【INTERVIEW】『he(r)art』 / For Tracy Hyde


Photo by Ai Nakano


歌詞が描いている情景と音像が一致するような音楽を作りたいって意識するようになったかなと。

–:今回のアルバムはものすごくストーリー性にこだわりを感じるんですよね。
夏bot:あー、なるほど。歌詞の中にストーリー性を盛り込んでいるわけではないんですけど、前作から「映画のようなアルバム作り」というか…一枚通して聴かないとアルバムの全体像が見えないアルバムを作りたいという意識があって、今作は特に強いと思いますね。
あと、曲が揃い始めた時点で「こういう流れを作ろう」と思った時に「ここにこういう曲があった方がいいな」とか、「全体的にみるとこういう曲が足りないな」と思って後からそういう曲を作って付け足すような作業をやっていましたね。
例えば「Dedication」とかはレコーディングの3日前に井の頭線の渋谷駅でふと思いついて作って、メンバーに投げてるとかそういう事をやってました。こういう曲あった方がいいなって。
–:(構成の)バランス的に?
夏bot:そうですね。なのでアルバム全体で流れのようなものを感じていただけているならそれは嬉しいです。
–:そういえば夏botさんがここ1年ぐらい写真とかインスタに結構はまってるじゃないですか。そういったものの影響とかはどうですか?
夏bot:写真を撮り始めた事で、今まで物事の視覚的な側面にそんなにこだわりがなかったんですけど、自分が目で見て美しいと思ったものをちゃんと残したいと思うようになったんですよね。それが今度は他の感覚の部分にも影響してきて、聴いてて目とか脳に映像が浮かぶような音楽を作りたいって事を意識するようになって。歌詞が描いている情景と音像が一致するような音楽を作りたいって意識するようになったかなと。それこそ、曲中で結構「カメラ」「フィルム」「写真」に関する言及が結構増えてると思うんですよね。
Mav.:今回凄く多いよね。
夏bot:そういうのを考えた時に相関性が多少あるのかなとは思います。
eureka:ボツになった曲に「インスタグラム色の夢」って歌詞ありましたよね。
夏bot:あれね!誰も反応してくれないから…。
Mav.:なんだっけ?それ?
夏bot:あの4つ打ちのデモのやつ。誰も反応してくれないからそれ以上作っていない(笑)
Mav.:あれは…演奏しにくかったから…。
U-1:四つ打ちのってどれだっけ?
夏bot:一昨年ぐらいからあったやつ。
Mav.:アルバムに入れておくと「Floor」とかとかぶってたかも…また次作でやろうや(笑)
夏bot:まあね、そのうちね。
Mav.:そうか、「インスタグラム色」って言ってたか。
夏bot:「インスタグラム色」って歌詞書いて、これ10年後にインスタグラムとか無くなってたら俺どうするんだろうみたいな心配を…。
Mav.:頭抱えるやつやね(笑)
–:今世の中が必要以上に「インスタ映え」って言葉使いたがるのみると、そういうのとバッティグするのあまり好きじゃなさそうな感じもしますけどね。
夏bot:そうですね。「インスタ映え」には全く興味がないですね。インスタグラムやってますけどあくまで写真を発表するのに手軽だからやってるって感じで。「インスタで映える」とか「SNSでいいねを稼ぐ」みたいなものに対するこだわりはないというか…冷めた目で見てますね。
–:メンバーの皆さんのインスタの使用率ってどんな感じ?
Mav.:唯一アカウントがないのが僕です。
夏bot:eurekaはインスタグラムどうですか?
eureka:1月か2月に一回ぐらい更新する…。
Mav.:やる気がない(笑)
夏bot:更新頻度が低い(笑)
U-1:俺、更新する時としない時の差がめっちゃくちゃ激しいんですよ。深夜徘徊とか…あと牧場行ったりするとめちゃくちゃ上げる。
Mav.:牧場に??
–:深夜徘徊はインスタらしいですね。
U-1:僕、ほんとに周りがインスタやってない時から深夜徘徊で延々と。マヨネーズを踏んでめちゃくちゃになったやつを上げたり…僕のインスタ見てると深夜徘徊の人ですよ。ある一時期は。
夏bot:(まーしーさんに)インスタグラム、どうですか?
まーしーさん:………ROM専。
–:懐かしいね、ROM専。
夏bot:インターネットっぽい(笑)
–:インターネットっていうと私と夏botさんともインターネットで知り合ったけど…。
夏bot:このバンド自体もインターネットのバンドですからね(笑)
–:今のメンバーってどういう感じで集まったの?
夏bot:ほんとにTwitterですよ。
U-1:Twitter見ながら道歩いてたら近くにいたんで写真に写ってたとこにいったらみんないて。「おうおるやん、みんなバンド好きなん?じゃあやろか!」って。
Mav.:バンドの歴史が捏造されてる(笑)
U-1:そしたらその会話聞いてたお爺さんが「ちょっと来なさい」って言って。Mav.くん指して「君たち、このメガネの少年はベースを弾くから」って…。
一同:(笑)
Mav.:酷いな(笑)
夏bot:何一つ本当の話がない(笑)
–:「24 Hour Party People」でHappy Mondaysのショーン・ライダーとベズが出会うシーンっぽい(笑)
一同:(笑)
Mav.:うさんくせえ(笑)
U-1:でも、うちら胡散臭いですよ(笑)
夏bot:世間的に見たらそうとう胡散臭いよね。
Mav.:ライブハウスで打ち上げとか行っても他のバンドとわーって交流できなくて。結局元から仲良い人たちと交流する事しか出来てないみたいな。
夏bot:この間も対バンの人がART-SCHOOL好きでFor Tracy Hydeも好きで、MCでアピールしてたんですけど何となく近づくタイミングを逃してしまって。後でTwitterで「お話したかったです」ってツイートして、向こうから「またすぐ来てください!」ってリプライが来るっていう…。
–:それ、載せちゃって大丈夫なの?(笑)バンド特定されちゃう気がするけど…。
Mav.:全然大丈夫です(笑)
–:まさにインターネット的なバンドだね。インターネットが無かったら滅んでるみたいな。
Mav.:ライフラインだよね(笑)

