【INTERVIEW】オオクボーイ(VANILLA.6)『DIE / LOW』

2018年のVANILLA.6はその動きを活発化した。
レーベルの始動、初の全国流通盤となるE.P.『DIE / LOW』のリリース、Someday’s Goneとのダブルツアーを含むリリースツアー。
その一つ一つが刺激的な彼らの動きを実際に体験したリスナーも多数いると思われる。
そしてそれらがひと段落しつつある現在、彼らはE.P.のデジタルリリースと、ツアーファイナルという一連の動きの仕上げを開始しつつある。
今回の一連の動きと、その動きを体験した後のオオクボーイにインタビューを申し込んでみた


リリースっていう一つのプロジェクトとして作品がリスナーの元に届くまでの道程を具体的に考えて組み立てていく作業も新鮮だった

–:遅くなりましたが、VNLDOSE RECORDSの設立おめでとうございます。自主レーベルの設立ってVANILLA.6が続けてきた「D.I.Y.」の精神に則っていて非常に自然かつ、今やるべき事をやったなという印象ですが、どのような流れでレーベルの設立に至りましたか?
オオクボーイ:ありがとうございます。音源を作るにあたって、全国で出すなら今しかないという想いがあったし、実際仕上がった作品にもすごく自信がありました。ただEPというフォーマットや予算の面で他レーベルからのリリースは難しかっただろうし、細かい妥協を何個も重ねて出すくらいなら細部まで突き詰めて自分でやってやろうと思ったので今回自主レーベルからのリリースに踏み切りました。
–:実際フィジカルをリリースしてみた手応えはいかがでした?
オオクボーイ:手応えはすごくいい感じです。作品自体洗練して作りましたし、プロモーションとかメディアでの取り扱いや各店での展開とか、いろんなピースがタイミングよく噛み合って、それなりに反響も方々からたくさんもらっています。
–:フィジカルのリリース時、関東のレコードショップへの挨拶等、流通に向けての作業が大変そうでしたが、実際バンドがレーベルを立ち上げて全国流通を行うという作業はいかがでしたか?
オオクボーイ:挨拶回りは楽しかったですよ。学生の頃の一人旅みたいな気分だったしお店の皆さんもめっちゃ優しいし熱い人ばかりで、昔はレコ屋の人って死んだ魚の目してる人ばっかりなんだろうなとか思ってたけどいざ話し込んでみたらほんと熱い人ばっかで楽しかったです。そういう肉体的な作業も新鮮だったし、リリースっていう一つのプロジェクトとして作品がリスナーの元に届くまでの道程を具体的に考えて組み立てていく作業も新鮮だった。今まで使って来なかった脳みそをフルで使ったし、とても難しくて苦労もしましたね。
–:フィジカルリリースの際の動きを見ていると、プレスリリースの書き方、スケジュールの組み方、テレビ出演の手配等、情宣に関してはかなりこなれているなという印象なのですが、こういった手法はどこで身につけたんですか?
オオクボーイ:実際全然こなれてなんかいなくて、いろんな人に助けてもらいまくりました。元々「曲作って演る才能以外、何もないなお前」って言われるような人間だし書類一枚作れなかったんですけど、仲間や先輩や知り合いのプロの方にアドバイスもらって計画練ったりメディアにアプローチしたり他のアーティストの資料をこそっと見せてもらって勉強したりしましたし、決してスマートな道程ではなかったです。
–:10日に『DIE / LOW』のデジタル配信開始とのことですが、このタイミングでデジタル配信に踏み切った理由を聞かせてください。
オオクボーイ:CDがほんと良い出来で、実際に物を手に取ってほしいと思ってたので当初はフィジカルのみで発売したんですが、前作の配信リリースの手ごたえが良かったのもあって、あんまりレコ屋に行かないような人にも「いいから一回音聴いてみろよ」って言ってやりたくて配信に踏み切りました。CDを作りたいって思う自分と、CDって物に固執するのも俺らっぽくないなと思う自分と、両方が居るみたいな。。配信開始の時期はいろいろ考えて発売からちょうど2か月で、ツアーファイナルを控えたこの時期に決めました。
–:ストリーミングには対応していますか?SpotifyやAppleMusic等のストリーミングサービスについてはどう思われますか?
オオクボーイ:もちろんストリーミングサービスでの取扱いもあります。俺はストリーミングについて特別どうこうという思いはないですね。もちろんアーティストやレーベルとしては辛い現状もあるけど、とても便利だし俺自身活用しまくってるし。



