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【INTERVIEW】alicetales『fly me to the world e.p.』




約1年半前にインタビューをしたころはまだ2曲入りEPを数枚出しただけだったバンドが、2018年の年明けには念願のフルアルバムをリリースする。そんな話を知ったら、ぜひとも話を聞きたくなるものだ。様々な変化をともなったEPからは、ファーストフルアルバムへの期待値がうかがい知れようが、このインタビューからもその期待値を窺い知れると幸甚だ。

前回のインタビューはこちら
【INTERVIEW】alicetales http://indiegrab.jp/?p=34202

もともとはSuperchunkのような雰囲気のバンドをやりたかったんですけど、いまはもとに戻ったなというのは感じます。(kyosuke)

–:去年のインタビューから1年ほど経過して、その時は2曲入りのe.p.を3作リリースして、ライブをしていました。そこから、7月にI HATE SMOKE TAPESから『FRATERNITY e.p.』 を発売し、2017年にかけてライブを継続的に行なってきて、最新EP『fly me to the world e.p.』を今年の9月にリリースしました。そもそもなぜこのEPをこのタイミングでリリースすることになったんでしょうか?
kyosuke:もともと、フルアルバムを作ろうという気持ちで曲をどんどんと制作していったんですけど、いろいろと事情が出てきて、1枚に詰め込もうとした楽曲のいくつかをこのEPにしたんです。 なので、このEPを作ろうとしたわけじゃなくて、このEPはあくまでフルアルバムに向けた前哨戦といった感じの作品といえますね。
ichikawa: 最初に11曲までプリプロを仕上げていて、その後に「5曲入りEPを先にだしてみないか?」という話になったので、11曲のうちから5曲選んで出した感じですね。
kyosuke:なので、第1章から第5章までの一連の流れがある、というような感じではないんですよ。
–:そのフルアルバムは、いつごろにリリースされるとか予定はたっているんでしょうか?
kyosuke:今のところ年明けごろには出していきたいですね。
–:レコーディングはどのあたりまで進んでいるでしょう?
kyosuke:半分くらいまで進んでます。
–:バンドの調子はどうでしょうか。1年ほど前にインタビューしたときからは色々と変わったことが多いと思えますが。
task:やってるほうからすると、やっぱりわかんないものですよ。
ichikawa: よりポップさをキュっと濃縮していこうって感じだよね。
kyosuke: そうだね。ポップな曲を作っていきたいというモードに入っていますね。「inverse」 や「ayakafly」などを作っていた時期にはポップパンクに寄っていこうと思っていたんですけど、 いまはギターポップに寄りたいというモードになっているように思えます、たぶん(笑)
task:楽曲のアレンジメントとか「これはどうしようか?」という話を、よりメンバー間で多くするようになりましたね。
–:作曲のときは、前にお伺いしたように、kyosukeくんがある程度のデモを作って、3人に投げて、そこで出来たものを組み合わせつつ、アレンジを4人で練っていくという流れは変わってないんですね。
kyosuke:そうですね。プラスすると、その頃よりも細かくアレンジについては話をしてると思います。
–: ここまでの話を聞いていると、「ポップ」という言葉がすごく出てくるんだけど、僕は今回の作品『fly me to the world e.p.』を聞いた時の印象と近いんですよね。音色が柔らかいな、というのが第一印象。ちょっと前にライブを見させてもらった時やこれまでの音源もそうだったけど、 alicetalesはラウドだしノイジーなサウンドがウリだった。それが今作では変わったと思えます。ichikawaくんはFloat down the Liffeyというバンドでの活動も活発だし、kyosukeくんはプライベートな話だけどもご結婚もしたわけで、大阪でライブも出来て、自分たちの仲間と言える人がちょっとずつ増えてきた。そういった変化が表に出たのかな?とうっすら思ったんですけど。
ichikawa: 確かに前の作品や姿勢と比べてみると、より尖る方向に、パンクやメロコアな方向にも振り切れることもできたよな、と思えますね。でも去年から曲作りをするなかで、オルタナティブなポップさ・・・90年代前半のUKオルタナティブバンドのような方向性にに寄っていったと思います。特に話し合って決めたわけでもないんですけどね。
–: 実は、去年kyosukeくんに誘われて酒のんだことがあって、そのときに「ラッパーの KOHHって知ってます?あいつ超かっこよくないですか!?」ってかなりの熱量で語りだして、盛り上がったことがあったんです。
そのとき「KOHHがああいうものを作ってしまうと、僕らロックバンド側はどういうアンサーを返せるかわかんなくなるんですよね」と聞いてきたんです。前にインタビューしたときは、「やりたいからやってる、やらされているわけじゃない」と言っていたところから、一個ギアあがったんじゃないか?と思ったんですよね。その辺、意識としては変化はあったんでしょうか?
task:メンバーの僕ら3人がいるから、という使命感が大きいんじゃないですかね。バンドを続けていくうえで、新しい曲を作っていくというプレッシャーが大きいのかなと思います。
kyosuke:最初にこのバンドを始めたとき、そこまで深くは考えてなかったのは確かなんですよね。「ライブででかい音鳴らすの楽しいじゃん」という感じがあってメロコアな曲をやったりもしたけども、コードを弾いたとき自然にでてくるメロディを歌うような、そういう曲のほうが僕らには合ってるなと思います。そういうのが肌に合いますね。
もともとはSuperchunkのような雰囲気のバンドをやりたかったんですけど、いまはもとに戻ったなというのは感じます。



