【INTERVIEW】CICADA『Loud Colors』


より音楽に対してストイックになってるし、仲の良さもあってかみんな結構ズバズバ言っていくんです。
それもまた絆を深めているとは思いますし、ある意味友達以上の関係ですね。(櫃田)

新EP『Loud Colors』のお話をお聞きする前に、前作『BED ROOM』についてお聞きしたいんですが、この作品を『BED ROOM』と名付けたのはなぜだったんでしょうか?
若林:僕自身が部屋でずーっと音楽を作っていたので、「ベッドルームミュージックだな」と思って捻りなくつけた感じですね。
僕自身、チルウェイヴを結構追いかけて聴いた人間だったので、ちょっと騙されて聴いたらこういう音なのかと驚かされた面がありました。しかしクリエイターのとらえ方や意識は、なんとなくですけど近しいところあったんですね。レコーディングはどういった流れだったんでしょうか?
及川:この作品、実は曲が上がってきてアレンジを考えるまでの時間があまり取れず、レコーディング当日の朝にドラム練習して録る、みたいなことをしたんですよね。
櫃田:あれ本当に大変だったよね。
及川:でも良し悪しの判断は、自分の曲ということで若林本人がしたんです。
収録にはどれくらいかかったんでしょうか?
木村:ドラムとベースで1日だったよね?
及川:そうだね、1日で全部録った感じだよね
櫃田:超地獄でしたよ、本当に
及川:こうやってクレームしかでてこない!(笑)
シンセサイザーとボーカルはどれくらいかかりましたか?
及川:僕は自宅で弾き終えることが多いので、そうは多くないですね。
城戸:ボーカルは三日ほどかかりましたね。歌詞が途中で変わったりとかしたので、時間がかかりましたね。
櫃田:でもそっからの、ミックス作業がよりキツかった。
及川:僕がだいたいミックスを担当するんですけど、練習時間もとれてないままに録音したのですごいバラバラで、苦労しましたよ本当に!。
この作品で最も主張が強い楽器というとたぶんボーカルとドラムじゃないかと思うんです。ドラムに関しては曲によってかなりマチマチな音像になってしまっているのは気づきました。個人的には、各楽器の音像の歪さが非常に強い個性となって表れた作品になったも思えます。
櫃田:おお、それはそれでよかったです。
及川:パソコンの画面上で切って貼ってで作るループするようなドラムではないですし、一音一音をずらすような感じで修正したようなところも箇所箇所でありましたが、生音・生演奏へのこだわりがあるからそういう粗となってでたのかな?と。
木村:それを結構意識してミックスはしていたよね。
及川:そうだね、音量も各楽器で揃えることなくボーンと出してみたところはありますね。よく聞くとスネアドラムの「カツッ」っていうミスショットが入ってるとかね(笑)全体として粗っぽい感じに仕上げてみようというのはありましたし、パチっと演奏すべてを綺麗にそろえようとミックスしませんでしたね。それ以前に、自分を含めたメンバーの演奏そのものが粗すぎた・・・(笑)