2枚組はもっともっと作り込みたいなって思っていて

Photo by Ai Nakano


–:今回のアルバムって曲書いている比率は…。
Mav.:今回全部夏botです。
夏bot:今回は作詞・作曲・編曲全部自分ですね。ただ、自分が用意したデモを再現しきれなくてアレンジ変わったみたいなのは多々あって…。
U-1:あったっけ?
Mav.:お前や(笑)
U-1:え、僕?なんかあったっけ?
夏bot:「Echo Park」のリードのフレーズ全然違うだろ。
U-1:あー、なるほど!
Mav.:「Echo Park」もそうだし「Floor」のフレーズも違うし。
U-1:ああ、そうだわ。あれ俺気がつかなかったんだよね。レコーディングまで気がつかなくて。
夏bot:事前にタブ譜とか送ってるんですけどね(笑)
U-1:あってると思って弾いてたら…
eureka:違ってるし(笑)
Mav.:まあライブとかでやってて誰も突っ込んでないって時点で全員ダメなんですけどね。
–:キャラぶれないな(笑)
U-1:でも夏botがいいって言うからじゃあいいか、みたいな。
夏bot:まあ、いいわって。それも味だと(笑)
–:あまりネガティブではない感じの「まあ、いいわ」?
夏bot:メンバーの…なんというか…持ち味が反映されるって意味ではそれはそれで(笑)
Mav.:持ち味(笑)
U-1:「Echo Park」なんかはうまくいってんねん。あれはあれで。ぱきっぱきっぱきからの流れ…せせらぎみたいな。(口フレーズをはじめる)
夏bot:せせらぎね(笑)
U-1:そう!僕のフレーズはせせらぎ。
夏bot:せせらぎうめえ!!
–:今回結構インストの曲が多い気がするんですが…。
Mav.:インストの曲数ってそんなに増えてましたっけ?
夏bot:増えてるね。今回4曲。元々2枚組のアルバムを作るって考えた時に、今年はレコーディングに専念しようと思ってたんですが、年内に何かリリースしないといけないって話になってEPをと考えてたんですよ。で、2枚組用の曲を一旦置いておいてEPの制作を1から進めていたら2枚組用につくってる曲も鮮度が落ちないうちに出したいなと思いはじめて、その曲も収録してるうちにアルバムが1枚できちゃうねって話になって。曲数が12〜13曲ぐらいになったあたりかな?もう少し曲増やしたら結局2枚組にできるよねって感じになったあたりでアルバムのバランス見ながらインスト曲作ってましたね。結局2枚組にはならなかったんですが。
まあさっきもちらっと話したんですけど、「映画みたいな音楽を作りたい」って考えた時に、映画っぽさを手っ取り早く表現できるのってインストゥルメンタルとか、情景を喚起する力がある曲だよなって思って。また、全体の流れや場面転換を演出する上でも必要性を感じて作ったってのもありますね。
Mav.:「Opening Logo」(笑)
夏bot:「Opening Logo」あれはもう映画意識してるよね。
U-1:あれはギャグよな。
Mav.:リピート再生してると戻ってきたところで笑ってしまう(笑)
夏bot:あれはもう我々がずっとTwitterとかで「このアルバムは凄え!」って騒いでて、リスナーがリリース当日試聴するとあの曲だったらすげえ面白いなって(笑)
U-1:でも今回2枚組じゃなくて良かったよね。1枚17曲で完結できてよかったよ。2枚組作る時はもっとちゃんとやろ。
夏bot:2枚組はもっともっと作り込みたいなって思っていて。
–:じゃあ2枚組の構想自体はまだ生きてるんだ。
U-1:凄くやりたいですね。
夏bot:なんでっていうと他のバンドが全然やってないからってのがあるんですけど。
U-1:やっぱり古くからいうとL⇔Rが「Land Of Riches」や「Lack of Reason」でやってるんですよ。でも、あの人たちはアナログを意識して2枚組にしてるんですよね。でも、僕らは2枚組でなんか…まあ、Smashing Pumpkinsか。言ってしまえば。でも、雑多なんじゃなくて考えたいよね。
夏bot:実際どうするのが正しいのかもわかんないんだけど、コンセプトありきで考えたいんだよね。でも。そう考えた時に「CD 2枚を使って何を描きたいか」ってのがまだちゃんと見えてないっていう。どうしよっかねって感じで。
–:じゃあ次はそこを固める作業を?
夏bot:そうですね。ただ、東京インディー初の2枚組は絶対俺たちが出すっていう気でいます。
U-1:ちゃんとした曲数でね。
夏bot:20云曲…30行けるといいね。
U-1:28とか29とかって聞こえがいいよね。
夏bot:うん、28いいね!
U-1:30だとどっしりしすぎるんだよね。
夏bot:29だと対称にならないんだよね。
U-1:29(にく)!
夏bot:29(にく)???
U-1:39曲は?
夏bot:増えたな!もう3枚組じゃねえの?
–:インストバージョンやリミックスで1枚追加、とかそういう感じではないんですね。
夏bot:そういうのじゃなくて、Smashing Pumpkinsの「メロンコリーそして終りのない悲しみ」とかM83の「Hurry Up, We’re Dreaming」みたいな感じでちゃんとした2枚組を作りたいんですよ。
U-1:初回盤に8センチCD付いて3枚組みたいなのやりたいね。
夏bot:もう、レーベルを潰すぐらいの勢いで(笑)
–:P-VINE潰すのって大概ですよ(笑)
一同:(笑)
夏bot:マイブラになりたいんですよね!
U-1:いやー、俺はホームレスにはなりたくない!家を持ちたい!!僕は廃墟には住みたくない…家なきタクシードライバーにはなりたくない!
夏bot:でも、スタジオの周りに鉄線張るのは楽しそう。
U-1:入院したくない…。
–:入院?
U-1::コルム(・オコーサク)入院してたし。
Mav.:あ、コルム入院してたっけ。
夏bot:そうそう。コルムがドラム叩けなかったからあのアルバム(「Loveless」)はコルムのドラムサンプリングして再構築してんだよね。
–:マニアックだな(笑)
夏bot:まあ基本的に我々おたくなので(笑)

