【INTERVIEW】THIS IS JAPAN 『WEEKENDER』

彼らも他のインタビューで何度となく口を揃えて話しているが、今作において中心となっているのは、杉森ジャックではなく、小山やかわむらである。

今回のインタビューは杉森と小山のみが参加することになったわけだが、必然的に、これまであまりフォーカスできなかった小山の考えや経験といったものにスポットを当てられた内容になったと思う。その経験が、いかに窮地を救い、そしてTHIS IS JAPANの血肉となったかがわかるだろう。

とはいえ、今回のインタビューを通して、杉森の言葉は非常に赤裸々だったと僕は感じている。まさかそこまで言うとは・・・という言葉も語ってもらっている。是非読んでいただきたい。

最後にこれは余談ではあるが、彼らTHIS IS JAPANがメジャーデビューを告知したのは12月7日のこと。今回のインタビューは、実はその数日前に収録したものだ。メジャーデビューと新たなディケイド目前に控えた彼らが、その先の未来についてどう考えているか?それを知れるインタビューになったと思う。


空っぽになって、もうひとりの俺が中から出てきて、俺自身を乗っ取ってしまうような、そんな経験は初めてでした(杉森)

–:前回のインタビューから、また1年半ほど空けて、3回目のインタビューをさせていただくんですけども、ちょうど先日FNS歌謡祭が放映されていましたが、昨年2018年のFNS歌謡祭にもバックバンドとしてご出演されてましたよね。
小山:そうか、もう1年経ってるんですね。
–:映画『音量を上げろタコ!なに歌ってんのか全然わかんねぇんだよ!!』(以下『音タコ』)や『ギャングース』にも参加されていたし、それも『FROM ALTERNATIVE』を出されてから、ほぼ半年の間でそこまでいったわけじゃないですか?僕としては非常に驚きだったんですけども、そういった変化はどう受け止めてましたか?
杉森:そこは小山が一番感じたことなんじゃないのかな?と思いますね。クライアントの方がいて、その方との対話の中で音楽を求められて、作るという点においては、小山がもっとも請け負っていたと思うし。
小山:例えば『音タコ』だと、ラストのシーンでギターアルペジオを弾かせてもらったりしたんですけど、映像を頂いてそこに音楽をあてるというやり方をしたんです。音楽を頼まれて作るということが、バンド以外では本当に初めてのことだったので、素直に楽しかったというのがデカイですね(笑)あとはもう本当に目まぐるしかったです。
–:個々人にとってぜんぜん異なるとは思いますが、THIS IS JAPANの活動の中で自分にとって一番大きかった出来事や楽しかった出来事はなんでしょう?
杉森:今年は本当に色々あったしね。
小山:僕はバンド内でサウナブームが起こったことだと思います。
杉森:最後には4人全員がサウナに行ってたもんね。
小山:レコーディングスタッフの中に、高根晋作さん(レコーディングエンジニア)という方がいらっしゃって、『マツコの知らない世界』のスーパー銭湯特集に出演されるくらいにサウナを愛してらっしゃる方なんです。スタジオにも「サ道」という漫画が置かれていて、メンバーみんなで読んでたんですよ。高根さんにオススメのサウナを紹介してもらって、僕と杉森さんがドハマリしたんです。かわむらさんは「いやいや水風呂なんて……」と渋ってたんですけど、神戸に行くといつも通ってる銭湯があって、そのときに初めてかわむらさんを誘って、水元も行くようになり、1年近く経ってみたらメンバー4人みんながサウナ好きになってしまうというね。
杉森:今じゃかわむらが一番にガンギマリしてるくらいですよ(笑)俺は2年近く前から行くようになってますね。
小山:ツアーで全国に行くようになった『FROM ALTERNATIVE』の頃は僕と杉森さんの2人だったんですけどね、この1年とちょっとの間でみんな行くようになったと(笑)
–:今でも行くんですか?
杉森:俺は週に2回は行ってるかも。健康にも良いし、体もほぐれるし、本当にいいことしか無いんですよ。
小山:ちょっと瞑想に近くて、今まで得てきた感覚とまったく違う感じになれるんですよね。テレビ見て、スマホ見て、色々と目まぐるしい生活をしているなかで、本当に何もしない時間が生まれるんですよ。そのスッキリとした感覚が心地良くなって……シンプルな音楽に戻ったという……(笑)
杉森:俺は最近になりますけど、ミュージックビデオを撮ったことですね。かわむらくんがラブコールを送って、山田健人監督に撮影してもらったんですけど、ディレクションがまず印象的でしたね。「ここで狂ってください」とか、「殺されるかもと思って全速力で逃げてください」とか。なんというか、「THIS IS JAPANにおける俺」に入り込む経験をしたんですよ。
–:興味深いですね。
杉森:バンドのMVなので、もちろんバンドがカッコよく撮ってもらうという部分は一番大きいんですけど、「監督が思う、杉森ジャックを演じる」という部分はものすごく刺激を受けましたね。よく覚えているのが、転んで泥だらけになっていくシーンで、自分の中のスイッチがカチっと入って、そこからは叫んで飛び跳ねて、瓦礫に突っ込んでいったり。雨が降るなかで大の字に寝転ぶシーンがあったんですけど、「ああ、俺はいま生きてるんだな」っていう感覚を確かに得たんです。
–:あのシーンふくめ、狂気じみた杉森さんの姿はヤバイですよね。
杉森:ありがとうございます。あの撮影以後、ライブ中の感覚が変わったんですよ。杉森がバンドをやっているのではなく、「杉森ジャックが憑依する」という感覚になってきてるんです。「バンドのなかで俺にしかできないこと」だと思うし、バンドのなかで「こうやったら一番最高だろう」という部分がハッキリ感じられるようになったんです。
–:ヴォーカリストとして、演じるという部分が出てきたという?
杉森:それとはちょっと違いますね。むしろ空っぽになって、もうひとりの俺が中から出てきて、俺自身を乗っ取ってしまうような、そんな経験は初めてでしたね。



