【INTERVIEW】ワニウエイブ『Contempo-Rally Championship 2016』

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不可思議/wonderboy、daoko、Jinmenusagi、GOMESS、YAMANE、EeMuらを輩出してきたLOW HIGH WHO?、期待の新人春ねむりがCDデビューを迎える中、次なるリリースはワニウエイブ『Contempo-Rally Championship 2016』だ。
Go-qualia、y0c1e、mochilon、Silvanian Families、吉田ヨウヘイ(吉田ヨウヘイグループ/Ellipse)という豪華なトラックメイカーが参加した本作、主人公となったワニウエイブとは一体どんな人物で、今作から漂う濃密な空気感とその源泉とは・・・?これまでの彼といまの彼を捉えてみた。(インタビュアー:草野虹)

音楽って情動が不安定な人間のためだけにあるわけじゃないんで

インタビュー始めちゃっていいでしょうか?
ワニウエイブ:大丈夫ですよー!
ついさっきツイッターで書かれていましたが、どれだけ虚(ホロウ)をアタラクシアできるのか、というインタビューでいきましょう(笑)今回の作品が云々という話の前に、そもそもwaniwaveさんってどんな人ですか?というバイオグラフィ的な話をしたほうがいいと思うんですけども
ワニウエイブ:アタラクシア、一体どういう意味なんだ・・・はい
LHWに入ったのは、2013年ごろ・・・でしたよね。それ以前はロックバンドをくんでいたり、自宅録音で音楽を作ったり、という流れだとお聞きしているんですが、どんな感じで音楽と触れ合ったんでしょうか?
ワニウエイブ:そうですね、LHWには2012年の末に加入決定して2013年頭から所属だと思います。音楽とのふれあいは、そもそもで言うと、小学校のころピアノ習ってましたね。それから中学二年生で打ち込みをはじめて、高校で軽音楽部に入って。その流れで宅録などするようになり、インターネット上に音源発表したりして、今に至るという感じです。
以前からツイッターでお世話になっていて、ロックバンドに造詣深いなーと思っていたんですけど、軽音部のときにかなりガッツリやられていたんですか?
ワニウエイブ:高校から大学ぐらいまでは完全にロックで、宅録も18歳から22歳ぐらいまではロックな曲ばかり作ってました。
そんななかでヒップホップやラッパーになっていくという。転機になった出来事があったんですか?
ワニウエイブ:なにかきっかけがあって急にそうなったっていうよりは、まあバンドでなく宅録でやっていく過程で、徐々にシンセとかサンプリングが増えて、楽器の音が減ってくみたいな感じで今のスタイルになりました
なるほどです。ヒップホップやりたい!とかいう気持ちよりも先に、流れとして今の形になって、それがヒップホップ流儀だと
ワニウエイブ:カットアップやらサンプリングやらヒップホップ的な手法が当時(オレにとって)すごいフレッシュだったのでヒップホップ寄りになっていったという感じだったんです
ちなみにワニウエイブさんのなかで、ヒップホップといえばどなたが思い浮かびますか?
ワニウエイブ:ヒップホップといえば~(4分経過)~カニエ・ウェスト!
長考でしたね(笑)ちなみに理由はなぜでしょう??
ワニウエイブ:オレが想像するなかでもっともヒップホップらしい人物なのかなと、オシャレですしね
ちなみに、ロックバンドといえば、どのバンドを思い浮かべますか?
ワニウエイブ:レッド・ツェッペリンですかね。ロックバンドの理想形だと思います。好き嫌いはもう関係ないですよね。
ワニウエイブっていうお名前、なんでこの名前なんですか?
ワニウエイブ:いまとなっては思い出すことも難しいんですが、精一杯誠実にお答えしますと。見た目がwaとwaでグラフィカルで良いというのと、その時思いついたからというのが一番大きい理由かと……。検索性が高く、なおかつキャッチーなものに変えようという意識はあったと思います。中学生のときは「もんち」というHNで、BMS……当時流行してたビートマニアのPC版みたいなやつですけど、そういうの作ったりしてましたよ。
最近ではそこをはじめにしてトラックメイカーになられたかたがかなりいると知って驚きました