Photo by Ai Nakano



–:eurekaさんはこういう面々に普段囲まれててどうです?
eureka:………。
–:………。
夏bot:………。
eureka:………。
Mav.:「無」だ(笑)
一同:(笑)
夏bot:あ、じゃあ俺水汲んで来るからその間に適当にやってて…。(と言って離席する)
eureka:あ、面白いと思います。
一同:(笑)
Mav.:世間的な目を意識しての発言に聞こえる(笑)
–:この流れ、深読みされそうだよね(笑)
eureka:興味深い的な感じで。珍しいものをみてるような。
U-1:(涼宮)ハルヒ的な。
夏bot:(戻ってきて)「ただの人間には興味はありません!この中に天才作曲家がいたら…」
一同:(笑)
夏bot:すぐおたくっぽい話する〜。だからうちのバンドにサブカル女子のファンつかないんだよ。
–:サブカル女子のファン付いたらどう思う?
Mav.:ついたことないからわからない(笑)
夏bot:やー、まじで。今回のMVとか僕フォロワーに(某バンド)とか(某バンド)とかのファンめちゃくちゃいるんだけど、その子達誰も反応しないんですよ!
一同:(爆笑)
夏bot:お前らど真ん中だろ!おかしいだろ!って。
–:逆に反応あったのはどういう層?
夏bot:我々みたいな、音楽がめちゃくちゃ好きって男子大学生とか。
U-1:あと、前回に引き続きアニメアイコンの方々も凄く支持してくれる。有難い。そこが本質だからな(笑)
–:そこが本質で大丈夫?(笑)
U-1:いやー(笑)
Mav.:前回は歌詞の世界観でラノベっぽさあったけど今回違うからね。
U-1:アニメの系譜は捨てられんよ。
夏bot:逃れられない宿命なんだなとは感じてる…でもこう…ねえ?
Mav.:「もうちょっとサブカルっぽい女子に…ボブカットのサブカルっぽい女子に好まれたいな」と?
夏bot:そういうファン、ゼロではないけどもうちょっと増えてほしい。
–:ゼロではない?
夏bot:ゼロではないです。
–:それは良い傾向ですね(笑)
夏bot:(笑) どうして女の子に受けないのかな、このバンドは。
eureka:女性ボーカルだから?
Mav.:あー(笑)
夏bot:でも、きのこ帝国とかいるじゃん。
U-1:あれは女性ボーカルだけどかわいいよりかっこいい感じ。
夏bot:んー。
–:サブカル受けで言うとそういう人に受けそうな人たちって、下手すると明日には死んでそうな感じするけど、For Tracy Hydeって死にそうにはない感じするんだよね。
U-1:死ぬのはないですね。生活が死にそうとかはあるけど、生命力的に言うと強いよね。
夏bot:確かに。
U-1:ただ、ろくな死に方しないだろうけどな。
一同:(笑)
夏bot:俺がもう28歳になる前日に死ぬしかないですね(笑)
U-1:この規模だとまだ死んでも伝説にならないしね。
–:夏botさん亡くなったらしいよって話広がったら「え!なんで???」って思う気がする。少なくとも「あー、やっぱり死んじゃったか」とは思わないというか。
