【INERVIEW】アルバム『5th life』 — blueberry, very blue —
indiegrabが発足当初から、sabadragon個人で言えば1995年頃からなので20年に渡ってフォローし続けているポップユニット・blueberry, very blue。
細かい情報は以前書いたレビュー(http://indiegrab.m47.coreserver.jp/indiegrab.jp/?p=4164)に任せるが、彼らは1/17に実に18年ぶりとなるニューアルバム『5th life』をフィジカルリリースした。
『5th life』blueberry, very blue
JAN コード:4580481391775
CD:¥1,500(税別) / デジタル DL(開始時期:TBA):¥1,500
取り扱い店舗
・奈良県 奈良市 レコードショップ ジャンゴ
(@djangorecords)
・ココナッツディスク吉祥寺店
(http://coconutsdisk.com/kichijoji/)
・sugar-frost Shop
(http://sugarfrost.jimdo.com/english/shop/#!/Other-Japanese-Indiepop/p/39683740/category=9517009)
・タワーレコード・広島店、京都店で取り扱い予定
(詳細後日発表)
・アルバムトレーラー
このアルバムは正直それまでのsoundcloudの音源を聴いて勝手に持っていた期待値を軽々と越えていく作品であり、この作品がどのように作られたか、18年という時間はこの作品と彼らにとってどのような存在だったか、それを知る必要があるのではという興味と個人的な衝動から彼らにインタビューを申し込んでみた。
自分たちが生きているということを買ってくれた人に改めて教えてもらえた感があります。
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ー簡単な自己紹介をお願いいたします。
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マスイカオル(以下マスイ):blueberry, very blue、vocal/accordionを主に担当のマスイカオルです。
サカモトケンジ(以下サカモト):その他担当のサカモトケンジです。
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ーアルバムの完成とリリースおめでとうございます。
18年ぶりのアルバムとの事ですが、完成させてみたご感想をお伺いしてよろしいですか。
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サカモト:ありがとうございます。延々と続いた長い夢 がやっと終わり、今は寝ぼけてるような感じです。まぁ~・・・大変でした。
マスイ:夏から冬まで、家の外壁工事とがっつり並行して家で録音していました。感想ですが、終わって一番思ったのは「安心」です。
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ーアルバム発売から1ヶ月程が経過しますが、手応えの方はいかがでしょう。
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サカモト:今は、出せただけで満足してます。
こんな時代にCD買ってくれる人がひとりでも居たということでは大満足です。それが手応えです。自分たちが生きているということを買ってくれた人に改めて教えてもらえた感があります。
また何処かで立ち止まることもあるかも知れないんですけど・・・忘れずに喜びをblueberry, very blueなりの形にして返していきたいです。
マスイに借りっぱなしのCD群がある自分が言うのも何ですけど。
マスイ:奈良ジャンゴレコードさんまで足をお運びいただいたり郵送のお手続きを踏んでいただき聴いてくださった皆様に一緒にまだ作りつづけている気持ちです。続くワクワク感です。ありがとうございます。
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ー今回はどのような経緯で活動を再開されようと思ったのですか。
また、アルバム制作の話が立ち上がったのはいつ頃ですか。
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マスイ:1999年に発表する予定が、目に見える動きや聴こえる形状としては今になりました。
アルバム制作は 4th fruit を発表後の自然な流れの先に予定する気持ちとしてありました。生活を営む中で、それだけの力を注ぐのが困難だったということです。
サカモト:この十数年間、マスイはライブを、ぼくはCDを、と言ってたと思います。鶏が先か卵が先かみたいな話を(笑)。
解散宣言もせず長い間放置した形で、1999年発表予定と謳ったフルアルバムも未完のまま。この中途半端な形をどうにかしたいとずっと思ってました。もういい加減にするべきだ、と日々消費されていく時間や衰えていく自分に楔を打ちたくて、まぁ打った訳です。
なので自分自身、これを復活とか再開と呼ぶのは少し違う気がしています。けじめと言った方が近いです。これからどうしていくのかの約束が出来るほど信頼されているとは思いたくないし調子に乗りたくもないですから。
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ーデジタルリリースが数多く見られる時代に「CDでのリリース」をされた意図はどのような所にあるのでしょうか。
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サカモト:音を楽しむという行為とは?ってとこになりますね。
ecoだ!無駄を省くのだ!時代の流れだ!技術革新だ!シンプルイズベストだ!と言いながら、例えばクルマのハンドルでいうところの「あそび」部分まで削いでいってるような、それくらいの勢いで何かが失われていってるような、失われてないようなよく解らない感じが今の時代なのかも知れません。
電子にだって質量はある、ただ生身の人間でそれを感じ取れる人はおそらくいない。感じ取れたからといってどうなのだ?必要ないじゃん!?みたいになる。ビニールレコードの溝を針がなぞるだけで感情が左右される仕組みすらぼくは解ってないんですけど、針の気持ちを思うと(笑)・・・。まぁ、装置全体が力を合わせて音楽を 送ろうとしているその姿はとても無駄だと思えないんですよね、ぼくはですよ。回るものへの愛しさと切なさでしょうか?つまり、回るもの、回す仕組みってエネルギーを発生させたり消費したりしてるってことです。惑星の自転や公転からビニールレコード、テープレコーダーまで。回転によって発生するものがエネルギーだとしたら音楽もエネルギーの形でしょ?だから物理にこだわってみたい、こだわってもあげたい、と。
ダウンロード販売は、blueberry, very blueの音が未来に残るためのもうひとつの手段というか可能性です。その芽を摘む理由もないですし否定する理由でもないです。
『詞を付けるときは、何度も何度も何度も聴いて、そこに言葉が聴こえてくると作業開始となります。』
『「何度も」を強調しすぎだろ?』
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ー実際の制作期間はどのぐらいになりましたか?