ワニウエイブ:BMS出身の人や、BMSを経過した人には有名になられた方も多いですね。日本のネット音楽史においては相当重要だと思うので、誰か本とか書くといいですね。
もしかしてですけど、BMSやビーマニからゲームにハマっていったんでしょうか?歌詞にはゲーム単語や関連する語句がバチバチ入りますし、ゲームやアニメの方からの影響が大きそうな気がします。
ワニウエイブ:それ以前からもゲームはやっていますよ!今でもゲームが好きですね。ゲームや映画から受けた影響は計り知れないと思いますね。でもまあゲームが上手というほどには上手ではないですよ。あと小説も好きです
徐々に趣味と作風とがリンクしているところに話を移していきたいのですが、好きなRPGと好きなキャラは?
ワニウエイブ:好きなRPGは、いま答えるならFallout3です。好きなキャラ・・難しいなあ。クロノトリガーのカエルですかね。つきなみな感じですが。あとサガフロ2が大好きで、サガフロ2のギュスターヴですね。スクエアゲーになってしまいますね、世代的にね。
クロノトリガーすっごい懐かしいですね・・・87年生まれなので世代ドンピシャです。お好きな小説家と作品はなんでしょう?
ワニウエイブ:好きな小説家は舞城王太郎で、一冊選ぶならやはり「煙か土か食い物」です。「世界は密室で出来ている」というのを文庫で読んだのが最初ですね。きっかけも覚えてないんですけど。たぶん名前は知ってたんだと思います。誰かに勧められたのか、ネットで評判を読んだのか、芥川賞絡みのニュースで知ったのか……みたいな
となると、メフィストとか読まれたりしました?
ワニウエイブ:メフィストを買って読んでたわけではないんですけど、いわゆるメフィスト系みたいな人は結構読んでると思います。まあでも他の作家には、舞城王太郎ほど大きい影響を受けてるわけではないと思います
好きなエロゲはありますか?
ワニウエイブ:好きなエロゲだらけですよ。一番好きなのはリトバス(「リトルバスターズ!」のこと 美少女ゲームメイカーkeyが制作したノベルゲーム)です!以上です!
ワニウエイブさんは、以前かなり大掛かりな麻枝准(key所属の脚本家 先述の「リトバス」で脚本を手掛けた)を中心にした同人本に参加されてましたし、これまでの楽曲の歌詞にも参照してますしね
ワニウエイブ:麻枝准にはまあほんと強い影響を受け続けていると思います
ちなみに、僕はエロゲそこそこやっていて、型月(美少女ゲームメイカーTYPE-MOONのこと)はだいたいやってますね・・・。過去の曲で言うと、「ゲーム的リアリズムの死亡」と「高校生とはレディオヘッドを聴く」の2曲は、インターネットやSNSが好きなオタク系のギークやナードに刺さる曲で、こういった心性をワニウエイブさんが持ち合わせているように思ったりもします。いまの自分からして、過去の曲はどう聞こえますか??
ワニウエイブ:それらを作ってるときどういうことを考えていたのかを思い出しますね。ところで「ゲーム的リアリズムの死亡」は、実はあんまり「ゲーム的リアリズムの誕生」(現代評論家の東浩紀氏による著書)とは内容が関係ないんですが……。ひとつ言えることは、オレの根本的な語彙はインターネットによって構成されてるので、それがまあ世代感として現れているのだと思います
2014年に「ワニウエイブのCDは呪われた!」を出して以来、フリーEPをバンドキャンプで出し続けて、今年の頭には「Super Ultra Best on The WWW」をフリーとしてリリース、一気にこれまでの自分を精算するような感じに見えたのですが、その辺はなにか意識するような点だったのかな?と思いまして
ワニウエイブ:ベスト盤に関しては、LHWのサイト充実させてえからなんかフリーダウンロードの音源はないか?と要請がありまして、
「それだったらセカンドもあるし、まあ予習しやすいようにWEB既発音源をまとめるみたいなのがあると便利かな」って感じでつくりました。bandcampやサンクラでいちいち聴くのって面倒だし、「いい機会だし」ってのはありましたね
「Super Ultra Best on The WWW」から、この曲はワニウエイブらしい曲だなといえるような1曲を選ぶとしたら、どれになりますか?
ワニウエイブ:やはり「怨念の虹」かなと。曲調もメランコリックな感じでよいと思います。



