【INTERVIEW】OMOIDE LABEL主賓ゆずちん、大いに語る『ミュージシャンやDJが陽の目を見る場所を作りたい』
Jukeとの出会いはCRZKNYさんの音源を聴いたことがきっかけです(ゆずちん)
2012年、音楽を愛する日本人の中でTraxmanのあの一作は大きなショックを与えた。
BPM160で細いシンセベースがウネり続け、2拍3連を時たまにはさみながら「一体どの楽器で拍をとってるんだ!?」と注意しても決して解き明かせないシカゴからの新たなマジック、それがJuke/Footworkだった。
だがそれ以上に驚異的だったのは、日本人トラックメイカーからのレスポンスの速さ。次から次へと新たなボムトラックが生まれ、実力のあるDJが台頭、本場シカゴからも一目置かれるようになったのが日本のJukeシーンである。
今回特集するOMOIDE LABEL、その主賓であるゆずちんは、トラックメイカーに陽の目を与える檜舞台を着々と作り、多くのリスナーと同じくこの音楽に魅了された一人でもある。いまの日本のジュークシーンを引っ張る男に惹きつけられた彼にとって、コンピレーション作品『JUKEしようや』シリーズにはやはり熱い気持ちを宿らせていた。彼と彼のレーベルを追いかけながら、日本のJUKEシーンの特異性を封じ込めた今作品を覗き込んでみよう。
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—こんにちは、ゆずちんさん
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ゆずちん:どうもです。突然だけど、草野さんに聞きたいことがあるんだよ。
- —はい?なんでしょうか?
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ゆずちん:僕はこれまでindiegrabのニュースと言う形でオモイデレーベルをピックアップしてもらい続けてきたし、他のメディアさんでは取り扱っていかないようなフィールドの音楽をニュースにしてくれていて、『indiegrab、すげぇな!』みたいなところがあったの。でね、そこに草野くんが入ることは個人的にすごくデカイニュースだったんだよ
- —なるほど(笑)でもそこをデカイものとして捉えてくれるのは多分10人もいないと思いますよ(笑)
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ゆずちん:いやいやいや。でさ、なんでindiegrabに入ることになったの?
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—僕は今年で30歳に近い年齢になってきていて、これまでずーっとロックバンドとかを追いかけてましたが、音楽が好きで色々な音楽を聞いてきて、もっといろんな音楽があるんだよーという気持ちでディスクレビューをいろいろなメディアさんに寄稿していたんです、そうしたらindiegrabの方から声をかけていただいたんです。あと、ツイッターなどを介してこういったエレクトロニカやハウスミュージックをdigできるような感じになってきたんです。それまでもテクノとかハウスは聞いていたけど、リスナーがトラックメイカーさんみたいにどんどんdigしていくようになっていけるようになったのは、ネットによるものが本当に大きいと思っていますね。
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ゆずちん:ロックバンドしか追いかけてこなかった、というのはオレもそうだね。
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—僕は1年くらい前に『Bad apple』というジンを作っていました。なぜそれを作ったかというと、東京にはいろんなミュージシャンがいるなかで、様々なシーンが形作られてすごく盛り上がっているのは住んでいてとても良くわかる。でも、横を繋いだりできる読み物やメディアがないよな、そのミュージシャンがいかに面白いか?を答えてくれるメディアがないよな、この雑多さを希釈せずにギュっとまとめあげているメディアがないよな・・・と思ったからなんです。
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ゆずちん:それはすごいよくわかるね。うちのオモイデレーベルも、そういうハブになれる存在になりたいと思っているんだよ。
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—例えば、一昨日はハウス系のDJイベントがあって、昨日はV系のロックバンドのライブ、今日はインディロックバンドのライブ、明日はアニソンのDJイベント、明後日はしんみりとしたシンガーソングライターのライブがある・・・なんてことがザラにあるわけじゃないですか?。でもいま上げた5つのミュージシャンや各々のファンが、残り4つのミュージシャンを見た時に「あ、こいつ知ってる、すげーやばかったんだよね」みたいなことってそうそう起こらない、横同士で知らないんですよ。いや、ライブハウスの人はもちろんみてるから知ってるだろうけども(笑)
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ゆずちん:うん、そうだね(笑)
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—それって、もしも自分が音楽を作る身として考えた場合、インスピレーションが湧くような状況なのかな?と疑問に思えたんです。加えて、音楽っていう不思議な力でハイになりたい人間・・・ファン同士になるとどうだろう?実は凝り固まってるんじゃないのか?、その<知らない>という状況は「音楽を聴いてハイになる」機会を逸してるんじゃないのか?なんて思えたんですよ。
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ゆずちん:面白いこと考えてるねー、え、これ草野くんへのインタビューなの?
