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【INTERVIEW】『Contact』/ Frasco





「あっ、このセンスの持ち主とは一緒に何かやっほうがいい!」と、ビビっときましてバンド結成の運びとなりました。

–:元々Frascoというユニットはどのようにして始まったんですか?
タカノ:元々は知人の飲み会の席で僕がpatica(別名asalatoという民族楽器)をやってたらその場にいた峰らるが「この人めっちゃリズム感がいい!」と目を付けて「バンドやりたい」と声をかけてくれて(笑)。
峰:具体的なビジョンは全然なかったんですが、趣味として何か音楽やりたいなーと思っていたら、リズム感が良い人がいたので声をかけてみました。
タカノ:その時はハハハって笑って話を流してたんですけど(笑)、後日彼女が作ったムービーが知人から送られてきて、「あっ、このセンスの持ち主とは一緒に何かやったほうがいい!」と、ビビっときましてバンド結成の運びとなりました。


当時、峰が作った映像

峰:最初、どんな音楽をやるかとか、楽器はどうするかとか何も決まってない状態で、餃子を食べながらだらだら話してたんですが、なんとなくDTMとゆう流れになって、とりあえず身近にあるGarageBandでお互い何か作ってみることになったんです。
タカノはGarageBandに触った事がなかったので使い方を簡単に教えて「とりあえず何か一曲作ってみてよ」と半ば無茶振りした数日後、早々にオケのデモを仕上げてきてくれたんですが、その出来の良さに関係者一同騒ぎました。その時に出来たのが”Sleepwalking”です。



タカノ:その曲を友人のススメでRADIO SAKAMOTO(J-WAVEで放送されている坂本龍一さんのラジオ番組)のデモテープオーディションコーナーに送ってみたら優秀作品としてオンエアされて。人生何があるか分かりませんね。
–:RADIO SAKAMOTOって坂本龍一さんからコメントがつくと思うんですが、どんな事を言われたか覚えていますか?また、そこから最初のEP『Natrium EP』が完成するまでってどのくらいかかりました?
タカノ:教授は優しい音楽だと仰ってました。あとユザーンさんから「力を入れてないようにみせかけて、実はものすごく力を入れて作られた作品」みたいなことを言っていただいて。当時興奮し過ぎててあんまり覚えてないですね(笑)。ありがたすぎます。
因みに最初の4曲をまとめてサンクラ上でEPというくくりにしたのはFrascoを開始してから4カ月くらいですかね。
–:お二人ともFrasco以前にはどのような活動をしていました?
タカノ:元々は色々なバンドでベースを弾いてました。作詞作曲やベース以外のアレンジは今まで全くやったことがなくて、シンセの打ち込みとかもFrascoがはじめてです。
峰:いくつかのバンドで、ギター・トランペット・ボーカルをやってました。
–:当時のバンド名って挙げてもらっちゃっても大丈夫ですか?
タカノ:色々やってましたが、月火水木時土日というユニットでボイスパーカッションとベースを同時にやってたことがあって、あれは面白かったです。練習してないし今はもう厳しいです(笑)。
峰:私はちょっと伏せときます。
–:よく聴いていた音楽があれば教えて下さい。また、その音楽はFrascoの活動にはどのように影響していますか?
タカノ:意外かもしれませんが90sオルタナとか結構影響受けてるかも。Beckとか好きですね(笑)。もちろん渋谷系も好きですし、ポップなものやキャッチーなものは好きです。ネオソウルやジャズ、メロウなヒップホップなんかも好んでよく聴いてます。時期によって聴く音楽も違うし、あまりこだわりなく雑食的に聴いてる感じですのでFrascoの活動にどのように影響を与えてるかは正直よくわかりません(笑)。Frasco自体の音楽性としてはポップスという枠組み(容器)の中でユーモアとペーソスとごま塩少々を化学反応させてやっていってる感じです。
峰:私は特にってゆうのがないんですが、歌もののコーラスを追う癖があるので、それはコーラスをつける時に影響してるかも。でもどの引き出しから出たものか毎度不明です。

