【INTERVIEW】Gi Gi Giraffe『Gi Gi Giraffe』



友人に言われたんですよ、「おまえの音楽はすごく面白いけど、基本的にはギターの音楽だよね」と。(山本)

草野:ありがとうございます。2015年には Tanukineiri Recordsから『HOME MAID WORKS』が発売されました。
山本:僕はいつも宅録日記というものをつけているんですけど、歌詞はこういうアイディアがあって、この曲はこういうふうなことがきっかけから作った、みたいなことを書いているんです。普段の日常生活のことも含めて書いてあったりしますけどね(笑)。今回インタビューを受けるということで読み直してみたんですけど、『HOME MAID WORKS』に入っている6曲が、ほぼ1週間から2週間のなかで作っていることに気づいたんです。一時期、一日一曲必ず作り上げよう!と意気込んで制作に取り掛かった週があって、それはハッキリと覚えてますけども、たぶんこの時だったんじゃないのかな・・・?よく覚えてはいないんですけども
草野:このアルバムからは海外のインディミュージックと同じニオイを感じました、宅録音源からライブ活動を徐々に強めていったという流れは、まさにCloud Nothingsっぽいなとも思ったんですが、この頃はんな音楽を聴いてましたか?
山本:この時は2015年春頃だったと思うんですけど、USインディミュージックとかばかり聴いていたように思います。Ty Segallとかを聴いたのかな?と。この作品を作っていて考えてたのは、曲が終わったらすぐに次の曲のイントロなり何かの楽器の音を鳴らしたりして、沈黙や静寂を作らないようにしていたんですね。
草野:音を詰め込むような感じもあったり?
山本:まさにその通りで、3曲目の「Some Weeks Backward」はそういう感じで作っています、ギターの音も5本くらい入れてグチャグチャにして作っているんですよね。これは他のインタビューなどでも話しているんですが、この頃の楽曲はライブのことを一切考えていないし、録音物として聴いてほしいんですよね。ギターの音もギターの音色として聴いてほしくなくて、ギターでライン録りしたものをGarage Bandのプリセットいじくり回して、面白いものが出来上がって、それを上手くやっていけば面白くなるよな?という考えで作っているんですよね。

草野:『HOME MAID WORKS』を聞いていて思ったのは、「曲っぽいものがない」という感覚だったんです。これまで宅録でやってきた成果を詰め込んだような感じ・・・というと若干失礼かもしれないですが。かなりシンセサイザーに近いような音も入っていますが、基本的には先に話したように、ギター/ベース/ドラムのみで作られているんですよね?
山本:そうですね。今回作ったセルフタイトルのアルバムと含めて2枚の作品は、基本的にはその3点で作られていて、シンセサイザーは本当に1曲の一部分だけにしか使ってないですね。
草野:例えば『Home Made Works』に入っている「Naked Girl」、2番途中で出てくるメインフレーズとかはまさにシンセサイザーっぽい潰れた音色なんだけど、音の運びとかからみるとギターだなってようやく気づけるんです、面白いもので
山本:友人に言われたんですよ、「おまえの音楽はすごく面白いけど、基本的にはギターの音楽だよね」と。僕自身ギターは大好きな楽器だし、ギターがなければここまで音楽を好きになったり、音楽を作ろうだなんて思ってないので。ダラダラと弾いている中から、「あ!これは面白いぞ!」と思い立って一気に作り上げていくことも多いし、「Naked Girl」とかはまさにそういったものの賜物ですね。
草野:ちょっと閑話になるとは思うのですが、山本さんにとってギターはどういう存在ですか?
山本:いまぼくにとってはほんとうに大切な存在です。人生で一番大事な存在です。2014年以降から、ジャズギターを練習するようになって・・・一番好きなのはGrant Greenなんですが、ローリングストーン誌で「偉大なギタリスト100」みたいなランキングとかあるじゃないですか?あれを真似た「偉大なジャズギタリスト100」みたいなものをたまたま見つけたのがきっかけなんです。このなかで10位以内は一度聞いてみようと思って聞き始めて、さすがに上位の人はすごくテクニカルだったんですが、Grant Greenは比較すると非常に簡単に聴こえてきて、「これは弾けるんじゃないか?」と思って弾き始めたんです。元々ぼくはブルースなものがすごく好きだったんですが、Grant Greenはジャズっぽさとブルースらしさが同じくらいの割合で共存していたと思えます。


※参考
http://digitaldreamdoor.com/pages/best_jazz/best_jazzguitar.html
草野:しかも弾きやすければ願ったり叶ったりですね
山本:そうですね、ジャズに対する個人的な敷居がグーンと下がりましたし、プレイの面でもものすごく影響を受けました。いまでもジャズギターの耳コピは楽しいですね。ジャズやブルースにある黒人が弾くギターのカッコよさを、自分のバンドで出せたら良いなと思ってます、そういうギタリストになりたいですね。
草野:今年2016年にはFuji Rock Festivalにも出演されていましたけど、そもそもライブ自体そこまでやられてないですよね?
山本:2013年にベースの奥泉が入って3人体制にはなりましたが、その年はKlan Aileenの企画に参加しただけとかで、ライブ活動自体はココ1年で増えましたね。いまはライブのときに5人体制になっていて、アコギとボンゴをやってくれるサポートメンバーが入ってくれてます。Cloud NothingsのDylanじゃないけど、宅録音源を作っていたら、ライブには呼ばれるようになり、こうしてCDも出ることにもなってきている。そうすると3人でできることはやはり限界があって、音源とのギャップで「こいつらのライブつまんねぇな」なんて思われるのがすごく悔しいので、5人のラインナップでライブをやらせてもらってます。


1 2 3

2016.11.16 12:00

カテゴリ:INTERVIEW タグ: