【INTERVIEW】僕とジョルジュ — part1 — 姫乃たま
本年1月ある朝通勤途中の乗換駅の階段を降りていたら頭の中をボンボンボンボンボンと速いリズムでベースの音が鳴り、続けてオルガンが、どこかで聴いたことあるなと思ったらフランスギャルのジャズ・ア・ゴーゴーだった。それが「僕とジョルジュ」制作のきっかけでした。
『僕とジョルジュ
ディナーショー』
2015年11/29(日)東京 町田 まほろ座 MACHIDA
ACT:姫乃たま / 佐藤優介 / 金子麻友美 / 澤部渡 / 井上 拓己 / シマダボーイ / and more..
スペシャルゲスト:山崎春美
Open 19:00 / Start 20:00
Adv ¥2,500 / Door ¥3,000(1ドリンク+1フードオーダー)
ジョルジュは、フランスの画家ジョルジュ・サンドから。
女性が男性名を名乗っているのは、想像が膨らむと思ったので。
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—最初に、フランスギャルやりたいって電話したんですよね、メールか。
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姫乃たま(以下h):最初は(澤部渡の)バンド、スカートをバックに、姫乃たまソロ名義のCDを作ろうというお話だったような。
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—そしたら今年は自分名義のアルバムを出すからユニット名義にしたいって言われたわけです。
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h:そうそう、そうでした。普段のライブで、地下アイドルとして歌っている音源が流通していないので、今年こそ出そうと思っていたわけです。間に合わなかったですが。
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—それが「僕とジュルジュ」となったの覚えてる? おれはユニット名はジャパンギャルで、とメールしたら全く無視されたわけで。
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h:フランスギャルにインスパイアされ過ぎですし、ジャパンギャルってヤマンバじゃないですか。
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—矢野顕子のジャパニーズガールのつもりもあったんだけど。
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h:まあ、その考えもわかりますが……。ジョルジュは、フランスの画家ジョルジュ・サンドから。女性が男性名を名乗っているのは、想像が膨らむと思ったので。「僕とジュルジュ」って異性の恋人にも、同性の恋人同士にも見えますよね。
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—色々な解釈が成されるだろうと。そこは誰も理解してなかったと思う。
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h:もっと厳密に言うと、ジョルジュという犬を飼っていた知人がいたんです。名前の由来はジョルジュ・サンドだったそうです。「僕とジョルジュは最高の友達だった」と話していて、犬しか友達がいない寂しい感じや、少年と犬の組み合わせには感じるものがありましたね。
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—作詞は全部自分でやります、となったわけですが、当初何かコンセプトは考えたんですか?
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h:最初は全くなかったですね。どんな曲ができるのか分からない中で、佐藤優介さんから18秒の曲とか送られてくるわけじゃないですか。これ、ファイル破損してんじゃないかな、という。全編、恋のうたにしようと、それだけですね。
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—澤部(渡)さん、佐藤(優介)さんや金子麻友美さんから曲が届き始めて歌詞が出来るのも当初調子良かったと思ったけど…。
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h:制作の途中で、祖父は死ぬわ、声帯にコブができるわ、書籍(『潜行 地下アイドルの人に言えない生活』(サイゾー)9月に出版された)の執筆と被ってるわで、地獄でした。執筆のために出版社に寝泊まりしている生活でしたし、お風呂に3日入れないような状態で恋の歌を書いていたわけです。
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—最初のスタジオ入りのころ、5月でしたね。
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h:作詞は楽曲が出来上がった順に手をつけていったので、最初は佐藤さんの曲でした。「無邪気な少女」と「迷子」。デモを聴いた時は、メロディの複雑さと、トラックの難解さに驚きました。その後すぐに、金子さんの曲が届いて、それが「42歳」でした。
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—いい曲になりました。
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h:佐藤さんの曲はやはり、とても時間がかかって、金子さんの曲はすらすら作詞できた記憶があります。「42歳」なんか、歩いているうちにできました。佐藤さんの楽曲は物語性が強いので、コンセプトが浮かぶのは早かったですが、作詞はしばしば難航しましたね。
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—そうそう。他に印象的な曲は?
