【INTERVIEW】『VANILLA.6』/ ook-boy


たくさんのリスナーや音楽関係のいろんな方面から反応が返ってきて正直ホッとしてる

–:今回1stフルアルバムのリリースとなりますがこのタイミングでフルアルバムをリリースした理由を教えてもらっていですか?
ook-boy:フルアルバム作りたいという気持ちは結成以来ずっとあったんだけど、活動のタイム感とかメンバー各々の生活とうまく歯車が合わなかったりで伸びに伸びてようやくって感じです。
さっき言った通り、一度俺自身が落ちるとこまで落ち切った時に逆に何でもできる精神状態になって自然と「作ろう!」って気合入ったのが直接的な経緯ですね。



–:制作はいつ頃から?
ook-boy:1年半ほど前から構想があって、プリプロに着手したのが昨年5月、その後本格的にレコーディングし始めたのは夏でした。行程は終始円滑だったんだけど、俺の凝り性もあってとにかくトラック数や作業量が膨大で……ミックスダウンがfixしたのが12月なんで、ほぼ半年くらいhanamauiiの宮さんと地下に篭ってた計算になります。
終わって地上に出る頃にはめっちゃ寒くなってて。逆冬眠みたいな…。
–:今回リリースしてみて、ギラギラとした音の良さがリスナーさんのコメントに上がってきていますが、凝った側としてはいかがですか?
ook-boy:素直にめっちゃ嬉しいし「してやったり」と思うと同時に、正直安堵しています。録音から実験的な方法を取り入れて結果的にメンバーのポテンシャルを120%引き出して録り切ったし。素材が揃った時点から俺と宮さんとKensei(Kensei Ogata)さんの3人の間でかなり繊細な次元のサウンドビジョンを共有できてて、脳みそ3つシンクロしたままミキシングからマスタリングの行程を完遂できた。出来には自信を超えた確信があった。だから皆の耳に届くのが楽しみではあったんだけど、心のどこかでリリースまで不安があったんですよね。「これだけ全員が全て出しきったのにもし何の反応もなかったら・・・」って。だから、たくさんのリスナーや音楽関係のいろんな方面から反応が返ってきて正直ホッとしてる。その大半が作品を高く評価してくれているのにも驚くし、何より今はどんな反応が返ってきてもすごく気持ちよく受け取れています。



–:今作は今までの代表曲といってよかった「90’s Milan」収録されていませんが、収録しなかったのはどんな理由になりますか?
ook-boy:90’s Milanは初期の頃からずっと皆に愛してもらってる曲だけど、俺はどの曲も等しく愛していて、収録曲をセレクトする時にもとてもフラットな視点で熟考しました。その上で、単純に90’s Milanは初期デモから数えるともう何度も音源化してるという事実もありますし、一番はサウンドスケールの違いがある。俺としては当初から一貫して、耳から入って全身やひいては五感を大きく抱擁するような音世界を追い求めてきたし、90’s Milanのようなミクロな空間で単一指向的に鳴らされる楽曲は、あくまでバンドの主幹ではなかった。今回はもっとバンドとしての本質の部分を体現するようなアルバムにしたかったんです。



議論から発展してむちゃくちゃ喧嘩しました(笑)

–:今回のアートワークですが、「DIE/LOW」以来のモデルを使った画像ですね。
ook-boy:今回はMiki Nakamatsuにモデルを担ってもらいました。撮影はアー写でもタッグを組んだ室田光祐。Mikiさんの纏うオーラだったり、光祐の作品の世界観や質感だったりには俺の想い描いているものと共通する部分があってオファーしました。
–:今回はかなり直接的でセクシーな仕上がりですがディレクションはどなたが?



ook-boy:女性の裸体をモチーフに複数のコンセプトを複合的に表現しようというイメージは当初から俺の中にあったので、それを元に二人から技術的な面でアイデアやアドバイスを貰いつつ進めた感じ。光祐との撮影はいつもそうなんだけど、互いの感性を頼りに実験的に撮影しながらビジョンが具現化してくるし、Mikiさんはすごく繊細にそれを読み取って表現してくれる。そうやって最終的にベストな一枚にたどり着きました。
–:VANILLA.6のアートワークは強めの陰影を出すイメージがあるんですが、この辺は自覚的に?
ook-boy:実はレタッチに死ぬほど苦労して…。陰影も含めた質感の部分で俺と光祐それぞれの持つイメージというか主義がぶつかって、議論から発展してむちゃくちゃ喧嘩しました(笑)。でも妥協して折り合いをつけるような結果ではなくて、新しい提案として光祐が生々しくもあり耽美でドリーミーでもある今の形を作り上げてくれました。



–:これ、聞いていいのかどうか悩むんですが、CD盤のボーナストラックに入っている「Goodbye Golden Girl」ってANNAのことですか?
ook-boy:よく聞かれるんですけど違います。もちろん特定の誰かを思ってタイトルやリリックを書くことも多々あるんですが、この曲はある時点の自分自身だったり感情だったりを俯瞰して「You」や「Girl」という単語に置き換えて書いています。
–:この場合の「Golden Girl」は何かのメタファーですか?
ook-boy:この曲を書いた時点の自分を一人称として、もっと過去の無知で無垢だった頃の自分やその頃抱いていた未来への漠然とした不安や希望や日々の切なさなんかを「Golden Girl」という言葉に込めました。所謂青春と呼べるような時期や精神状態から抜け出てしばらく経って、今はもっと汚え現実や汚え自分を見てしまっている。変わらずに夢や目標持って生きてるんだけど、決定的に何かを失ってしまってて毎日心のどっかに虚しさや無気力がこびり付いてるんです。昔のほうがいいだなんてことは思わないけど、記憶や、未来に希望を抱くという所作をクローゼットかどっかにしまい込んでしまった今の自分に何が残ってるのか分からなくなって混乱していた時に、この曲が産まれました。答えになってんのかな?(笑)

インタビュー:sabadragon






『VANILLA.6』/ VANILLA.6
2020年3/18リリース
フォーマット:CD/デジタル配信
レーベル:VNLDOSE RECORDS
カタログNo.:VNL-0003
価格:¥2,500(税込)
【Track List】
01. Prime
02. OWLS
03. Side Effect
04. Nightfall
05. CRUSH
06. DONT SING
07. Rose My Shadow
08. Wasted Song Ⅲ
09. CRUSH (Bathroom Mix)*
10. Rose My Shadow (A Letter to Rose)*
11. Goodbye Golden Girl*
* CD bonus tracks
mabaseshop (+cogitodistro)
HOLIDAY!RECORDS
配信URL一覧

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2020.4.15 19:28

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