【INTERVIEW】Jan flu
Jan fluのVo./Gt.をつとめるP.Necobayashiという人は非常にまめな人であり、彼自身の音楽活動の節目節目で必ずと言っていいほど連絡をくれる。
「今度Jan flu(ジャン・フルー)ってバンド始めたんですよ」
「来月デモ音源公開するんで聴いてください」
「今度初めて自主企画やるんです」
と、連絡をもらうたびに彼が始めたJan fluというバンドが大きくなっていき、
「この間ディスクユニオンのオーディションで最終合格者に選ばれました」
という連絡をもらった。
結成したという話を聞いてからわずか1年ちょっとでそこまで大きな存在になっているのかと思うとともに、以前よりそろそろインタビューをしなければと思っていた部分が段々使命感となってきた。
以下はそんなJan fluに試みたインタビューである。
モチベーションは高まったよね。僕は1つの結果が出たことで、以前より自信が持てるようになりましたし。
- –:今回ディスクユニオンの『DIVE INTO MUSIC.オーディション2017』で最終合格者の4組に選出されましたが、このオーディションへの参加はいつ頃、どのようなきっかけで決めました?
- P.Necobayashi:夏頃に決めました。
この頃、1stアルバムの製作をし始めていて、僕がレコーディング、ミックス、マスタリングの全工程を進めていました。
その作品は海外レーベルでリリースする予定があったんですが、音のクオリティに満足出来なくて……。やっぱり音源というものはどんなに楽曲を作り込んでも、ミックス、マスタリングで作品の良し悪しが変わってしまう。僕らの楽曲はlo-fi(厳密に言うとmid-fi 参考サイト)を目指しているけど、そのニュアンスを表現するには僕のエンジニア技術が足りていなかった。
「どうしても音のクオリティを向上させたい!」というサウンドに対する強い偏執狂的想いから、アルバムの製作を手助けされたくて。
今回のオーディションはwebやらポスターで確認していたので、「手助けされたさ」からナイスタイミングで応募したというのが実状です。 - –:タイミングが良かったわけですね。オーディションの選考方法はどんな感じで進みました?
- P.Necobayashi:1次審査に音源審査、2次審査にオーディションライブがありました。
ライブは新宿duesで行われましたね。 - Kubo(Gt.):レーベルの人たちの前でライブするのは死ぬほど緊張しました。
- –:オーディションに向けて何か準備したことや対策はありましたか?
- P.Necobayashi:対策って、受験や試験っぽいですね(笑)
特に込み入った対策はないですが、ニュアンスはその時の最大限が伝わるように、(上記にもあった)レコーディングして製作していた音源を提出しました。 - Junya(Ba.):僕は当日、普段のライブと同じ感覚でできるよう心掛けました。個人的に、きっちりやるのが得意ではないので。「余計なこと考えずやろう」と。
- Kubo:僕は目立とうとすると大体失敗して後悔することが多いので、いつも通りにやろうとだけ考えていました。
- –:最終合格者に残った時の感想はいかがでしたか?
- P.Necobayashi:ぶっちゃけると、「助かった」です。これ以上はありません。
- Junya:僕は素直に嬉しかった。
- Kubo:バンドをやっていてこういう形で評価されたことが初めてだったのでドキドキしたよね。
- –:今年はJan flu以外にどんな面々がノミネートしていました?
- P.Necobayashi:The Sunnys、ミシェルメルモ、akira_cow、有富裕一、hiza、ネルソンマンデラの孫、オレモリカエル、ラテン連合軍、ヌレセパ、フィネガンズ・ウェイク、colspanが1次審査通過してましたね。
- Junya:それに最終合格者のSo Sorry,Hobo、ylang ylang、しんきろうのまちですね。
- –:これまでにも活動の中でオーディション等に参加した事はありましたか?
- P.Necobayashi:Jan fluとしては、今回のオーディション以外だと同時期に2つくらい参加していました。提出楽曲が出来上がったから興味のあるものだけ。
- –:オーディションに参加して、バンド内の空気やライブの音等に変化はありましたか?
- P.Necobayashi:確かに、バンドの空気は変わったのかなと。
でも空気は結果変わったのであって、大きかったのは個々の気持ちなのかなとも思っています。 - Junya:モチベーションは高まったよね。僕は1つの結果が出たことで、以前より自信が持てるようになりましたし。
- Kubo:自分は、結果が出たからこそ、よりストイックにやっていかねばなぁと思いました。精神的にも演奏技術的にも。
- TAKURO(Dr.):僕は性格がとても明るくなりました。知り合いのバンドのライブによく遊びに行くようになって友達も増えました。毎日が楽しいです。
- P.Necobayashi:僕について言えば、「ちゃんとデモ曲ためなくちゃ」とか売れてもないのに思うようになりましたからね。ただ、Janに則さない曲は書くつもりもないけど。
ライブ映像:Jan flu / LIVE『Invisible beach, and the skying』『Into youth』
- –:受賞者はDIW PRODUCTSより CD、レコード、デジタルのトリプルフォーマットで音源がリリースされるとの事ですが、リリースする音源って今現在どんな状態ですか?
- P.Necobayashi:今はまだレコーディングも始めていません。
具体的に言うと、僕らに合うスタジオ/エンジニアを探している最中ですね。 - –:リリースされる作品はどのような作品にしたいと思っていますか?