ワニウエイブさんの歌詞って、物凄く達観したところから言葉を発しているようなところがあって、冷酷なところもありつつ、一つの視点から見て徹底的にぶっ叩くサディズムを感じられるんです。「怨念の虹」にもそういうフレーズがあって
「でっかい口を叩いて 溜飲を下げる理由は ウォーリーみたいにそこらに あつらえられたように潜む その怒りは本当に 君の内側のものなんだから 宝物みたいに大切に 餌をやって育てればいい」
というフレーズとか
ワニウエイブ:自分でいうのもあれですけど、アイロニカルですよね。でもまあ達観しているということではないんですよ。諦観している、あるいは諦観しているフリをしているということであって。それと「怨念の虹」ぐらいから、自分の根本的なテーマのようなものが明確に見えてきたなあと思ってます
ワニウエイブさんは諦観がキモになっている・・・ともおっしゃっていましたが、一貫して憤怒と覚悟を唄ってきたんじゃないのかな?とも思ったりしていて
ワニウエイブ:「怒り」というほど怒ってはないんですが、まあ悪意はありますよね!
「衆preme 愚oods」、ここには入ってないですが「さよならロッキングオン」などなど、自身に愛がある題材をモチーフに唄うからこそ、怒りも表に出てくるんだなと思ってますよ
ワニウエイブ:覚悟や選択というのも、特にファーストアルバムの頃はそういうテーマだったような気がします。さっきの「ゲーム的リアリズムの死亡」とほとんど全く同一のことを歌ってますね
ワニウエイブさんが好きなKeyとロックについて2曲とも唄ってますが、その実、これからを生きる覚悟をもて!という非常に前向きなメッセージなんですよね。
「散らかしたままの部屋を片付けて 窓を開け、服を着替える 僕らの愛した時代は死んだ。襟を正し、そして生きてく。」(「ゲーム的リアリズムの死亡」より)
ワニウエイブ:すごくざっくりまとめるとオワコンについての曲なんですが、そこにはどうしたって郷愁がついてまわるんですよね。自分の曲をさっき「諦観してるフリ」と言いましたが、強がってるということ、寂しくなんかないぞ、っていうことですね。これも世代感かもしれないですけど、正面からエモく表現するということがあまり信じられないんですよね。試みることはあるんですが。
なるほど
ワニウエイブ:世代という話でいえば、VIPイズムなのかもしれないですね。 VIPど真ん中世代なので、まあ人格形成に一役買ってるのは間違いないです
素直に、ストレートに表現して、受け入れられるかわかんない不安感とか、それ自体がかっこよく見えない・・・上の世代はそうやっていたしかっこよく見えていたけども・・・僕らはどうだろう?みたいな
ワニウエイブ:音楽って情動が不安定な人間のためだけにあるわけじゃないんで!

自分の目線から「現代」を切り取って、そのパーツパーツを楽曲に落とし込んでいった感じですね



(先行配信された「ブルーインフェルノ」)