U-1:食い過ぎ?
Mav.:塩分取りすぎ?
一同:(笑)
Mav.:塩分か糖分だろうね。
夏bot:やめてくれ…いやだよ…俺をフリー入院コンテンツみたいに扱わないでくれ…。
U-1:入院どころか火葬コンテンツ。
夏bot:やめてくれ…。俺ね、火葬されるときに棺桶の中で蘇るのだけは嫌なんだ!
–:その前提に本気で怯えられるのが凄いよね。
夏bot:棺桶の中で息を吹き返すのは本当に怖いんですよ!土葬とか火葬とかは勘弁してほしくて…。
一同:(笑)
Mav.:鳥葬は?(笑)
夏bot:なんなんすかね?死んだらちゃんと確認できるようにしてほしいかなみたいな。止めさしてから。
–:ちゃんと死んでなかったら悲惨だね。
夏bot:どうしたらいいんですか!僕は!助けてくださいよ!!本当に死ぬの怖いんですよね。最近「死ぬのが怖い」以外に思うことが何もないんですよ。本当に「死にたくない!」って思いながら毎日生きてる。ニュースで誰かの訃報が入るたびに居ても立ってもいられなくて。
–:ここんとこ酷いからね。
Mav.:ミュージシャン色々死んでますからね。
夏bot:グランジ周りが酷いんですよ。Soundgardenのクリス・コーネルが死に…グランジじゃないけど、Linkin Parkのチェスター・ベニントンが死に…。
Mav.:いつもの雑談の感じになってきた(笑)
–:いつもこんな感じなんだ(笑)
Mav.:酔っ払うといつも夏botが暴走するんだよね。
夏bot:これが普通だと思わないでくださいね(笑)あと、アルバムの話…(笑)
U-1:とりあえず買え、そして聴け!あと、論文を書け!
–:論文?(笑)
Mav.:レーベルの人からコンセプトを訊かれたときに気がついたらLINEで論文書いてるみたいな。
夏bot:僕がレーベルの人とかアートワークの写真やってくれてる小林光大くんとかにコンセプト説明するときに、凄く長い論文みたいなの書いてて…。
–:LINEで?(笑)
Mav.:俺、真面目に読んでないもん。あれ。
夏bot:「このアルバムのコンセプトどういう事なんですか?」って訊かれて、本当にあますところなく細かく説明したら本当に長くなっちゃって…。
–:じゃあ我々がニュースやプレスリリースで目にしているコンセプトってのはショートバージョン?
夏bot:ええ。
Mav.:うんと短いです。
夏bot:(iPhoneをいじりながら)7画面分ぐらいあるんですよ。
–:(iPhoneを手渡されて)まじで!?これ読まなきゃだめ?
一同:(笑)
Mav.:読まなくていいですよ(笑)
U-1:まじで中身ないんで大丈夫です(笑)
夏bot:いやいやいや、中身しかねえよ!このアルバムのコンセプトだから!
U-1:広さはあるけど中身はないから!
–:(ずっと読んでた)………まだあるんだ!(笑)
一同:(笑)
–:…これを短くしたレーベルの方…いい仕事したんだなって。
夏bot:でもあれじゃ伝わりきってないんですよ。
–:要点はまとまってるよね。
夏bot:まあそうなんですけどね!