「もっとこんな不思議な言い回しがあってもいいよね?面白くない?」と、新しい表現のアイディアを皆さんと共有していきたいですね。

–:Frascoの特徴として一貫して日本語表現に対するこだわりが挙げられると思うんですが、これについて聞かせてください。
タカノ:海外留学してたこともあって結構英語を勉強してた時期があったんですけど、他の国の言葉を勉強することで逆に日本語の面白さを発見したんですよね。日本語は外国語と比べてとても繊細できめ細やかだから表現の自由度が高い。日本語のレトリックの持つ特殊性、ユニークさに惹かれていて、「もっとこんな不思議な言い回しがあってもいいよね?面白くない?」と、新しい表現のアイディアを皆さんと共有していきたいですね。sabadoragonさんがツイッターで注目して下さった Ticket gateの「雲の文字化け」というフレーズもその一つです。
歌詞は日常と非日常がバランスよく反応し合う感じが好きで、ガルシアマルケスとか南米文学に出てくるようなマジックリアリズムの表現技法からもインスパイアされてます。



–:「雲の文字化け」はやばいですね。「いつかポップミュージックは要素が使いつくされる」っていう言説があのフレーズ聞いた途端に「ああ、新しい言葉とか要素も生まれてくから大丈夫だ」って思うようになって。
タカノ:あの曲は歌詞を全く公開してなかったんですが、聞き込んでキャッチして下さって本当に嬉しいです。これからも言葉のPOWERを信じてやってきます。
–:あと、曲をリリースするごとに必ずテーマを決めていると思うのですが、こちらについてもきかせていただければ。
タカノ:テーマは後付けのことが多くて、日常生活の中で発見した面白いフレーズ「癪にさわって」とか「溢れ出てる、滲み出てる」とかから構成を組み立てていって、主題は後から設定していくことが多いですね。
–:一番これ凄いなって思ったのは「Imitation crab」(通称:カニカマ)なんですが、これは何を思ってカニカマを吸うという歌詞に?また、峰さんはこれ歌っている時どんな心境でした?



タカノ:カニカマってフィルムに包まれてるので、フィルムを口に咥えてストローみたいにして吸って食べると手を汚さずに効率よく食べられるらしいんですよね。その話を聞いた時にカニカマを吸うって何かものすごくシンボリックな行為だなと思って、そこから発想が膨らんでエロスとタナトス(生と死)に擬えてテーマ設定して作りました。カニカマを吸う行為はエロス(生であり性)で、最後の方でカニカマを投げるという歌詞の展開になるんですが、そこでは死を暗示しています。ムンクの作品に「生命のダンス」という絵があるんですけど、まさにそれとクロスオーバーした曲となっていて、そこにも性(生命)の象徴と死の象徴が描かれていて、中央にいる赤いドレスの女性はまさに性的なシンボルでありカニカマなんですよ、赤いし(笑)。カニカマはカニに似せていて実は魚のすり身(カマボコ)であるという事実もこの曲の持つメタフォリックな構造を示唆していて面白いなと思います。「ナンセンスでバカバカしいことを真面目に歌うことのシュールさ」と見せかけて実はその陰にそこそこ壮大なテーマ性が潜んでいるというところはこの曲の立体的な面白みだと思います。
峰:そんなに壮大なテーマが隠れてるとは露知らず、デモが送られてきた時はこの曲調と歌詞の組み合わせにかなりトキメキました。
イメージしやすい世界観だったので、コーラスを考えるのも楽しかったです。
歌っている時の心境…よく聞かれます (笑)。
でも、特に何もないんですよね。シュールさが際立つようには意識してます。
タカノ:AR三兄弟の川田十夢さんは、この歌は「音も立てずに」というJ-POPに頻出するフレーズを「すり身」を使ってイジったという、ある種の批評性のような部分に注目して下さっていて、皆さん思いの外歌詞を聴き込んで咀嚼してくれていて嬉しいです。
–:テーマ決定を含めて曲を制作する時はどのような手順で進むことが多いですか?
タカノ:コンポーズに関しては、メロ先の曲が多いですが、詩先もあり(カニカマ)、メロと詩が同時に浮かぶ曲もたまにあります(Bromance等)。
ほとんどはコード、メロディ、シンセのアレンジを僕が通勤中の電車内、スマホで打ち込んでデモを作り、メインメロディーと歌詞をつけたものを峰らるに送ります。そこに峰が仮歌を入れ、コーラス案を付け足します。そのあと音色やミックス、アレンジの細かい部分(時には大々的にリアレンジ)をスッパさんやナギー(Frascoにエンジニアとして参加している永田 健太郎。Tabletop Guitarsや、美湖とのUnU、ネルムズ等のユニットでも活動している。)にお願いして、本歌を入れて全員であーだこーだ言って調整して完成ですかね。完成した曲のアートワークは峰らるが担当しています。全てデータのやりとりだけで完結するので、なんか現代風ですね(笑)。
テーマ決定は歌詞を書く段階で決まることが多いですが、Theatreなんかは特殊なパターンで「星にタッチパネル劇場のテーマソング」という超重大なテーマが先に決まっていて、そこから曲を作っていったので大変でした。キラキラというフレーズにkmやkl等の単位を比較対象として出すアイディアに辿り着くまで、夜中に家の近所を何往復も歩きました笑。何もない真っ白なキャンバスにぐちゃぐちゃに自由に描いて最後にタイトルを決める方が断然楽ですね(笑)



