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【INTERVIEW】THIS IS JAPAN『FROM ALTERNATIVE』



どうしたらこの面白い生き物を、もっとみんなに伝えられるだろう?みたいな感じには思ってますよ(水元)




さきほどミッシェルの話も出たので、突っ込んだ話をちょっとしますが、僕はこの作品を聴いて、「オルタナティブロック」というよりは「ロックンロールバンド」という雰囲気や感覚を得たんです。それは、ここ1年半でやってきたライブをちょっとずつですが見させてもらった感触でもあって。「オルタナティブロックじゃなく、ロックンロールなんじゃないのか?」というのは、自覚としてあったんでしょうか?。
杉森:俺たちは、フロム・オルタナティブということで、オルタナティブロックをやっているつもりなんですけど、同じことをずっとやっていても飽きてしまいますし、たまには違ったものをやらないとダメだと。もっとディスジャパらしく、もっとスゴイ音楽を、という風に追求していくと、オルタナティブという枠組みをぬけて、ロックンロールやパンクという感覚を引き出してしまう、という話だと思うんですよ。ただ、より根源的な、プリミティブなものへと近づいていってるんじゃないか?という感覚はしていますね。
かわむら:これは聞き手によって変わる話だと思いますよ。俺らの音楽を自分の母親とかに聞かせたら、これはロックじゃないと言われそうですしね。俺らよりもオルタナティブな存在がいるから、そういった話になったんじゃないか?とは思えますし、よりメジャーなシーンに突き刺してやろう!という意識をみて、そういうふうな意見をされるのかなとは思いますよ。さすがに「これが俺たちのロックンロールだ!聴け!」みたいな意識ではないですよ。ただ、メジャーなシーンに届く面もあるし、ポップスに比べたら、俺らの色は出てると思います。というか、ロックンロールとオルタナティブの違いなんて俺にはわからないですもん(笑)
杉森:そうだね、マスな方から見るとオルタナティブに見えるし、もっとアンダーグラウンドな方から見るとマスに見えるのかもしれない、確かに俺らは今回マスにむけてやっている気持ちもあったので、その意味ではオルタナにみえていると思ってますよ。
koyabin:うーん・・・僕もロックンロールとオルタナティブの違いはわからないですよ(笑)ここまでの話だと、ライブ感を大事にしているという点においてはロックンロールなんだろうなと思うんです。僕にとってオルタナティブって、もっと緻密に作っていくものだと思っていて、勢い任せではない感じなんですよ。
杉森:正直、草野さんのいうことも、むっちゃわかるんですよ。たぶん、90’sオルタナらしさを出しているのはkoyabinのギターなんだよね。俺は革ジャンも好きでライブでも着ているし、パンクらしさをライブ中にも音源にもブチ込んでいるほうの人間だから、どこを見るかで変わるんだと思います、ボーカルなのか楽器なのか、ギターなのかドラムなのかベースなのかで変わりますからね。
音楽としてのロックンロールとしてみたら、水元くんのベースプレイはまったくそうじゃないですしね。あれだけグイグイ動くフレーズは、まさしくオルタナティブですしね。
杉森:そうですね。共通しているのは、既存のものとは違うものを求める、ということですよね。ただのオルタナバンド、ただのロックンロールバンド、それだけでは俺らとしてはつまらないし、あくまでディスジャパらしさを追い求めた結果なんですよ。
こうして話してみて気づけるのは、やっぱりパンクだということなんですよね。今回の音源だと、曲展開が突然変わったり、急にへんな音を入れることなく、ドラムは8ビート、ベースはルート弾き、バッキングギターもバッチリかましている曲が大部分を占めているんです。そこから離れた時、すごくディスジャパらしさが出てるとは思うんですけど、根幹にはパンクな振る舞いがある。自分が今作にロックンロールを感じてしまったのは、その点なのかなと。
杉森:全員に共通していたのは、無駄なものを削ぎ落として、シンプルにやる、元々鳴っている音の力でぶっ壊していくという感覚ですね。
そこを自分は言ってたんだなと。バチコーンとぶち壊していく力というか
杉森:そうですね、バチコーンとぶち壊していく力・・・ロックですね