いよいよ「Contempo-Rally Championship 2016」に話を移したいのですが、今作ではワニウエイブさんはあまりトラックメイカーとしては参加しておらず、ラッパーに徹していて、代わりに多くのトラックメイカーを招集しましたね。なにか意図はあったんでしょうか?
ワニウエイブ:そもそも、あんまりアルバム製作ということに興味がなかったんです。そんな折、2015年末に今回トラックメイカーとして参加していただいたGo-qualiaさんが、年間ベストみたいな企画でオレの曲を褒めてくれてたんですよ。そこで「いろんな人とコラボレーションしたいという理由ならアルバムが作れるのでは?」と思いついたのが最初です。その後、派遣で働いてるときに、<これはなにか音楽かなんかをやっているという実感がないと狂ってしまうぞ!>と思いまして、製作を開始したという感じです。
なるほど。以前ライブ現場でお会いした際には、トラックメイカーは有名な人に声をかけまくったんだよね~~なんて話を冗談めかしてましたけど、どんな曲を作って欲しいかはある程度トラックメイカーさん各々に任せっきりだったんでしょうか?
ワニウエイブ:最初に企画書を書いたんですよね。どのような流れでどんなアルバムになるかっていう。で、この曲なんですがどうでしょう?と一人ひとりにまずテーマを伝える形で作っていきました。
かなりコンセプチュアルに?
ワニウエイブ:今回のアルバムはかなりコンセプチュアルですね。企画書段階から変更点もあるんですけど、TMが決定して以降はほぼ変更なくそのまま作りました。トラックも最初の段階で、こういう曲を頼むならこの人かな、みたいなのを考えてオファーしてました
どの曲も、どの曲とも違いますよね、ギターポップ、オールドスクールなヒップホップ、電波ソングぎみ、エレクトロニカ、ジャジーなもの…
ワニウエイブ:そうですね、よい感じにちらけたと思います
これまでだと、一貫したトラックメイキングにワニウエイブさんの声が乗る、というのが常だった。そうじゃなくて、他人が作ったトラックに自分がどう言葉を乗せるか?というチャレンジでもあるし、そうすることで自分の周りの現実からも逃れられる感じもあると
ワニウエイブ:あとまあ、やはり、自分以外の視線とか視点が入ってくるということですよね。テーマを伝えてトラックをつくってもらうわけですから。
作り終えてみて、いまの気持ちはどうでしょうか??
ワニウエイブ:もうだいぶ経ってしまったんで、早くでねえかなと思いながら寝転がってますね。作り終わったときは、とにかく「長かった」と思いましたが。
製作期間、どれくらいだったんですか?
ワニウエイブ:半年ぐらい作ってたような気がしますね。コンセプト考えたり歌詞考えたりするのはまあ大変でした。トラック作るみなさんも結構苦慮なされていたようですね
先日のライブに来られていた吉田ヨウヘイさんにもカンタンに話を伺ったんですけど、悩んだんですよねーと話されてましたね
ワニウエイブ:いやいや、いきなり無理難題を押し付けて申し訳ない限りでした
今作でもワニウエイブさん自身いろいろ歌詞を深く考えたと思うんですけど、なんというか、Twitterで見られるあらゆる騒動を俯瞰的にみて悪態をついている、ような感じの言葉がすごい多いとまず思えました。
ワニウエイブ:ツイッター含めたインターネットのあちこちですね
VIP時代から生きてきたワニウエイブさんからみて、ココ数年くらいのツイッターやネットニュースで目につく話しに何か言いたいことや不満がグシャメシャに溜まっていったんですか?
ワニウエイブ:ああ、そういう風に感じましたか。別に怒ったり不満に思ってるってわけじゃあないですよ!今回のアルバムの一番最初のコンセプト、というかとっかかりが、タイトルの一部にもなってるように「現代」というものでした。なので、自分の目線から「現代」を切り取って、そのパーツパーツを楽曲に落とし込んでいった感じですね
いままさに「コンテンポラリーチャンピオンシップ2016」の歌詞を読んでいたんですけど、まさにそういったことを歌われていますよね
「コンテンポラリーチャンピオンシップ “今一番アツい”という御旗を掲げる 良い悪いが何度も回転し “逆にいい”となる中盤を迎える」
ワニウエイブ:現代とは何かということを考えたときに、やはり一番最初に出てくるのは、価値多様世界であるということですよね
客観的な序列がなく、色々な視点や価値観の併立・共存があって、それぞれの視点と価値観に立って複数の主張ができることを容認する、みたいな
ワニウエイブ:もっとミクロな話を突っ込んでいくと、もちろん最終的には大きくなるんですが、今回取り扱っているものだと、音楽の聴かれ方、とかそういうものですよね。これはこれでいい、いやむしろコレがいい、というような。
だからこそ、楽曲の毛色もバラバラですしね
「多種多様な定義の“現代的” 各自勝手に設定する仮想敵 種目数も増えていく兆候が で自分以外誰もいない表彰台」
という歌詞にもまとまってますよね、そのあたりの感覚は