–:そういった楽しいこともありつつも、やはりとんでもなく忙しかっただろうなというのは、とても感じていました。
杉森:当時はバンド始まってから、一番に忙しく感じた時期だったと思います、端的に言ってしまうとね。バンドの時間が、本当に生活の中心になったという時期だったんですよ。自分たちだけで活動をしていくペース感とは全く違っていて、忙しく感じたとしても「新しいものを見つける」ということを、もっとしなくてはいけなかった……そんな反省が出てきちゃいます。
小山:忙しくやっていくなかで、「自分たちがどんなものをやりたいのか?」という部分が、一瞬だけ抜け落ちてしまっていた。そのタイミングで「次のアルバムはどうする?」という話になったとき、「……何したいんだったっけ?」っていう風になってしまったんです。楽曲制作期間を設けた1月から3月のころ、2019年の年明けですね。
–:色んなことを見て吸収したものをちゃんと咀嚼して外に出していく部分で、杉森さんがパンクしたのでは?と思ったんですけども、どうだったんでしょう?
杉森:そこの部分は問題なかったと思います。むしろ「FROM ALTERNATIVE」を背負って全国へツアーを回って、さっきも言ったようにバンドとして充実した日々を、メンバーみんなそれぞれに送っていたんですけども、自分のなかで「どこか満足した部分があったのでは?」と思ってしまうような……、正直なところを言うとそういう風に感じていたんですよ。
–:実は、次にお聞きしたかったのがまさにその点だったんです。ここまで一気に忙しく、かつ充実した日々を送ったことで、杉森さんのなかで「一つのゴールを達成した」からこそ、少しだけ気が抜けてしまったのかな?と思ったんです。
杉森:大学の頃からずっとオリジナルのバンドを組んで、ライブをガンガンやってきて、『DISTORTION』を出して少しだけ注目されて感じがして、前回のコンピレーションアルバムでは代官山UNITでやらせてもらった。『FROM ALTERNATIVE』という自分にとっても非常に気に入ったアルバムを出して、全国を回って、映画にも音楽で参加して、バックバンドですけど、テレビにも出られた。ここまでやれたことに、達成感はもちろんあったけども……「本当にお客さんがより多く来るようになったか?」「よりデカイ場所でもやれるようになっていったか?」というと、そうは思えなかったんですよね。
–:目に映るものとして、ちゃんとしたリアクションとして跳ね返ってこなかった、ということですか?
杉森:確かに形としては少し成功したように見えるかもしれないけど、「自分たちの音楽だけでもっと変えられるものがあったんじゃないか?」、「たどり着ける場所に立てたんじゃないのか?」そういう小さな疑問みたいなものがあるなとうっすら感じていたんです。
小山:うん、たしかにね。
杉森:簡単に言うと、少し期待通りにはいかなかったんですよ。もっとやれたのでは?と思えてしまったわけで。
–:かなり意外です。杉森さんの口から、そんな言葉が出てくるとは。
杉森:地方のライブハウスにいって、俺らの音楽を聴いて、足を運んでくれる方々がいたというのは、ものすごく感動したし、一つの達成だと思います。でも「音楽をずっとやっていく!」という部分で見ると、「この程度ではまだまだだ」「この時点での自分の最高傑作でこの結果」というのが見えて、本当に堪えたんです。そこで食らったものが抜けないことで、曲作りが全然できなくなってしまったんです。
