【INTERVIEW】sassya-/ロクトシチ/slak 『FLAT』

今回のインタビューの主役は、ロクトシチ、sassya-、slakである!
と、書き出しても、彼ら3組をよく知るひとは決して多くはないだろう。いまのところ、東京のバンドシーンでも、決して中心に近いところにいるわけでもないのが彼らだろうし、彼ら3組の無愛想にもささくれだったロックサウンドは、万人ウケなどしないだろう。
だが、初対面からの一夜で高まった熱量で繋がりあった3組による確かなる熱量は、いまのバンドシーンに忘れているナニかを思い出させてくれそうな予感がする。
3組のバンドによるスプリットアルバム、そのリリースパーティにMelt-Bananaの出演がアナウンスされている。
Melt-Banana召喚の理由と、彼ら3組が持ちうる熱源とはいったいなんなのか?。話を伺った。

「この3バンドでなにかやりたいぞ」っていう気持ちがぼくのなかでフツフツと出てきて、「じゃあ僕ら3バンドでスプリットでも出しますか!」とか言ってた (カシマ )


–:sassya-、ロクトシチ、slakによるスプリットE.P.『FLAT』が発売となり、そのリリースパーティが行なわれます。彼ら3組をよく知らないかたも多くいるとは思うので、バイオグラフィを簡単に追いかけていきたいと思うのですが、sassya-はいつ頃に結成したんでしょう?
岩上:たしか5年くらい前ですね、2012年や2013年だったかと思います。最初の3ヶ月くらいはオレとドラムの吉原の2人でやっていたんですが、ベースが見つからなかったんです。いまベースを弾いているのは……実はオレの嫁なんですが、当時付き合っていた彼女に「ベース弾いてたんだろ?弾いてくれないか?」とお願いしたら、「いいよ」と言って入ってくれて、そこからずっと3人でやってますね。
–:結成してから、ずっとライブを続けていたんですよね。
岩上:昨年は自主企画をやっていて、ペースもかなり多かったですが、数ヶ月に一度は必ずやってましたね。最初の頃は今のような音楽より、もっとポストパンク寄りで、ハードコアな感じはなかったんですよ。ただ、活動してきて色んなバンドから影響をうけて、いまの形になっていった感じですね。



–:ありがとうございます。slakはまだ結成したばかりですよね?2017年の1月に初ライブをしていたみたいですが。
清水:そうですね。2016年の末頃にしっかりとバンドを結成した感じです。いまのメンバーとは大学のサークルで知り合ったんですけど、ずっと前から「一緒に何かやろうよ!」と言い続けていて、なかなか実現してなかったんです。たまたま国分寺のモルガーナというライブハウスのスタッフと仲良くなって、「もしもバンドやってるなら、イベントに出てみないか?」と言われて出てみたのが、さっき仰った1月のライブですね。そこから曲を急いで作ったんですよね(笑)
–:そこから曲をつくったんですか!?
清水:はい。まだ6~7曲くらいしか作れてないんですけど、元々パンクやハードコアが好きでそういう曲を作ろうとしたら、僕自身がシャウトして歌うのがうまくなくて、そこで色々考えつつ作ってるかんじですね。



–:なるほどです。ハードコアパンクで好きなバンドはどれでしょう?
岩上:大学のころにハードコアパンクと出会ったんですが、一番最初はマイナースレットですね、今でも彼らがいちばん好きです。大学時代は暇な時間が多かったので、音楽を聴くのが娯楽で、色んなバンドを聴いてましたね。
清水:僕は高校のころに軽音部に入ってバンドを始めたんですが、そのときのギタリストがこういった音楽にあかるくて、「これやるから!聴いてくれ!」と布教されたんです。ラモーンズ、MC5、イギーポップらをひたすらコピーして、どんどん深く聴いていくようになりましたね。もちろんマイナースレットも通っていて、フガジも好きですよ。
–:カシマさんには以前にお伺いしたので言わずもがなですが、皆さんイアンマッケイ好きですね!
岩上:実はオレ、イアンマッケイの写真を額にいれて飾ってるんです。それくらいに好きですよ。
–:めちゃくちゃガチ勢ですね(笑) バンド名の由来はなんでしょう?
岩上:sassya-の由来は、大学時代にくんでいたバンドのときに作った曲名で、「アルミサッシ切断機」のことを「サッシャー」という名前で販売しているというのを知ったからなんです。自分の音楽とのイメージにとても近いし、とても気に入ってます。
清水:僕らはしょうもない感じですよ。バンド名を決めるために飲み屋に集まったんですが、ぜんぜん決まらなかったんです。最後には、僕とドラムが経済学を学んでいた関係で「スラック変数」というのを知ってて、これにするかーって感じで決めたんですよ。
岩上:めちゃくちゃインテリ感あるね(笑)
清水:なかば無理矢理でしたね。

2018年の初春に行なわれたロクトシチへのインタビューはこちら!
【INTERVIEW】ロクトシチ『A DEEP WELL』 https://indiegrab.jp/interview/57797/

–:sassya-、ロクトシチ、slakによる今回のスプリットE.P.、そのタイトルが『FLAT』。このタイトルは、昨年年末に3組が対バンしたときのライブがきっかけなのかなと思うのですが、どうでしょう?
岩上:細かく言うと、西荻窪FLATでの『CUT OFF vol.6』ですね、sassya-の自主企画ライブでした。去年はあそこで2ヶ月に1回はイベントをしているような感じで、イベントをやりまくってたんですよ。年末最後になったとき、知り合いでもなんでもなく、ツイッターなどを使って音源をいろいろと聴いたり、映像などをたくさん見ていったときに、ピンとくる2組だったんです。そこから連絡をして、ライブ当日にほぼほぼ初対面でした。
カシマ:岩上さんがライブを見に来てくださって、ネットでやりとりもちょっとはした程度ですけど、slakは本当に初めてでしたね。