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—いや、あの、あとちょっとしたら戻りますよ(笑)そういった感覚があったので、<これは面白い音楽じゃないか?><この人らはヤベーんじゃねぇのか?>という人にインタビューをして、何を考えて音楽を作っているのか?何をきっかけにして音楽を作り始めたのか?というのを聞いてみたい、それを広めることでより多くの人にインスピレーションを与えられればと思ったんです。
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ゆずちん:僕もそこは考えてるなぁ、うまくできているかは別としてね
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—個人的には、うまくできているか?できていないかは置いておいて、「やってるか?やってないか?」に重きを置いてますね。という流れの中で、オモイデレーベルさんから発売された『JUKEしようや Barren Illusion ~ Remember Hiroki Yamamura ~ 』が、いかにして生まれたのか、ないしは、オモイデレーベルの源泉を明らかにできればと思います。よろしくお願いいたします。
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ゆずちん:ふふ(笑)よろしくお願いいたします。いやでも、よかったよ、そういう気持ちで草野くんがやってるのが知れて。僕も話しやすくなったよ。賛同してるというか共感してるというか、その気持に近しいところで今回の作品を作ったのはあるので。
<OMOIDE LABEL最新リリース 『Emocute’s Etude No.1』>
- —ざっくりとしたお話なんですけど、ゆずちんさんはこれまで音楽と聞いてきたり触れ合ってきたりしたのかをお聞きしたいんですが。
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ゆずちん:高校とか大学もそうですが、大学卒業後もコピーバンドをやっていたんです。もちろんアマチュアだったんですけど、「今日はこの曲やりたいねー」とか話して、その曲の歌詞を読んでコードを書いていくんです。
- —・・・・え?ちょっと話が見えないんですけども・・・。
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ゆずちん:えーっと・・・例えばくるりのこの曲やろうよってスタジオで話しをして、その場で曲を流して僕が聞きながらコードを書いていくんです。「こんな感じかなー」「じゃあここのパートはちょっとむずかしいからこういう風にしてー」と仲間と話して、コピーをするんですよ(笑)
- —それって巷の楽器屋で売ってるようなコピー譜を買ってコピーするわけでもなんでもないわけですよね。
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ゆずちん:そうですね。
- —普通のコピーバンドとは、ちょっとかけ離れた感じがありますねそれは(笑)
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ゆずちん:それは楽しかったですけど、すごくきつかったですね。ベタな曲しかやっていなかったとはいえ。
- —TOKIOみたいですよね。「家つくろう」「なにからいく?」「木から作ろう!」的なそういう(笑)
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ゆずちん:そんな感じです。大学まではバンドとかやってなかったんですけどね。ライブハウスでライブをやろう!という目標もなかったので、その場で集まったらその時のノリでセッションをしてみる、みたいなね。
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—昔、僕も近しいことをやっていたことはありましたが、それは僕が覚えてる曲をコードで弾いていってコピーする、みたいな感じだったので、ゆずちんさんのようなとっさにできる感じはなかったですね。
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ゆずちん:コピーバンドだけどセッションしてるような感じでね。
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—そこからいまにつながるような出来事があったんですね?
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ゆずちん:ツイッターが面白かったんですよ。
- —いつごろから始めたんですか?
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ゆずちん:2009年ですね。コピバンの流れがちょっと食傷気味になったころで、ヒップホップが面白く思えた時期でもありました。オモイデレーベルでも最初はヒップホップの人に声をかけてるしね。なんというか、バンドって大変じゃないですか?
- —まぁいろいろ理由はあるとは思いますけど大変だとも思います(笑)
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ゆずちん:ヒップホップのほうが軽やかに思えたんですよ。連絡とかするのにもいちいち面倒だったりするし(笑)
- —バンドからは離れてトラックメイクへと没頭していくわけですね、どんなトラックを作るようになっていったんですか?
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ゆずちん:最初はマッシュアップを作ってたんです。それまではチープなテクノトラックを作ってたりはしたんですよ、ネットで公開しよう!と思えたのはネットの影響ですね。迷われレコードさんにTHE BEATLESのマッシュアップを乗っけていただいた時に、「ああ、ネットレーベルも面白いぞ」とも思えたんです。Lil’諭吉さんとかを当時聞いたりとかして、センスバツグンで心惹かれてドンドンと聞くようになってハマっていって、そうして今回のリリースに至るわけですよ!
- —ちょっと待ってください、トビすぎです(笑)。
- ゆずちん:いやでも・・・
- —そこに飛ぶ前に、飛ぶ前にお話をしたいんですけども、いいでしょうか(笑)
- ゆずちん:はい・・・
- —ゆずちんさんの中で、自身が運営しているレーベルでの既発曲以外で、思い出深い1曲をあげていただけますか?
- ゆずちん:えー!草野くんだってそれをそう言われたら大変でしょう?
- —大変ですけど、これだな!という1曲が僕にはあるんです。ゆずちんさんにとってそういう曲があればと思って。
- ゆずちん:本当?パッと思いついたのは・・・Weezerの「Tired of sex」かな。Weezerでのセカンドアルバム『Pinkerton』の1曲目だね
- —うわぁーーー!!マジすか。オレもWeezerならこの曲ですよ!。最高ですよね。ブレイクしたファーストの次のアルバム、みんなが期待していた2枚目のドアタマにこの曲!
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ゆずちん:本当に衝撃的、すっごいカッコイイですよね。これが本当に思い出深い1曲かどうかはあれですけど、確実に僕にとって影響は大きかったですね。だって、Weezerが好きならスピッツが好きじゃない?。僕はスピッツも好きなんですよ。スピッツが好きならスーパーカーも好きで・・・みたいなファミリーツリーがあって、大学の時にそういう数珠つなぎをずーっとテーブルに書いていったこともありますよ
- —なにしてるんですか(笑)僕は脳内でずーっと暗唱していくような感じですね。スピッツはハヤブサ以後とフェイクファー以前で結構好みに差が出てしまうんですよ。
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ゆずちん:さっきのコピバンの話にも近しいんですけど、バンド毎にクセがあるじゃないですか、ミスチルだと転調が多くて、くるりだとラストに転調がくるとか。スピッツはコードがCかAかDが多くて、シンプルでわかりやすいなものが多くて人を捉えるような曲を生み出し続けられる、そこに彼らの凄さがあると思うんです、日本のロックバンドで一番好きですよ。
『Jukeしようや』シリーズも同じように海外の人に聴いてほしいと思って作っているんです
2016.5.3 22:00
カテゴリ:INTERVIEW タグ:JAPAN, juke/footwork, JUKEしようや, omoide label, オモイデレーベル
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