–:僕は今年の2月、5月、11月とライブを見させてもらっていたんですけども、2月の段階ではまだ杉森さんがギターをもっていて、ダブルギターの体制でした。そこから5月になったとき、小山さんのみでギターをやる曲が増えて、ピンボーカルで杉森さんが歌う姿がそこにあって。見ていて、ものすごく楽しそうだなと思ったんですよね。
杉森:そうだったんですか。
–:「FROM ALTERNATIVE」頃のライブから、「こういうことがしたいんだ!」というムードとスタンスでバチっと決めていくライブが増えつつ、「こうなるんだ!」という風な理想像に向かって背伸びしつつライブしているように見えてたんです。でも、5月に見たライブのときはそうではなく……本当に笑顔でライブをしているのが印象的で、そのイメージは11月のライブでも感じ取れたんです。
杉森:そう見てもらえるのは嬉しいですね。
–:ライブという部分から見てみると、印象的なのは「杉森さんがギターを持たなくなっていった」ことです。これは今作『WEEKENDER』にも繋がるところだと思うんですけども、なぜ杉森さんはギターを持たなくなったんでしょう?
杉森:これは小山に聞きましょう。
小山:うーーーん……単純にギター2ついるのかな?っていうところから始めたんです。年末から年明けにかけて楽曲制作期間を設けるなかで、メンバーそれぞれのなかで「THIS IS JAPANでできることはなんだろうか?」という精査があったんです。そこでダブルギター/ドラム/ベースという編成でやってるけども、それにこだわることもないし、それまでのライブだと「ギターは爆音でやる」ということが自然になっていたけども、本当にそれは必要か?と思って、昔の曲をギター1本で弾いてみたりしたんです。
–:なるほど。
小山:そこまでやってみて、「ギターを無理に2本でやることはないぞ」と思えたんです。楽器が増えればそれだけ音も分厚くなるだろ!っていう考えだったんですけど、むしろそれで音が被って消されてしまうこともあるし、要素を減らしても際立つものもあるだろうという判断。それを少しずつやり始めて、それが定着した感じなんですよ。
–:杉森さんはどんな感じで捉えてましたか?
小山:最初は戸惑ってましたよね、「弾きてぇよ!」って言ってました。
杉森:そりゃ最初は戸惑いましたよ、文句も出ました。でも段々やっていくうちに、「じゃあギターを持たないでボーカルしている人って誰だろう?」と思い出していって、「ギターを持たずに歌う自分像」を作っていけたんです。これまで歌とギターを持って戦っていたのが、歌だけになった、剣と盾を持っていたけど、剣だけになってしまったようなものなんですけど、「剣だけでどこまで戦えるか?」「歌にどれだけの気持ちを込められるか?」というところ、そこにいまはやりがいを感じていますね。
–:以前のインタビューでは「このバンドを組むようになってからボーカルをするようになった」と語っていたときからは、随分と変わったとも感じますね。
杉森:まぁ一気に変わっていったわけでもなく、最初はギタリストだったけども、このバンドではギターボーカルをやってきて、そろそろボーカルへと変わっていく、もしかしたらそういうタイミングだったのかも。

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2019.12.30 22:01

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