(一同大笑い)
杉森:まぁ、ロックなのは間違いないですよ!(笑)
ははは!(笑)実は前回のインタビューのときに語ってくれたことで、一番核になっているのが、「結成当初はシニカルみたいなことが好きだったけど、いまでは自分たちが思っていることや好きなものを素直に出す、それが今の僕らのモードなんです」っていう部分なんですけども、まさに有言実行じゃないか!と。
かわむら:1年半前の俺ら、良いこと言ってるね(笑)
今作での「無駄なものを削ぎ落として、シンプルに、バチコーンとぶち壊していく」というのは、好きなものを素直に出すという当時のモードの地続きにあったと思えますし、1年半やってきたことの集大成になっているんだなと、すごく合点がいきます。ロックミュージックへの真摯さがとても封じ込められてる一枚にもなっている。ロックリスナーは今作を聴いたら、とても気持ちが良いと思いますよ。
杉森:そう感じ取ってもらえたら嬉しいですね、本当に

ありがとうございます。今作『FROM ALTERNATIVE』というタイトルは、誰がつけられたんでしょうか?
杉森:これは、かわむら君がつけてくれましたね。
かわむら:俺といろいろみんなと話していく上で、オルタナティブという言葉を使わなくてはいけないと思っていたんですよ。最初につけたタイトルは、『Thank You ALTERNATIVE』、超ダサかったんです
それはヤバイですね(笑)
かわむら:杉森は精神の人なので、「俺とオルタナティブ」というふうな距離感で話になってしまいがちなんですけど、「俺らのバンドとオルタナティブ」との距離感や関係性を、ちゃんと決めて、伝えられるようなタイトルをつけなくてはいけないと思っていたんですよね。さっきもオルタナティブなのかどうなのか?みたいな話で訳わかんなくなりそうになりましたけど、俺らが「オルタナティブ」という言葉を掲げている意味を、ここで加えようとしたんですよ。
なるほどです。
かわむら:そこで出てきたのが、FROMという言葉だったんです。オルタナティブに自分が徘徊している身でもあるので。
自分は『僕らはオルタナティブに属していて、その代弁者である』というような感覚をうけとったんですけど、それとは違ったりしますよね。
かわむら:それは杉森の感覚じゃないかと思いますね。俺としては「ついてこいよ!」というよりは「オルタナバンドとしてスタートを切りますよ!」という気持ちを込めてますね
杉森:俺としては、マスやメインストリームに向けているというのは前提として、そういった主流からはぐれてしまったし、ズレてるし、でもそういったところから生まれているんだなと思えるんです。例えば、メインストリームで楽しめている人もいて、逆にアンダーグラウンドでマイノリティな集団で楽しめている人もいる、そういった各場所で自分を確かめている人がいると思うんです。でも同時に、そのどちらにも属せないひとっていると思うんです、まぁ俺がそうなんですけど。完全にマイノリティではないし、マジョリティにも属せない、どこにも属せないしズレてしまった人っていると思うし、俺たちもそういった場所から生まれてきたわけです。
外れてなさそうで、実はまったく外れてしまっている、アウトサイドな心境ですよね。
杉森:ええ。加えて俺は、そいつ自身の生きざまが見えたり、「僕はこうして生きているんだ!」というメッセージを出してくる音楽が好きなので、『俺たちみたいなはぐれものもいるんだ!』と胸を張って、好きなものを好きといっていけたらとおもっているんです。本当にオルタナなバンドはたくさんいるし、もっとマスに向けてやってる人らも当然いますよね。「俺らはオルタナティブからやってきた、そして色んな所へいくぞ!」というスタートの意味が強いですよ。
スタート地点、名刺代わり、挨拶代わりという意味もありますもんね。もしかして、2度目のスタートという気持ちが大きかったりしますか?。
杉森:そうなんです。前作の『DISTORTION』は生まれたばかりの子供のようなもので、生まれた子供は歩けないじゃないですか?(笑)そこから歩きだし始めた感じで、メッセージや伝えたいことも、ちゃんと伝えようと頑張った作品でもあると思うんです。