自分は英語圏で育っているんでなんだかんだで東京の見方にエキゾチシズムみたいなものが入るんですよね。なんというか、他の日本の方が魅力として感じない部分を魅力として感じるんですよね。

Photo by Ai Nakano


–:そういえば皆さんそれぞれ出身ってどこなんですか?
U-1:(夏botを指差して)シアトル…。
夏bot:いや、生まれは横浜だよ。
U-1:(Mav.を指差して)カナダ…。
Mav.:違います(笑)ニュージャージーだよ。
–:え、そうなの?
Mav.:本当に。
U-1:eurekaはどこ?
eureka:三軒茶屋。
U-1:え?三茶で産まれたの???国籍は?
eureka:日本とアメリカ。
U-1:で、まーしーさんが?
まーしーさん:滋賀。
–:皆さんそれぞれ、東京のイメージってどんなです?
U-1:僕、徳島から受験で出て来た時に、客引きとかアンケートとか寄ってきて「こんな高校生に寄ってくるなよ」って。
–:その当時で既に?
U-1:そうですよ。僕当時学生服で。こんなに声かけるのか。大丈夫かって。で、神奈川に住むと全く声かけられなくなって。やっぱそういう雰囲気あったんですかね?
–:カモだぞ!みたいな?
Mav.:カモ臭(笑)
U-1:僕はこの街はそういうコミュニティの街だなって(笑)
Mav.:コミュニティ(笑)
U-1:「東京都はコミュニティ!」
–:Mav.さんは?
Mav.:生まれはニュージャージーなんですけど、僕は東京育ちなんですよ。で、中高時代からずっと電車通学してたんで、満員電車ってぎゅうぎゅうに詰まってるじゃないですか。なのに他人感が強いっていう。その辺の「ひしめき合ってるけど触れ合わない」ってのが景色として出来上がっているっていうアンバランスさみたいなものが東京って思いますね。
eureka:私も東京生まれ東京育ちなんでそれ以外を知らなかったんですけど、東京ってずっと嫌いで。賑やかだし、人多いし。かといって距離が遠いし。でも社会人になるまでは門限とかあって夜の東京をあまり見ることがなかったんですよ。でも一人暮らしをして深夜の街中を歩くようになって、「ああ、意外と綺麗だな」って。で、そういう深夜東京を歩いている時の感覚がこのアルバムから感じるんですよね。なので、皆さんそれぞれの感傷に浸りながら聴いてくれたらいいなと。
U-1:うまいね、アルバムの感想に繋げる(笑)
–:や、その辺も含めて訊いたんだけどね(笑)
夏bot:やっぱり僕も世界のあちこち転々としつつ、東京が一番長く暮らした街なんですけど、東京って汚い街だなと。物理的な汚れ方もそうなんですけど、情報面でも雑多なものが集まりすぎてて、それを整理するのに苦労するというか…雑然としてて。でもそんな中で不意に美しい音楽との出会いや素敵な映画や、芸術との出会いや夜の街のネオンのきらめきとか、オール明けの不意に澄んだ空気が訪れる感じとか。
そういう雑然とした中で不意に美が訪れる瞬間を感じると、本当に東京に住んでて良かったなって思うんですよね。
今回のこのアルバムはそういうフィーリングを表現したくてこのアルバムを作ったんですけど、自分は英語圏で育っているんでなんだかんだで東京の見方にエキゾチシズムみたいなものが入るんですよね。なんというか、他の日本の方が魅力として感じない部分を魅力として感じるんですよね。
U-1:例えば?
夏bot:さっきのタクシーの話に戻るんですけど、みんなタクシー乗る時にいちいち外見てないと思うんですよ。でも、僕は本当に窓に張り付いちゃうんですよね。
Mav.:ジャケとかMVの撮影の時に、「普段普通に通ってるだろ」って感じの新宿あたりで「いやー、やっぱ東京は凄え!」とか突然言い出すんで「お前、何年東京住んでるんだよ」とか言いながら撮影してたんですよね。
U-1:いつも通ってる景色だからこそ車で通ると新鮮に見えるって気もするよね。
–:そういう見方すると東京の中ではどこの街が一番好きですか?