- P.Necobayashi:挑戦的で、革新的なアルバムにしたいと、現在試行錯誤中ですね。
タイトルになるかならないか、確定してませんが、前回の共同自主企画のイベントタイトル「AFTER IMAGE」が表してます。
直訳すると残像ですが、これは残像を残すようなサウンドの表現。もう一つは、「イメージの後」ってことです。「イメージの後」にある真のイメージ。
Jan fluは歌詞が無いけれど、めっちゃ偏執狂的なイメージが楽曲にあるんです。それをアルバム全体で体現したいですね。 - Kubo:なにより自分たちの納得のいくクオリティの作品に仕上げたいですし。
- TAKURO:音源はもちろんのこと、CD、7インチというフィジカルでリリースする以上モノとしてもこだわったものにしたいと考えています。ジャケットや歌詞カード等アートワークも作品の一部としてアルバムのコンセプトに沿った面白いものが作れたらいいなと考えています。
具体的には、ねこさん(P.Necobayashi)は何語でもない英語のような音を適当に発音して歌を歌っています。
個人的には喃語(赤ちゃんが大人を真似して発する意味のない声)だと思っているのですが。なので歌詞カードには、歌詞の代わりに短い詩のような文章とその曲をイメージした絵をそれぞれ曲数分載せて、リスナーに音楽のイメージを伝える助けになるアイテムを作ろうと考えています。 - –:それ、面白いですね。歌詞がありそうで無いバンドなりのサブテキストが付属するっていう。やっぱりある程度のボリュームのブックレットを作るような感じですか?
- P.Necobayashi:喃語ではない!(怒)
いかにもテキトーに歌っていると思われてしまうので、強く否定しておきます。
Janの歌詞性についてはセオリーが存在します。
セオリーについて、「音の側面」、「イメージの側面」という2つの側面があります。
まず1つ目の「音の側面」については、歌詞の乗り方に重きを置いて作成しています。
具体的に言うと、これは作成手順の話ですが、確かにTAKUROちゃんの言う通り、曲の作成段階では喃語のようなアベコベ英語で作曲するんですよ。この手法や近い手法は、著名なアーティストも行っています。桑田佳祐さんとかYUIさんとか。
で、僕の場合はこの出来上がったデタラメな英語に、語感が良いものやイメージに寄せた単語を織り交ぜて音が気持ち良い様に組み直す。もしくは音が違和感あるようにする。使う音で多い物は、歯擦音、というかサ行、「s」から始まる音。濁すために敢えて濁音をいれたりとか。あと鼻濁音にしたりしなかったり。だから喃語じゃない。言うなればスーパー喃語。
また「イメージの側面」としては、「音の側面」とイメージに寄せた単語のみが通底しています。内容は僕のモノマニアな視座があって、それについてです。このイメージを示す短文が別途あって、これとイメージに合うグラフィックとセットにした物を従来の歌詞カードとして扱う予定です。僕ら的には、歌詞カードではなくイメージカード。
従来の歌詞性、僕もいいなと思うことがあるし、それが想起させるイメージも相乗効果的にあるかもしれない。「景色を切り取る」とか。でもそれって、もうやり尽くされて、現在に適合しないように感じられるんですよね。大衆音楽における文学性も。
今の僕らがすべきことは、新たな歌詞性において従来以上に歌詞のノリの良さとかの音楽性を獲得すること、イメージを具現的にしてより強固なイメージを見せることだと思っています。今回はフィジカルに価値を置くための仕組みとしても。
だからボリュームが大きくはならずとも、上記の様な型で作成する予定ですね。詳しいところは美術班のTAKUROちゃんが考えてくれています。 - TAKURO:スーパー喃語……なるほど……。
イメージカードについては普通にCDケースに入るサイズ感になると思います。予算との兼ね合いもありますが。1曲1ページあるとして十数ページ程度になると思います。
ただ、本の形になるのか、蛇腹状にするのか、それとも広げると1枚のポスターのようになるのか、とか紙の質感までこだわっていきたいですね。 - –:大体いつ頃のリリースを目指していますか?
- P.Necobayashi:今のところ、2018年の夏頃を予定しています。
- –:音源のリリース以外に何か進行している企画等あれば。
- P.Necobayashi:僕については、(ライブではない物も含め)企画が思いついては消え、思いついては消え……を繰り返しています。
現在解禁できるものとしては、12/30と1/19のライブ出演のみですが、3月には面白いイベントを企画している最中です。この詳細については追ってお披露目出来ればなと。
Jan fluは歌詞が無いけれど、めっちゃ偏執狂的なイメージが楽曲にあるんです。
Jan Flu オフィシャルTwitter(@Jan_flu)
【Jan Flu ライブスケジュール】
『ABIRU Vol.5』
2018年1/19(金)新宿 LOFT
ACT:ROKI / myeahns / THE FOREVERS / ハネダアカリ / Jan flu
Open 23:30 / Start 24:00
Adv ¥1,000 / Door ¥1,500(+2d ¥1,000)
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2017.12.26 12:00
カテゴリ:INTERVIEW タグ:indie pop, jan flu, JAPAN, surf, the oxs
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