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マスイ:18年間になります。
サカモト:それまでの経緯を無視すれば約一年です。
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ーアルバム制作はどのような形で進行したのでしょうか。
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サカモト:CD制作は、ぼくの願望なのでぼくが全ての指揮をとりました。計画通りにはいきませんでしたけど。
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ー作業の分担みたいなものはありましたか?
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マスイ:相方サカモトが作った曲をもらって、マスイが詞を考える、というのが主な流れであります。(5th life に関しては、サカモトが二曲の作詞をしています。)
詞を付けるときは、何度も何度も何度も聴いて、そこに言葉が聴こえてくると作業開始となります。
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サカモト:「何度も」を強調しすぎだろ?それだけ何度も聴いて詞が出来なかったということは、作曲者にとっても辛く今後の行末を暗示してると思えてならんです(笑)。
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ーアートワークやMV等の制作もお二人でやってらっしゃるのですか?
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マスイ:今回、アートワークもMVもサカモトのアイデアです。
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ー収録されている楽曲はいつ頃作られたものになりますか?
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サカモト:古くは「blueberry note」発売の頃、2曲ありました。
当時、GOD’S POP RECORDSの担当者にカセットテープで「The Forthcoming Day~やがて緑の大地~」と「Time with You Is Eternity~君との時間は永遠~」を聴いてもらってます。ボーカル入ってない状態でですけどね。ちなみに仮題はそれぞれ「DEPTH」と「THE NEW」。
暫くして計7曲出来た頃に止まってしまいましたね。詞と曲、基本アレンジ、ボーカル録音が済んだ状態です。それから7~8年前、マスイに4曲渡してまたストップ。
ここまで11曲の内、「5th life」での採用が8曲。以降、マスイに渡さず自分で温めていたのが「Sorrow to Be Over ~オワルカナシミ~」を含む2曲、そして2014年に作った「For You」となります。
「聴いてくださる方の手元に届いた時、
それ以降はその人のblueberry, very blueになります」
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ー収録されている楽曲を聴かせていただいたのですが、過去に活動されていた「ネオアコ」というフィールドを基準としつつ、ネオアコのみにこだわらないというスタンスを感じたのですが、そのあたりはどのように意識されましたか?
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サカモト:作曲や編曲に関しては1stから5thまで、思うままやって来たので特に何かの枠を意識してるとか無いですけどね。拘らないことに拘るということとも違うかなぁ。
結局、何をしたって僕とマスイが何か作るとblueberry, very blueになってしまうんだから深く考え過ぎず、自分で良いと思ったことが音になるよう頑張れば良い…とマスイには言ってますし、自分でもそうしてます。
マスイ:可愛らしく~と意識をして歌詞を書いたのは2ndカセットまで、あとは自分の書きたい言葉で作詞しました。
ネオアコとかギターポップとかロックとか、括りを意識したことはありません。ネオアコ好きです。ただ、意識すると途端に難しい。
あまのじゃく、というより自然でないと、何をするのも困難で、実際日々困ってばかりです。
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ー先行してリリースされた「オワルカナシミ」と「For You」ですが、こちらはアルバム収録にあたってリマスタリングされていると伺っていますが、リスナーが聞き比べるとしたらどの辺りに注目して欲しいです か?