正直言って、HIPHOPの影響はありますね。(kyosuke)「ここにこのフレーズを入れると面白いんじゃないか?」と思えたときだけ引用してます。(ichikawa)

–:今作5曲ありますが、せっかくなので4人に色々と聞きたいなと思います。これも根本的な話になっちゃいますが、5曲を選んだ基準はなにかあるんでしょうか?
kyosuke:曲調も考慮はしたんですけど、一番の基準は文字の形でした。これは前にツイッターでちょこっと書いたと思うんですけど、オレにはイメージや形の共感覚みたいなのがあって、この文字の感じで1曲目はイヤだとか、この文字の感じで2曲目はイヤだけど3曲目ならしっくりくるとか、そこが最初の基準でした。
–:このEPのタイトルは『fly me to the world e.p.』ですけど、これまでアニメやエロゲのアナグラムを積極的に採用してきたことから察すると、エヴァンゲリオンの『Fly me to the moon』が元ネタだったり?
kyosuke:作品にタイトルをつけるときに、文字を一個一個当てはめていって、一番「違和感」 がなかったタイトルだったのが、これです。ほかにも候補ありましたし、『Fly me to the moon』 がエヴァンゲリオンのエンディングテーマだって気づいたのはその後のことですね。
–:1曲目「flya」もアニメかエロゲのアナグラムかなと思って、色々と思い出してみて考えてみましたが、答えを教えてほしいですね。このタイトルはどこから取ったんですか?
kyosuke:オレがものすごく好きな『Flyable Heart』っていうゲームです、むっちゃくちゃ名作なんですけどね。
–:そのゲームはやったことありますね(笑)
kyosuke:もしかするとこれからやる人がいるかもしれないんで、シナリオが云々というのはスルーしますが、この作品にはタイムマシンが出てくるんですけど、そのタイムマシンの通称がフライア、そこから取ってます。僕らみんな『Back to the Future』のようなタイムリープものの作品も好きですし、ちょうどいいなと思ってこのタイトルにしました。
–:ちなみに、歌っている内容もそういった内容なんですか?
kyosuke:関係ないですね!
全員:(笑)
kyosuke:歌詞って全然重要じゃないんですよね。歌詞で何かを伝えようとしてないし、そもそもオレらはバンドの音がデカイので、ライブハウスではなに言ってるか聞き取れないじゃないですか(笑)なのでそんなに意味はないです
ichikawa: パセリみたいなもんですよ
task:今回から歌詞カードがついてますけど、ちゃんと読まれたら危ういところもあったりするので、読みたい人がいれば読んでみてもいいですね。
–:「flya」が特にそうだなと思えるんですけど、やっぱりこのバンドはツインギターがカッコイイ。制作している時、2人でギターフレーズなどを考えるときはあるんですか?
ichikawa: ないです
kyosuke:ないね、本当に
ichikawa: やりとりというと、例えばどういうことを指しますか?
–: ここでこのフレーズを弾いてる時は、下でバッキングするか?それとも2人でオクターブで弾くか?みたいな話し合いですね
kyosuke:あんましないですね…
ichikawa: いや、まったくしないでしょ(笑)
task:傍からみている感じだと、いくつかパターンを伝えて、それをよりよく弾いてくる感じなんですが、その話だとイッチーさん(ichikawa)が9割、キョースケさん(kyosuke)が1割くらいの作業に見えてます。
–:99%くらいichikawaくんフレーズなんですね
ichikawa: そうですね。間違いないです(笑)
–:3曲目「shortsword」がまさしくそのまんまなんですけど、alicetalesはクラシカルなロックバンドのギターリフをそのまま引用していたりするじゃないですか
ichikawa: 全曲に仕込まれてます、秘密のギターフレーズという感じですね
–:すぐに気づけるものもあれば、「聞いたことあるけどなんだっけ?」とすぐに思い出せないものもあって。もしかすると聴く人によっては、「これ超かっこいいわ!」と思えるフレーズが引用してきたフレーズの可能性があるわけで。しかも多彩な音色の中で弾かれているから、玄人でも一聴して気付かないものも多い。クラシカルに聞こえないで、新しいものとして聞こえてくる、サンプリングと表現がうまいとつくづく思わされました。
kyosuke:僕らが育ってきたのがシューゲイザーの方々のなかだったので、エフェクターの力を使うというのは慣れているんですけど、その名残だったりしますね。
–:「flya」の話に戻るけど、これも確かそうだよね?曲の冒頭でnakamuraくんが歌った後に ichikawaくんのギターがぶん殴るようにど派手に入ってくる流れなんだけど。
ichikawa:「The Wagon」ですね
kyosuke:Dinosaur Jr.の「The Wagon」っていう曲を聞いてもらうとすぐに分かるかと思います。



