ちんこちんこ！って叫んでるような曲って本当に少なくなっているじゃないですか（笑）真面目だけど遊んでる、そういうのをリリースしていきたい（ゆずちん）

＜『JUKEしようや Barren Illusion ~ Remember Hiroki Yamamura ~』2016年4月リリース＞

—では『JUKEしようや Barren Illusion ~ Remember Hiroki Yamamura ~ 』の話になりますが、先程にも言ったようなジュークを常に作っている人と初めて作っている人の違いとは別に、色々なレイヤーが折り重なっている作品だなと思っていて、オモイデレーベルから出た作品で一番の作品なんじゃないのか？とも思っているんです。

ゆずちん：僕のトラックメイカーとの繋がりとか、できうる限りのすべてを込めた作品なので、そう言っていただけるのはありがたいです。

—・・・この流れで話をするのすごく辛いな！でも頑張ります（笑）。今作において面白いなと思えたのは、クラブハウスの現場で鳴らしている人の作るダンスフロア向きなトラックと、ベッドルームや家の中でトラックメイキングを主しているインドアなトラックと、２つの種類のトラックが混在しているということです。

ゆずちん：それ聞きたいですね

—頑張ります（笑）これまで名前の上がってきたDJ AmpsさんやHiroki Yamamuraさん、食品まつりさんやCRZKNYさんといった方々は主に現場でこなしてきた人たちのトラックで、それ以外の・・・例えば地方にお住いでダンスフロアで鳴らす機会があまりない方のようなトラックとでは、【ジューク】の捉え方そのものが違っていて、それが音に出ていると思うんです。

ゆずちん：・・・すごいですね、そこは常に意識していたところなので、受け取って貰えるのは嬉しいです。結果としてそういう人を収録していたりするので。

—なので、今作を一筋縄に『これがクラブハウスで鳴らされている最先端の音楽＜ジューク＞というものなんです！』『ジュークの入門編なんです！』という音楽紹介とはいえないんですが、『これが日本のジュークなんです！』という紹介になり得る、とてつもないバランスの上で成立している作品だとも思えるんですよ。中級者向けといえばいいんでしょうか。

ゆずちん：入門編だとこれまでのコンピレーション作品を聴いてくれた方がいいかもしれないなーとは思いますね。

—それでいて、ベッドルーム向きでダンスフロアで鳴らすことをあまり意識していない人が作るトラックはいろんな要素が打ち込まれていて非常に面白いんですけども、先ほど話したネット界隈で盛り上がったハウスミュージック／エレクトロニカなサウンド・・・ヴェイパーウェイヴとかゴルジェ、特に今作だとウェイパーウェイヴの要素を聞き取ることができるんです。声ネタやサンプリング元も含めて、下世話な要素やジャンキーな側面がかなり強く出ていて、まるでインターネットやSNSをストリートとして見立ててカルチャーを封じ込めたと言い換えても通じるように思えるんです。

ゆずちん：なるほど

—先ほどはトラックメイカー同士でのぶつかり合いというような話もでましたが、トラックメイカー各々が自分の持てる力や文脈をガツンと込めている38曲すべて、RPGのラスボスみたいな強い熱量を感じますし、どの曲もシングル曲と言ってもいいアルバムですよね。

ゆずちん：トラックメイカー個人個人が各々PR公開してもいいようにしているので、誰かの曲を聴いてそのままアルバムを落としてくれる、というのが大きな流れとしてあるんですよね。熱量は半端ないことになっているのは間違いないですよね（笑）

—トラックメイカーのチョイスや狙いについてはどう考えていたんでしょうか？

ゆずちん：これまで通りの公募もありましたが、僕から声をかけたパターンもありますからね、いろんな人にラブコールを送りましたよ。VIBES MAFIAのZIPPYさんはものすごく速いタイミングでレスポンスをもらっていたんですよ。彼らをどうしてもネットレーベルからピックアップしたいなと思っていたんですよ。

—ぼくはアニソンクラブに行くのが好きなので、ZIPPYさんの名前を見てなんとなく安心しました（笑）本来ならベースミュージックのトラックを作っている方ですよね。

ゆずちん：これは個人的な観点でのお話ですが、どうしてもベースミュージックやジュークの人たちと他のジャンルの人との間には距離感があるように感じるんですよね。なので、ジュークとは距離感があるような人にどんどんと声をかけているのは狙ってます。もちろん、Artatkさんのような専門の人にもきっちり声をかけることは怠ってないです。Ampsさん含めてこの2人が参加しているのは、個人的にはアツいポイントですね。

—あとこれはお聞きしたかったんですが、Hiroki Yamamuraさんは今作でどれくらい制作に携わったんでしょうか？

ゆずちん：いろんな人に聞かれるんですが、僕の中で判断がつかなくなった時にYamamuraさんにデモを聴いてもらっていた、といえばどれくらい関わってもらっていたかわかってもらえるかな。今作はそこまで判断に迷わなかったのですそこまで多くは聴いてもらっていないんですが、前作はすごくお世話になってました。精神的なバックアップとして非常に大きかったです。Yamamuraさんやトラックメイカーさん含めて、僕個人だけの作品とは到底思えないですね。

—今後、オモイデレーベルとしてどんなリリースをしていきたいですか？どんな運営をしていきたいですか？

ゆずちん：ユルいリリースをしていきたいですね。これは手を抜いていくとかじゃなくて（笑）真面目なリリースがネットレーベル界隈だと多くなってるように思えるんですよ

—本格派しか出せない！みたいな？

ゆずちん：端的に言うと、ちんこちんこ！って叫んでるような曲って本当に少なくなっているじゃないですか（笑）真面目なリリースばかりがどんどんと撃ちだされてしまうとちょっと息苦しいし、せま苦しいような感じがするので、ふざけているテーマで真面目な楽曲をぶつけていくようなリリースができればいいなと思います。ココらへんは、TREKKIE TRAXとCLOCK HAZARDのファンだからこそかもしれないですね、うちはそういうレーベルじゃない、だからこそそれをやってみたいなと。

—なるほどです、ありがとうございます。そういえば・・・『JUKEしようや』って何が発祥なんですか？？

ゆずちん：・・・わからない！！！！