その点についてお聞きしたかったんですが、前回のインタビューで『このバンドにはシンガーソングライターがいない、それがこのバンドのバランス感に大きく影響を与えてるのかもしれない』という話をされていました。ですがこうして1年半の活動の中で、メッセージを伝えようという姿勢がどんどんと出てきていて、杉森さんが一種のメッセンジャーとして覚醒したんじゃないか?と思えたんですけど、その意識変化はあったんでしょうか?
杉森:うーん、実はメッセージとして言いたいことはなかったんですけど、バンドをやっていくなかで、バンドを通して色々経験してきたことの中から、言いたいことや伝えたいが自然と増えていったんだなと思いますよ。目の前にいるお客さんがいて、一緒にバンドをやってくれるメンバーがいて、関わってくれたり支えてくれるスタッフがいて・・・使命感というのも変ですけど、「バンドとしてできること、バンドとして伝えたいこと」という形でメッセージが出てきた感じですね。
個人としての変化は強くでてない、と
杉森:そうですね、俺個人として、というより、バンドとしてのメッセージが一個出てきたということですよ。今作でいうと、「妄想DAYTIME」は個人との対話で、「MONKEY MUSIC」は他者との対話という曲、別々に思えそうな2曲に共通しているのは、「自分の感覚を大切にしたらいいんじゃないの?自分の中にあるバイブスを忘れてはいけないよ」ということなんです。
今作でのメッセージを色濃く出ているのは、MVにもなった「コースアウト」や「TALK BACK」に「SHOTGUN SONG」だと感じているんですが、どの曲も「自分の生きている感覚を大切にしよう」というところから生まれてきたわけですもんね。
杉森:そうだと思います。いろんなことに悩まされたり、理由をつけなくてはいけない時代だと思うんですけど、自分が生きている鼓動や呼吸を感じられれば、どこまででもいけるんじゃないか?という感覚がありますね。
ほかの3人にお聞きしたいんですけど、こういったことを言葉にして、がつっと唄っていけて、ライブで盛り上げていくギターボーカルがいることを、どう思ってますか?
かわむら:杉森は、売れてる音楽に対して「クソつまんない!」と怒っている精神性の人間じゃないですし、もしもそういう風にいうやつだったら、俺はキツイなと思うんです、正直そういうやつとはやりたくないですよ。彼は、「俺が一番楽しいし、この音楽が一番カッコイイ」と真っ直ぐに言えるやつなんですよ。そういう人と一緒にやれているのは、楽しいですし、誇らしいですし、頼りがいがありますよ。
水元:僕は、正直歌詞をぜんぜん聴いてないし、そこに深い意味を求めてないんですよ。僕は自分の好きなことしかしてきてないし、それが正しいと思って生きてきているので、ただ今の話を聞いていると「彼とはヴァイヴスはとても合っているんじゃないか?」と思うんですよ。そうじゃなきゃ、すぐに脱退してると思いますよ。
koyabin:THIS IS JAPANの本質とはなにか?ということを考えた時に、杉森さんの精神性は大事なんだろうなと思えてきているんですよね。ハチャメチャな勢いを、僕らがで培ってきたものでカバーしていくというような感じですよね。
かわむら:正直、メッセンジャーとしてリスペクトしているというより、生き物として面白い!みたいな感じなんですよね。
水元:どうしたらこの面白い生き物を、どうしたらもっとみんなに伝えられるだろう?みたいな感じには思ってますよ。結構本気でそう思ってます。
個々人で違うと思うんですけど、収録曲で、これは推し曲だというものってありますか?
水元:「RIDE」かな、いや「Z.Z.Z.」・・・・「妄想DAYTIME」もいいですよね。「RIDE」をパっと言ってしまったのは、僕の好きなオルタナ感がでてるんですよね、爽やかだけどぐっとくるんですよね。まぁこの3つで、気分によって変わる感じですね。
日によって変わりますよね(笑)あのRIDEからとってるんでしょうか?
杉森:まぁそうですよね。シューゲイザーサウンドですけど、俺らは速いのがすきなので、こうなった感じです
koyabin:僕も「RIDE」ですね、理由は・・・簡単だからかな(笑)

(一同大笑い)
先日のライブ中に客席に突っ込んでいって弾きまくったという話を耳にしたんですけど、もしかしてこの曲の時ですか?
koyabin:まさにそうです(笑)爆音でノイズを、ただ音をだしていればオッケーですし、僕自身も満足できるんですよ。最後はもはや弾かなくてもいいですしね。
かわむら:ライブでみても、音源で聞いても、どちらもお客さん最大限に楽しめて満足できるという意味で、「妄想DAYTIME」を推したいですね。
杉森: 俺は「コースアウト」と「TALK BACK」ですね。「コースアウト」はkoyabin原案でバンドのことを考えて唄っていて、「TALK BACK」は俺が原案を書いていて俺自身のことを唄ったんですけど、どちらも「周りはいろんなことが起こっているけど、心配するな、自分を信じていけ」というメッセージがでていて、甲乙つけがたい2曲なんですよ。より多くの人に響くのは、「コースアウト」だろうなと思います。「TALK BACK」はThe Velvet Undergroundから歌い出すんですけど、ロックやオルタナの精神は聖火リレーみたいなものだと思っていて、「あなたから始まった灯火は、いまはここにあるんだぞ!」と唄ってるんです。それを他の人にみせて、灯火を色んな人に広げたい。俺らは先人からこの灯火を渡されたわけですけど、今度は俺らが渡せるように、そんな存在になりたいんですよ。

(5月上旬 新宿 インタビュアー:草野虹)

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2018.5.26 12:00

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