夏bot:渋谷ですかね、やっぱり。自分は中高が渋谷だったんで歩き慣れてるってのもあるんですけど、その割に渋谷でちゃんと遊んだことがないっていう。野球部だったんで本当に学校が終わるとグラウンド直行って生活してたんですが、高2で野球やめちゃったんでそれからレコード屋に入り浸るようになったんですよね。そして大学とか社会人になってお金と時間に余裕ができるようになってあちこち遊びまわるようになったっていう。
つい最近自分が通ってた学校の先に行くと、海外のおしゃれな街っぽい小ぢんまりした店が並ぶ区画があるのを発見したんですけど、すぐ近くなのに知らなかったんですよね。ずっとその学校に通ってたのに。
今でも色々発見があってそういう意味でも渋谷は良いなって。
まーしーさんの東京観は?
まーしーさん:あまり音楽と現実の景色みたいなのがリンクする事がないんで…東京をイメージして音楽を聴くとかそういうのをした事がないんですよね…(笑)
–:なるほど…。
まーしーさん:…。
–:…。
一同:(笑)
–:それはそれで面白いですね。
まーしーさん:いやー、そういう聴き方をする努力をします(笑)
一同:(笑)
夏bot:いや、わざわざしなくてもいいような(笑)
まーしーさん:音楽と現実って別物っていうか…あまり年代がどうとか場所がどうとかっていうのも気にしてなくて。さすがに「surf」とか言われると連想しますけどね。
–:なるほど。
まーしーさん:けど今作は都会感みたいなものは感じられました。


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『he(r)art』/ For Tracy Hyde
2017年11/2リリース
フォーマット:CD / デジタル配信
レーベル:P-VINE
カタログNo.:PCD-83004
価格:¥2,300(税抜)
【Track List】
01. Opening Logo (FTH Entertainment)
02. Theme for “he(r)art”
03. Floor
04. Echo Park
05. アフターダーク
06. Dedication
07. Leica Daydream
08. 指先記憶装置
09. Underwater Girl
10. Ghost Town Polaroids
11. Frozen Beach
12. A Day in November
13. 放物線
14. Just for a Night
15. Teen Flick
16. TOKYO WILL FIND YOU
17. Halation
iTunes & Apple Music
Spotify


For Tracy Hyde
”he(r)art” Release Tour
TOKYO IS OURS

東京公演:
2018年1/7(日)渋谷 TSUTAYA O-nest
ACT:For Tracy Hyde / Koochewsen / evening cinma
Open 18:00 / Start 18:30
Adv ¥2,500円 / Door ¥3,000円(+1Drink)
チケット予約:
e+
ローソンチケット(Lコード:75828)
チケットぴあ(Pコード:101-648)

大阪公演:
2018年1/8(月・祝)南堀江 SOCORE FACTORY
ACT:For Tracy Hyde / Mississippi Khaki Hair / And Summer Club
Open 18:00 / Start 18:30
Adv ¥2,500円 / Door ¥3,000円(+1Drink)
チケット予約:
e+




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2017.12.2 21:00

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