【INTERVIEW】ナカムラルビイ





ある日、常日頃交流のあるandroid beach partyのNAOKI氏から連絡があった。
「今度ナカムラルビイを東京に呼ぶんですよ!!」
寝耳に水ながらもナカムラルビイがどういう方なのかを調べてみるとこれがなかなかに面白い。

ノイズバンド・酢酸カーミンのサックス・ボーカル。
アイドルユニット・地下女子企画。のプロデューサー・アイドル。
そしてパンク・ハードコアシーンに詳しい方には垂涎であろう名古屋のパンクバンド、OXIDOLLのYOU、GUNJIと共にオキシドーターズというハードコアパンクバンドでサックス・ボーカルを務めている。

のみならず、ライブペインティグでも活動し、2015年には演劇にもフィールドを広げる予定であるという。

これらの多岐に渡る活動の中で彼女の中には一貫した「アンダーグラウンド」「サブカルチャー」というキーワードがあり、19歳という年齢にしてそれらを体現しようとしている。

また、エピソードとしてもアイドルユニットでありながら、ライブハウスの出禁、アイドルである自身のレンタルサービス、ライブペインターとしての活動など、興味をそそる種が尽きない。

また、察しの良い方は彼女の名前と「オキシドーターズ」というバンド名で気がつくかもしれないが、彼女はオキシドーターズの前身、OXYDOLLのドラマー・達也こと、中村達也の娘さんである。

これは…indiegrabでインタビューするしかないのでは?という意識が私とNAOKI氏の間で芽生え、彼女にメールインタビューのオファーを申し込んだ。





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ーまず、簡単な自己紹介をお願いいたします。

ナカムラルビイ:ナカムラルビイです。本名です。中邑マリーです。アイドルです。



ールビイさんは「オキシドーターズ」「酢酸カーミン」「地下女子企画。」というバンドやユニットを参加・主宰されておりますが、各ユニットはそれぞれどのような経緯で始める事になったのでしょうか。

ナカムラルビイ:最初に活動を始めたのは「酢酸カーミン」で、中学卒業間際の春でした。
地元の中高生ロックコンテストに応募して、友人5人と始めました。最初はコミックバンドがやりたくて始めたんですけど、いつの間にかノイズバンドチックになっていました。結局その5人とやったのも最初だけだったし。
次に、「地下女子企画。」です。高校三年生の夏。
その年の春に、酢酸で何度か出場していた前述の中高生ロックコンテストの主催者の方が、「地域アイドルをやる。」と。
そこで私にもお声がけ下さって、アイドルユニットとして活動していくことになり、面白そうだなあと思ってやってました。
だけども、ライブが決まって、練習を重ねるうちにどんどんやる気が無くなってしまい。
結局、一番初めのライブの1ヶ月前くらいに「ダサいから辞める」と言って辞めました。
でも、それがきっかけで漠然とアイドルに興味を持ち出しました。好きでは無かったのですが。
そして当時の彼女をそそのかして、「今の時代、誰でもアイドルだって名乗ればそれっぽくなるよ!」と、皮肉と自虐だけで始めました。
その翌年の春に、「オキシドーターズ」が結成されました。
「オキシドーターズ」というバンド名は後付けで、最初は「The Night」という名前でした。
元々は、「The Night」として、現・オキシドーターズの私を除いた3人でインストバンドをやるはずだったそうです。
父経由でGt.YOU氏からボーカルのお話を頂いて、じゃあオキシドーターズだねーってことでこうなりました。



ー各バンド・ユニットのルビイさんの中での立ち位置をきかせてください。

ナカムラルビイ:酢酸カーミンはオリジナルメンバーっていう立ち位置でしょうか。ただそれだけ。
パートに関しても、今はギターとサックスをやってますが、固定メンバーとして活動しているわけではないので、その都度変わっていきます。
リーダーっていう気持ちでありたいのですが、結局各々が我が強いのでいつも呑まれます。良くも悪くも。
地下女子企画。の方は、プロデューサー兼アイドルとして活動しています。
個人で活動している地下アイドルに対して、プロデューサーもクソも無いな、と思うのですが、なんだかキャッチーだから「プロデューサー兼アイドル」と名乗っています。
オキシドーターズは、ボーカルとサックスです。上記2つと比べて、結構あっさりした役どころな気がします。



ー酢酸カーミン・オキシドーターズではルビイ名義、地下女子企画。では中邑マリー名義で活動されていますが、どのような理由でお名前を使い分けていますか?