–:suppa micro pamchopp(レコード水越)さんのプロデュースというのもFrascoのカラーの一つだと思うんですが、これはどのような経緯から始まったんですか?「Natrium EP」の頃( 2015年頃?)は違ったと記憶していますが。
タカノ:2015年、結成した年は僕と峰らるの他にもう一人ピッピというエンジニアのメンバーがいたんです。最初の5曲くらいは彼にお願いしてミックス作業をやってもらってたんですけど一身上の都合で途中から活動ができなくなってしまって、、そこでスッパさんにツイッターで声をかけました。元々はスッパさんが「夢の中で鳴ったメロディを寝起き後にどう再現するか?」というトピックでツイートしてたのに僕がリプを送ってちょっとしたやりとりがあったんですよね。スッパさんもその事を覚えていてくださっていて、MIXとかマスタリングのことで相談のDMを送ったら一度お会いしていただけることになって、サウンド面の部分を快く引き受けてくださることになりました。
–:スッパさんがプロデュースするようになってからの曲はディスコ色が強くなっていった気がしますが、こちらは意図的なものですか?
タカノ:特に意識はしてないんですが、そうなんですか(笑)?ディスコ云々は分かりませんがスッパさんはカッコよさと可愛らしさを兼ね備えたサウンドを作れるところが唯一無二ですよね。職人でありマジシャンであり魔法使いであり総合芸術家って感じの人です。

レコード水越オフィシャルサイト
http://suppasupp2.wixsite.com/record-mizukoshi
–:スッパさん以外にも交友関係広いなと思って見ていますが、意外なほどコラボレーションはないですよね。この辺りについてはどのように考えています?
タカノ:確かに笑。音楽性からなのか、うちらのキャラクターからなのか分かりませんが、トラックメイカー、バンド、ラッパー、DJ、お笑い芸人…ジャンルレスに様々な分野の方と仲良くさせてもらってます。ライブもクラブ、ライブハウス、バーやカフェ等色々なところでやってますしね。ライブや音源制作時にエンジニアをやってもらってるサポートメンバーのナギーも東京のアンダーグラウンド音楽シーン(特にアンビエントやドローン、即興音楽)ですごい活躍してる人で、めちゃめちゃ顔が広いので。髪も長いし(笑)。シナジー効果でどんどん輪が広がっていくのが楽しいです。様々な場にサッと溶け込めるのがうちらの強みかと。顆粒状のホンダシみたいなもんです(笑)。

ナギー(永田 健太郎)オフィシャル
http://kentaronagata.jp/

コラボについては、実は水面下で何人かとやりとりしてるプロジェクトはあるんですが、まだ陽の目を見てないというだけでして…今後はそれらのリリースはもちろん、他にも色々な人とやれたらいいなと思ってます。楽曲提供や峰らるのVoフューチャリングとかも活動の幅が広がって面白いと思います。人との化学反応もFrascoのコンセプトの一つです。
–:『Contact』はどのようにリスナーに聴いてほしいと思いますか?
タカノ:全国各地の老若男女、様々な年代の様々な立場の人に聴いてもらい何かしらのユニークさを感じて欲しいです。部屋の中、車の中、街中を歩きながら、朝昼晩、色んなシチュエーションで楽しんでくれたら嬉しいです。
小学生に替え歌とかしてもらえたら冥利に尽きますね(笑)。
峰:お好きなように聴いて貰えたらよいです。ちょっとした現実逃避に効くかもしれません。

インタビュー・文:sabadragon





『Contact』/ Frasco
2017年6/14リリース
フォーマット:CD
レーベル:Toro Toro Sounds
価格:¥1,000(税抜)
【Track List】
01. Dance
02. PEA
03. Irritation
04. Blue
特設サイト

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2017.7.2 19:00

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