–:お互いの印象はどうだったんでしょう?
岩上:ロクトシチの『stylus has not yet jump』のPVをみたときはマジで良いなと思いましたね、めちゃくちゃよかったんすよ。slakはバンドキャンプで聴いたんですけど、Unwoundっていうアメリカのバンドがいまして、彼らみたいでめちゃくちゃ渋いな!と思いましたね。しかも大学生だったって話も聞いて、ダブルで衝撃的でしたね。
清水:sassya-は前からSNSを通じてよく知っていたので、誘われたときは「マジかよ」って感じでした。初めて聴いたときから、Shellacを思わせてくれて、めちゃくちゃ好きでした。ロクトシチはライブ映像などを見ても、ボーカルの声や佇まい、あのライブ演奏といい、ほかにいないようなオリジナリティを感じましたね。



カシマ:sassya-はカッコいいバンドだってのは知っていて、僕らが新宿JAMでライブをしたときに見にきてくれたんです。ナードっぽくて、ヨレヨレのシャツを着ているのかと思ったら……喧嘩強そうなゴツい方でびっくりしましたね(笑)
岩上:ぼくのことですね(笑)
カシマ:そのときに音源を頂いて、改めてじっくり聴いて衝撃を受けましたね。彼らの音楽には、音と音との間に隙間がちゃんとあるんですよ、その感じは僕らの音楽にはあまり無くて、とても羨ましく感じました。その出会いは、僕らを『CUT OFF vol.6』に出演依頼を兼ねていて、改めて出演者をみたときに、slakを知りましたね。
–:まさにそのタイミングだったんですね。
カシマ:はい。当日ライブ会場に行ったら、草野マサムネに似た草食系男子がいたんですよ、それこそナードっぽいし若いし、ライブを見たら「大学生でこんな曲やるのか!」と何重にもびっくりして(笑)
岩上:一発目に出て貰ったんだよね。
カシマ:ライブ準備で控え室に入ったら、みんな彼らの話でもちきりですよ。「なんだよ!?あのスゲーバンドは!」って。そのイメージは今でも強いです。
–:コンピを作ろう!となったきっかけは・・・
岩上:そのライブの打ち上げです。
カシマ:ほんとにその日に「やろう!」って感じですね。
岩上:まず、オレがベロンベロンに酔っぱらっていたんですけど、ロクトシチがレーベルからCDを出してるのが羨ましい!って話をして、「オレらだってレーベルからCDが出したい!担当さんに伝えてくれ!」と絡んでしまったんです(笑)
カシマ:まあベロンベロンに酔っ払ってるので、冗談と本気が混ざって出てきた言葉だったと受け取ってたんです。でも「この3バンドでなにかやりたいぞ」っていう気持ちがぼくのなかでフツフツと出てきて、「じゃあ僕ら3バンドでスプリットでも出しますか!」とか言ってたんですよ
岩上:ベロベロでね(笑)
清水:ベロベロでしたよね(笑)
カシマ:飲みの場所で「今度また呑もうね!」とか「今度また遊ぼうね!会おうね!」みたいな感じで話をすると、普通だったらそういうのってわすれちゃうじゃないですか?
–:そこをちゃんと覚えていたわけですね(笑)
岩上:そこからちょっと間が空いたんだよね?
–:僕がロクトシチさんにインタビューしたのが2月3月ごろだったので、その頃にはコソコソと話が進んでいたり?
カシマ:確かにその時期からでしたね。
岩上:オレも「そういえば飲み会のときスプリットの話とかしたな……」と思い出して、実は彼から話がくるんじゃないかと1ヶ月ほど待っていたんです。そしたら「ライブに来てほしい!」とカシマさんから連絡がきて、そのライブ終わりにスプリットの話が本格的に進むことになったんですよ。
カシマ:そのタイミングでslakにも連絡し、お世話になっていたレーベル担当さんにも正式に話をしまして、晴れてスプリットCDとなったんです。
–:レーベル担当者さん、すごいですね。
カシマ:担当者さんが純粋に、好きなものだったり熱量を注げるものに力を貸して頂いてますね、ありがたいです。
–:そもそも、スプリットアルバムっていう言い方がカッコいいと思いますよ。こういう感じなら、オムニバスとかコンピレーションとか言い方があるのに。
カシマ:「スプリットを出す」っていう言い方は、かなり普通に感じてましたよ。
岩上:いま草野さんに言われるまで、ぜんぜん思いもしなかったですね(笑)
–:素で出てくるのがほんと、身も心もパンクカルチャー側なんだなと思わされます(笑)


次ページ ライブハウスでのイベントから始まって生まれたE.P.なので、やはりライブ音源を入れてもいいんじゃないか?と思ったのが大きいです



『FLAT』
/ ロクトシチ、sassya-、slak
2018年10/10リリース
フォーマット:CD
レーベル:Kerosene Records
カタログNo.:KRSE7
価格:¥1,296(税抜)
【Track List】
1. slak / Difference
2. sassya- / over
3. ロクトシチ / spoon & susurrus
4. slak / Indecision
5. sassya- / CUT OFF (LIVE ver.)
6. ロクトシチ / stylus has not yet jump (LIVE ver.)




『3way split「FLAT」release party』
2018年10/20(土曜)新宿MOTION
ACT:ロクトシチ / sassya- / slak
SPECIAL ACT:Melt-BANANA
Open 18:00 / Start 18:30
Adv. ¥2,300 / Door ¥2,800(+1d)

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2018.10.12 12:00

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