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【REVIEW】Float down the Liffey『琥珀色が沈むまでは』


Float down the Liffey – 琥珀色が沈むまでは



のっけから今作のハイライトから書き始めたい。今作で一番のハイライトにあたるのは4曲目の「砂の女」だろう。

序盤の大きく刻まれるリズム・グルーヴ感ではシューゲイズ・サウンドが中心になるが、中途から徐々にリズムが細かく刻まれスピード感を増していくと、USオルタナバンドのようなラフなコード・バッキングからハードロックのような16分で刻まれるバッキングへと変化していく。
それにともなってギターソロのメロディラインも徐々に音数そのものが増えていき、より多弁的かつ情緒的に語ろうとする、タンタンと弾くだけだったフレージングが、高速の速弾きへと変化していくのだ。

ギターサウンドにおけるこの2つの変化は、まさにこのアルバムが提出しようとしていた<自我の葛藤>と<キミへと向けられる視線変化>という情景、何も言えない伝えられない僕から、キミに何かを伝えたい/伝えようとするという心情変化を、見事に色鮮やかに描いているといえよう。

この曲が代表的な形となるのだが、今作『琥珀色が沈むまでは』を楽しむ秘訣は、コード・バッキングを試みている際の様々なテクスチャーと、ほぼ全曲に配されたギターソロに耳を貸すことにある。

リズムに対してラフに合せるかキッチリと合せるか、シューゲイズなのかメタリックなのか、和音を揃えるのかわざとでもズラすのか、2本合わせて12本の針金が響かせる様々な表情からは、この作品と各曲にこめられた視線と気持ちが見えてくる。
そして何より、言葉を発することのできないギターが常にソロフレーズを奏で続けている様は、まさしく『語るに語れない僕』という青春的葛藤像を思い起こさせずにはいられない、このソロはいったい僕に何を語り伝えようというのか?その想像は尽きない。

5曲目「Gran Torino」では合唱としてウオー!と声をあげ、6曲目「琥珀色が沈むまでは」ではラララとゆったりと声を合せる、そこに汗臭くも泥臭い体育会系の空気感はなく、今作のテイストもどちらかと言えば文系向きの空気がある。語ろうにも言葉にできない感情の奔流が、焦燥感と寂寞と疑念となり、太陽が沈むまでは(おそらく『琥珀色が沈むまでは』はこの意味だろう)と急がせる。

それは00年代の下北沢のハイライン・レコード~残響レコードに通じる日本ロックの足跡にも、80年代USハードコアやUKシューゲイザーの流れすらも、確かに踏襲しているだろう。だが本作が輝く理由はそういった史的な視座によるものではなく、伴奏としてのバッキングやソロに徹するのではなく、音色そのものや音数にこだわりをもつことで、ギターサウンドの音色やフレージングによってロック・ミュージックが生まれる音楽であると、改めて再確認させてくれる一枚だからに他ならない。

ボーカルの声だけに頼らず、ここまで多弁的に、多くを語ろうとしてスタイルを様々に変化していく、ギター・ロックという語義矛盾めいた言葉がなぜ生まれたのか?、その意味と理由を思い出させてくれる好盤だといえよう。







『琥珀色が沈むまでは』/ Float down the Liffey
2017年3/20先行発売
フォーマット:CD
レーベル:McFly Records‏
カタログNo.:MCFR-0011
価格:¥1,000(税抜)
【Track List】
1. ソレイユ
2. クラウディア
3. 剥製
4. 砂の女
5. Gran Torino
6. 琥珀色が沈むまでは


「琥珀色が沈むまでは」レコ発
『めいかいからのまものvol.2』
2017年3/20(月・祝)下北沢ERA
ACT:Float down the Liffey / Marmalade butcher / Kensei Ogata / plant cell / Free, I do
Open 17:00 / Start 17:30
Ticket ¥2,500 (+1d)

2017年3/24(金)京都MOJO

Float down the Liffey & nihon alps pre.
『河山帯礪』
2017年3/25(土)大阪扇町para-dice
ACT:Float down the Liffey / nihon alps(Nara) / palpurple / kailios / fragile
Open 18:00 / Start 18:30
Ticket ¥1,800(+1d)


テキスト:kkkkssssnnnn(@kkkkssssnnnn

2017.3.20 14:31

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