【INTERVIEW】kokubu『Creation From Consensus』

仙台を拠点に活動する名うてのミュージシャン4名、PROGRESSIVE FOrMでの4枚を含む6枚のアルバムを2011年から2017年にかけてリリースしてきたM-Koda(作曲、鍵盤、マニピュレーター)、オルタナティブバンドSugarmanのフロントマンmon(ギター)、普段はJazz Sax奏者として活躍しながら個人でも電子音楽を制作するShota Katsube(管楽器)、二人組インストバンドCONTRAIREのギター&ドラムを担当しながら作曲もするobt(パーカッション)により結成されたバンドkokubu、今回はその1stアルバム『Creation From Consensus』をリリースしたkokubuの核となるプロダクションのまとめ役でもあるM-Kodaを中心にアルバムに関してお話をうかがった。



生楽器を電子音楽に合わせるのは結構馴染みにくい部分が多いのですが、それをうまく調合し、テクノロジーにて補完しているのでそこの部分を注目していただけると嬉しいです

–:まずはリリースおめでとうございます!今回の『Creation From Consensus』はkokubuというバンドの様々なエッセンスが感じられます!まずはkokubuが結成されたきっかけや経緯、またM-Kodaさんからメンバーのmon氏、Shota Katsube氏、obt氏のご紹介をお願い致します。
M-Koda:もともとは普段からよく遊ぶ音楽仲間でした。お互いに制作を主とするユニットに共感し、結成しました。
メンバーにてギターを担当するmonさんは、普段はオルタナバンド Sugar manのフロントマンとして活動してます。物凄くゆるい彼ですが、音楽になると目つきが変わります。
Shota Katsubeさんはサックスとフルートを担当していただきました。普段はJazzマンとして活動していますが、音楽に対してかなり柔軟で、個人でも電子音楽を作曲されています。
obtさんは仙台にてインストバンドCONTRAIREのパーカッション兼ギターとして活動しています。昔からよくセッションしたり、ライブしたりする仲でしたが、今回はパーカッションとしていくつかの楽曲に参加いただきました。
–:本作は全編に渡り凝縮されたクールな曲が満載ですね!kokubuの曲作りを含む創作への発想の源点や制作過程などを含め、楽曲は出来上がっていくまでを教えて下さい。
M-Koda:今回の作品はファンクミュージックや、ディスコなどに強い影響を受けています。
もちろん、私が得意とするエレクトロニカのスタイルも強く取り入れました。
曲作りの流れは、Abletonにてラフを仕上げ、それを皆でスタジオに入って仕上げていく流れです。



–:本作で聴いて欲しいポイントを教えて下さい。また全体でも個別でも何かコンセプト的な点はありますか?
M-Koda:正直な所、生楽器を電子音楽に合わせるのは結構馴染みにくい部分が多いのですが、それをうまく調合し、テクノロジーにて補完しているのでそこの部分を注目していただけると嬉しいです。
–:「Creation From Consensus」というはとても知的で想像力をくすぐられるタイトルだと感じます。このタイトルにした意図といったところを教えて下さい。
M-Koda:皆で協力しながら曲を作りアルバムに仕上げたので、このようなアルバム名にしました。
一番しっくり来る名前だと思います。
–:ではアルバム収録曲に関してお聞かせ下さい。アルバムのオープニングを飾る「Lathe」は本作の序章の象徴とも言えるクールさがとても印象的です。聴き所などご紹介をお願い致します。
M-Koda:この曲はギターのmonさんと「少しイナタイ曲を作ろう」という事で作った曲です。
やはり聞いて欲しいのはオープニングからのギターループフレーズです。



–:M2「Invention」では特徴的な管楽器とファンクネス溢れるグルーヴが素晴らしいです。楽曲がどのように構築されていったか?教えて下さい。
M-Koda:サックスの多重録音で曲を作ってみたく、このような曲になりました。
ブラスの和音は全てサックスを多重で録音しているのでかなり贅沢な使い方だと思います。



–:M3「Previous Arrangement」では70~80年代のフュージョンを思い起こさせるような軽やかで温かいプロダクションがとても魅力的です。楽曲がどのように構築されていったか?教えて下さい。
M-Koda:この曲はkokubuの中でも最初期の曲で、最初に僕がラフを作りました。
その後サックスのShota Katsubeさんにアドバイスを求め、コード進行等を詰めていきました。



–:M5「Stagnation」は本作の象徴とも言える楽曲に感じますし、M-Kodaさん名義の楽曲にも通じる素晴らしいテイストを感じます。この「Stagnation」の聴き所など楽曲のご紹介をお願い致します。
M-Koda:そうですね。こちらは正に自分を全開にしようとした曲です。
聴きどころは、1:20あたりからギターとサックスがシューゲイズサウンドにも似たような優雅なサウンドを出す所です。



–:M8「Accelerate」の疾走感がたまらないですね。簡単に楽曲解説をお願い致します。またこの曲を聴いているとkokubuのライブが見たくなります。kokubuでのライブは予定されていますか?またライブをした場合、どのようなライブにしたいとイメージされますか?
M-Koda:本当に勢いで作った曲で、考案から完成までものすごく早かった記憶があります。
疾走感をかなり意識しました。
ライブはリリース前に一度だけパフォーマンスさせていただきました。メンバーは各々の楽器を主とする形になるのですが、場合によっては主としない楽器も演奏するスタイルになります。
–:本作では、rakia、ninomiya tatsuki、House Of Tapes、北 航平氏よ4組のリミキサーが参加されています。個人的なご意見で大丈夫ですのでそれぞれのリミックスを感想を聞かせて下さい。
M-Koda:rakiaさんのリミックスは物凄く今っぽくしてもらえたと思いました。
結構面倒な打ち込みしたのだろうと感じながら聴きました。構成力おそるべしです。



ninomiya tatsukiさんのリミックスは原曲をさらにオシャレで大人な雰囲気に持って行ってくれたと感じました。かなり渋く仕上がっていて素敵です。



House Of Tapesさんのリミックスは驚きました。かなり実験的に崩してくれたというか、いい意味で裏切られたので刺激的でした。



北 航平さんは、この曲を選んでいただけたことが個人的に嬉しいです。結構好きな曲でしたので。そしてリミックスも、僕が残したい場所をうまく生かしていただけていて大変嬉しかったです。

