「My mother and the Devil」という曲がジョニ・ミッチェルの曲のように静謐に感じられ、MVもよかったです。
この曲のレコーディングはいかがでしたか?
(I especially like the song My mother and the Devil. My mother and the Devil sounds serene like joni mitchell for me, And the MV is beautiful. How was the recording at this song?) - Austin:この曲はとても陰惨な曲で、ペダルスティールとピアノのオーバーダブ以外はワンテイクでとってしまいました。まるでアーティストがスタジオでたまに夢想するようなワンテイクの魔法のがつまったピースのような曲です。この曲はレコーディングしたメンバー間のスペシャルな瞬間と空気感をプレイバックしたときにすぐ感じたほどです、私がレコーディングしたあらゆる曲のなかでも一番のお気に入りとなっています。
(It was very somber, we did this in one take aside from the pedal steel overdub and a piano track at the end. It was the kind of moment in time that an artist dreams about in the studio. When we listened to the playback together afterwards, there was this feeling among all of us that we ’d done something incredibly special together. Especially with the interplay of the drums and bass acoustic guitar. To be honest, it ’s my favorite piece of music that I ’ve ever recorded. )
。彼の姿勢は頑固なまでに生々しくあることとパンクであることで、それは私にとっても同様だったからです
- ー:サウンドに関して、とてもいい音でストレートですが、スティーブ・アルビニとのレコーディングはいかがでしたか?そしていつからの知り合いなのでしょう?
(I feel Immortal Americans’s sound is very Fresh and straightforward,beautiful. How was the recording process by Steve Albin?How did you meet him?) - Austin:実際彼と知り合ったのは、このアルバムのデモを彼に送ってポジティブな反応が返ってきてからでした。それから彼とは電話番号をお互いに交換し、わたしにとって非常にフィットする人物でした。彼の姿勢は頑固なまでに生々しくあることとパンクであることで、それは私にとっても同様だったからです。彼と作業をすることで私は彼に殆ど意見やお願いをすることなくただ通じ合い、私が考えるようにレコーディングを進めてくれたのですとてもうまくいく頑固な関係性を構築し、レコーディングとしても大成功でした。
(I actually just reached out to him and sent the demos for the songs of the album and he responded positively about them. We had a phone call together and it seemed like it would be a good fit for me. His attitude is incredibly raw and punk and in that way, we ’re very similar. With Steve Albini, there ’s no bullshit or pretension, he ’s just a what you see is what you get sort of a guy and so am I. This works well for me in a professional relationship and is exactly the type of aesthetic I prefer for the sound of a recording as well. ) - ー:最後にサウンドに関して、ペダルスティールギターのプレイヤーが楽曲を補強し、いいプレイをしていると感じましたがまとめて楽曲のアレンジ上のポイントを教えてください。
(Especially,It seems pedal steel guitar player reinforce your good writing song makes more emotinonal. What is the point of your arranging the songs you make.) - Austin:ペダルスティールは実際お気に入りの楽器で、歌のサポートとしても私の楽曲にはフィットします。サウンドにおける美や悲しみといった要素を表現する点において。今回のアルバムでは、トッド・ビーンという2008年からずっと一緒にプレイしていて、一緒に世界中をツアーしている気ごころ知れているメンバーにこの楽器をプレイしてもらいました。彼との出会いは、とあるアワードに出席するためにお互いのことを知る前に偶然ロンドンで出会って、それから一緒にスタートレックの俳優のパトリック・スチュワートに会いました。これは私の人生の中で最も驚くべき経験の一つです。私はかなりのスタートレックファンなので(笑)それからは全てのアルバムでプレイしてもらっています。
(Well pedal steel is my favorite instrument to have supporting me when I sing. There ’s something very special and beautiful about it the sadness of its sound. The person who played on that is also a very special person for me. His name is Todd Beene and we ’ve toured all over the world together since 2008 and he ’s played on nearly all of my albums since then! We actually just accidentally ran into each other at an awards show in London, didn ’t know each other would be there and it was the best surprise. Then we met Sir Patrick Stewart together. Which is going to probably go down as one of the most amazing experiences of my life. I ’m a pretty big Star Trek fan. )
インタビュー・文・和訳:オオシマトモヒロ
2019.3.7 12:00
カテゴリ:INTERVIEW, PU3_ タグ:alternative, austin lucas, country, USA
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