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h:「恋のすゝめ」が送られてきた時は衝撃的でした。
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—あれはレコーディングの最終日に佐藤さんに頼んでピチカートやってみてって。
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h:衝撃の方向性が違いますが、短い楽曲もショックでしたね。「君とデート」とか「内緒」とか。普段ライター仕事をやっているせいか、短文を書くのは苦手で。「君とデート」とか、ほぼ短歌じゃないですか、短歌とか俳句とか出来ないんですよ。
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—ブリジット・フォンテーヌに「俳句」って曲あるけど。まあ関係ないわ。
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h:書籍の執筆が締切間際で、マスタリングには行けなかったので、完パケが送られてきた時は、佐藤さんの脳内が完全に表に出てきたのを感じて驚きました。レコーディングはとにかく楽しかったですが、作業的にはこれで大丈夫なのかしら、という気持ちがありました。シマダボーイ君も、楽しく叩いて帰ってから心配になったって。楽しく歌って叩いたものがすべてまとまっていて、佐藤さんには驚かされるばかりです。
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—どうやったって使えないと思ってたシマダボーイの録音も、その良いところ出しててエラいと思った。
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h:改めて振り返ると、本当に佐藤さんと金子さんのおかげで、何にもしなかったなって思います。
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—ギターやったでしょ
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h:ギターね。澤部さんが搬送されたからね。
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—あのスタジオ現場はすごかったですね、いきなりギター持たされて。
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h:金子さんの褒め芸が炸裂して。誰が聴いても絶対ダメでしょ、これ使えないでしょ、という演奏もキラキラ褒めるので、いいのかな?って。
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—そうそう、金子さんの間違った敬語の使い方がすごい。あと素材があれば何とでもなるなって思ってたから。
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h:そう。結局、佐藤さんがなんとかしちゃうんですよね。あのふたりは本当に恐ろしい人たちですよ。
今まで恋愛の歌詞を書いてこなかったので、楽しかったですね
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—ボーカル録りの日って体調悪かったよね。
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h:喉にコブがありましたからね。おかげでボーカルの練習は脳内でしかできなかったので、当日ぶっつけで歌いました。すいません。
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—それは知らなかった。
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h:しかし、レコーディング楽しかったですね。ソロ活動が長いので、誰かと毎日顔合わせて作業するのは本当に貴重でした。
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—こちらからすると、ただのその場の何の根拠もない思いつきをお願いすると、すぐ返してくれたのがよかった。
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h:ありがとうございます。あとは、今まで恋愛の歌詞を書いてこなかったので、楽しかったですね。性格のせいか、どこか薄暗いのですが。「42歳」の歌詞なんて、恋人が死んだからずっと42歳なんじゃないか?という推測まで……。
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—誰から?
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h:ファンの人とか。
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—そうやって勝手に言われるのが一番幸せな、楽曲として、そうやって育っていてくれるのが一番良いよね。ところで最後に、11月29日のレコ発ライブについて意気込みを
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h:非常に楽しみですが、面識のないメンバーもいるので、どうなるのか全然わかんないですね! でも結局なんとかなってしまうんですよ、金子さんと佐藤さんと私でいれば。会場には螺旋階段とグランドピアノもあるそうなので、是非に遊びにいらしてください。ライターやったり司会やったりDJやったりで、ワンマンライブは4年ぶりなので貴重な日です。お待ちしております。
インタビュー/テキスト 金野篤(DIW)
→『【INTERVIEW】僕とジョルジュ — part2 — 佐藤優介 & 金子麻友美』へ
2015.11.26 11:53
カテゴリ:INTERVIEW タグ:JAPAN, カメラ=万年筆, カーネーション, シマダボーイ, スカート, 僕とジョルジュ, 姫乃たま, 澤部渡, 金子麻友美