【REVIEW】LTPIMO, The Plateaus / Phonometrographic Diary EP(15min records)
15min recordsが半年ぶりに新しいEPを配信した。Phonometrographic Diary EPと題されたその作品はこれまでと同じように極めて短いトラックを集めたパッケージだが、上品なコンテンポラリーアートに触れているような複雑さとミニマリズムの両極を併せ持つ内容に仕上がった。
1. LTPIMO – Phonometrographic Patch.1
長音を活かしたサイケデリックなバックトラックに淡いコーラスを従えた歌が響く冒頭のフレーズはとても印象的だ。中盤は断片的に挿入されるサイン波と不規則なリズムを支えるリムショット、シンセベースが楽曲に奥行きを持たせるが、それは決して深すぎないところが彼ららしい。LTPIMOらしい複雑なリズムはそのままに、必要な音はより強く、コーラスとのコントラストを美しく保っている。
2. The Plateaus – Garden Daisy Garden Eyes
続くトラックはThe Plateausによるものとクレジットされているが、無調の現代音楽と電子音が折り重なるネオクラシカルなトラックだ。中盤の短いクラリネットによる折り返しフレーズをはさんで、前後にピアノを中心とした室内楽的な編成で組み込まれたフレーズが配置されている。
3. The Plateaus – Piano Electronics Scene
前曲の余韻を受けてストリングスのフェイドインから始まるこのトラックもThe Plateausによるものだ。やはりピアノを中心とした室内学的な編成のネオクラシカルなトラックになっている。前曲との比較では一層旋律が明確に組み立てられているという点で、上品さとコンテンポラリーのミクスチュア感覚が上手く表現されているように思う。
4. LTPIMO – Phonometrographic Patch.2
最後のトラックはThe Plateausの室内楽的な響きを断ち切るように乾いたサイン波からはじまる。LTPIMOらしい複雑にカットアップされた電子音、柔らかなストリングス、やや抽象的なインプロビゼーションのように組み立てられた電子音は、やがて冒頭のトラックのテーマへとつながっていく。ここでこのEPのコンセプチュアルな一面を知る事が出来る。
電子音楽のLTPIMOがネオクラシカルなThe Plateausをはさむ形式になったこのSplit EPは、LTPIMOが示したテーマをThe Plateausが解体して組み直す、そして最後にLTPIMOが再び新しいカタチでテーマを示すという流れをもって作られているように感じた。それはとても絵画的であり、2015年に入ってサウンドインスタレーションなど現代美術の領域に接近している15min recordsの今の姿をとてもしなやかに表現しているように思う。
テキスト:30smallflowers(@30smallflowers)
2015.6.21 15:11
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