ワニウエイブ:そうですね。今回のアルバム製作を通じてすごい自覚的になったんですけど、オレのテーマってのは多分、大げさに言えば「価値多様世界における孤独、孤立、疎外」だと思うようになったんです。言葉にすると短いんですが、それって実はあんまりシンプルじゃなくて。いろんな目線から描きうるテーマだなと思いますね
「ロスト・イン・ジ・イオンモール」が本作の2曲目に入ってますけど、イオンモール自体が多様な商品を取り扱うスーパーマーケットの代表格で、その中で<ロスト>する感じとかは、まさに<価値多様世界における孤独、孤立、疎外>ですよね
ワニウエイブ:はい。あとイオン自体が「郊外」にあるものですからね
僕の中で現代的とは・・・と言われると、そもそも答えがないのに、答えらしきものを設定して、答えじゃないものをも設定すること、だと思っているんですよ
ワニウエイブ:それってなんか禅問答みたいですね(笑)でもいいたいことはわかります。すげー最初にもどりますけど、それってホロウですよね。ホロウとか、スタンドとか、なんでもいいんです、ポケモンでもいんですけどね、
まさにホロウをアタラクシアする感じですね
ワニウエイブ:実際存在しないものに、意味を付与しようとしている感覚ですね。
まさにSNS絡まりで炎上するのとかでもいいんですけど、
「各自勝手に設定する仮想敵」
と歌われているじゃないですか?これまでは社会的な風潮などで<仮想敵>が決まっていたんですけど、いまだと個々人それぞれが勝手に生み出してる気がするんですよ
ワニウエイブ:わりと自分の立場が正義であるという大前提をもとにそれが行われますね
疎外感とか孤独とかもそういったものから生まれたりしますしね。価値が多様になり認めつつ、各自に敵を設定することで、阻害と孤独を深めていく流れを歌っている。
ワニウエイブ:手を開けないまま局面が進むポーカーみたいなものです。オレはロイヤルストレートフラッシュだぜ、って口先で言い合ってるんですよね
でも札をオープンにする瞬間は訪れないわけで
ワニウエイブ:そもそもそんな札なんて本当にあるかどうかもわからない、と。ただ、俯瞰する、とか、客観的になるってことは、孤立することでもあるんですけど、自分を保つということでもありますね。さっきから価値多様世界みたいな話してますけど、じゃあそれが全体主義みたいな。価値単一になればいいかっていうとそれはぜったい違うわけですし。
この作品を仕事していてすり減っていく中で音楽を作らないと自分を見失う中で作り始めたと仰っていていましたが、「おしゃべり」や「会話」の先にラップがある、そういった根源的なところもすごく感じられますね。今作から物凄い悲しさを感じ取れもしましたが、今日のお話などを聞いていて、なるほど働いている自分の身だからこそなのかもと。
ワニウエイブ:今回はすごく悲しいですよね。その悲しさと向き合うときに、ユーモアだったり、たとえば俯瞰だったり、ちょっとバカにしてみたり、そういうことを使うのが知恵ってもんですよ。だから本当に、怒ってるというわけではないですね
最近発売になった宇多田ヒカルが新作に纏わるインタビューで、「ユーモアって、どうにもならない状況に対して唯一できること」と仰っていたのを思い出します、それを踏まえると、今作はワニウエイブ全身全霊のユーモアとコンセプトによって疎外感や孤独感による悲しみを込めた・・・という作品ではありますよね
ワニウエイブ:そうですね。宇多田ヒカルは育ちいいですけど、オレらみたいなもんは育ちが悪いのでユーモアだけじゃなくて、毒も悪意も使うということです
ブラックユーモアも、インターネットミームも、ネットスラングも、全てをまとって生まれるリアルなラップミュージック、みたいな感じですね、本当に。だからこそ刺さると
ワニウエイブ:ヒップホップの誕生という話でいうと、ここがオレらにとってのストリートですからね

『Contempo-Rally Championship 2016』/ waniwave
2016年10/19リリース
フォーマット:CD
レーベル:LOW HIGH WHO? PRODUCTION
【Track List】
01. 人とは違う音楽が好きな人のための音楽 [Prod. ツマー]
02. ロスト・イン・ジ・イオンモール [Prod. 吉田ヨウヘイ]
03. ここがヘンだよはちまjin [Prod. Silvanian Families]
04. 嘘だドンドンドン [Prod. waniwave]
05. ブルースクリーンインフェルノ [Prod. 4sk]
06. ガールズアンドパンツ [Prod. y0c1e]
07. 神話カンパニー [Prod. mochilon]
08. ノーカントリーフォースキッツォイドメン [Prod. Go-qualia]
09. コンテンポラリーチャンピオンシップ2016 [Prod. kumorida]
10. 1分でわかるワニウエイブ2ndアルバム「Contempo-Rally Championship 2016」


<インタビュアー:草野虹 10月6日 Twitterにて>

2016.10.16 12:00

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