ナカムラルビイ:地下女子企画。で活動するにあたって、何か源氏名のようなものが要るなあと思って出来たのが「中邑マリー」です。
あくまで「地下女子企画。の中邑マリー」なので、彼女は他のシーンには登場しません。



ールビイさんの活動全体のキーワードとして「アンダーグラウンド」というものがあるように感じます。ルビイさんご自身はその辺りをどのように意識していらっしゃいますか?

ナカムラルビイ:どんな風に意識してるかって考えるとあまり具体的な言葉が出てきませんが、アングラチックなものを作り出せていたらいいなあと思います。



ールビイさんにとってのアンダーグラウンド感、サブカル感を教えていただけますでしょうか。

ナカムラルビイ:イメージに過ぎませんが、サブカルは、ポップ。なんかパステルカラーと灰色、みたいな。
アングラはもう、ドブネズミですよ。ほんと。



ー現在のアンダーグラウンドシーンについてどのように見ていらっしゃるかお聞かせください。

ナカムラルビイ:よくわかんないなあ。今も昔もそう大して本質は変わってないと思います。昔を知らないので比較対象が無いのがなんとも。



ー地下女子企画。は「アイドルユニット」として活動されていらっしゃいますが、地下女子企画。が目指す「アイドル」についてお聞かせ願えますでしょうか。

ナカムラルビイ:理想のアイドル像みたいのは無いです。存在自体が皮肉と自虐なので、結局自己完結型なんだなあと思います。
だから、終着点が見えない。プロセスはあれど、目指すものが無い。
目的が無いのでプロセスだのどうの言っても矛盾しているのですが、「アイドル」に特別こだわりがあるわけでは無いので、曖昧な返答になってしまいますね。



ーアイドルユニット・地下女子企画。はライブハウスを出禁になったそうですが、詳しい経緯をおききしてもいいですか?

ナカムラルビイ:8月にアイドルイベントに出演したのですが、丁度主催の方が誕生日で。顔面ケーキやったら機材にケーキが飛んで怒られました。
そのライブハウスでは、それ以前にも同じイベントで強制終了を食らった前科があったので、出禁になりました。



ーご自身のレンタルサービスを行われていますが、こちらは実際に注文が入った事はありますか?

ナカムラルビイ:3日間限定で2014年の年末にやってたのですが、これが意外にも結構すぐに注文をいただけました。



ーお父さんがロザリオス・BLANKEY JET CITYの中村達也さんとうかがっていますが、その話題に触れても構いませんか?

ナカムラルビイ:大丈夫です。



ーお父さんはルビイさんにとってはどのような方ですか?

ナカムラルビイ:最近は「誇らしい父」から「(私自身が)一人の表現者として、超尊敬するヤバイ人」に変わりました。



ー好きな音楽などがお父さんの影響を受けておられるように思いますが、やはりお父さんの影響なのですか?バンドを始めた事もそうなのでしょうか?

ナカムラルビイ:音楽は母からの影響が大きいです。一緒にライブ行くし。
実際に父がどんなものが好きなのか、最近LINEでやり取りするようになってから分かってきた位です。
アニソンだとか同人音楽も好きです。それは完全に私個人で楽しんでいます。
バンドを始めたのは、父個人の影響ではないです。取り巻いている環境からして、やるべくしてやってる。という方がしっくり来ます。



ー国内・海外のアーティストで同じステージに立ってみたいと思うアーティストがいればそれぞれ一人(一組)ずつお願いします。

ナカムラルビイ:国内は遠藤ミチロウです。神です。それ以外に形容しがたいです。
海外は、小学3年生くらいの時にキャンディ・ダルファーを観にいって、「SAXやってます」って伝えたら、「いつか一緒にステージに立ちましょうね」と言って下さったので、キャンディ・ダルファーとステージに立つまでは死ねません。



ー音楽以外で興味のある作品や分野はどのようなものがありますか?