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サカモト:「オワルカナシミ」は、制作ソフトを他と統一したこともあり少し奥行き感が加わってます。アコースティックギターも手弾き、加えて目印としてベースのフレーズをちょっとだけ変えてあります。「For You」は、マスイのボーカルとアコーディオンは録り直し、アコースティックギターは最後のストロークを少し後ろへ移動させたりしてます。他、細々と調整してるんですけど大きくはこんなところです。
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ーお二人が以前活動していた90年代後半と現在とではインディーミュージックのシーンはどのように違っていると考えていますか?
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サカモト:違っているんですか?違っている前提だと、予想になってしまいますが・・・プロとの差が縮まっているような気がしてます。
マスイ:Twitterを始めて、昔にblueberryの音楽を聴いてくださっていたり、どこかで出逢って聴いてくださった方々のお話が聞こえる世界は、とても凄いです。
カセットアルバムに同封した葉書を返してくれた方々、ライブを見てくださってアンケートに記入くださった方お一人お一人に手紙や葉書でのお知らせを送らせていただくこと。
インディーミュージックのシーンの話、ではなかったですね。すみません!
サウンドクラウドやTwitterなどのきっかけがたくさんあるので、自然な流れでこれから知っていければと思っています。
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ー現在のシーンの中でblueberry, very blueはどのような存在を目指したいと思っていらっしゃいますか?
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サカモト:blueberry, very blueが許されるのなら自分だって許されるだろうと思ってもらえるような存在が良いですね。基準というかボーダーラインというか(笑)。
ほら、よく言うフリッパーズ以前以後みたいな感じ。
マスイ:blueberryの私は何も目指してません。
ただ何か少しずつ、自分の先にblueberryとしての未来を置いていけるような気持ちで常にいられたらと思います。
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ーこのアルバムはどのような層の方に聞いて欲しいと思っていますか?
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サカモト:動くターゲットを狙い撃ちできるほどの知力も体力も無いと思ってますよ。作っている時は、これでも攻めの姿勢バリバリなんですけどね。発生させるということが攻めであり根本であり最優先事項だと思ってます。
例え多くの人の目に止まらなくても作って出しさえすれば残る可能性があるのだから、いつか誰かのどこかの未来に繋がるんではないか、と。
マスイ:特にありません。たまたま出逢って、気になれば、聴いてください!
そのアクションに、ありがとうございます!
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ーアルバムの中でリスナーにぜひ聴いてほしいところがあればお聞かせください。
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サカモト:とりあえず一曲目の1分30秒くらいは越えて聴いていただければ・・・。
マスイ:特にありません。
聴いてくださる方の手元に届いた時、それ以降はその人のblueberry, very blueになります。
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ー最後に今後のライブや音源などの活動予定などがあればお聞かせください。
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サカモト:ライブは、最低でも1回はやります。そのつもりではいます。これは僕が、CDを作ると決めた際マスイに提示したことでもありますし。
後は過去音源を何らかの形でもう一度、リメイクして発表とか。
マスイ:ライブはいつか。
私は歌ったり演奏することがとても好きなんだと、昨年6月のアコースティックライブ(b-flowerを応援するムクドリの会主催のDJイベント)に出演させていただいた際に、強く思い出させてもらいました。
ライブが自分に出来るかどうかということより、それをやってみたかったのです。
1st~4thのカセットアルバムの曲が、儚い存在にならぬように、残す作業はblueberryが終わるまでに行うこと。
試していないことがたくさんあると思うので、ひとつずつ、する気持ちでいます。普通に生活をしながらなので、うんと先の予定ですが。
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ー本日はありがとうございました!
以前のレビューで書いた「彼らの本気度」と、今回の冒頭で書いた「期待値を軽く上回る」という言葉の溝が彼らの言葉によって次々と埋まっていく手応えを感じた。
そう、このアルバムに込められていたものは本気度だけでなく、彼らが普通に生活をして時を過ごしつつそれでも歩みを止めることのなかった18年間という重みが込められている。
その辺りについても色々書いてみたいが、それを書くと不必要に長くなってしまうのでまた機会を作っていきたいと思う。
今は彼らの作った重みをポップミュージックとして昇華してしまったこのモンスターと言っていいアルバムに酔いしれる。
そういう時期なのだと思う。
そのモンスターと言っていいアルバムは、現在奈良県のレコードショップ・ジャンゴに加え、2月末より東京のココナッツディスク吉祥寺店で取り扱いが始まり、国外向けにsugar-frost Shopでの扱いも開始された。
またタワーレコードでの扱いも予定されているという。
過去の彼らが気になる方も未聴のポップミュージックに想いを馳せる方も是非手に取ってみてほしい。
インタビュー/テキスト sabadragon(@sabadragon)
2015.3.1 11:25
カテゴリ:INTERVIEW タグ:blueberry very blue, JAPAN, neo_acoustic, pop
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