90’s Milan」はVANILLA.6で最初に作った曲で、一番好きだし一番嫌いな曲でもあるしとにかく特別な曲なんですよ

–:今回の『DIE / LOW』リリースはいつ頃から制作を始めていました?
オオクボーイ:制作にとりかかったのは(2017年の)6月頃だったかと思います。
–:ダンスロック寄りに振り切れた表題曲の「DIE / LOW」、ANNAメインボーカルの「CYNDI」とこれまで以上に楽曲の振り幅が大きいように感じましたが、これはバンドの表現の幅が広がってきている?
オオクボーイ:どの曲を収録するかとても迷ったんですが新しい曲はガンガン入れていきたいとは思っていましたし、限られた曲数の中で出来る限り振り幅は出したかったしANNAの曲も入れたかった。それらをミックス/マスタリングで上手く一つにまとめようとはしました。
–:このEPは全国流通にあたり、新たな客層に向けての一枚という意識を感じましたがその辺りいかがですか?
オオクボーイ:今までトレンドなんて意識したことが無いし自分のバックグラウンドになってる音楽の要素を取り入れて作るという意識が強かったんですが、今回は割とリアルタイムな音楽からアイデアを掘り出したりもしました。やっぱり新しい層のお客さんにアプローチしたいという想いはずっとありましたしね。でも結果的にトレンドとは全く異なるものになったし今までで一番VANILLA.6っぽい音になりました。それで良かったと思っています。



–:今回新曲の中に古参の曲である「90’s Milan」が収録されていますが、やはりこちらはVANILLA.6の代表曲という事での収録ですか?
オオクボーイ:「90’s Milan」はVANILLA.6で最初に作った曲で、一番好きだし一番嫌いな曲でもあるしとにかく特別な曲なんですよ。なので一番初めに全国で出すときは絶対収録するって決めてました。なのであまり周りからこの曲がどう思われてるのかは考えてなかったです。やっと成仏させてやれた的な気持ちです(笑)
–:「90’s Milan」が一番好きで一番嫌いな曲??その辺りもう少し細かく伺っていいですか?
オオクボーイ:バニラ結成前、俺心身も生活も朽果ててたんだけど、そんな最低な時になんとか現状を打破しようと作った曲が「90’s Milan」でした。だから結成のタイミングで出したデモが評価された時とても救われたし、ちょっと大袈裟だけどこの曲は俺の命の恩人みたいなものだし愛しています。とはいえ今リアルタイムの俺達が目指してる音像はもっと先に進んでいるのに、未だに『VANILLA.6といえば「90’s Milan」~』って認識が残ってるのが、悔しいというかカルマのように付きまとってきているようにも感じていました。曲作る時に「あの曲を越えなきゃ」って力んでしまうこともあったし、あの曲がすごく疎ましく感じることさえありました。なので先述の通り今回の『DIE / LOW』に収録出来たことでようやく自分に区切りを付けられた気がするし、そういう意味で成仏させてやれたのかなと思っています。
–:これまでの音源の制作と比べて制作上異なる部分はありますか?
オオクボーイ:これまでの作品の制作は宅録の延長みたいなもので自分達のキャパシティの及ぶ範囲の音しか作ってこなかったんですが、今回初めてプロのエンジニアの方とのタッグで制作をしました。もちろんシンプルに音質の面でプロのそれに仕上がったという点もあるけど、第三者の目線を交えての作業自体すごく新鮮だったし、お互いにその場で出しあったアイデアを吟味し採用するようなクリエイティブな作業になったと思います。冒頭でも述べた通り細かい音作りから全体のディレクションまで、一切妥協することなく作り上げることができたと自負しています。


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『DIE / LOW』/ VANILLA.6
2018年1/10リリース
フォーマット:CD / デジタル配信 / ストリーミング配信
レーベル:VNLDOSE RECORDS
カタログNo.:VNL-0002
価格:¥1,300(税抜)
【Track List】
1. DIE / LOW
2. CYNDI
3. 90’s Milan
4. Fake Love

ストリーミング/配信URL
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VANILLA.6 “DIE / LOW”
Release Tour Final Party
『VANILLA NIGHT vol.3』
2018年4/1(日)南堀江SOCORE FACTORY
ACT:VANILLA.6 / NAHAVAND / Faded Old City / The Stone That Burns / and more..
DJ:waddy / Takeru Murata
Start 18:00
Adv ¥2,500 / Door ¥3,000(+1d)
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2018.3.9 21:00

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