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【REVIEW】Gi Gi GIraffe 『Gi Gi GIraffe』



日本と海外の距離は果てしなく遠い、東アジアとの距離は飛行機で飛べば1時間ほどだが、これがヨーロッパなら少なくても8時間以上もかかるし、イギリスやアメリカは14時間ほどかかる。

こういった時間や距離をふっとばし、文化や言葉を飛び越え、共通のフォーマットを用いて通じ合えることそれ自体が、今ではあまりにも当たり前になってしまったように思える。マクドナルドやApple社製の製品は振り向けばすぐそこにある存在だろうし、音楽もそういったものに非常に近しい存在になった。音楽には、国境も人種も宗教も飛び越えて、ひととひとをダイレクトに繋げる力が確かに存在する。

どこぞの記事で、「邦楽は洋楽より劣っているか?」なんていう話を読んだ。非常にバカバカらしい話題であるが、少なくてもこの国の音楽好きの間で、この手の話をしていない人はいないだろう、それくらいに根深い話だ。なにしろ、この感覚を頼りにして日本の音楽は突き進んできたようなフシがあるのだから。

なぜ「邦楽は洋楽より劣っているか?」という話を、好悪関係なく気にしてしまうのだろうか?。国境も人種も宗教も飛び越えていく音楽を日本人が奏でる、それのどこに引っかかるところがあるのだろう?

その答えは簡単だ、「One Nation Under The Groove」<グルーヴの下にある一つの国>という言葉があるように、僕らも音楽という大樹のもとで、多くの人と一つになりたい、そんな希望を心のどこかに抱えている、そして<僕らはしっかりと数多くの人とともに一つの和の中に入れているのだろうか?>そういった不安が「邦楽は洋楽より劣っているか?」という問を招き寄せるのだ。



Gi Gi GIraffeのデビュー作品『Gi Gi GIraffe』、これほどまでに海外との距離を・・・イッパシの音楽好きらと一緒にウキウキとできそうな日本のバンドマンに、そうそう巡り会えるものじゃない。

Gi Gi GIraffeの山本はインタビューでも答えたように、生粋の日本生まれだ。学んだ英語力とボーカル処理のセンスをもってして、彼は海外のインディ・ロックバンド顔負けのボーカル像を手に入れている。彼のラップ的手法の歌い方が自身の音楽をよりグルーヴィーに昇華しているのは、彼がいかに自分の音楽に対して自覚的であるかを暗に示しているようなものだ。

今作には曲間の空白がほとんどない、スタートしてからの約30分間、高濃度高密度で慌ただしいミュージックジャーニーが始まる。軽やかでジャングリーなハネるグルーヴから重く引きずるようなグルーヴへ落ちていくこともあれば、いくつにも重なったギターによるウォールオブサウンドから一転して清々しいまでに軽やかなアコースティックギターの波の中へと突っ込まれることもある。

「Ever Ever」「8 Bit Love」のようにドラムとベースと薄いギターの音色で織りなすインディロック、「Picture」では非常にわかりやすいギターリフからのポップス、ベースやギターが奏でるメロディラインがブルージーさを醸し出す「Animal Blues」「Naked Girl」、歪んだディストーションギターと一本調子なベースサウンドの静動が魅力的な「Daisy」と揃い踏み、ラストを飾る「Birdcage」はしっとりとしたアコースティックサウンドで今作を締めてくれる。ボーダレスに並んだ楽曲は非常に多彩、聴き応えのある作品といえそうだ。

ジャンルレスに位相しつづける彼らの楽曲はほぼ曲間なしでパッと進み、約30分間ほど続いて目眩くミュージックジャーニーがようやく終わる、今作にはまるでノープランの小旅行のような無軌道さと、コロコロと行き先が変わっていくスリリングさを強く感じる。

彼が「ギターを弾いているときの勢いでそのまま音楽を作っていく」と語ってくれたとおり、この約30分間のミュージックジャーニーは『いま、ここ!』で生み出しているとい山本のう行き先知らずにドライヴィンな情熱を強く強くたぎらせているのだ。その初期衝動が本作品をロックミュージックとして昇華しているし、今のところGi Gi GIraffeがロックバンド然としていられる由縁なのだろう。

それでもなお、彼の言葉を借りると「自信作か?と問われると・・・難しいところですね(笑)」その理由はインタビューで語ってくれている。嘘だろう?と思えてしまう。なぜそう思えたのかはインタビューで語っているとおりではあるが、これほどにボーダレスでジャンルレスで、シームレスかつタイムレスな音楽を生み出せるバンドが、いきなり日本に出てきたことを僕は喜びたい。彼らの音楽をツマミにして、海外の人と「音楽っていいね」と語れたらいいなとすら、思えるのだ。

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2016.11.17 22:00

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