【REVIEW】LTPIMO, Yuko Lotus, soejima takuma split EP / GNG(Terminal Explosion)


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2014年にリリースしたミックスCDも好評の、日本のGORGEシーンを牽引するブーティスト Yuko Lotus、2015年が明けて最初に大きなインパクトをもって話題を集めた「俳句コア」basyo labelを率いるsoejima takuma、GORGE.INからのEPリリースで急速にGORGEに接近した無調変拍子エレクトロニカのLTPIMOがSplit EPをリリースした。このEPで彼らは独自にサウンドを進化させ、ゴルジェとグリッチノイズを融合させた「ゴルッチ・ノイズ(Gortch Noise)」を誕生させた。ネーミングのユーモアさと、シリアスで求道的なトラックのコントラストが魅力を放つ1枚だ。

1.LTPIMO – Analytics Of Moondance

このEPでLTPIMOは月光をイメージしたというトラック2曲を提供している。冒頭のこの曲は長くて1拍、それより短いあらゆる音をカットアップしてミニマルに再構築したコラージュを披露する。細かく切り刻まれたタム、サイン波、2音から構成される極度に削ぎ落されたピアノフレーズ、高速ループと電子音楽の中で変拍子が繰り返される独特の世界が繰り広げられている。

2. LTPIMO – Swampmoon Song

続く曲ではリバーブの効いたサイン波やバックをやわらかく支えるアンビエントフレームに、断片的なGORGEタムフレーズと覚醒ノイズが交互に重なる不思議な構成から成り立っている。後半には静謐なピアノフレーズが登場し、美しい和声を奏でた後、静かに曲は幕を下ろす。LTPIMOの2曲はいづれも1:30、こうした所に目に見えない独特のこだわりを垣間みる。

3. Yuko Lotus + soejima takuma – Industrial Lovely Queen

そして、Yuko Lotus + soejima takumaデュオだが、このLTPIMOからYuko Lotus + soejima takumaへの受け渡しのピアノは見事だ。静謐なピアノからノイズとミニマルなリズムトラックへとレイヤー構造の中で徐々にトラックが深まっていく。楽曲の後半で登場する美しくも求道的な和声でこのトラックがもつ構成の見事さに引き込まれる。構成の美しさと楽曲の凛とした雰囲気が相乗効果をもつ力作だ。

4. Yuko Lotus + soejima takuma – Urban Tribe

静かなノイズが続く曲へと流れ込む。そしてトラックはストイックな雰囲気はそのままに、トライバルな様相を帯びる。サンプリング使いや中間部のタムは、Yuko LotusのミックスCDも連想さえるが、ノイズが支えるシリアスなリズムはまさにゴルジェとグリッチノイズを融合させたサウンドと言えるだろう。楽曲はトライバルかつ無機質というやはり独特の世界観を醸し出している。


これはSplitと言うに相応しい、二つのユニットが重なりあう緊張感とEP全体を通して貫かれているひとつの方向性、両者の魅力を一気に放出して聴かせる力作だ。どの曲もとても実験的なサウンドだが、決して取っつきにくさを感じさせないのは彼らなりの工夫があるのかもしれない。あるいはキャラクターの魅力といった所だろうか。潜在的にはあらゆる音に発展出来る可能性を秘めたオリジネイターともいえる作品に仕上がった。

テキスト:30smallflowers(@30smallflowers

2015.1.25 12:32

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