–:サンプリングとしてフレーズを取り入れるのは意識するのかな?
kyosuke:「これそのまんま使えるじゃん!やったぜ!」みたいな
ichikawa: 意識してますね。2曲目「my worlds down」のギターソロの真ん中あたりで 「Roll Over Beethoven」のフレーズを使ってるんですけど、「どうやったらうまく入るか?」 というのを考えるのは好きですね。
–: 3曲目の「shortsword」とかもそうだけど、イントロでTHE BEATLES、最後にGuns N’ Rosesを持ってきてて、まさにサンプリングで作られたかのような感じだけども。
ichikawa: 最初にこの曲を聞いた時、「ちょっと物足りないな」と思っていたんです。その後に 全体のアレンジメントをどうしようかと決めてる中で、僕らが愛してやまないLOVE LOVE STRAW の「elevator girl」を引用してみたらどうだろう?ということになり、こうなりましたね。頭のサビのアレンジなんかは、完璧にそれです。イントロの「A Hard Day’s Night」 のフレーズも、原曲通りだったりします。
kyosuke:もともとオレが作ってた曲の感じとは変わったよね。Aメロのコードも違うものになったし。
–: さっきKOHHの話をしたのも、「ヒップホップミュージックのサンプリング文化に影響されたのかな?」というのを薄っすらと感じたからこそ伺ったんですけども、その辺はどうなんでしょう?
kyosuke:正直言って、影響はありますね。面白ければなんでもいい、という感じでもあったり。
task:演奏している僕らもすごく楽しいんですよ。曲作りがめんどくさくてパクったということじゃないし、逃げてるつもりもないんです。思いつきで組み込んでみたら物凄くハマって、僕らもノリノリになって演奏できるというね。
kyosuke:そもそも、好きだからこそそういった発想も出てくるし、自分たちの曲に組み込みたいと思えるんですよね。ぜんぜん好きでもなんでもない曲からの引用なんてしないですし、好きな曲からしか引用しないですよ。
ichikawa: 実際僕がギターフレーズを考えてる時は、「ここにこのフレーズを入れると面白いんじゃないか?」と思えたときだけ引用してます。この3曲目の「shortsword」のGuns N’ Rosesの部分は、家でレコーディングしているとき、アウトロが曲アタマと同じ感じでは面白くないなと思って試行錯誤してでてきた感じなんですよ。
task:録音版を聞いた時、「これスタジオのときと違うじゃないですか!しかもガンズだ!」って笑いましたもん(笑)





『fly me to the world e.p.』/ alicetales
2017年9/2リリース
フォーマット:CD
レーベル:McFly Records
カタログNo.:MCFR-0013
価格:¥1,000(税抜)
【Track List】
1. flya
2. my worlds down
3. shortsword
4. his existence is racial discrimination
5. mescaline
【取扱店】
・HMV record shop 新宿ALTA(東京・新宿)
・FLAKE RECORDS(大阪・南堀江)
・RECORDSHOP ZOO(愛知・名古屋)
・Holiday! Records(ウェブ通販・各ライブ会場)
・McFly Recordsウェブストア(ウェブ通販)



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たくさんあるデモの中から、オレがどうしてもやりたいとお願いした曲なんです

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2017.9.27 21:57

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