【REVIEW】オキシドーターズ2016年2/13(土)栄レッドドラゴン~ソリッドかつ爆裂!おまけにエンターティンメント!!
オキシドーターズのライヴを観てきた。
ソリッドかつ爆裂で、おまけにエンターティンメント。80年代パンク、ニューウェイヴの良さが凝縮して突如2010年代に復活したかのようだ。当時のフリクションもスターリンも非常階段も音源でしか私は知らないが。たぶん絶対そう。
このindiegrabではさんざん紹介しているが、オキシドーターズは、中村達也が在籍した名古屋の伝説的パンク・バンド、オキシドールのギターYOU、ベースGUNに加えて、GHOULのテツ(初代ブランキージェットシティのドラマー)、そして中村達也の娘ナカムラルビイがサックス、ヴォーカルで加わったバンドだ。
会場の名古屋レッドドラゴンは数年前に銃撃があった栄の繁華街、そのど真ん中にそびえ立つビルの5階。しかし狭いエレベーターは4階まで、降りてもう一フロア上に階段を昇りながら、なぜか背後に刺される予感。ライヴ前にルビイがtwitterに連投したスプラッタ映画のような昨夜の夢の内容が脳裏によぎる(この内容は後述する)。
他のメンバーが準備をするなか、フロアを歩くルビイは長髪ですらりとした長身、漆黒の蜘蛛の足を思わせるヒラヒラの衣装。ステージに飛び込んだルビィは上着を脱ぎ捨てて一転、紅い蝶。怒号の歓声の中、華麗にステージを舞う。と思えば獲物を狙うカマキリのように激しく観客を煽る。ロック・バンドではなく舞踊を鑑賞しているのかと見紛いそうになる。と思えば中盤で彼女は本気で転んでいたと思う。気持ちいいくらい見事にすっ転んで彼女の長身がモッシュの壁に隠れた。しばらくして起き上がる。その姿が美しい。
鋭角にザクザク切り刻むギターと、ライブハウスが揺れると錯覚しそうなほど響くリズム隊は爆音のなかに隙間がある。そこにルビィの軽やかなヴォーカル、そしてサックスが乗る、スコンとはまるといったほうが正しいかもしれない。次々と繰り出される曲は鼓膜が破れそうなくらいの轟音だが、うるさいと感じない。おどろどろしく、かつすがすがしいパフォーマンス。
このバンドのたたずまい、彼女の瞳は何かに似ている。後で気づく。濃いアイシャドウのせいもあるがR.E.M.のマイケル・スタイプの瞳だ(彼もゴスっぽいメイクでステージに立つ)。ライヴ・ラストの定番曲「It’s the End of the World as We Know It (And I Feel Fine)」を歌う時のそれ。知っての通り今は世界の終わり、でもいい気分さ。
ここで、本人の許可を得てルビイがtwitterに連投した夢の内容を編集し転載する。私が下手な文章を書いて音楽知識の無さを露呈するより、よほどその夜のライヴのイメージを喚起するテキストだからだ。
素晴らしい夢だった。今年二十歳の男女の首が午前11時30分になると首がポンポン飛んでく話。正しくはその時間までに謎解き(犯人探しと自首)しなきゃいけないんだけど、それを放棄して皆死ぬってやつ。目の前で同級生の首に亀裂が入ってって頭飛んでくのあんなにいっぱい見たの初めてだ(そりゃそうか)。皆発狂しながら頭すっ飛んでいくパニック・ムーヴィー。最初は映画の撮影だったはずが現実になるってやつ。面白かった。
時間が経つにつれて自首した人への制裁がどんどん厳しくなる。で、最後の審問タイムの時に、全員バスタオルで水族館のロビーに集められるんだけど、犯人は誰も手を挙げない。痺れをきらして発狂した女子アイドルが熱湯風呂に自ら飛び込むんだけど、その時あまりの熱さにアイドルはバスタオルなんてお構い無しに熱湯の中で暴れ狂う。で、最後は水面のカット。エロかった…もがきながらゆでダコみたいになって溺れ死ぬ女子……†
11時16分、名駅で私は同級生2人に「11時30分になったら皆死んじゃうんだよ、いいの?」って訊く。同級生は信じない。ショッピング・モールでその時を迎える。階段を上ると頭が落ちてる。「ほら。」っていう。頭を拾う。同級生男子の頭。一番上から三人兄弟の長男が駆け下りる。「俺以外の2人(双子の弟で二十歳)が死んだ、なんで俺は死なないんだ」っていう。「お兄さん、いくつですか。」「俺は12歳上なんだ。」「じゃあ大丈夫ですよ。」で、同級生女子2人はみるみるうちに首に亀裂がはいる。階段のてっぺんからジャンプしながら降りてくる。
私は「ありがとう」と叫んで2人の頭を横目にライブハウスに向かう。入り口の幅が1人分、奥行き4人までのエレベーターに乗る。「二十歳の奴らが乗ってきても降ろしてよ、絶対死ぬから。助からないから。」 で、外に出る。街は突然若者の頭と血にまみれてパニックになっている。でも死ぬのは二十歳の奴らだけだから大丈夫だよって、ライブハウスの目の前の公園で、頭脳警察のメンバー、the原爆オナニーズのEDDIE達と、スーパーで買ったマグロの刺身を食べる。私はその横のワサビを食べていた。そう、私早生まれだったからセーフだった。
(以上、ナカムラルビイのtwitterから編集して転載)
彼女が歌う、あるいはサックスを吹くたびに首が一つ舞う。街は大パニックだけど、そのさまはどこか滑稽でユーモラス。だって夢オチなんだから。でも刺身のように旨みがなくワサビみたいな辛さ。そう、現実なんていつだってそんなもの。
人類皆愛。
テキスト:森 豊和(@Toyokazu_Mori)
2016.2.14 16:45
カテゴリ:REVIEW タグ:JAPAN, NAGOYA, オキシドーターズ, ナカムラルビイ
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