ナカムラルビイ:昔から、絵を描くのが好きでした。最近はライブペインティングや個展をぼちぼちやっています。
高校の先生の影響で、演劇にも興味を持って、これまたぼちぼち観にいきます。2015年の年始早々、初舞台をやることになりました。
絵画、音楽、映画、演劇、アニメ、漫画、小説……他の人の趣味となんら変わらないですね。もっと特殊なものがあれば書き甲斐があったとも思うのですが……。
好きなジャンルはゴアとかロリとか、そういうどろどろした、日陰を感じるものが好きです。これも普通だ。



ーオキシドーターズ、酢酸カーミン、地下女子企画の今後の展望とルビイさんご自身の将来のビジョンについておきかせ願えればと思います。

ナカムラルビイ:酢酸カーミンは、なんだかんだで一番思い入れがあるし、一番どうとでも出来るものだと思うので、今後も実験的なことをやっていきたいです。
地下女子企画。の方は、今のところ自分の中でフェードアウトしつつありますね。
オキシドーターズは、自分の活動の中で最も需要があるバンド且つ、最もバンドらしいので、しばらくは続けていきます。
それらを踏まえて、自分の将来なのですが……
自分の将来のビジョンの無さに関しては、具体的に皆が進路を考えだす高校二年生の時から無くて、ずっと悩んでいます。
とりあえず、今やりたいことをやって、どうにかこうにか先につながっていったらいいなと思っています。



ー地下女子企画。の方がフェードアウトしつつあるという部分について詳しくお聞きして もよろしいですか?
先ほどお話されていた『プロセスはあれど、目指すものが無い』という部分に関わっているのでしょうか。

ナカムラルビイ:ただ単に飽きたという一言に尽きます。いつまでも学芸会やってる場合じゃないなー、とか。かなあ。
うーん、私にもよく分からないです。



ー先ほど酢酸カーミンは「結局各々が我が強いのでいつも呑まれます。」とのお話でしたが、暗黒舞踏を思わせるパフォーマンスや白衣の衣装等、「日陰を感じるものが好き」とおっしゃるルビイさんのイメージに合致したものが 多いようにも感じます。
このようなバンドの方向性はどのように決まって行く事が多いですか?

ナカムラルビイ:発足の段階では、私の一存で決まることが多いです。ただしドーターズはこれに限りません。
ただ、それはビジュアル面だけの話であって、演出や音作りは、メンバー個々に任せます。



ー1/18のライブは、酢酸カーミン・地下女子企画。共に初の東京進出となりますが、それに先駆けての気持ちなどありましたらお願い します。
また、今後オファー等が増えた場合に東京での活動を増やす可能性等はありますか?

ナカムラルビイ:良くも悪くも、翌日友人に「昨日こんなライブ行ったんだけどさ~」みたいな話がしたくなるものをみせれれば良いなと思います。
オファーに関しては、お声がかかればどこでも行きたいです。


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以上でインタビューは終了だがこのインタビューから何を受け取るかは読み手に任せるとして、ナカムラルビイは2015年の1/18(日)に酢酸カーミン・地下女子企画。として吉祥寺Shuffleでライブを行う。
今後どのように活動するのかどのような形を作り上げていくのか未知数のナカムラルビイの東京初進出を目撃するチャンスである。



2015/1/18(日)吉祥寺Shuffle
『Sack Of Potatoes IV』
ACT:miami / 酢酸カーミン(名古屋) / 井上憲司(シタール)×ディネーシュ(タブラ) / 地下女子企画。(名古屋) / 吉野なお / Android Beach Party / NECRONOMIDOL
Open 16:00 / Start 16:30
Adv ¥2,000 / Door ¥2,500

インタビュー&テキスト
sabadragon(@sabadragon) / NAOKI(ウォッティ・Android Beach Party)

2015.1.1 11:42

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