本当に面白いものであれば世界中のどこかで受け入れられるはず。つまらなければ自然と廃れるし、続かない。

–:kokubuとしての楽曲制作に対するアプローチや、楽曲制作で意識していることは何ですか?
M-Koda:人が弾くということを想定しながら曲を作りますが、人が弾けない場合はテクノロジーで補完することを思いっきりやる、ということを強く意識しています。
–:これまでに影響を受けたアーティストを教えて下さい。
M-Koda:かなり色々なアーティストから影響を受けているので絞るのが難しいのですが、あえていうのであればFour tetだと思います。
mon:supercar、Beck、pavement、萩原朔太郎
Shota Katsube:時期により変わるのでとても答えるのが難しいです。子供の時に一番聴いたのはPat Methenyだと思います。人前で演奏を始めてからは、実際に会ったり現場で共演した時にプレイが上手だったり、音楽性が素晴らしいと感じた方にその日その日で影響を受ける事が多いです。
obt:日本のnine days wonder。作品ごとに音楽性が深化してるスタイルにとても影響を受けました。あとは仙台のumiuma。東京のKIRIHITOです。札幌の独自性の強いアーティスト達にも影響受けました。
–:最近のお気に入りのアーティストや作品を教えて下さい。
M-Koda:最近はシンセサイザーの音が改めて好きになっているので、Fatima Yamahaや、New Jackson , Glowalといったアーティストの曲をよく聞いています。
mon:泉鏡花の夜叉ヶ池(小説)mellow beach (バンド)oyasmur(イラストレーター)
お土産でもらったAndreas Engesvik っていう人がデザインした歯ブラシ。
チベットの仏教音楽、tibetan ritual ?musicって検索すると出てきます。
聴きやすいドローンって感じで好きです。
Shota Katsube:今(2019年12月現在)よく聴いているアルバムは以下です。
Infinity[Tom Harrell], Searching The Continuum[Kurt Rosenwinkel], Good Hope[Dave Holland, Chris Potter, Zakir Hussain], Further Chaos[Gilad Hekselman]
obt:tycho、olololop、the hatch、あとはskillkills周辺のシーンが面白いです。



–:これからの音楽シーンについて、特にフィジカル、配信、ライブなど、アーティストの視点でみる今後や将来像的なところを教えて下さい。
M-Koda:音楽が誰でも聞けて、誰でも作れる世の中になった今。せっかく好きになった音楽をどうやって心の底から楽しんで満喫するかがこれから音楽と共に生活する人としてのポイントな気もします。
mon:今はあらゆる「手段」がありすぎてクラクラするのですが、結局のとこアーティストも目的は1つか2つくらいなので、配信、フィジカル、ライブは「手段」の1つ。結局みんな好きなようにバランスを取っていくと思うので何かが大きく盛り上がったり、下がったりは無くて、意外とこの状態がしばらく続くかもしれませんね。
Shota Katsube:マーケティング用語で最近”Glocal(グローカル)”という言葉を聞きますが、音楽シーンについてもよりその言葉が当てはまっていくようになるのではと思います。
提供するモノのクオリティやアイデアが「世界的に面白い」かどうか。音楽を提供する側としては求められるハードルが高くなります。
一方でDAWやシンセの技術が成熟し安く提供されるようになった為に、これまで1人のベッドルームに眠っていたようなアイデアが(それが面白いものでありさえすれば)世界中にシェアされるようになりました。
(Jacob Colierの初期のYouTubeを見た事が無い方はぜひ一度観てみてください)
何が言いたいのかというと、本当に面白いものであれば世界中のどこかで受け入れられるはず。
つまらなければ自然と廃れるし、続かない。
心の中という究極のローカルで「面白い」と思うものは確信を持って、結果なんて求めず、1人でもまずやってみればいいと思います。
obt:やろうと思った事を結構なんでも出来る様になってきていると思うので、アイディアがある人達は配信技術を駆使したりして、環境を広げていければ面白いと思います。




『Creation From Consensus』
/ kokubu
2019年11/13リリース
フォーマット:CD
レーベル:PROGRESSIVE FOrM
カタログNo.:PFCD93
価格:¥2,200(税抜)
【Track List】
01. Lathe
02. Invention
03. Previous Arrangement
04. Measurement
05. Stagnation
06. Transportation
07. Verification
08. Accelerate
09. Confirmation
10. Commanding View
11. Measurement rakia Remix
12. Previous Arrangement ninomiya tatsuki Remix
13. Transportasion House Of Tapes Remix
14. Confirmation Kita Kouhei Remix

All Tracks Written, Performed, Arranged and Produced by kokubu

kokubu are
mon (Guitar)
Shota Katsube (Brass Instruments)
obt (Percussion)
M-Koda (Composetion, Keyboards and Manipulator)

Except
M11 Remix by rakia
M12 Remix by ninomiya tatsuki
M13 Remix by House Of Tapes
M14 Remix by Kita Kouhei

Mastered by Yoshio Machida from amorfon
Artwork by Satoshi Kanno

2019.12.7 21:50

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