そうして苦心して生み出した『BED ROOM』のリリースも約1年前、ライブやツアーをドンドンとこなしていったという1年を経た中で、それぞれに変化があったと思うのですが、いかがでしょうか?
櫃田:より音楽に対してストイックになってるな、というのはあります。少なくとも『BED ROOM』を録っていたころよりも、自分はよりストイックにどんどんなっていますね。ツアーもライブを一杯やってきたというのもありますけど、このバンドは終わった後の反省会も毎回やるんですが、今日の僕らの話しを見てもらった通りの仲の良さもあってか、みんな結構ズバズバ言っていくんです。それもまた絆を深めているとは思います。ある意味では友達以上の関係性があるなーとも思ってますね。
及川:アツイ系だなぁー!
城戸:アツイなぁ!
全員:(笑)
櫃田:それが良い方向にいままさに向かってるなぁと思います、今ではリアルタイムでバシバシ文句が飛んでくるので、まだまだ鍛えられるなぁーなんて思いながらやってます。
このタイミングで話をぶった切って聞いてしまって申し訳ないんですけど、ライブの時に白いパーカーを着てライブに臨んでいるじゃないですか?それが始まったのはいつ頃なんでしょうか?
木村:去年の11月に7インチヴァイナルで『stand alone』という作品を出した時のリリースパーティを迎えるにあたって、「これまでの衣装は男子全員同じName.というブランドのTシャツを着てたけど、冬だしどうしようか?」という話し合いをしたんです。いろんな色を試したり、胸にCICADAっていうマークを入れたパーカーを作ろうか?みたいな話をして、今のような形に。
及川:なんで白いパーカーにしたんだっけ?
木村:男4人がホワイトカラーで統一して、真ん中でパッとした文字通り紅一点の赤い服を着た女性が歌う、というのが見栄えとして綺麗だからですね。
ありがとうございます。こういった変化もこの1年で通過してきたわけですが、城戸さんはいかがでしょうか?
城戸:『BED ROOM』のツアーで約15本回って、その後にもCICADA関係で100本近くライブをやったんです。その中で変わったことといえば、お客さんに向かって外向きになろうという意識がほかのメンバー含めて生まれたという点ですね。お客さんにどう聴いて欲しいとか、自分たちがライブをやっているときにどう盛り上がっていてほしいとか、そういうことを考えてライブするようになっていきましたね。今回のEPはお客さんや聴いてくれる人など外向きになった一枚になったかなと思います。
若林さんはいかがでしょうか
若林:あっこちゃん(城戸)がいま言ったこととかぶりますが、曲作りのときに前よりもだいぶ聴く人のことを考えて曲つくりに向かってますね。「ここでこういうフレーズを置きたくない」と僕自身が思っていても、聴く人が大盛り上がりできるフレーズってあるじゃないですか?そういうのを自分の曲に組み込むことを自分が許容できるようになりましたね。あとは個人的には、自分がどういうメロディを作れるかというのが、前よりもわかるようになりましたし、自分の個性がわかるようになったんです。作曲はその分遅れてしまうかもしれないですけど、そこで個性を出せなかったら俺が作る意味がないとも思っているので、こだわりたいですね。
城戸:あたしから一つ言っていい?ともさん
若林:うん
城戸:『BED ROOM』を出したころって、「ライブ嫌だ、もうやりたくない」と言っていたのに、「最近、ライブするの楽しい」って最近言うようになったよね
それ、一番じゃないですか!
櫃田:ライブするのが嫌だって実はずっと言っていたんですよ。
城戸:ここ1年でそういうこと言うようになったよね。
及川:バンドマンになったね(笑)
若林:まぁ、うん、そういう感じです(笑)
木村さんはどうでしょうか?
木村:ここ1年で思うのは、ラップする曲やヒップホップのテイストを取り入れた楽曲が増えたことですね。今回のEPにも1曲収録されているんですが、『BED ROOM』にはそういった曲は入っていないし、これまで僕らはヒップホップをやろうとはしてこなかったですしね。CICADAの元々のコンセプトは、同じフレーズをループしているミニマルミュージックを人力で奏でていくというのがまずあったわけですけど・・・
若林:トリップホップだよね。
木村:そうだね。及川が加入するまではブラックミュージックを取り入れようなんていう頭が、そういう発想がまずなかったんです。ヒップホップのトラックも基本的には同じフレーズのループによって組み立てられているので、トリップホップを人力でやろうというコンセプトと混ぜ合わせ、トリップホップとは違うかたちで踊れるような要素を今回発売するEPでは示せたなと思います。コンセプトに新たな要素を加えて叩き上げてきた、それがこの1年で一番変わった点ですね。
僕自身、ベースを弾いてきた身なのですが、今作でベーシストとしてこだわった点はありますか?
木村:今回は自分からフレーズを作ったというわけではなく、及川が作ってきたフレーズを弾いたんですが、やはり音に対してはかなりこだわりましたね。一番変わったのは、弦をラウンドワウンド弦からフラットワウンド弦に変えたんです。ミシェルンデゲオチェロやデリック・ホッジとか・・・
サンダーキャットやピノ・パラディーノですか?
木村:そうですね、まさにピノ・パラディーノと同じ弦を使ってます(笑)今作でヒップホップやブラックミュージックのノリでやるとなったとき、彼らがフラットワウンド弦を使うのはなぜだろうとおもって使ってみたところ、体で理解したのが大きいです。コンプレッションがなく、サステインも少なく、音の立ち上がりが遅くて「らしい」音になる。そこはこだわりましたね。今作ではこういった曲は1曲しかないですが、ライブでは5曲6曲あるので、聴きに来てくれればうれしいです。
及川さんはこの1年でどんな変化がありましたか?
及川:メンバーを見ていて変わったのは、みんな演奏が巧くなったなという点ですね。ライブではお客さんのことを考え、メンバーのことは考えないようになりましたね、たぶん今はお客さんのことをメインで考えていこうという時期に自分が入ったんだと思います。
ある意味では、メンバーを強く信頼できるようになれた、ということですよね。
及川:信頼感は、以前よりはありますよ。俺自身もメンバーから信頼されるように頑張りますし、みんなで一丸となってやっていけたらと思います。
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成長した彼らの現在と新EP

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2016.3.19 0:00

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